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長期金利が上がるとどうなる?短期金利との違い・上昇の理由と住宅ローン・株・預金への影響を解説
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公開:
2025.08.01
更新:
2026.09.08
長期金利の上昇は、住宅ローンの固定金利だけでなく、株式や債券、預金、保険など、家計や資産運用の幅広い分野に影響します。一方で、「長期金利が上がると変動金利もすぐ上がる」「金利上昇は投資に不利」と単純に考えると、判断を誤る可能性があります。この記事では、長期金利の仕組みや短期金利との違い、2026年に上昇している理由を整理し、住宅ローンや株式・債券・為替・不動産、預金などへの影響と、個人が取れる対策まで具体的に解説します。
長期金利とは?10年国債利回りが代表指標になる市場金利
長期金利とは、資金をおおむね1年以上、代表的には10年にわたって貸し借りする際の金利を指します。ニュースで「長期金利」と言うときは、一般に市場で取引される新発10年物国債の利回りを指します。
日本国債は、国内金融市場で信用リスクが低い代表的な債券であり、その利回りはさまざまな金利を考える際の基準の一つになります。固定型住宅ローンや社債の金利も長期金利の影響を受けますが、金融機関の調達コストや信用リスク、需給などを加味して決まります。
名目金利と実質金利の違い
長期金利には、市場で表示される「名目金利」と、物価上昇の影響を差し引いた「実質金利」の2種類があります。
名目金利と実質金利の違い
- 名目金利:市場で表示される、そのままの金利
- 実質金利:名目金利から期待インフレ率(将来の物価上昇率の予想)を差し引いた金利
実質金利は、概算では「実質金利=名目金利-期待インフレ率」で求められます。名目金利が3%でも、期待インフレ率が2%なら実質金利は1%にとどまります。日本銀行は2026年6月の声明で「実質金利は短中期ゾーンを中心にマイナス」と評価しており、名目金利が上がっても金融環境はなお緩和的だと判断しています。
出典:日本銀行「金融市場調節方針の変更について(2026年6月16日)」
長期金利を構成する3つの要素
長期金利は、現在の需給だけでなく市場参加者の「未来予測」を織り込んで決まります。分解すると、主に次の3つの要素で構成されています。
1.将来の物価上昇への期待(インフレ期待)
物価が上がってお金の価値が目減りすると予想されれば、投資家はそれを補う高い金利を求めます。期待インフレ率の上昇は、長期金利を押し上げる最も基本的な要因です。
2.将来の政策金利に対する市場の予測
期待仮説では、長期金利は将来にわたる短期金利の予想を反映すると考えます。実際の長期金利には、これに期間プレミアムなども加わります。市場が「日銀は今後も利上げを続ける」と考えれば、その分だけ長期金利は先回りして上昇します。
3.将来の不確実性に対する上乗せ金利(期間プレミアム)
10年先までの予測は不確実なため、投資家はそのリスクを引き受ける対価を上乗せして求めます。財政の先行きや国債の需給に不安が高まると、このプレミアムが拡大して長期金利を押し上げます。
長期金利は、債券の利率と利回りにも影響します。計算方法については、こちらの記事も参考にしてみてください。
長期金利と短期金利の違いとは?決定主体と影響範囲を比較
金利は期間によって「短期金利」と「長期金利」に分かれ、その性質は大きく異なります。まず全体像を表で整理します。
| 比較項目 | 短期金利 | 長期金利 |
|---|---|---|
| 期間の目安 | 数日〜1年程度 | 1年以上(特に10年が代表) |
| 代表的な指標 | 無担保コールレート(政策金利) | 新発10年国債利回り |
| 2026年9月時点の水準 | 政策金利1.0%程度 | 約3.0%(一時3.0%台) |
| 決まり方 | 日本銀行の金融政策で決まる | 国債市場の需給・将来予測で決まる |
| 主な影響先 | 変動型住宅ローン、普通預金、企業の短期借入 | 固定型住宅ローン、社債、生命保険の予定利率、株式・為替 |
