ノーリスクでお金を増やす方法を教えてください
ノーリスクでお金を増やす方法を教えてください
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2025/10/23 09:14
男性
60代
ノーリスクでお金を増やす方法は存在しますか?銀行の金利は低く、投資はどうしても損をするリスクがあると聞くため、元本を減らさずにお金を増やす現実的な手段があるのか知りたいです。安全性の高い選択肢についても教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
元本を減らさずにお金を増やす完全な「ノーリスク運用」は存在しません。ただし、名目上の元本を守りながら、現実的に資産を増やす手段はいくつかあります。代表的なのは、預金保険で保護される銀行預金、国が元本を保証する個人向け国債、そして税制優遇によって実質的にリターンを得られる確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)の元本確保型商品です。
まず、ノーリスクの意味を整理すると、①元本が減らない、②いつでも引き出せる、③制度的に保護されている、の3条件を満たすことを指します。ただし、インフレによってお金の価値が下がる「実質的な目減り」は避けられません。この点を理解したうえで、「減らさずに増やす」現実的な方法を選ぶことが重要です。
銀行預金は最もシンプルで安全性が高い手段です。預金保険制度によって、1金融機関あたり元本1,000万円とその利息まで保護されます。普通預金はすぐに引き出せるため生活費や緊急資金向き、定期預金は1年以上使わない資金に適しています。複数の金融機関に分けて預けることで、1,000万円の保護枠を超えても安全性を確保できます。
次に、個人向け国債は国が元本と利息を保証しており、安全性の高い選択肢です。変動10年型は市場金利に応じて利率が上がるため、金利上昇時には預金より有利になることもあります。1年経過後は中途換金も可能で、直前2回分の利息相当額を差し引かれるだけで元本自体は減りません。固定3年・5年型は金利が一定で、将来の金利低下が予想される局面に向いています。
さらに、確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)の元本確保型商品も有効です。元本は減らず、掛金が全額所得控除となるため、税制面で実質的に資産を増やす効果があります。運用益も非課税で、受取時にも控除が使えます。ただし、60歳まで引き出せない制約があるため、老後資金のような長期目的に限定して利用するのが基本です。
一方、「安全そうに見えて実はリスクがある商品」にも注意が必要です。外貨預金や外貨建て保険は為替変動で元本割れの可能性があります。仕組預金や社債、リースファンドなども中途解約や発行体の信用リスクにより元本が減る場合があります。特に「元本保証」「高利回り」をうたう未公開商品やファンドは詐欺の温床になりやすいため注意が必要です。
実践的には、資産を目的別に分けて管理するのが効果的です。生活費の半年〜1年分は普通預金で確保し、1年以上先に使う資金は定期預金や個人向け国債に置く。老後資金はiDeCoの元本確保型で運用し、税制メリットを得る。これらを「ノーリスク資産」として土台にし、余裕資金のみを投資などに回してインフレ対策を行うのが現実的な戦略です。
結局のところ、完全にリスクを排除して資産を増やす方法はありません。しかし、預金・国債・iDeCoの組み合わせで元本を守りつつ増やすことは可能です。そして、インフレに備えて長期的な視点でリスク資産を少しずつ取り入れることが、最も堅実で現実的な「ノーリスクに近い」資産形成の道といえるでしょう。
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関連する専門用語
元本保証
元本保証とは、投資や預金において、満期まで保有すれば最低でも投資した元本が保証される仕組みを指します。銀行預金や一部の保険商品などが該当し、元本が減るリスクを抑えられるため、安全性を重視する人に向いています。しかし、元本保証がある商品は一般的に利回りが低く、インフレによる実質的な購買力の低下を考慮する必要があります。
預金保険制度
預金保険制度とは、金融機関が破綻した場合に、預金者の資産を一定額まで保護する制度のことである。日本では、預金保険機構がこの制度を運営しており、銀行や信用金庫などの金融機関が加入している。通常、元本1,000万円とその利息までが保護対象となるが、決済性預金(利息の付かない当座預金など)は全額保証される。この仕組みにより、金融システムの安定性が維持され、預金者の信用が確保される。一方で、投資信託や外貨預金などは預金保険の対象外であるため、資産運用においてはリスク管理が求められる。安全性を重視した資産運用を考える際に、預金保険の適用範囲を理解することが重要である
個人向け国債
個人向け国債とは、日本政府が個人投資家向けに発行する債券で、安全性が高く元本保証が特徴です。最低1万円から購入可能で、3年・5年の固定金利型と10年の変動金利型があります。変動金利型は半年ごとに金利が見直され、市場金利の上昇に伴い受取利息が増加するメリットがあります。 一方、株式投資ほどの高いリターンは期待できず、インフレ時には実質的な資産価値が目減りする可能性があります。また、購入後1年間は中途換金ができず、その後の換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれる点に注意が必要です。銀行預金より高い金利を求めるが、リスクを避けたい投資初心者や安全資産を確保したい方に適した商品です。
変動金利
変動金利とは、市場の金利動向に応じて一定の期間ごとに金利が見直される仕組みのことを指します。住宅ローンや投資信託の分野でよく使われ、金利が低下すれば支払い負担が軽くなる一方で、金利上昇時には支払額が増加するリスクがあります。短期的な金利低下が見込まれる場合に有利ですが、将来的な金利上昇に備えた資金計画が重要です。
企業型確定拠出年金 (企業型DC)
「企業型確定拠出年金(企業型DC:Corporate Defined Contribution Plan)」とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つです。企業が毎月一定額の掛金を拠出し、そのお金を従業員が自分で運用します。運用商品には、投資信託や定期預金などがあり、選び方によって将来の受取額が変わります。 この制度は、老後資金を準備するためのもので、掛金の拠出時に税制優遇があるというメリットがあります。ただし、運用によっては資産が増えることもあれば、減ることもあります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo:Individual Defined Contribution Plan)と異なり、掛金は企業が負担します。企業にとっては福利厚生の一環となり、従業員の定着にも役立つ制度です。
インフレ(インフレーション)
インフレーションとは、物価全体が持続的に上昇し、その結果、通貨の購買力が低下する現象です。経済活動が活発になり、需要が供給を上回ると価格が上昇しやすくなります。また、生産に必要な原材料費や人件費の上昇が企業のコストに転嫁されることで、さらに物価が上昇することがあります。適度なインフレーションは経済成長の一側面とされる一方、過度な物価上昇は家計の負担を増大させ、経済全体の安定性を損なうリスクがあるため、中央銀行は金利操作などの金融政策を通じてインフレーションの抑制に努めています。




