不動産STOの収益はどのように分配されますか?
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2025/02/01 11:23
男性
60代
不動産STOの収益分配の仕組みについて具体的に教えてください。また、REITとどのように異なるのかも知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
不動産STO(Security Token Offering)は、物件ごとに発行されたトークンが投資口数を示し、賃料純収益と売却益がスマートコントラクトで自動按分・自動送金される仕組みです。具体的には、①賃料収入から運営費・固定資産税・保険料などを差し引いた「純キャッシュフロー」を四半期または半年ごとに計算し、②源泉税控除後に各トークン保有割合でウォレットへ直接分配します。物件売却時には、売却代金から未払い経費とローン残高を差し引いた残額を全トークンに対して比例配分し、一括で送金します。分配ロジックとトランザクション履歴がブロックチェーン上で公開されるため、計算根拠の透明性と着金スピードの速さが大きな特徴です。
対照的にREITは、複数物件を保有する投資法人が運用し、賃料収益を主な原資として決算期ごとに利益の90%超を分配します。物件の入れ替え等で売却益が出ることもありますが、ポートフォリオ全体で相殺されるため個別物件のキャピタルゲインが投資家に直接反映される度合いは限定的です。投資家は証券口座で上場口数を保有し、分配金(配当金)は証券会社経由で受け取ります。
まとめると、STOは「物件単位で狙い撃ちしながらキャピタルゲインも追求できる投資」であり、分配プロセスはスマートコントラクトによりリアルタイムかつ高い可視性を備えます。一方、REITはプロ運用による分散投資で賃料収益の安定獲得を重視する仕組みです。どちらも法定開示により情報透明度は確保されていますが、収益源・リスク構造・分配タイミングが異なるため、ご自身の投資目的に合わせて選択するとよいでしょう。
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