msciの銘柄入れ替えはいつどんな基準で行われますか?
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2025/09/11 08:55
男性
40代
インデックス投資に関心があり、特にMSCIの指数に連動する投資信託やETFを購入しようと考えています。MSCIの指数は銘柄の入れ替えがどのタイミングで行われ、どのような基準で決まるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
MSCIの株価指数における銘柄入れ替えは、大きく分けて「定期的なレビュー」と「企業行動など特別な事由による入れ替え」の2種類があります。定期レビューは四半期ごと(2月・5月・8月・11月)に行われ、2023年以降は全ての回で包括的に見直しが行われています。従来のように「5月・11月が大規模、2月・8月が小規模」という区分はなく、いずれの回も同じ枠組みで実施されます。実際の入れ替えは各月の最終営業日に行われ、結果はおおむね2週間前に公表されます。
採用・除外の判断基準としては、浮動株調整後の時価総額が一定規模を満たしているか、十分な流動性(売買代金や成立頻度)があるか、外国人投資家による取引可能性(外資規制の有無やFIF・foreign roomの水準)、上場市場やガバナンス面での適格性が重視されます。特に「投資家が実際に取引可能な規模」であるかどうかを浮動株ベースで評価する点が特徴です。
また、定期レビュー以外にもM&Aや上場廃止、大型IPOなど企業行動に伴う「特別な事由」での入れ替えが行われることがあります。これらは即時または短期間で指数に反映され、通常の定期レビューとは区別されます。さらに、国・地域の「先進国・新興国・フロンティア市場」といった分類は、年次のマーケット分類レビューにより見直され、必要に応じて指数構成に影響します。
投資家への影響としては、MSCI指数に連動するETFや投資信託を運用するファンドが、新規採用銘柄を組み入れる際に株価が短期的に上昇しやすく、逆に除外銘柄は売却圧力で下落しやすい傾向があります。ただし、こうした効果の持続性や規模は市場環境や時期により異なり、必ずしも長期的なパフォーマンスに直結するとは限りません。MSCIのレビューは短期的な株価変動要因であると同時に、長期的には指数の代表性を保ち、投資家にとってのベンチマーク精度を高める仕組みとして重要な役割を果たしています。
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