新NISAを開設する金融機関の選び方!メリット、デメリットを徹底比較!
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執筆者:
公開:
2024.03.19
更新:
2024.12.11
目次
新NISAとは?成長投資枠とつみたて投資枠が1つの口座で運用可能
新NISAを開設するならどの金融機関がおすすめ?特徴の比較と選び方
2024年1月からスタートした新NISA。新NISAは従来のNISA制度より非課税投資枠が増えたので、資産運用の第一選択肢としてさらなる注目を集めています。
一方で、新NISAで資産運用するにしても、「新NISAの口座ってどこで作ればいいの?」「どのように運用するのがいいの?」「旧NISAから新NISAにどう移行すればいいの?」といった疑問を持たれている方も多いでしょう。
結論からお話しすると、特にこだわりのない方であればネット証券で新NISAの口座を作るのがおすすめです。もし、すでに一般の証券会社に口座をお持ちならそこで新NISAの口座を作ってもいいかもしれません。銀行で旧NISAの口座を作った、という方は、ネット証券への移管をおすすめします。
本記事では、新NISAが旧NISAと比べてどのように制度変更がなされたのかを簡単にご説明します。銀行・証券会社・ネット証券・ロボアドバイザーそれぞれで新NISA口座を作成した場合のメリット・デメリットや口座の選び方をご説明します。また、旧NISAと新NISAで新たに口座を作り直したい、という方に、口座移管の方法もご説明します。
あなたに合った口座がどこで作れるのかをご理解いただき、新NISAの活用にお役立てください。
新NISAとは?成長投資枠とつみたて投資枠が1つの口座で運用可能
NISA制度は、一定金額までの投資であれば、その利益が非課税となる制度です。
新NISAでは非課税保有額の上限が1800万円となり、多くの人が投資の利益のほとんどを非課税とすることができるでしょう。また口座開設期間も恒久化され、将来にわたってNISAの恩恵を受けることができます。
一括投資の成長投資枠と、積立投資のつみたて投資枠
旧NISAでは「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらか一方の口座しか開設できなかったのに対し、新NISAでは1つの口座で「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つの投資枠を活用し、一括投資と積立投資を使い分けできるようになりました。
新NISAを開設するならどの金融機関がおすすめ?特徴の比較と選び方
新NISAを開設できる金融機関と簡単な比較
新NISAの口座は各種金融機関で開設が可能です。主な比較ポイントは、手数料、取扱商品数、ポイント還元やキャッシュバックキャンペーンの有無です。特にこだわりがなければ、ネット証券が、手数料が安い・取扱商品数が多い・積立時にポイントがつく、とかなり有利な条件になっているのでおすすめです。次点で対面証券もおすすめできます。もともと証券取引を前提とした口座なので、投資信託・株取引ともに他金融機関と比べて充実しています。
例 | 株取引 | 他手数料 | 商品数 | ポイント還元 | |
---|---|---|---|---|---|
銀行 | みずほ銀行 三菱UFJ銀行 ゆうちょ銀行 | ×不可 | △購入時手数料 信託報酬 信託財産留保額 | △限られた投資信託のみ | △初期の現金プレゼントCP |
対面証券 | 野村證券 大和証券 みずほ証券 | △可能 手数料高い | △購入時手数料 信託報酬 信託財産留保額 | ○投資信託・株式など | △初期の現金プレゼントCP |
ネット証券 | SBI証券 楽天証券 | ○可能 手数料安い | ○信託報酬 信託財産留保額 | ○投資信託・株式など | ○積み立て時にポイント還元 |
アセマネ会社 | 三菱UFJアセットマネジメント 三井住友DSアセットマネジメント | ×不可 | ○信託報酬 信託財産留保額 | △限られた投資信託のみ | × |
ロボアドバイザー | WealthNavi SUSTEN | ×不可 | △預け入れ額に運用手数料がかかる | △多様な商品に分散投資するが、選択できるポートフォリオが限定的 | × |
新NISA口座比較のポイント1:手数料
一番気になるのは投資に対するコストである手数料です。手数料は安いに越したことがありません。表のネット証券5社は、国内株式・米国株式ともに手数料が無料です。