表のとおり、2つの金利は「誰が決めるか」と「どこに影響するか」が根本的に異なります。この2点を押さえると、金利ニュースの理解が一気に深まります。
1.金利を決めるのは誰か:短期金利は日銀、長期金利は市場
短期金利の代表は、日本銀行が金融政策で誘導する「政策金利(無担保コールレート翌日物)」です。日銀が政策金利を上げ下げすれば、市場の短期金利もほぼ即座に連動します。
一方の長期金利は、10年物国債が市場で売買される中で形成されます。国債を買いたい人が多ければ価格が上がって利回りは下がり、売りたい人が多ければ価格が下がって利回りは上がる仕組みです。特定の誰かが決めているわけではありません。
- ただし、日銀は国債の最大の保有者であり、買入れ額の増減を通じて長期金利に大きな影響を与えます。「短期金利は政策で決まり、長期金利は市場で決まる。ただし日銀の存在感も大きい」と理解しておきましょう。
2.影響範囲の違い:金融システム寄りの短期金利、生活寄りの長期金利
短期金利が主に影響するのは、変動型住宅ローン、銀行の普通預金金利、企業の短期的な資金繰りです。金融政策と直結しているため、影響は速く表れます。
長期金利は、住宅ローンの固定金利や企業の設備投資に使う長期借入の基準になります。生命保険の予定利率や、株式・為替の値動きにも波及するため、家計や実体経済への影響はより広範です。
3.2026年9月のイールドカーブ:短期1.5%、10年3.0%、30年4.1%
期間ごとの金利を線で結んだものを「イールドカーブ(利回り曲線)」と呼びます。財務省が公表する2026年9月1日の国債金利は、1年1.527%、2年1.802%、10年2.987%、30年4.131%でした。
期間が長いほど金利が高い「右肩上がり」の形状で、10年と30年の差は1.1ポイント以上あります。超長期金利の上昇には、将来の政策金利の見通しに加え、財政や国債需給への警戒を反映した期間プレミアムの上昇が影響しているとの見方があります。
出典:財務省「国債金利情報」
【2026年9月最新】長期金利の推移と上昇している4つの理由
日本の長期金利は2020年代前半まで「ほぼゼロ」でしたが、わずか数年で3%に達しました。まず財務省の公表値で実際の推移を確認します。
| 時期 | 10年国債利回り | 参考:30年国債利回り |
|---|---|---|
| 2020年末 | 0.035% | 0.647% |
| 2021年末 | 0.089% | 0.693% |
| 2022年末 | 0.454% | 1.578% |
| 2023年末 | 0.647% | 1.662% |
| 2024年末 | 1.111% | 2.252% |
| 2025年末 | 2.066% | 3.354% |
| 2026年8月末 | 2.943% | 4.092% |
| 2026年9月1日 | 2.987%(一時3.0%台) | 4.131% |
出典:財務省「国債金利情報」
2026年に入ってからだけでも、長期金利は約0.9ポイント上昇しました。8月18日に一時2.945%まで上昇し、9月1日に3%台へ到達しました。さらに9月2日には一時3.015%まで上昇し、約30年ぶりの高水準を更新しています。
理由1:日銀の利上げと「利上げ加速」観測
主要な要因の一つが、日本銀行の金融政策です。日銀は2025年12月19日に政策金利を0.75%へ、2026年6月16日には1.0%程度へ引き上げました。政策金利が1%台となるのは1995年以来、約31年ぶりです。
- 6月の声明では「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と明記されました。中東情勢を背景とした原油高で物価が上振れるリスクが意識され、市場では利上げの前倒しや加速を織り込む動きが強まっています。長期金利は将来の政策金利の予測を反映するため、この観測がそのまま上昇圧力になります。
出典:日本銀行「金融市場調節方針の変更について(2026年6月16日)」
理由2:日銀の国債買入れ減額(量的引き締め)
