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第三者割当増資が発表された際の注意点を知りたいです

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2025/04/28 12:33


男性

60代

question

特定の企業や投資家に向けて株式を発行する「第三者割当増資」について、どんな点に気をつけるべきか知りたいです。投資家として、支配権の変化や株価への影響などが懸念される場面もあると聞きます。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

第三者割当増資は、資本・業務提携を伴うケースが多く、企業が迅速かつ戦略的に資金を確保できる手段です。ただし既存株主にとっては議決権の希薄化、発行価格ディスカウントによる経済的不利益、株価下落リスクといった影響が重層的に生じ得ます。

発行株数が発行済み株式数の25%を超える、または調達額が直近時価総額の300%を超える場合は「25%・300%ルール」に基づき取引所の審査と株主総会決議が必要となるため、手続きの透明性と説明責任が確保されているかを注視してください。

投資家が評価すべきポイントは、割当先の事業シナジーや出資の狙い、新株数がもたらす議決権構成の変化、割引率の算定根拠、調達資金の具体的使途と収益計画、ロックアップや継続保有義務の有無、さらに他の資金調達手段が適切に比較検討されたかどうかです。これらを総合的に検証し、当該増資が企業価値の持続的向上に資するかどうかを慎重に判断することが不可欠です。

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第三者割当増資

第三者割当増資は、企業が新株を発行する際に、その株式をあらかじめ選定した特定の第三者(事業パートナー、主要取引先、金融機関、創業者の資産管理会社など)だけに引き受けてもらう資金調達手法です。公募増資のように不特定多数の投資家を対象とするのではなく、発行会社と第三者が事前に条件を合意し、取締役会決議(上場企業の場合は株主総会決議を追加で要するケースもある)を経て実行されます。発行価格は直近株価よりディスカウントされることが多く、発行側はディスカウント幅を抑える代わりにロックアップ(一定期間の売却制限)や業務提携契約を組み合わせるのが一般的です。 既存株主にとっては、新株が特定の第三者にのみ割り当てられるため持ち株比率が希薄化します。とくに発行株数が大きい場合や発行価格が割安な場合は、一株当たり利益(EPS)の低下や議決権構成の変化が発生し、株価が短期的に調整することがあります。希薄化割合が25%を超える案件では東証が「第三者割当による募集等に関する有価証券上の取扱い」の適用を求めるなど、投資家保護の観点から追加開示や第三者評価機関の意見取得が必要になる点にも注意が必要です。 一方、第三者割当の対象となる投資家側には、(1)市場価格より安い価格でまとまった株式を取得できる、(2)資本参加と同時に業務提携や供給契約を結びやすい、といったメリットがあります。個人投資家が市場で株式を保有する立場から見ると、割当先のバックグラウンドやロックアップ期間、資本提携の内容を確認することで、資金調達後のシナジー効果や株価の下落リスクをより正確に見積もることができます。 要するに、第三者割当増資は「スピード重視」「関係強化重視」の場面で機動的に使える半面、既存株主には希薄化リスクが避けられません。第三者との資本提携が企業価値向上につながるか、発行条件が適切かを見極めることが、既存株主・新規投資家双方にとって不可欠です。

増資

増資とは、企業が新たにお金を集めるために、株式を追加で発行して資本金を増やすことをいいます。会社が事業を拡大したり、設備を整えたり、新しいプロジェクトに投資したりする際に必要な資金を得る手段の一つです。 増資には、既存の株主に優先的に株を買う機会を与える「株主割当増資」や、不特定多数に広く売り出す「公募増資」などの方法があります。増資が行われると株式の数が増えるため、もともとの株主の持ち株比率が下がってしまうことがあり、これを「希薄化」といいます。投資家にとっては、会社の成長につながる前向きな増資かどうかを見極めることが大切です。

希薄化(ダイリューション)

