NASDAQ100はポートフォリオの「コア」として適していますか?
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2025/05/27 12:21
男性
30代
NASDAQ100への投資は、長期の資産形成においてコア資産として位置付けるべきでしょうか?特に、S&P500などと比較した際の成長性やリスク、分散効果の観点から、資産配分の中心に据える妥当性について専門的な視点で判断したいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
NASDAQ100は、米国の先端産業を中心に構成される指数で、長期の資産形成において高い成長性が期待されます。実際に、2014年末から2024年末までの10年間での年率リターンは約18.9%と、S&P500の約13.9%を大きく上回る実績を示しています。AIや半導体、クラウドといった成長分野の恩恵を受けやすいことが背景にあります。
ただし、構成銘柄の集中度は非常に高く、上位10社で時価総額の約69%を占めます。AppleやNVIDIAといった「メガテック」の値動きに強く連動し、金利上昇や景気悪化局面では大きく下落する傾向があります。たとえば2022年には、NASDAQ100が▲32.9%と、S&P500(▲19.4%)を大きく上回る下落を記録しました。
また、NASDAQ100とS&P500の相関係数は0.9前後と高く、米国株式内での分散効果は限定的です。こうした点から、NASDAQ100をポートフォリオの中心に据えるのはリスクが高く、あくまで「高成長を狙うサテライト資産」としての活用が適切といえます。S&P500や全世界株式をコア(60〜80%)とし、NASDAQ100を補完的に20〜40%程度組み込む配分がバランスの取れた設計です。
さらに、株式だけに偏らない資産クラスの分散も欠かせません。市場が不安定な局面では、株式・債券・金・REITなど、異なる値動きをする資産を組み合わせることで、全体のリスクを抑えやすくなります。たとえば、株式60%・債券30%・金やREIT10%といった構成にNASDAQ100を一部加える設計は、成長と安定を両立する現実的な戦略です。為替リスクへの対応として、円建て資産やヘッジ付き商品の活用も検討すべきでしょう。
結論として、NASDAQ100は長期的な成長を取り込む上で非常に魅力的な資産ですが、高成長と同時に高いリスクと集中性を伴うため、他の資産と組み合わせた分散投資の中で活用することが望ましいといえます。コアとサテライトを明確に分け、適切な比率で組み入れることで、より安定的な資産形成が可能になります。
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