日銀は長らく大量の国債を買い入れて長期金利を抑えてきましたが、2024年7月に月5.7兆円だった買入れ額を段階的に減らしています。2026年7〜9月は月2.5兆円程度、2027年4月以降は月2兆円程度まで縮小する計画です。
日銀の国債保有残高は2027年3月末に480兆円程度と、減額前より17%程度減る見通しです。日銀の買入れが減れば、民間の投資家が吸収する必要のある国債が相対的に増えるため、需給面から長期金利の上昇圧力になり得ます。
出典:日本銀行「長期国債の買入れ計画について(2026年6月16日)」
理由3:財政への懸念と国債の需給
政府の財政運営に対する市場の警戒も、長期金利を押し上げています。2026年度(令和8年度)当初予算は一般会計歳出122.3兆円で、うち国債費は31.3兆円と歳出の25.6%を占めます。
- 国債の利払費は13.0兆円と前年度当初比で2.5兆円増え、予算上の想定金利(積算金利)も2.0%から3.0%へ引き上げられました。金利上昇が財政を圧迫し、それがさらに国債の信認を揺らすという循環を市場は警戒しています。特に20年・30年といった超長期債では買い手が細り、利回りが4%台まで上昇しました。
理由4:原油高・円安によるインフレ懸念と米金利の上昇
海外要因も重なりました。中東情勢の混迷で原油価格が上昇し、輸入物価を通じたインフレ懸念が強まっています。為替は2026年7月末に1ドル164円目前まで円安が進み、日米当局が1998年以来28年ぶりとなる円買い協調介入に踏み切りました。介入後も8月末には160円近辺で推移しています。
米国では10年国債利回りが8月末に一時4.76%台と2025年1月以来の高さに達し、日本の長期金利にも波及しました。日本の10年債と米国の10年債は連動しやすく、世界的な金利上昇局面で日本だけが無風でいることは困難です。
長期金利はどうやって決まる?価格を動かす4つの主要因
| 要因 | 長期金利が上がる方向 | 長期金利が下がる方向 | 2026年9月時点の状況 |
|---|---|---|---|
| 要因1:国債の需給バランス | 国債の買い手が減る(入札不調、日銀の買入れ減額、海外投資家の売り) | 国債の買い手が増える(日銀の買入れ増額、安全資産としての需要) | 日銀が買入れを月2.5兆円程度へ減額中で、上昇圧力 |
| 要因2:将来のインフレ期待 | 物価上昇が続くとの予想が強まる(原油高、円安) | 物価が落ち着くとの予想が広がる | コアCPIは+1.8%だが、原油高で上振れ警戒 |
| 要因3:日本銀行の金融政策 | 利上げや利上げ加速の観測 | 利下げや据え置き長期化の観測、指値オペ | 政策金利1.0%、追加利上げ観測で上昇圧力 |
| 要因4:海外(特に米国)の金利動向 | 米長期金利の上昇 | 米長期金利の低下 | 米10年債は4.76%台と2025年1月以来の高さ |
前章の「上昇している理由」は、長期金利を動かす一般的な4つの要因が同時に働いた結果です。理論面を押さえておきましょう。
要因1:国債の需給バランス
長期金利は国債価格とシーソーの関係にあります。財務省の入札で買い手が少なければ価格は下落し、利回りは上昇します。近年は海外投資家の売買が日本国債の需給を左右する場面が増えました。
要因2:将来のインフレ期待
物価上昇が続くと予想されれば、投資家は目減り分を補う金利を求めます。全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は2026年7月に前年同月比+1.8%で、日銀は原油高の影響で「2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていく」と見込んでいます。
要因3:日本銀行の金融政策
政策金利の見通しと国債買入れの方針は、長期金利を予測するうえで最も重要な材料です。金利が急騰する場面では、日銀が買入れ額の増額や指値オペで抑えに動く可能性も残されています。
要因4:海外(特に米国)の金利動向
米国の長期金利が上昇すると、世界的な金利上昇や債券の相対的な投資妙味、為替ヘッジコストなどを通じて、日本の長期金利にも上昇圧力がかかることがあります。日米金利差は為替を通じて輸入物価にも影響するため、米国の金融政策や雇用統計にも目配りが必要です。
