円高の場合投資信託がチャンスと聞きましたが、儲かる投資信託を教えてください
円高の場合投資信託がチャンスと聞きましたが、儲かる投資信託を教えてください
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2025/09/17 10:18
男性
30代
円高になると海外資産が安く買えるので、投資信託がチャンスになると耳にしました。ただ、資産運用初心者の私には、円高が投資信託の価格や将来のリターンにどう影響するのか、また具体的にどのようなタイプの投資信託に有利なのかがよく分かりません。為替と投資信託の関係や、円高時に注意すべきリスクについて教えていただけますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
円高は、外貨建て資産を円で評価したときに割安に見えるため、投資信託にとって「買いやすい局面」と考えられることがあります。ただし、実際に有利になるかどうかは、為替ヘッジの有無やヘッジコスト、さらに円高の背景によって大きく変わります。単純に「円高だから買い」と判断するのは危険です。
投資信託の基準価額は、外貨建ての資産価値と為替レート、さらにヘッジの影響や信託報酬などのコストで決まります。為替ヘッジなしのファンドであれば、円高時に価格が下がることで安く購入でき、円安局面で為替益を享受できます。一方、ヘッジありのファンドは為替リスクを抑えられる反面、海外と日本の金利差に応じてヘッジコストが発生し、長期的にはリターンを圧迫することがあります。
円高局面でメリットを享受しやすいのは、海外株式や海外REIT、コモディティの「ヘッジなし」ファンドです。逆に海外債券はヘッジありで運用されることが多く、円高の恩恵は小さい一方、為替変動のブレを抑える安定性があります。ただし、円高は世界経済の不安や株価下落と同時に起きることが多いため、市場全体の状況を冷静に見極めることが欠かせません。
実践的な方法としては、一括購入ではなく分割購入を基本とし、あらかじめ資産配分を決めたうえで円高局面ではリバランスとして海外資産を買い増すのが合理的です。積立投資を続けつつ、円高時に積立額を一時的に増額するなど、自分なりのルールを設けることも有効です。また、ファンド選びの際は目論見書で「為替ヘッジ方針」「信託報酬」「組入通貨や国別配分」などを確認し、自身の投資目的とリスク許容度に合致するかを必ずチェックしましょう。一般的には、長期の海外株式投信はヘッジなし、債券投信はヘッジありを基本とするのが王道です。
まとめると、円高は外貨建て資産を割安に買えるチャンスになり得ますが、その背景やファンドの仕組みを理解したうえで、計画的に分散・積立を行うことが大切です。焦らずルールに基づいて投資を続けることが、初心者にとっても安心して資産を育てる最善の道筋といえます。
ご自身の状況に合わせて「どの資産クラスをどの比率で持つべきか」を具体的に考えたい方は、一度プロに相談してみてください。投資のコンシェルジュでは無料相談を受け付けていますので、ぜひお気軽にご活用ください。
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関連する専門用語
円高
円高とは、ほかの国の通貨と比べて相対的に日本の円の価値が高くなること。海外から商品を購入すること(輸入)が有利で、海外に商品を販売すること(輸出)が不利になる。 (例) 1ドル=100円が1ドル=50円になる →以前よりも少ない円で1ドルを得ることができるので、円の価値が高くなっており、円高である。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
ヘッジコスト
ヘッジコストとは、為替や金利などの市場変動リスクを抑えるために先物取引やスワップ取引などでポジションを置き換える際に発生する費用の総称です。たとえば外貨建て資産を円で評価する投資家が為替リスクを避けるために為替ヘッジをかける場合、将来の円・外貨交換レートを予約する代わりに金利差や手数料に基づくコストが発生します。 このコストは通貨間の金利差が大きいほど高くなり、投資収益の差し引き後リターンに直接影響します。資産運用の成果を正しく評価するには、表面的な収益だけでなくヘッジコストを加味してネットリターンを把握することが大切です。
基準価額(NAV)
NAV(基準価額)とは、投資信託やETFなどが保有する資産の「1口あたりの価値」を示す指標です。英語ではNet Asset Valueと呼ばれ、ファンドの純資産総額から負債を差し引き、発行口数で割って算出されます。投資信託の価格の基本となるもので、投資家が保有している資産の時価を把握する際の中心的な指標です。 通常の投資信託では、この基準価額は1日に1回(多くの場合、取引終了後)に算出されます。そのため、日中の値動きは反映されず、翌営業日に公表される形になります。一方で、ETFの場合も同様のNAVが算出されていますが、これは「取引日の理論的終値」を示すもので、リアルタイム取引用にはiNAV(インディカティブNAV)が補完的に使われます。 NAVの値は、ファンドが保有する株式・債券・コモディティなどの時価評価額や、分配金・費用(信託報酬など)を反映して計算されます。そのため、市場の変動や為替の影響により日々変化します。投資家はこのNAVをもとに、「ファンド全体の価値がどの程度増減しているか」を把握することができます。 ただし、NAVはあくまで算出時点の理論価格であり、市場での売買価格(ETFの取引価格や投資信託の購入・解約価格)とは必ずしも一致しません。特にETFでは、取引時間中に市場価格がNAVから乖離することがあります。 まとめると、NAVはファンドの「公的な時価」を示す指標であり、投資信託・ETF双方の基準となる価格です。ETFの場合はこれに加え、リアルタイムの理論値であるiNAVを組み合わせることで、投資家はより正確に市場状況を把握できます。
REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)
REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)とは、多くの投資家から集めた資金を使って、オフィスビルや商業施設、マンション、物流施設などの不動産に投資し、そこで得られた賃貸収入や売却益を分配する金融商品です。 REITは証券取引所に上場されており、株式と同じように市場で売買できます。そのため、通常の不動産投資と比べて流動性が高く、少額から手軽に不動産投資を始められるのが大きな特徴です。 投資家は、REITを通じて間接的にさまざまな不動産の「オーナー」となり、不動産運用のプロによる安定した収益(インカムゲイン)を得ることができます。しかも、実物の不動産を所有するわけではないので、物件の管理や修繕といった手間がかからない点も魅力です。また、複数の物件に分散投資しているため、リスクを抑えながら収益を狙える点も人気の理由です。 一方で、REITの価格は、不動産市況や金利の動向、経済環境の変化などの影響を受けます。特に金利が上昇すると、REITの価格が下がる傾向があるため、市場環境を定期的にチェックしながら投資判断を行うことが重要です。 REITは、安定した収益を重視する人や、実物資産への投資に関心があるものの手間やコストを抑えたい人にとって、有力な選択肢となる資産運用手段の一つです。
リバランス
リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。





