ナンピン買いを検討するのはどんなタイミングですか?
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2025/07/28 08:00
男性
40代
最近、保有株の価格が大きく下がったためナンピン買いを検討しています。ただ、安易な買い増しは逆効果になるとも聞きます。ナンピンをするべきタイミングや具体的な条件として、どんなものが考えられますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
ナンピン買いとは、保有銘柄の価格下落時に追加購入し、平均取得単価を引き下げる投資手法です。ただし、この手法を有効に使えるのは、以下の5つの条件をすべて満たす場合に限定されます。
①資金管理の徹底:ナンピン後も1銘柄の保有比率がポートフォリオの15%を超えず、生活防衛資金にも影響を与えないこと。
②投資仮説の維持:決算内容や業績が想定範囲内で、財務健全性(自己資本比率30%超など)が悪化していないこと。
③下落理由が一時的:市場心理や短期的なニュースなど、一過性の要因で株価が下がっていること。
④指標面での割安感:PBRが1倍を下回る、あるいはDCF評価で目標株価から30%以上の安全域があるなど、明確に割安であること。
⑤出口戦略の明確化:ナンピン後の目標株価と損切り水準(例:想定下限から-15%)を設定し、機械的に判断できること。
また、信用取引によるナンピンは追証リスクが高いため、必ず現物取引または余裕資金で行います。逆に、業績悪化が継続している場合や、企業の収益モデルが構造的に破綻している場合は、ナンピンではなく損切りを優先するべきです。感情的な判断を避け、あくまでも冷静な分析と計画的な資金管理に基づいて検討してください。
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関連する専門用語
ナンピン
ナンピンとは、すでに保有している資産の価格が下がったときに、追加で同じ銘柄を買い増すことで、平均購入単価を下げようとする投資手法のことをいいます。たとえば、1株1,000円で買った株が800円に下がったときにもう1株買うと、平均購入価格は900円になります。 これにより、価格が少し戻るだけでも損失を回収しやすくなるメリットがありますが、一方で下落が続くと損失がさらに膨らむリスクもあるため注意が必要です。ナンピンは資金に余裕があり、冷静にリスクを判断できる中・上級者向けの戦略とされることが多く、初心者が無計画に行うと損失拡大につながることがあります。適切な資金管理とリスク管理が欠かせない投資行動です。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
自己資本比率
自己資本比率とは、会社が持っている全体の資産のうち、どれだけが借金ではなく自分自身の資本(=自己資本)でまかなわれているかを示す割合のことです。 この比率が高いほど、会社は外部からの借入れに頼らずに経営していることになり、財務的に安定していると判断されやすくなります。たとえば、自己資本比率が50%であれば、会社の資産の半分が自己資本、残り半分が借入金などの他人資本ということになります。 投資家にとっては、自己資本比率が高い企業ほど経営の安定性が高く、倒産のリスクが低いと考えられるため、企業の健全性を見極めるうえで重要な指標のひとつです。特に長期投資を考える際には、注目しておきたい数字です。
PBR(株価純資産倍率)
PBR(株価純資産倍率)とは、企業の株価が1株当たり純資産の何倍で取引されているかを示す指標です。計算式は「株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)」で求められます。PBRが1倍未満の場合、理論上は会社の解散価値よりも株価が低いとされ、割安と判断されることがあります。
信用取引
信用取引とは、証券会社からお金や株式を借りて行う株の売買のことをいいます。通常の取引では、自分の持っているお金の範囲内でしか株を買えませんが、信用取引を使うと、証券会社に一定の担保(保証金)を差し入れることで、元手の数倍までの取引が可能になります。 これにより、うまくいけば短期間で大きな利益を得ることができますが、その反面、損失も同じように拡大する可能性があるため、リスクも高くなります。信用取引では、株を「買う」だけでなく、持っていない株を「売る(空売り)」こともできるため、相場が下がる局面でも利益を狙うことが可能です。初心者にとっては魅力的に映るかもしれませんが、資金管理や相場の見通しに自信がない段階では慎重に扱うべき上級者向けの取引手法です。
DCF(割引キャッシュフロー)
DCF(割引キャッシュフロー)とは、将来その資産や企業が生み出すと期待されるお金の流れ(キャッシュフロー)を、今の価値に換算して評価する方法です。お金の価値は時間とともに変わるため、たとえば10年後にもらえる100万円は、今の100万円とは同じ価値ではありません。そこでDCFでは、将来のキャッシュフローを「割引率」と呼ばれる一定の利率で現在価値に引き直して合計し、その資産が本当にいくらの価値があるかを見積もります。企業の本当の価値を見極めたり、投資対象が割安かどうかを判断したりするときによく使われる分析手法です。