出典:総務省統計局「消費者物価指数(全国)2026年7月分」
米国の経済指標の1つである雇用統計については、こちらの記事で詳しく解説しています。
金利が上がるとどうなる?株・債券・為替・不動産への影響【2026年の実例つき】
長期金利は「経済の体温計」とも呼ばれ、その変動は金融市場全体に波及します。ここでは理論だけでなく、2026年に実際に起きた動きを合わせて解説します。
株価への影響:グロース株には逆風、銀行株は30年ぶりの高値
長期金利の上昇は、株式のバリュエーションには一般に下押し要因となります。特に、将来利益への期待が大きいグロース株ほど影響を受けやすい傾向があります。
金利が上がると企業の借入コストが増えるうえ、将来の利益を現在価値に換算する割引率が上がるため、理論上の株価は下がります。
ただし、影響はすべての株に同じように及ぶわけではありません。2026年8月18日には長期金利の上昇を嫌気して東証グロース市場250指数が反落し、新興株の割高感が意識されました。一方、業種別日経平均の「銀行」は2026年7月2日に1996年以来30年ぶりの高値をつけています。貸出金利と預金金利の差(利ざや)が拡大するとの期待が買いを集めました。
- 日経平均株価そのものは2026年に史上最高値を更新しており、「金利上昇=株安」と単純には言えません。業績相場の中で、金利に弱い業種と強い業種の明暗が分かれているのが実態です。
長期金利の上昇が株価に与える影響に関しては、こちらのFAQも参考にしてみてください。
債券価格への影響:既発債は下落、新規購入には追い風
債券価格と金利はシーソーのように正反対に動きます。金利が上がると、低い利率で発行された既存の債券の魅力が薄れ、価格は下落するのが原則です。価格の敏感さは「デュレーション」で表され、満期が長い債券ほど値下がり幅は大きくなります。
実際にどの程度動くのか、編集部で試算しました。
| 債券の種類 | 金利の変化 | 理論価格 | 下落率 |
|---|---|---|---|
| 10年債(利率1%) | 1%→3% | 約82.9円 | 約17% |
| 10年債(利率2%) | 2%→3% | 約91.5円 | 約9% |
| 30年債(利率2%) | 2%→4% | 約65.4円 | 約35% |
超低金利期に発行された長期債を持つ銀行や生命保険会社では、含み損が膨らんでいます。一方、これから債券を買う人にとっては、利回り3%前後の国債や2%台の個人向け国債を選べる環境であり、金利上昇は追い風です。
- 個別債券は、発行体が債務不履行に陥らない限り、満期まで保有すれば原則として額面で償還されます。そのため、途中売却しない場合は市場価格の変動による影響を受けにくくなります。
債券投資の方法について詳細に知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
為替相場への影響:金利差だけでは動かなかった2026年の円相場
二国間の金利差は、為替相場を動かす主要な要因の一つです。日本の金利が上がり、米国が利下げすれば、日米金利差は縮小して円高になりやすいとされます。
しかし2026年は、日本の長期金利が3%に迫る一方で、円相場は160円前後の円安水準が続きました。米国の政策金利は3.50〜3.75%と依然として日本より高く、原油高による貿易赤字や海外投資の拡大といった金利以外の要因も円売りを支えたためです。
- 円安は輸入物価を押し上げてインフレ期待を高め、それがさらに長期金利を押し上げる循環も生んでいます。資産運用では、金利と為替の両方の動きを視野に入れることが欠かせません。
円安の影響は、こちらの記事でも解説しています。あわせてご覧ください。
不動産・J-REITへの影響:価格上昇に一服感
不動産価格は「賃料÷期待利回り」で決まる面があり、金利が上がると期待利回り(キャップレート)も上昇して価格には下押し圧力がかかります。借入比率の高い投資物件ほど、金利上昇でキャッシュフローが悪化しやすい点にも注意が必要です。