新NISA口座比較のポイント2:投資信託など取扱商品の種類
購入できる投資信託の数が多いのもネット証券の特徴です。つみたて投資枠の投資信託の本数はあまり差がありませんが、成長投資枠の投資信託本数は差があり、証券会社ごとの特色があります。
新NISA口座比較のポイント3:クレジットカード積立によるポイント還元
クレジットカードを利用した積立てによるポイント還元もネット証券の魅力です。証券会社と提携したクレジットカードで投資信託の定期購入を設定し、その購入金額に応じてクレジットカード会社からポイントが付与されるサービスです。
例えばSBI証券では、三井住友カードで毎月1万円の投資信託を自動積立すると、最大で購入金額の5%にあたる500ポイントが貯まります。このポイントは1ポイント1円として再投資に充当でき、NISAなら投資利益も非課税で非常に効率的です。
ただし、使用するクレジットカードによって還元率が異なるため注意が必要です。
コストがほぼゼロでポイント還元もあるネット証券のNISAは、費用対効果が大変高い積立方法といえます。
いくつかの証券会社を具体的に比較して違い を見ていきましょう。以下の表では代表的なネット証券を比較しています。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | クレジットカード積立 | |||
---|---|---|---|---|---|
投資信託本数 | 最低積立金額 | 投資信託本数 | 株式売買手数料(国内・米国) | 還元率 | |
SBI証券 | 211本 | 100円 | 1137本 | 無料 | 0.5~5.0% |
楽天証券 | 206本 | 100円 | 1085本 | 無料 | 0.5~1.0% |
マネックス証券 | 202本 | 100円 | 1064本 | 無料 | 1.1% |
松井証券 | 212本 | 100円 | 957本 | 無料 | × |
auカブコム証券 | 206本 | 100円 | 887本 | 無料 | 1.0% |
金融機関別の新NISA口座開設の特徴とメリット・デメリット
新NISAの口座は各種金融機関で開設が可能です。銀行、対面証券、ネット証券、アセマネ会社、ロボアドバイザーがそれにあたります。ここからは、それぞれの特徴とメリット・デメリットを説明します。
銀行で新NISA口座を開設する場合
あなたが普段使っている銀行でも、新NISAの口座を開設することができます。
すでに持っている口座を活用できるため手続きの手間が省ける、というのが大きなメリットです。他にもメリットがある一方でデメリットも存在します。
銀行で新NISA口座を開設するメリット
銀行で新NISA口座を開設するメリットは以下の3つです。
1.すでにある預金口座との連携が簡単なため、新NISAの口座も管理が簡単
2.銀行は店舗数が多いため、窓口で相談がしやすい
3.投資対象商品が、証券会社と比べて少ないため、選びやすい
いつも利用している銀行があるなら、今ある自分の預金口座との連携が簡単で、新NISA口座の管理も手間なくできることです。一度、きちんと連携してしまえば、あとは気にすることなく投資を続けられます。
また銀行は店舗数も多く、地域の銀行であれば身近なところに店舗がある人も多いでしょう。ほとんどの店舗には新NISAを相談できる窓口があるので、店舗数の少ない証券会社などよりは、相談しやすいでしょう。
銀行は新NISAで運用できる商品数が証券会社に比べると少なめです。投資に慣れていない人にとっては、よくわからないものを買うリスクが減ることもメリットでしょう。
銀行で新NISA口座を開設するデメリット
一方、銀行で新NISA口座を開設するデメリットは次の2点です。
1.個別株式、ETFを購入できず、投資信託にのみ投資可能
2..証券会社と比べて手数料が高い
一番のデメリットは、銀行では投資信託しか扱っておらず、個別株式やETFを購入することができないことです。また銀行は証券会社に比べて取り扱っている投資信託の本数が少ないことが多いので、より多くの投資信託から自分に合った商品を選びたい人にはデメリットになってしまいます。
手数料が高いというのも問題です。新NISAは運用益は非課税ですが、投資信託の購入時や口座の管理に手数料が発生します。手数料が高いと資産運用するうえでは非常に不利な要素です。
窓口で相談できるなど、人の関わるサービスが充実している分が手数料に影響していると考えられます。
銀行のNISA口座がおすすめの人は?
