NISAの問題点や欠点を教えて下さい
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2025/07/07 12:39
男性
40代
NISAってよく「お得」と聞きますが、実際に始めようとすると制度が複雑で正直よく分かりません。しかも「欠点もある」と聞くと不安です。具体的には、どんな問題点やデメリットがあるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
NISAは運用益が非課税になる非常に魅力的な制度ですが、いくつかの注意点やデメリットを理解せずに始めると、期待した効果を得られないこともあります。
まず、NISAには年間の非課税投資枠があり、2024年からは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を合わせて年間最大360万円までという上限があります。これを超えて投資しても、超過分には通常通り税金がかかるため、資金計画に合った使い方が重要です。
また、NISA枠で購入した商品を途中で売却しても、その分の非課税枠が同年内に再利用できないという制限があります。たとえば、枠を使って買った株を途中で売って現金化しても、その分の空き枠に新たな銘柄を追加購入することはできません。これにより、短期売買には不向きといえます。
さらに、NISA口座は一人一口座に限られており、金融機関を変更したい場合は手続きに1〜2か月かかるため、その間は買付ができなくなります。機動的に運用したい人にとってはストレスになるかもしれません。
そして意外と見落とされがちなのが、損失が出た場合の税務処理が制限される点です。NISAで出た損失は、特定口座などで出た利益と損益通算ができず、損失の繰越控除も使えません。つまり、「非課税のメリット」と引き換えに「損失の税務上の救済措置」は受けられないのです。
これらのデメリットを踏まえると、NISAは「短期的な売買で利益を狙う投資」よりも、「時間をかけて積み立て、分散投資をしながら長期で資産を育てていくスタイル」に適しています。制度の仕組みを理解したうえで、自分の資金の性格や目的に合った使い方をすることが、NISAを有効に活用するコツです。
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非課税枠
非課税枠とは、税金が課されない金額の上限を指し、様々な税制に適用される制度。 例えば相続税では基礎控除額として「3,000万円+600万円×法定相続人数」が非課税枠となる。贈与税では年間110万円までの贈与が非課税。また、NISA(少額投資非課税制度)では年間の投資上限額に対する運用益が非課税となる。 このような非課税枠は、税負担の軽減や特定の政策目的(資産形成促進など)のために設定されており、納税者にとって税金対策の重要な要素となっている。
損益通算
投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。
繰越控除
繰越控除とは、特定の損失や控除額を翌年度以降に持ち越し、将来の所得から控除できる税制上の仕組みを指す。代表的なものとして、青色申告の純損失の繰越控除があり、一定期間内に発生した損失を翌年以降の利益から差し引くことができる。これにより、赤字企業でも将来の黒字化に伴い税負担を軽減できるメリットがある。ただし、適用には一定の要件があり、期限内に申告する必要がある。
つみたて投資枠
つみたて投資枠とは、2024年から始まった新しいNISA制度の中で、少額から長期的に資産形成を行うことを目的として設けられた非課税投資の枠組みです。 この枠では、一定の条件を満たした投資信託などの商品に対して、年間最大120万円までの投資額が非課税の対象となります。毎月コツコツと積み立てるスタイルの投資に向いており、長期的な資産形成を支援することが狙いです。つみたて投資枠を活用することで、運用益や分配金にかかる税金がかからず、複利の効果を最大限に活かしながら資産を増やしていくことができます。特に投資初心者にとっては、少額から手軽に始められ、長く続けることで将来の資金づくりに役立つ有効な制度です。
成長投資枠
新NISAにおける成長投資枠とは、個別株や投資信託などの成長性の高い投資商品を購入できる非課税枠のことです。2024年に始まった新NISA制度では、年間最大240万円、累計1,200万円まで投資が可能で、売却しても枠が復活しない「一生涯の上限額」が設定されています。 成長投資枠では、主に上場株式やETF、アクティブ型の投資信託などが対象となり、比較的リスクを取りながら資産を増やしたい投資家向けの仕組みになっています。一方で、レバレッジ型や一部の毎月分配型投資信託など、一部のリスクが高い商品は対象外となるため注意が必要です。 つみたて投資枠と併用でき、両方を活用すれば年間最大360万円の投資が可能です。成長投資枠を活用することで、中長期的な資産形成を非課税で行うことができ、売却益や配当金に税金がかからないため、資産を効率的に増やす手段となります。