上場不動産投資信託(J-REIT)では、東証REIT指数が2026年4月末の1,880ポイントから6月には一時1,750ポイントを割り込みました。分配金利回りが5%前後まで上がっても、長期金利との差が縮まったため投資妙味が薄れたと受け止められています。
ただし、インフレで賃料が上がれば利払い負担の増加を吸収できるとの見方もあり、物件の種類や借入条件によって影響は異なります。
REITのメリットやデメリットに関しては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
長期金利が住宅ローンや家計に与える影響
長期金利の変動が最も直接的に生活に響くのが住宅ローンです。2026年9月時点で何が起きているかを、金利の種類別に見ていきます。
固定金利:フラット35は3.46%と現行制度で最高水準に
全期間固定型ローンの金利は長期金利を基準に決まるため、影響は速く、大きく表れます。住宅金融支援機構のフラット35(融資率9割以下・返済期間21〜35年)の2026年9月の最低金利は3.460%で、8月の3.290%から0.17ポイント上昇しました。現行制度となった2017年10月以降で最も高い水準です。
民間銀行の固定10年型も、みずほ銀行3.45%、三菱UFJ銀行3.63%(いずれも2026年9月・優遇後)と3%台半ばに達しています。
| 金利タイプ | 金融機関 | 金利 | 前月比 |
|---|---|---|---|
| 全期間固定(フラット35・21〜35年) | 最低金利 | 3.460% | +0.170% |
| 固定10年 | みずほ銀行 | 3.450% | +0.100% |
| 固定10年 | 三菱UFJ銀行 | 3.630% | +0.040% |
| 変動 | 三菱UFJ銀行 | 1.195% | +0.250% |
| 変動 | 三井住友銀行 | 1.525% | +0.250% |
| 変動 | みずほ銀行 | 1.025% | 変わらず |
固定型と変動型の差は2ポイント以上に開いています。これから借りる人にとって、固定型を選ぶ「安心料」はかつてなく高くなっているのが現状です。
変動金利:日銀の利上げで引き上げ、5年ルールと125%ルールに注意
変動型住宅ローンの基準金利は、多くの銀行で短期プライムレートなどを基準に設定されています。短期プライムレートは日銀の政策金利の影響を強く受けるため、政策金利が上がると、時間差を伴って変動型住宅ローンにも上昇圧力がかかります。
2025年12月と2026年6月の利上げを受けて、短期プライムレートは2026年8月3日に2.375%へ引き上げられました。これに連動するメガバンクの変動金利の基準金利も2026年9月以降、順次年3.375%へ引き上げられています。9月には三菱UFJ銀行と三井住友銀行が優遇後の金利を0.25ポイント引き上げ、他行も10月に見直しを予定しています。
すでに変動金利で借りている人の場合、多くの銀行には「5年ルール(毎月返済額は5年間据え置き)」と「125%ルール(見直し後の返済額は従前の1.25倍まで)」があります。毎月の返済額が急に増えない一方、金利が大幅に上昇すると元金の減りが遅くなり、条件によっては未払利息が発生する場合もあります。
金利が返済額にどれほど影響するかを、編集部で試算しました。
| 適用金利 | 毎月返済額 | 総返済額 |
|---|---|---|
| 0.5%(2024年頃の変動金利) | 約77,900円 | 約3,271万円 |
| 1.0% | 約84,700円 | 約3,557万円 |
| 1.5%(2026年9月の変動金利の目安) | 約91,900円 | 約3,858万円 |
| 2.0% | 約99,400円 | 約4,174万円 |
| 3.46%(2026年9月のフラット35) | 約123,300円 | 約5,178万円 |
金利が35年間0.5%で一定の場合と1.5%で一定の場合を比較すると、毎月返済額は約1万4,000円、総返済額は約590万円の差になります。3.46%の全期間固定を選ぶと、0.5%の場合と比べて総返済額は約1,900万円の差になります。
