個人事業主に必要な生命保険があれば、教えてください。
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2025/10/17 09:12
男性
40代
個人事業主として働いていますが、会社員のように福利厚生や団体保険がないため、万一のときに家族を守れる備えが必要だと感じています。事業が安定しない時期もあるため、収入が途絶えた際のリスクにも備えたいです。個人事業主にとって、どのような生命保険が必要で、どのような選び方をすればよいか教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
個人事業主がまず備えるべき生命保険は、万一のときに家族や事業を守れる「死亡保障」と「収入断絶への備え」です。会社員のような遺族厚生年金や団体保障がないため、死亡時の収入減少リスクが大きく、保険でその穴を埋めることが重要です。
生活費を補う収入保障保険と、借入や教育費など一時金をまかなう定期保険の組み合わせが基本です。終身保険は貯蓄性を求めない限り優先度が低く、無理のない保険料で必要額のみ確保するのが原則です。
個人事業主の場合、遺族年金などの公的保障が乏しいため、死亡時には家族の生活費、教育費、事業清算費用、借入返済などが一度に発生します。必要保障額を算出する際は、「毎月の生活費×必要年数+借入残高+教育費などの一時金−手元資産−公的保障額」で計算しましょう。
例えば生活費月20万円を15年間保障し、借入1,000万円、資産800万円とすると、約3,800万円の保障が目安です。このうち毎月の収入保障保険で生活費を、定期保険で一時金を確保する形が現実的です。
収入保障保険は毎月定額が支払われるため、家計運営の安定性に優れています。期間は子どもの独立や配偶者の再就労見込みを考慮して設定します。定期保険は借入や教育費ピークをカバーする年数で契約すると合理的です。
さらに、病気やけがで働けなくなるリスクには、就業不能保険や所得補償保険を検討しましょう。医療費の急変に備えるには高額療養費制度を活用し、医療保険を必要最低限で補完すると良いでしょう。老後資金づくりは新NISAや小規模企業共済など別枠で進め、保障と貯蓄を混同しないことが重要です。
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収入保障保険
収入保障保険とは、契約者が死亡または高度障害になった場合に、遺された家族が毎月一定額の保険金を受け取れる生命保険の一種です保険金は一括ではなく、年金のように月々の定額支給という形で受け取るため、日々の生活費や教育費など、継続的な支出に備えるのに適した保険です。 この保険の特徴は、契約期間が経過するごとに受け取れる総額(=支給期間)が短くなるため、保険料が比較的割安に設定されていることです。必要な保障額を効率よく確保できることから、特に子育て中の家庭や、一家の収入を支える人に万が一があった場合のリスクに備えたい方に人気があります。
定期保険
定期保険とは、あらかじめ決められた一定の期間だけ保障が受けられる生命保険のことです。たとえば10年や20年といった契約期間のあいだに万が一のことがあれば、保険金が支払われますが、その期間を過ぎると保障はなくなります。保障期間が限定されているため、保険料は比較的安く設定されています。特に子育て世代や住宅ローンを抱えている方など、特定の期間だけ万が一の保障を重視したい場合に適しています。貯蓄性はなく、純粋に「保障のための保険」である点が特徴です。
終身保険
終身保険とは、被保険者が亡くなるまで一生涯にわたって保障が続く生命保険のことです。契約が有効である限り、いつ亡くなっても保険金が支払われる点が大きな特徴です。また、長く契約を続けることで、解約した際に戻ってくるお金である「解約返戻金」も一定程度蓄積されるため、保障と同時に資産形成の手段としても利用されます。 保険料は一定期間で払い終えるものや、生涯支払い続けるものなど、契約によってさまざまです。遺族への経済的保障を目的に契約されることが多く、老後の資金準備や相続対策としても活用されます。途中で解約すると、払い込んだ金額よりも少ない返戻金しか戻らないこともあるため、長期の視点で加入することが前提となる保険です。
就業不能保険
就業不能保険とは、病気やけがで働けなくなり、収入が得られなくなった場合に、一定期間ごとに保険金が支払われる民間の保険商品です。この保険は、入院や自宅療養などで仕事を続けられない状況が長引いたときに、生活費やローン返済などの家計の負担を軽減するために設けられています。 公的な障害年金制度ではカバーしきれない部分を補う目的があり、自営業者やフリーランスなど、収入の保障が不安定な人に特に注目されています。保障内容や支払期間、免責期間などは契約ごとに異なるため、自分の職業やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
所得補償保険
所得補償保険とは、病気やケガによって働けなくなった場合に、就労不能期間中の収入の一部を補償するための保険です。たとえば、会社員が入院して長期間仕事を休むことになった際、その間の給与が減ったり支払われなくなったりするリスクに備えて、保険金が支払われる仕組みになっています。 生活費や住宅ローン、教育費など、働けなくなっても継続的に必要となる支出を支える役割があり、特に自営業者やフリーランスのように公的な補償が薄い立場の人にとって重要な保障手段です。公的医療保険ではカバーしきれない「収入の途絶」に備えることで、生活の安定を支える保険のひとつとして活用されています。
小規模企業共済
小規模企業共済とは、中小企業の経営者や役員、個人事業主の方のための退職金制度です。「小規模企業」という文言が含まれているとおり、一定の要件を満たす中小企業や個人事業主が対象です。 小規模企業共済制度は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が運営している「小規模企業共済法」という法令に基づいた共済制度です。 掛金は全額所得控除され、加入者は事業資金の借入れも可能です。 加入資格は、従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主や会社役員などです。ただし、兼業で会社員をしているなど、給与所得を得ている場合は加入資格がないため注意が必要です。