銀行のNISA口座は、金融商品に不慣れな投資初心者におすすめです。
銀行は店舗数が多く、投資について気軽に相談できる窓口を多数用意しています。また、銀行が取り扱うNISA商品は初心者向けが多いので迷わず選べます。すでに銀行口座をお持ちの方は、NISA口座を簡単に開設でき、口座間の連携もスムーズです。
投資に慣れていない方や、証券会社に口座を新規開設することに抵抗があり銀行利用にこだわりのある方は、銀行のNISA口座が向いていると言えます。
銀行で新NISAを開く人は、いつもお世話になっている窓口の人に勧められて、とか、近くで相談できると安心、とか、運用の数字面以外を重要視している人が多いようです。
逆に、これらに当てはまらない人は証券会社でNISA口座を開設しましょう
証券会社での新NISA口座開設の特徴
新NISA口座を開設する際、証券会社を思い浮かべた人も多いでしょう。投資といえば証券会社というだけあって、さまざまなメリットがあり、うまく活用すればより良い投資ができます。一方、証券会社を使い慣れていない人にとってはデメリットを感じることがあるかもしれません。
また、証券会社は大きく分けて2種類あります。 一つは昔からある対面取引を中心とした証券会社で、店舗を設けて、担当の人が投資相談にも乗ってくれます。もう1つは、店舗を構えず、インターネット上で口座開設や売買注文ができる証券会社です。
ここでは、一般の証券会社(対面証券)とネット証券で新NISA口座を開設する時のメリットとデメリットをそれぞれ説明します。
対面証券会社の新NISA口座のメリットは?
対面証券会社で新NISAを利用する最大のメリットは、株式を取り扱っていること、投資信託が豊富なことです。
株式は証券会社でしか購入することができません。株式投資は新NISAの成長投資枠を使うことができるので、株式の取引ができるのは証券会社のメリットの一つです。
それぞれの証券会社で取り扱っている投資信託の銘柄は異なっています。そのため、各証券会社の新NISA口座で購入できる投資信託も異なってくるため。証券会社毎に比較するときは、取り扱い商品にも注目が必要です。
窓口を持っている証券会社の場合、窓口で相談をすることも可能です。情報収集のきっかけが掴める可能性もあります。
また、証券会社の中にはポイント還元などの追加サービスに力を入れているところも多くあります。ポイントを重視する方は、還元率も、証券会社を選ぶ参考になります。
さらに、取引の手数料が安く、低コストで運用できることは大きなメリットです。最近は低コスト化に取り組んでいる証券会社も多く、投資商品の選択によってはほぼ無料で取引できるところもあります。
対面証券会社の新NISA口座のデメリット
メリットが多い証券会社での新NISA口座ですが、もちろんデメリットもあります。それは証券会社の口座開設の手間です。
新NISAを機に資産運用する場合、証券口座を持っていない人がほとんどです。そうすると、証券会社に新規口座を開設する必要があり、その手続きを高いハードルと感じる人も多いでしょう。
しかし口座開設のハードルさえ越えてしまえば、後は手間なく進めることができます。
ネット証券の特徴とメリットは?
証券会社のうち、店舗を持たないネット証券も新NISAの口座を開設することができます。
ネット証券のメリットは大きく以下の
- 取引手数料が安く、ポイント還元も多い
- 口座開設もネットで完結
- 情報源が豊富に提供
手数料が安くポイント還元に強いネット証券
ネット証券は一般の証券会社よりもさらに手数料が安く、投資にポイントが活用できるという大きな特徴があります。
SBI証券が最もポイント還元率が高く、クレジットカードを積み立てに利用すれば最大5%のポイントが貯まります。また投資信託を保有することでもポイントが貯まります。
一方、楽天証券ではクレジットカードでの積み立てで最高1%のポイントが貯まり、投資信託の保有によるポイント付与は一定の金額を超える必要があります。
口座開設もネットで完結
ネット証券は、口座開設もネットで完結することができます。ネット上のフォームを入力し、本人確認書類を撮影し添付すると、手続き自体は数分で完了することも。自宅から行えるため、忙しくてもスキマ時間に簡単に実行できます。
ネット環境さえあれば情報収集・取引が思いのままで便利
他にもネット証券のメリットはあります。ネット証券はインターネットが使える環境であれば、いつでも取引ができたり、情報収集ができたりと、自分のライフスタイルに合わせた利用が可能です。またどのネット証券も情報提供に力を入れているので、自分次第でさまざまな情報を得ることができます。
例えば楽天証券はアプリで日経テレコンが使えます。通常なら高額な費用がかかる日経テレコンでの情報収集が手軽にできるのは非常に魅力的でしょう。
ロボアドバイザーで新NISAを活用できる?
