半導体関連銘柄の株価が下落する際には、主にどのような要因が影響しているのでしょうか?
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2025/10/30 09:14
男性
40代
半導体関連株は成長性が高い反面、株価が大きく上下する印象があります。最近の下落局面ではどのような要因が影響しているのか知りたいです。また、下落につながる典型的な理由があれば具体的に教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
半導体関連株が下落する主な要因は、需要の減速や在庫の増加、投資縮小、規制や為替などの外部環境、技術開発の遅れ、そして金利上昇による評価の圧迫などが重なることにあります。これらが同時に起きると、将来の収益期待が低下し、株価下落を招きます。
特に大きな要因は需要サイクルの変化です。PCやスマートフォン、データセンター、自動車といった最終製品の販売が鈍ると、メーカー各社が半導体の発注を減らし、サプライチェーン全体に在庫が積み上がります。その結果、価格が下がり、稼働率や利益率が低下します。特にメモリ分野は供給過剰の影響を受けやすく、価格下落が企業業績を直撃します。
また、ファウンドリやメモリメーカーが設備投資を減らすと、装置メーカーや素材メーカー、設計資産を提供する企業にも波及します。半導体業界では上流の装置・材料の受注動向が先行指標となりやすく、受注残やブック・トゥ・ビル比率の悪化が見られると、先回りで株価が下がる傾向があります。
外部環境の変化も敏感に影響します。輸出規制や地政学リスクが高まると、特定国向けの販売が制限され、サプライチェーン再構築コストが増えます。さらに、円高は海外売上比率の高い日本企業の利益を圧迫し、ガイダンスの下方修正懸念から売られやすくなります。
技術面では、先端プロセスの歩留まり改善の遅れや量産化の遅延などが大きなリスクです。特にAI向け半導体など、期待が高い分野では、性能や効率が期待を下回るだけで失望売りが起こります。このように技術的なつまずきは、短期的な業績悪化だけでなく、長期的な競争力にも影響を与えます。
さらに、金利上昇はグロース株に不利に働きます。金利が上がると将来利益の現在価値が下がり、成長期待の大きい半導体株は特に影響を受けやすくなります。AI関連など高バリュエーション銘柄では、わずかな金利上昇でも株価が急落することがあります。
半導体業界は構造的には成長産業ですが、短期的には景気や需給、金利、為替の影響を強く受ける循環産業でもあります。したがって、投資を考える際は中長期の成長トレンドを見据えつつ、短期的なサイクルの波やマクロ要因の変動に備える姿勢が重要です。
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歩留まり
歩留まりとは、製造工程において、原材料や部品などから最終的に使える製品として完成した割合を示す言葉です。もともとは農業や漁業などで使われていた言葉ですが、現在では特に製造業や半導体業界で広く使われています。 たとえば、100個の製品を作ろうとして材料を準備しても、実際に使える品質の製品が90個しかできなければ、歩留まりは90%ということになります。投資の観点では、歩留まりが高い企業は無駄が少なく効率よく利益を出しやすいと考えられるため、コスト競争力や技術力の高さを判断する上で重要な指標の一つです。




