MOVE指数とVIX指数はどのように関連しているの?
MOVE指数とVIX指数はどのように関連しているの?
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2025/03/21 18:37
男性
60代
MOVE指数とVIX指数が同時に上がると市場全体が不安定になると聞きましたが、具体的にどのような影響があるのでしょうか?また、そういった状況では投資家はどのようにリスクを管理すればよいのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
MOVE指数とVIX指数が同時に跳ね上がる局面は、「金利」と「株価」という資本市場の心臓部が同時に不整脈を起こしている状態です。政策金利見通しのブレと企業収益不安が重なり、投資家は価格変動リスクを一斉に織り込み始めます。結果として安全資産への資金移動が加速し、通常より薄商いの中でビッド・アスクが開き、わずかなニュースでも価格が大きく振れやすくなります。
この環境でポートフォリオを守る鍵は「分散」「ヘッジ」「流動性」の三点です。
● デュレーション短縮:長期債への過度な集中を避け、金利上昇ダメージを限定。
● バーベル/ラダー戦略:満期を両端または階段状に配置し、再投資タイミングを分散。
● ディフェンシブ株・低ベータ株へのシフト:景気敏感セクター偏重を和らげ、値動きを穏やかに。
● ボラティリティ・ヘッジ:VIX先物/オプションや金利スワップションで急変時のクッションを確保。
● 高流動性資産の確保:キャッシュ比率を引き上げるか、換金容易な短期国債ETF・MMFを組み込み、機動的に動ける態勢を維持。
● 実物・代替資産の活用:ゴールドやインフラファンドなど株・債とは異なる値動きを取り入れ、市場ストレス全体への耐性を強化。
これらを組み合わせれば、同時高騰局面でもポートフォリオの急落リスクを抑えつつ、次の相場転換で攻めに転じやすいポジションを保てます。
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MOVE指数(move index)
MOVE指数(ICE BofAML U.S. Bond Market Option Volatility Estimate Index)は、ICEが算出・公表する米国債市場のボラティリティを示す指標であり、「債券市場のVIX指数」とも呼ばれる。米国債の先行き変動リスク(予想変動率)を測定し、特に米国債先物の1カ月物オプションのノーマライズド・インプライド・ボラティリティを基に算出される。イールドカーブ上の2年、5年、10年、30年物の国債を加重平均して構成されており、金利変動リスクを示す代表的な指標とされる。指数が上昇すると、債券市場の不確実性が高まっていることを意味し、金融政策の変更や市場の混乱時に特に注目される。
VIX指数(恐怖指数)
VIX指数は、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が公表する、市場の「価格変動の大きさ(ボラティリティ)」を示す指数です。主にS&P500指数のオプション価格をもとに算出され、今後30日間の市場の不安感を表します。 一般に「恐怖指数」とも呼ばれ、数値が高くなるほど投資家の不安が高まり、リスク回避の動きが強くなっていることを意味します。特に金融市場が混乱する局面では、VIXが急上昇する傾向があります。
不確実性
不確実性とは、将来の市場環境や経済状況が予測しにくく、投資判断が難しくなる状態を指します。 例えば、地政学的リスク(戦争や政治対立)、金利政策の変更、企業業績の変動、インフレ率の急変、金融危機、パンデミック、サプライチェーンの混乱などが、不確実性を高める要因となります。 不確実性が高まると、投資家はリスク回避の姿勢を強め、安全資産へ資金を移動する傾向があります。そのため、株式やリスクの高い資産が売られ、資金は国債、金、現金などの安全資産へ向かいやすくなります。通貨市場では、特に米ドル、円、スイスフランが安全通貨として買われやすくなります。米ドルは世界の基軸通貨であり、特に米国債とセットで買われることが多いため、リスクオフ時にドル高になる傾向があります。円は、日本の低金利政策の影響もあり、リスク回避時には資金が流入しやすい通貨です。また、キャリートレードの巻き戻しによって円高が進むことがあります。スイスフランは、政治的・経済的に安定しているスイスの通貨として、伝統的に安全資産と見なされており、特に欧州の不確実性が高まると買われやすい傾向があります。 また、不確実性の高まりは市場全体に影響を及ぼします。株式市場では、投資家の警戒感が高まり、ボラティリティ(価格変動)が増加し、大きな値動きが生じやすくなります。債券市場では、安全な国債が買われることで長期金利が低下する傾向があります。コモディティ市場では、金(ゴールド)などの安全資産が買われ、価格が上昇しやすくなります。
バーベル戦略
バーベル戦略とは、資産運用においてリスクの高い資産と低い資産の両極端に資金を配分し、中間的なリスクの資産にはあまり投資しないという方法です。この戦略の名前は、両端に重りのついたバーベル(重量挙げの器具)の形に似ていることから付けられました。 たとえば、ポートフォリオの一部を比較的安全な国債や預金などの低リスク資産に、もう一部を成長性の高い株式やベンチャー投資といった高リスク資産に投じることで、リスクを抑えつつリターンを狙うことができます。この方法は、変動の激しい市場環境でも柔軟に対応できるという特徴があり、特に先行きが不透明な時期に注目されやすい戦略です。投資初心者でも、目的に応じてメリハリのある資産配分をしたい場合に参考になる考え方です。
ラダー戦略
ラダー戦略とは、主に債券投資において使われる手法で、満期の異なる債券を段階的に保有することで、金利変動の影響を分散しながら安定的に運用を行う戦略です。「ラダー(はしご)」という名前の通り、債券の満期を一定間隔でずらして配置することで、将来的に定期的な資金の回収と再投資が可能になります。 たとえば、1年ごとに満期を迎えるように1年・2年・3年・4年・5年の債券を組み合わせると、毎年1本ずつ償還され、金利環境に応じて柔軟に再投資できます。この戦略は、金利の上昇局面では再投資による利回りの改善が期待でき、逆に低金利でも一部の高利回り債券を維持できるため、リスクと収益のバランスがとれた手法といえます。特に安定した収入を求める長期投資家や退職後の資産管理に向いています。
ディフェンシブ株(ディフェンシブ銘柄)
ディフェンシブ株とは、景気の良し悪しに左右されにくく、経済が低迷している時期でも比較的安定した業績を保ちやすい企業の株のことをいいます。たとえば、食品、医薬品、電力、ガス、水道など、人々の生活に欠かせない商品やサービスを提供する業種の企業が該当します。 これらの企業は景気が悪くなっても需要が大きく減ることが少ないため、株価も大きく下がりにくい傾向があります。そのため、リスクを抑えながら資産を守りたい投資初心者や、安定的な運用を目指す長期投資家にとって、ディフェンシブ株は有力な選択肢の一つとなります。ただし、景気が回復して市場全体が大きく上昇する局面では、値上がりの勢いが限定的になる場合もあるため、投資の目的に応じてバランスをとることが大切です。


