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企業型確定拠出年金はひどい制度だからだまされるなと言われました。何が悪いのでしょうか?

回答受付中

0

2025/07/07 12:39


男性

30代

question

同僚に「企業型DCは手数料ばかり高くて運用益は期待できないから絶対やめろ」と強く言われました。具体的にどこが問題なのですか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

企業型確定拠出年金(企業型DC)に対して、「手数料ばかり高くて意味がない」「運用益が出ないからやめたほうがいい」といった声があるのは事実です。しかし、それは制度自体の欠点というよりも、仕組みを正しく理解しないまま放置した場合に起こりやすい問題です。

企業型DCでは、あらかじめ用意された運用商品の中から自分で資産配分を選びます。この“自己責任で運用する”という点に不安を感じる方も多いですが、長期的に資産形成を行う制度としてはむしろ合理的な仕組みです。問題になるのは、商品選びを放置し、高コストでパフォーマンスの低い投資信託を選んだまま運用しているケースです。

たとえば、信託報酬が年1%以上かかるアクティブファンドを無意識に保有し続けていると、運用益がコストに食われてしまうことがあります。しかし、最近では年0.2%未満の低コストインデックスファンドも多数用意されており、これらを選んで長期・分散・積立の基本に従って運用すれば、税制メリットを含めた実質的なリターンは大きくなります。

もうひとつの誤解は「60歳まで引き出せない=使いにくい」というものです。たしかに流動性は高くありませんが、それはあくまで老後資金を目的とした制度設計による制約です。短期的に使う予定のない資金をあらかじめ振り分けておけば、資産全体の流動性は確保できます。

また、企業型DCには見落とされがちなメリットもあります。まず、掛金は全額所得控除の対象となり、年収が高い人ほど税制効果を実感しやすくなります。さらに、企業が負担する管理手数料や、マッチング拠出(会社が個人の拠出に上乗せする制度)がある場合は、実質的に「給与の上乗せ」とも言える価値が加わります。

金融庁の指導により、商品ラインナップも年々改善されており、以前のように高コスト商品ばかりが並んでいるという状況ではなくなっています。制度を活かせるかどうかは、あくまで利用者自身がどれだけ関心を持ち、適切な商品選びをしているかにかかっています。

つまり、企業型DCが「損」になるのではなく、「無関心に放置すること」が本当のリスクです。制度を理解し、きちんと運用すれば、企業型DCは公的年金を補完し、老後資産形成を支える非常に強力な手段になります。

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企業型確定拠出年金 (企業型DC)

「企業型確定拠出年金(企業型DC:Corporate Defined Contribution Plan)」とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つです。企業が毎月一定額の掛金を拠出し、そのお金を従業員が自分で運用します。運用商品には、投資信託や定期預金などがあり、選び方によって将来の受取額が変わります。 この制度は、老後資金を準備するためのもので、掛金の拠出時に税制優遇があるというメリットがあります。ただし、運用によっては資産が増えることもあれば、減ることもあります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo:Individual Defined Contribution Plan)と異なり、掛金は企業が負担します。企業にとっては福利厚生の一環となり、従業員の定着にも役立つ制度です。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

インデックスファンド

インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。

所得控除

所得控除とは、個人の所得にかかる税金を計算する際に、特定の支出や条件に基づいて課税対象となる所得額を減らす仕組みである。日本では、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、納税者の生活状況に応じて税負担を軽減する役割を果たす。これにより、所得が同じでも控除を活用することで実際の税額が変わることがある。控除額が大きいほど課税所得が減少し、納税者の手取り額が増えるため、適切な活用が重要である。

運用益非課税

運用益非課税とは、株式や投資信託などの金融商品で得られた売却益や配当・分配金などの収益に対して、本来課税される税金が一定条件下で免除される制度を指します。通常、日本では金融商品から得られる利益には20.315%の税金がかかりますが、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを活用すれば、対象期間・対象金額内の運用益が非課税となります。 これにより、長期的な資産形成を後押しし、投資のリターンを最大化できるメリットがあります。非課税期間や対象金額には上限があるため、制度ごとの仕組みや条件を理解したうえで活用することが重要です。

マッチング拠出

マッチング拠出は、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している従業員が、会社の掛金と同額以内で自ら追加拠出できる仕組みです。たとえば会社が毎月3万円を拠出していれば、従業員も最大で同じ3万円までを給与天引きで上乗せできます。「会社掛金にマッチ(合わせて)拠出する」という発想が名称の由来です。 制度には三つの主な制約があります。第一に、自己掛金は会社掛金を超えられません。会社が1万円しか出さなければ、従業員も1万円が上限です。第二に、会社掛金と自己掛金の合計は法定上限に従います。企業型DCだけを実施する企業では月額5万5000円、確定給付年金など他の企業年金と併用する企業では月額2万7500円が上限です。第三に、掛金の増減は就業規則で年1回などに制限されていることが多く、途中で簡単に減額できない場合があります。 メリットは、老後資金を効率的に増やせる点と、自己掛金が全額所得控除になる点の二つが大きいでしょう。長期で拠出を続ければ複利効果が働きやすく、会社掛金だけの場合より将来残高が大きくなりやすいのが特徴です。さらに自己掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となるため、課税所得600万円・税率20%の人が年間36万円を拠出すると、約7万2000円の税負担が軽減されます。 一方で留意点もあります。拠出した資金は原則60歳まで引き出せず、運用商品によっては元本割れのリスクがあります。また個人型iDeCoを併用する場合、iDeCoの掛金上限はマッチング拠出と連動して下がるため、どちらを優先するかを事前に検討しなければなりません。生活防衛資金を別途確保したうえで、流動性を犠牲にしても長期的な資産形成を重視したい人にとって、マッチング拠出は節税と老後資産の拡充を同時に図れる有力な選択肢となります。

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