老後資金はいつから貯め始めればいいのでしょうか?
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2025/10/10 09:59
男性
30代
老後資金はいつから準備を始めればよいのか、具体的なタイミングが分からず悩んでいます。社会人になってすぐに始めるべきなのか、結婚や住宅購入などライフイベントが落ち着いてからでも間に合うのか知りたいです。また、老後までの期間や収入状況によって、貯蓄と投資のバランスをどう考えるべきかも教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
老後資金の準備は、できるだけ早く始めるのが効果的です。時間が最大の味方であり、早く始めるほど毎月の負担を抑えられ、相場変動のリスクも分散できます。今すぐ少額からでも積み立てを始めることで、将来の安心を確実に高められます。
まずはゴールから逆算して考えましょう。退職予定年齢や老後の生活費、公的年金の見込み額を基に、不足額を計算します。たとえば、月5万円が不足し25年間続く場合は1,500万円が目安です。
そのうえで、生活費の3〜6か月分を緊急資金として現金で確保し、残りを老後資金の自動積立にまわします。運用手段は、手数料が低く分散効果のあるインデックス投資信託を基本に、NISAやiDeCoなどの税優遇制度を活用するのが合理的です。
開始時期によって必要な毎月の積立額は大きく変わります。例えば、目標2,000万円を年利3%で運用する場合、25歳から始めれば毎月約2.2万円、35歳なら約3.4万円、45歳で約6.1万円、55歳では約14.3万円が必要です。預金のみで貯める場合はこれよりも倍近い金額が必要になるため、運用の有無と開始時期の差は非常に大きいことがわかります。
年代別のポイントとしては、20代は少額でも自動積立を始め、昇給のたびに積立額を増やすこと。30代は住宅や教育費などの支出が増えても積立を止めずに続けること。40代は残り期間を考慮して積立額や目標の見直しを行うこと。50代は安定性を重視しながら、ボーナスなどを活用して不足分を補う戦略が有効です。
実行と継続のコツは、仕組み化と自動化です。給与天引きや自動引落で先取り貯蓄を行い、生活費は残りでやりくりするスタイルにすると継続しやすくなります。市場の変動に一喜一憂せず、長期的な視点で続けることが最も重要です。
結局のところ、「老後資金をいつから貯めるか」ではなく、「今からどのように積み立て体制を整えるか」が本質です。少額でも今日から始めることが、将来の安心に直結します。定期的に見直しながら現実的なペースで進めれば、どの年代からでも十分に備えることが可能です。
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関連する専門用語
老後資金
老後資金とは、定年退職後の生活を支えるために準備しておくお金のことを指します。収入が減少する老後においても、生活費や医療費、介護費、趣味や旅行などの費用をまかなうための資金です。多くの人にとって、公的年金だけでは十分な生活水準を維持できないことが多いため、自助努力による資産形成が重要になります。老後資金の準備には、確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISAなどの税制優遇制度を活用する方法や、長期の投資信託を用いた積立投資が効果的です。また、退職後の支出計画やライフスタイルの見直しも含めて、早い段階から具体的な目標額を設定し、計画的に貯蓄や投資を進めることが大切です。
インデックス投資(指数投資)
インデックス投資(指数投資)とは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して投資する方法のことを指します。たとえば、日経平均株価やS&P500といった市場全体の動きを示す指数に連動するように、同じ銘柄を同じ比率で組み入れることで、指数全体の成績を再現しようとする投資手法です。個別の銘柄を選ぶのではなく、幅広い銘柄に分散して投資するため、リスクが抑えられやすく、長期的な資産形成に向いているとされています。運用コストも比較的低く、初心者にも始めやすいのが特徴です。近年では、ETFやインデックスファンドを通じて指数投資を行う投資家が増えており、資産運用の基本的な選択肢の一つとなっています。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
税制優遇措置
税制優遇措置とは、政府が特定の経済活動や投資を促進するために、税負担を軽減する制度のことを指す。具体的には、法人税の減税、所得控除、減価償却の特例などが含まれる。例えば、中小企業やスタートアップに対する税制優遇、特定の産業への投資促進策などがある。これにより、企業や個人は資金負担を抑えつつ、事業成長や投資の拡大を図ることができる。政策目的に応じて適用範囲や内容が変わるため、適用条件の確認が重要である。
年利
年利とは、1年間で投資やローンに対してどれくらいの利息が発生するかを示す割合のことです。通常、パーセンテージで表され、「お金を預けた場合に増える額」や「お金を借りた場合に支払う利息の額」を計算するために使われます。 例えば、年利5%の貯金口座に10,000円を預けると、1年後には500円の利息がつきます。逆に、年利5%のローンで10,000円を借りた場合、1年後には500円の利息を支払う必要があります。このように、年利は投資では利益の目安、借入ではコストの目安となります。 年利を理解することで、お金を増やす方法や、借りる際の負担を知ることができます。また、インフレ率や他の金融商品の利率と比べることで、どの選択肢がより有利かを判断する材料にもなります。投資をする人も、お金を借りる人も、年利をしっかり確認することで、より賢いお金の使い方ができるようになります。