預金・個人向け国債・保険:受け取る側にはプラスの影響
金利上昇は、お金を借りる側にはマイナスですが、預ける側や運用する側にはプラスに働きます。2026年に入って、身近な商品の利率は次のように改善しました。
預金や保険の影響
- 普通預金:三菱UFJ・三井住友・みずほの3メガバンクが2026年8月3日から年0.4%に引き上げ(2024年初めは0.001%)
- 個人向け国債(2026年8月募集分):変動10年1.87%、固定5年2.06%、固定3年1.71%
- 一時払終身保険:住友生命が2026年7月契約分から予定利率を1.75%から2.25%へ引き上げ(1998年以来の水準)
たとえば1,000万円を普通預金に預けた場合、年0.001%なら利息は年100円ですが、年0.4%なら4万円(税引後約3万2,000円)です。個人向け国債の変動10年なら、100万円あたり年1万8,700円(税引前)の利息が受け取れます。変動10年は半年ごとに利率が見直されるため、今後の金利上昇にも追随できます。
個人向け国債については、こちらの記事も参考にしてみてください。
教育資金・老後資金など、住宅ローン以外のライフイベントへの影響
金利は住宅購入以外の場面にも関わります。有利子の奨学金や教育ローンの金利は市場金利に連動するため、子どもの進学時期の金利水準が返済負担を左右します。自動車ローンやリフォームローンも同様です。
反対に、退職後の生活では預貯金や個人年金保険の利息収入が生活を支えます。金利が上がれば資産が長持ちしやすくなるため、高齢者世帯にとっては追い風といえます。
- ただし、物価上昇率を上回る利回りが得られなければ実質的な購買力は目減りするため、名目の利率だけで安心しないことも大切です。
固定金利と変動金利はどっちを選ぶべき?金利上昇局面の選択指針
「固定か、変動か」は住宅ローン選びでよくある悩みです。2026年9月時点では、変動1.0〜1.5%に対して全期間固定3.4%台と差が大きく、単純な損得では答えが出ません。
固定金利と変動金利の特徴
- 固定金利型:返済計画を確定できる安心感が魅力ですが、現在は変動型より2ポイント以上高い金利を最初から払うことになります
- 変動金利型:当初の返済額は抑えられますが、今後の利上げリスクを自身で負います。5年ルール・125%ルールがあっても総返済額は増えます
判断の目安は「変動金利が今後どこまで上がったら家計が耐えられないか」を先に計算することです。たとえば変動金利が3%まで上がっても返済比率(年収に占める年間返済額の割合)が25%以内に収まるなら、変動型を選んで浮いた分を繰上返済や貯蓄に回す選択も合理的といえます。
逆に、金利が2%に上がった時点で家計が厳しくなるなら、固定型や固定と変動の組み合わせ(ミックスローン)を検討すべき局面です。
金利の先行きは専門家でも外すことがあります。予想に頼りすぎず、ご自身の家計とライフプランに合った無理のない選択を優先してください。
住宅ローンの仕組みについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
金利上昇局面で個人ができる5つの対策
金利上昇は避けられませんが、影響の受け方は準備次第で変わります。個人で行える金利上昇対策を解説します。
対策1:ローンの「金利感応度」を確認する
変動金利で借りている人は、金利が1%上がったときの毎月返済額と総返済額を計算しておきましょう。銀行のシミュレーターで残高・残期間を入力すれば数分で分かります。数字を把握しておくだけで、次の利上げニュースに慌てずに済みます。
対策2:借換えと繰上返済は損益分岐を計算してから
固定型への借換えは、事務手数料や保証料で数十万円かかることがあります。金利差・残高・残期間から総支払額を比較し、コストを回収できるかを確認してから決めましょう。手元資金に余裕があれば、変動金利のまま繰上返済で元金を減らす方が有利な場合もあります。
対策3:眠っている預金を置き換える
金利上昇の恩恵を受けるには、資金を「動かす」必要があります。生活防衛資金を除いた余裕資金は、普通預金0.4%より高い定期預金や個人向け国債(変動10年1.87%・固定5年2.06%)への置き換えを検討しましょう。
