
企業の株価を算定するDCF法とは?
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執筆者:
公開:
2023.04.02
更新:
2023.11.17
株価はどのように算定されるのか
皆さん、企業の価値はどのように決定されているのかをご存知でしょうか?
一般に誰もが気軽に株式を売買できる上場企業であれば、市場参加者の需要と供給により価格は決定されます。ところがそのような形成された株価が”割安”や”割高”といった評価をされていることを耳にすることもあるのではないでしょうか。このような議論の背景には企業の形成された株価が、その企業の収益力から考えて割安なのか割高なのかといった比較をしていることが多いです。
企業を収益を生み出す単なる"箱"だと考えた際に、その箱から将来生み出されるであろう収益の合計値と、その時々の企業の株価の合計値である時価総額を比較して判断されます。
厳密にいうと収益の合計値を割引率で割り引いた値から企業の保有する純有利子負債(有利子負債から現金同等物を引いたもの)を控除した値と時価総額を比較する必要がありますが、ここではイメージを掴んでいただきたいという観点から簡易的に表現しております。
DCF法とは何か
企業が将来生み出すであろう収益(期待キャッシュフロー)の合計を割引率で割り引いて、企業価値を算出する方法をDCF法(Discount Cash Flow法)といいます。
予測可能な期間に関しては、収益予想を作成し、その後は一定の収益を確保すると仮定して企業の期待キャッシュフローを見積もることが一般的です。 期待キャッシュフローを計算する際には、会計上の損益の考え方とは異なりキャッシュフローベースで考えます。
期待キャッシュフローの計算方法
期待キャッシュフローの求め方を、計算式で表すと以下の通りです。
フリーキャッシュフロー = 営業利益 × (1-法人税率) + 減価償却費 - 運転資本増加額 - 設備投資額
会計上の損益である営業利益から支払った税金を控除し、減価償却費を加え、売上債権及び棚卸資産と買入債務の差額である運転資本の増加額を控除し、さらに、固定資産に対する投資である設備投資額を控除して計算します。
企業は収益を生み出すために株主から資金を預かり、銀行などから借入をしてビジネスを展開します。そのような資金の出し手が期待するリターンを、将来発生が見込まれるキャッシュフローから割引いて考える必要があります。
割引率の考え方
企業価値の計算に用いる割引率を求める場合、加重平均資本コスト(WACC)を用いるケースが一般的です。
WACCは、株主資本コストと負債資本コストを加重平均して求められる資本コストです。株主の要求する収益率と債権者の要求する収益率を合わせた総資本コストを用いる必要があることから、この加重平均資本コストWACCを用いるのが適切と考えられます。

投資のコンシェルジュ編集部です。