ユニット・リンクはひどいからやめるべき、と言われるのはなぜですか?
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2025/09/10 09:20
男性
30代
ユニット・リンクは投資信託のように運用できる保険商品だと聞きましたが、一方で「やめたほうがいい」とか「ひどい商品」といった意見もよく目にします。なぜそのように言われるのでしょうか。初心者が見落としやすいリスクなどについても教えていただけますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ユニット・リンクが「やめたほうがいい」と言われる理由の一つは、手数料の複雑さと高さにあります。ユニット・リンクは保険と投資が一体化した商品です。そのため、投資部分には投資信託の信託報酬がかかり、保険部分には保障にかかる費用が発生します。さらに販売手数料や管理費も重なり、結果的に一般的な投資信託や保険よりも割高になることが多いのです。
次に問題となるのが、元本保証がないリスクです。生命保険の形をとっていますが、積立部分は株式や債券などに投資されるため、相場によっては解約返戻金が支払った保険料を大きく下回る可能性があります。特に短期間で解約した場合は、解約控除や元本割れによって損失が大きくなるケースもあります。
さらに、商品設計の複雑さも見逃せません。保障内容、運用先、手数料体系が複雑に組み合わさっているため、初心者には仕組みを理解しにくいのが実情です。その結果、自分の目的やライフプランに合わない契約をしてしまうリスクが高まります。
一方で、ユニット・リンクにはメリットもあります。たとえば、運用先を柔軟に選べるため、長期投資を考えながら保障も欲しいという人には一定の適合性があります。ただし、その場合でも「投資信託+掛け捨て保険」を組み合わせる方が、コストを抑えつつ透明性の高い設計にできることが多いのです。
総合的に見ると、ユニット・リンクは金融知識が豊富で、明確な目的を持つ人にとっては選択肢の一つになり得ます。しかし、資産運用初心者にとってはコストやリスクが高く、代替手段が存在する商品であるため、慎重に検討すべきだと言えます。
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信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
解約返戻金
解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。
元本割れ
元本割れとは、投資で使ったお金、つまり元本(がんぽん)よりも、最終的に戻ってきた金額が少なくなることをいいます。たとえば、100万円で投資信託を購入したのに、解約時に戻ってきたのが90万円だった場合、この差額10万円が損失であり、「元本割れした」という状態です。 特に、価格が変動する商品、たとえば株式や投資信託、債券などでは、将来の価格や分配金が保証されているわけではないため、元本割れのリスクがあります。「絶対に損をしたくない」と考える方にとっては、このリスクを正しく理解することがとても重要です。金融商品を選ぶときには、利回りだけでなく元本割れの可能性も十分に考慮しましょう。
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解約控除とは、保険や一部の投資商品を契約期間の途中で解約した場合に、契約者が受け取る解約返戻金などから差し引かれる手数料のことをいいます。特に契約から数年以内など、早い段階で解約した際に高めに設定されていることが多く、実際に受け取れる金額が大きく減ってしまうことがあります。 この制度は、販売時にかかった初期費用や運用の準備にかかるコストを回収するために設けられていますが、契約者にとっては思ったよりも少ない金額しか戻ってこないというリスクにつながります。そのため、商品選びの際には解約控除の有無やその金額、期間などをよく確認し、「途中で解約したらどうなるか」をあらかじめ理解しておくことがとても大切です。長期での運用を前提とした商品には特に注意が必要です。
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掛け捨て保険とは、一定期間の保障を得ることに特化した保険で、保険期間が終わった後に保険料が戻ってこないタイプの保険です。代表的なものに、定期型の生命保険や医療保険があります。保障が必要な期間に絞って加入できるため、毎月の保険料を安く抑えられるのが大きな特徴です。貯蓄機能はないものの、万一に備えるコストパフォーマンスが高く、特に子育て世代や住宅ローン返済中など、一時的に大きな保障を必要とする方に適しています。「お金が戻らないから損」と感じる方もいますが、必要な時期に必要な保障を効率よく確保する手段として、多くの方に利用されています。