MSCIのESGレーティングとはどのようなものですか?
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2025/09/09 09:01
男性
30代
投資関連の情報を調べていると「MSCIのESGレーティング」という言葉を見かけます。企業の評価に使われると聞きますが、どのような基準で判断され、投資家にとってどのような意味を持つのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
MSCIのESGレーティングは、米国の投資評価機関MSCIが提供する指標で、企業の環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への対応を総合的に評価したものです。
企業の財務的に重要となる、ESGリスクと機会へのマネジメントや対応力を分析・評価するために設けられています。
具体的には、二酸化炭素排出削減や再生可能エネルギーの活用、労働環境や人権への配慮、取締役会の独立性や情報開示体制といった要素を分析します。その結果をもとに、AAAからCCCまでの7段階で格付けが行われます。
高い格付けは持続可能性への取り組みが優れていることを示し、低い格付けはリスク管理や社会的対応に課題があると評価されます。投資家にとっては、財務的な業績だけでなく、長期的なリスクや成長性を見極める参考材料となります。
ただし、レーティングはあくまで第三者の分析に基づく評価であり、必ずしも将来の株価や収益を保証するものではありません。そのため、投資判断の際には他の財務データや市場動向と合わせて活用することが重要です。
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