対策4:債券は満期を分散する
これから債券を買う人は、満期が異なる債券を組み合わせる「ラダー戦略」が有効です。金利がさらに上がっても、順次償還される資金を高い利回りで再投資できます。
デュレーションの長い債券投資信託は金利変動に対する価格感応度が高いため、金利上昇時には値下がり幅が大きくなりやすい点を理解したうえで、運用目的や投資期間に合うかを判断しましょう。
対策5:株式は業種の偏りに注意する
銀行株は金利上昇の恩恵を受けやすい一方、グロース株や不動産株は逆風を受けやすい傾向があります。特定の業種に偏らず、国内外の株式・債券・不動産に分散したポートフォリオを維持することが、金利局面の変化に備える基本です。
よくある長期金利の誤解3つ
金利について、特に多い誤解を3つ取り上げます。いずれも「長期金利」と「短期金利」の違いを押さえると解消できます。
誤解1:「長期金利が上がると、変動金利もすぐ上がる」
変動金利は短期金利(政策金利)に連動するため、長期金利が上がっても直ちには動きません。実際、長期金利が1%から2%へ上がった2025年の間、変動金利の基準金利が動いたのは日銀の利上げ後に限られます。
ただし、長期金利の上昇は「将来の利上げ観測」を反映しているため、時間差で変動金利にも波及する点は押さえておきましょう。
誤解2:「固定金利に借り換えれば安心」
固定型は返済額が確定する安心感がありますが、2026年9月時点では変動型より2ポイント以上高い金利を確実に払うことになります。将来の変動金利が3%を超えない限り、固定型の方が総支払額は多くなる計算です。「安心」には相応のコストがあることを理解したうえで判断する必要があります。
ただし、固定型と変動型のどちらが最終的な総支払額を抑えられるかは、変動金利の上昇幅だけでなく、上昇する時期やその後の推移、借入残高、残存期間、借換え費用などによって変わります。将来の金利が「何%を超えるか」だけで損得を判断することはできない点は押さえておきましょう。
誤解3:「金利が上がると債券は全部損をする」
価格が下がるのは、すでに保有している既発債券や債券投資信託です。これから買う人にとっては、高い利回りで購入できる好機になります。また、個人向け国債は国が額面での買い取りを保証しているため、途中換金しても元本割れしません(直近2回分の利息相当額が差し引かれます)。
国債の利回りの決まり方については、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
この記事のまとめ
この記事では、長期金利の基本的な仕組みと短期金利との違い、2026年に金利が上昇している背景、住宅ローンや株式・債券・為替・不動産、預金などへの影響を解説しました。金利上昇は、借入には負担増となる一方、預金や新たな債券投資には追い風になるなど、立場によって影響が異なります。大切なのは金利の先行きを当てることではなく、自分の家計や資産が金利変動にどの程度耐えられるかを確認することです。住宅ローンの返済額を試算し、預金の金利や保有資産の構成も点検したうえで、必要に応じて借り換えや資産配分の見直しを検討しましょう。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
関連する専門用語
長期金利
長期金利とは、返済までの期間が10年以上にわたる金融商品(たとえば10年国債など)に適用される金利のことです。これは、将来の経済成長率や物価(インフレ)などの見通しを反映して決まるため、景気の動向や中央銀行の政策、世界的な資金の流れなどが影響します。 長期金利が上がると、住宅ローンや企業の設備投資にかかる資金調達コストが増えるため、景気を冷やす効果があります。逆に、長期金利が下がるとお金を借りやすくなるため、経済が活性化しやすくなります。資産運用においては、債券の価格や株式市場にも影響を与えるため、非常に重要な指標のひとつです。特に債券投資を考える際には、長期金利の動きが利回りや価格に直結するため、注視する必要があります。
短期金利