最近、急拡大してきているロボアドバイザーも新NISAを活用して投資を行えるサービスです。ロボアドバイザーはAIなどを活用して、一人ひとりに合った運用をしてくれる投資サービスで、提供する会社が増えてきています。
自分に合ったポートフォリオを作ってくれて、自動で投資をしてくれる投資一任型と、投資に対するアドバイスをしてくれて、投資自体は自分で行うアドバイス型があります。
投資一任型には、WealthNavi、SUSTENが、アドバイス型には
ロボアドバイザーの中にも、新NISAを活用できる会社が増えており、新NISAの恩恵を受けることができます。自動で投資を行いながら、新NISAの範囲内で利益を非課税にすることが可能です。
新NISAでロボアドバイザーを使うメリット
ロボアドバイザーを利用して新NISAを活用するメリットは以下の3つです。
- 新NISAを自動で活用できる
- すべておまかせで資産運用できる
- 投資初心者も運用できる
新NISAに合わせて自動で資産運用ができるのは大変魅力的です。どの商品を選ぶか、どのタイミングで売買するか、また新NISAの非課税枠内で運用できているかなど、さまざまな点で気を配らなくても、自動で行ってくれます。
すべておまかせで資産運用できるのも大きなメリットです。投資をしていると投資の割合を見直すリバランスなども定期的に行う必要がありますが、ロボアドバイザーにそれらをすべておまかせできます。
資産運用に関わるさまざまな懸案事項をすべてロボアドバイザーに任せられるので、資産運用に詳しくない投資初心者にはとても助かるサービスでしょう。
新NISAでロボアドバイザーを使うデメリット
ロボアドバイザーを利用して新NISAを活用するデメリットは以下の2つです。
- 手数料が高い
- 新NISAに対応しているロボアドバイザーが少ない
ネット証券などで新NISAを活用して資産運用する場合に比べて、ロボアドバイザーは手数料が高くなります。これはさまざまな資産運用の手間を省けることのコストと考えてもよいでしょう。自分で悩むことなく、売買からリバランスまで行ってくれるロボアドバイザーもあるからです。
またロボアドバイザーのサービス自体がまだまだ少ない中、さらに新NISAに対応しているロボアドバイザーは少数です。それぞれのロボアドバイザーによって、どのように新NISAに対応しているかも違いがあるので、選択肢が少ないのがデメリットの一つでしょう。
アセットマネジメント会社でも新NISAの口座を作れる
投資信託などの証券商品を開発している会社をアセットマネジメント会社といいます。証券会社や銀行で購入できる投資信託は、このアセットマネジメント会社が作っているものです。アセットマネジメント会社のうち規模の大きいものは、新NISAの口座を開設することができるものがあります。
しかし、ECのメーカー直販のような形で、取り扱い商品は自社開発の投資信託のみです。そのため、よほどのことがない限り、アセマネ会社で新NISA口座をもつメリットのある人はいないでしょう。直販なので、購入時手数料はかからないことが多いようです。
新NISA口座開設の注意点
ここでは新NISAの口座の開設手順を説明します。証券会社に口座を持っていない場合は、新NISAの口座開設と証券会社の口座開設を合わせて行うことができます。特にネット証券であればすぐに開設の手続きを始められます。
新NISA口座開設に必要なものは?
マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類のみです。
新NISAの口座は「印鑑レス」で作成できます。
特に、インターネットで口座開設する場合、マイナンバーカードや運転免許証を写真に撮り、アップロードするだけで開設の手続きが完了します。
銀行の窓口で新NISAの口座を開設する場合は、預金通帳、届出印、所定の書類、マイナンバーカードなどの本人確認書類が必要です。また、一般的な証券会社の窓口や郵送での新NISA口座開設でも、やはり印鑑と書類の記入、本人確認書類を用意します。
新NISA口座開設のプロセス
あとは証券会社からの口座開設の連絡を待つだけです。とても簡単に素早くできるのがネット証券の良い点でしょう。
NISA口座は1人1口座しか持てません。そのため税務署で重複審査をします。審査が通り口座開設ができたら、改めて証券会社から連絡があります。もしも他の証券会社ですでにNISA口座を開設している場合は、承認されませんので開設の前に確認が必要です。
まとめ
2024年1月スタートの新NISA。口座を新規開設するならどこがいいか、ご説明しました。
おさらいですが、特にこだわりがなければネット証券がおすすめです。本人確認書類があれば、印鑑レスで口座が作成できます。ただし、1人1口座しか持てないため、重複していないかは注意しましょう。
ネット証券も多様で、それぞれの会社で特色があります。人気の会社はポイント付与率が高かったり、手数料が無料だったりと、メリットがたくさんあります。
ぜひ、新NISAの口座を開設して資産運用の第一歩を踏み出してみてください。
投資のコンシェルジュ編集部
MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。