新NISAの枠が復活する、簿価残高方式とはどのような仕組みですか?
回答受付中
0
2024/09/03 22:06
男性
40代
現在新NISAを使って資産運用を検討しています。新NISAでは旧NISAと違って、売却すると枠が復活し、非課税枠が再利用できると聞きました。その方式が「簿価残高方式」ということを知ったのですが、簿価残高方式とはどのような方式なのでしょうか?教えていただけますと幸いです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
簿価残高方式とは、非課税枠の消費と復活を「購入時点の金額(簿価)」で一貫して管理する新NISA独自の仕組みです。たとえば成長投資枠で100万円分の投資信託を買い、評価額が200万円に上昇しても、使った非課税枠は100万円のまま変わりません。その商品を途中で一部売却すれば、売却した簿価相当額だけが翌年1月1日に自動で枠に戻り、全額売却した場合は100万円丸ごと復活します。価格変動や売却時点の評価額は、枠の計算に影響しない点が最大の特徴です。
旧NISAでは一度使った枠が戻らず、利益確定や銘柄入れ替えに慎重にならざるを得ませんでしたが、新NISAでは簿価残高方式によって、値上がり益を確定しても翌年には同額の枠を再利用できます。そのため、相場環境やライフプランに合わせてポートフォリオを柔軟にリバランスしやすくなり、長期的な非課税運用の自由度が大きく向上しました。
関連記事
関連質問
関連する専門用語
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
簿価
簿価(帳簿価額)とは、資産を取得した時点で会計帳簿に記録した価額、あるいは取得後に減価償却や評価替えを行った後の帳簿上の残存価額を指します。株式や債券の取得原価、不動産や設備の償却後残高など、資産の「会計上の基準点」となる数値であり、企業の財務諸表では貸借対照表(B/S)の資産項目に表示されます。 簿価は取得原価主義を前提とするため、市場価格(時価)とは乖離する場合があります。たとえば100万円で購入した上場株式の帳簿価額がそのまま100万円で残っていても、現在の市場価格が150万円なら50万円の含み益、70万円なら30万円の含み損が生じている計算です。この差は売却して初めて実現損益として確定しますが、運用状況の把握や税務計算の前提として簿価を基準にすることが多い点は押さえておきましょう。 実務上、簿価が変動する代表例は二つあります。一つ目は減価償却で、建物や設備など耐用年数のある固定資産は会計期間ごとに計画的に簿価を減らします。二つ目は簿価切り下げ(評価損)で、時価の大幅下落などによって資産価値の回復が見込めないと判断されると、簿価を減額処理するケースがあります。いずれの場合も、財務指標や利益計算に影響を与えるため、投資家は簿価と時価の双方を意識して企業の財務健全性や投資パフォーマンスを評価する必要があります。 個人投資の観点では、簿価は「取得原価=税務上のコスト」と同義となることが多く、売却益に対する課税額を計算する際のベースになります。長期保有資産ほど時価との乖離が大きくなりやすいことから、簿価と時価の差を定期的に確認し、含み益・含み損の管理やリバランス、損益通算などの税務戦略に生かすと効果的です。