短期金利とは、1年未満の短い期間で貸し借りされるお金に対して適用される金利のことです。たとえば、銀行同士がごく短い期間だけお金を貸し合う際や、企業が運転資金を調達するために短期の資金を借りる場合などに、この短期金利が用いられます。短期金利は中央銀行の金融政策に大きな影響を受けるため、経済の動向を反映しやすい指標のひとつです。たとえば、日本銀行が政策金利を変更すると、市場の短期金利もそれに連動して動く傾向があります。個人投資家にとっては、預金金利や短期の債券利回りに影響するため、日常の資産運用に直結する重要な金利です。
国債利回り
国債利回りとは、政府が発行する債券(国債)に投資した場合に得られる収益の割合を示す指標です。具体的には、国債を保有することで定期的に受け取る利金と、購入価格や満期時の償還価格との関係から計算されます。国債は信用力が非常に高く、リスクが低いとされているため、その利回りは「安全資産の利回り」として広く参照されます。 利回りが上がると投資家はより高い収益を得られますが、同時に国債価格は下がる傾向があり、利回りと価格は逆の動きをします。国債利回りは、住宅ローン金利や企業の借入金利、株式市場の動向などにも大きな影響を与えるため、経済全体の「金利の基準」として極めて重要な役割を果たしています。
名目金利
名目金利とは、金融市場で表示される利率のことで、インフレ率を考慮しない金利を指します。例えば、銀行の預金金利やローンの利率、国債のクーポン利回りなどが該当します。名目金利は、一般的に市場の需給や中央銀行の金融政策によって決まり、経済活動に大きな影響を与えます。 一方、実質金利は、名目金利からインフレ率を差し引いたもので、資産の購買力の変化を示します。例えば、名目金利が5%でインフレ率が3%の場合、実質金利は2%となります。インフレが高いと、名目金利が高くても実質的な利回りは低くなるため、投資や貯蓄の意思決定に影響を与えます。 したがって、名目金利だけでなく、実質金利やインフレ率も考慮することが、金融市場や経済の動向を正しく理解する上で重要です。
実質金利
実質金利とは、名目金利からインフレ率を差し引いた後の金利を指します。この金利は、資金の貸借や投資の実際の収益性を測るための重要な指標であり、インフレの影響を考慮に入れた金利の実態を示します。名目金利が投資やローンの表面的な利率であるのに対し、実質金利はその金利から物価上昇の影響を除いた純粋な利益の率を表しています。 実質金利が正の場合、投資のリターンはインフレ率を上回っていることを意味し、投資家の購買力は増加します。逆に、実質金利が負の場合には、投資のリターンがインフレ率に追いついていないため、時間の経過と共に購買力が減少します。これは、実際の利益が期待ほど高くないことを示しており、投資や貯蓄の実質的な価値が減少している状態です。 投資家は実質金利を用いて、異なる金融商品や投資案件の収益性を比較し、インフレの影響を考慮したうえで最も効果的な投資選択を行うことができます。また、中央銀行は実質金利を金融政策の設定において重要な指標として利用し、経済成長や物価安定の目標を支えるための政策利率を調整する際の参考にします。 実質金利の動向は経済全体の健全性を示すバロメーターともなり、経済の過熱や不況のサインを察知する手がかりとなるため、経済分析において非常に重要な役割を果たします。
期待インフレ率
期待インフレ率とは、今後の物価上昇に対して人々や市場が予想しているインフレの水準のことを指します。これは実際のインフレ率ではなく、「これから物価がどれくらい上がると思っているか」という将来予測であり、企業の価格設定や家計の消費行動、投資家の資産運用に大きな影響を与えます。 たとえば、人々が今後インフレが進むと予想すれば、企業は値上げに積極的になり、消費者は物価がさらに上がる前に購入を急ぐようになるため、実際のインフレが現実化しやすくなるという側面があります。中央銀行にとっても、期待インフレ率は金融政策の方向性を決めるうえで重要な参考指標となります。特に長期金利や実質金利の分析、物価連動債(インフレ連動債)の価格形成などにも深く関係しています。