希薄化(ダイリューション)とは、企業が新株発行やストックオプションの行使、転換社債の株式転換などを行った結果、発行済株式数が増加し、既存株主が保有する株式の「持ち分比率」や1株当たり指標(EPS・BPS・配当など)が相対的に低下する現象を指します。たとえば、発行済株式が1,000万株の会社で100万株を追加発行すると、株数は1,100万株に増え、従来10%を保有していた株主の持株比率はおよそ9.1%へ下がります。この比率低下だけでなく、利益や純資産が同じまま株数だけ増えるため、1株当たり利益(EPS)や1株当たり純資産(BPS)も薄まる点が既存株主にとっての実質的な影響です。 希薄化は、資金調達やM&A対価の支払いなど経営上の目的で避けられない場合がありますが、次のような視点で注意が必要です。 発行規模と発行価格 既存株主に与える希薄化インパクトは「何株・いくらで」発行するかで大きく変わります。発行株数が多い、あるいは発行価格が市場より著しく低い場合は希薄化が急激に進みやすいです。 資金使途とリターン 調達資金が成長投資や財務改善に使われ、中長期で収益拡大が見込めるなら、希薄化を上回る株価上昇につながる可能性があります。逆に、明確なリターンが見込めない増資は株価を長期的に押し下げることがあります。 潜在株式の規模 ストックオプションや転換社債など、まだ株式化していない潜在株式も将来の希薄化要因です。有価証券報告書の「潜在株式数」や平均行使価格を把握し、完全希薄化後EPSでバリュエーションを確認することが重要です。 ロックアップ・売却制限 発行先にロックアップ(一定期間の売却禁止)が設定されているかで、実際に市場へ売り圧力が出るタイミングが異なります。解除時期が近いと、株価の上値を抑えるオーバーハング要因になります。 まとめると、希薄化は発行済株式数の増加に伴う既存株主の持ち分低下と1株当たり価値の減少を意味します。投資判断を行う際は、新株発行の規模・価格・資金使途に加え、潜在株式の存在やロックアップ条件まで確認し、将来のリターンとリスクを総合的に見極めることが欠かせません。

25%ルール

25%ルールとは、主に日本の株式市場で用いられる目安のひとつで、企業が新しく株式を発行する際に、その発行量が既存の発行済株式数の25%を超える場合には、既存株主にとって株式の希薄化(価値の目減り)が大きくなると見なされる基準のことです。 このルール自体は法律で定められたものではありませんが、市場の慣行として広く意識されており、25%を超える増資を行う企業に対しては、株主や投資家から慎重な視線が向けられる傾向があります。そのため、企業は資金調達の必要性と株主への影響のバランスをとりながら、この基準を一つの判断材料として増資を検討することが多いです。 投資家にとっては、25%を超えるかどうかが、その企業の株式価値や将来の株価にどのような影響を及ぼすかを見極める重要なポイントになります。

300%ルール

300%ルールとは、主に転換社債(CB)、特にMSCBのような変動転換型社債に関連して使われる基準のひとつで、企業が発行する社債をすべて株式に転換した場合に、新たに発行される株式数が、発行時点の発行済株式総数の300%(3倍)を超えないように設計されるというルールです。 これは、極端な株式の希薄化を防ぐことを目的としたもので、既存の株主の利益を守るための制限とされています。転換価格が大幅に引き下げられる可能性のあるMSCBでは、理論上、株価が下がれば下がるほど多くの株式が発行されることになります。これが無制限に行われると、既存株主の保有価値が大きく損なわれてしまうため、あらかじめこのような上限を設けることで悪影響を抑えようとするわけです。投資家にとっては、MSCBにこのルールが適用されているかどうかを確認することが、リスクを判断するうえで非常に重要なポイントとなります。

ロックアップ

ロックアップとは、IPO(新規株式公開)時に創業者やベンチャーキャピタルなどの大株主が保有株を一定期間売却できないよう制限する取り決めです。一般に90日や180日が多いものの、業績予想の不確実性や持株比率に応じて最長1年程度に設定されることもあります。目的は、上場直後の大量売却による需給バランスの崩れと株価急落を防ぎ、投資家が安心して参加できる環境を整えることにあります。 ロックアップ期間中でも、主幹事証券会社の許諾(ワードによっては「ロックアップ解除」や「早期解除」と表記)により一部売却が認められる例があり、上場後の株価が大幅に上昇した場合や追加資金調達が必要になった場合に適用されるケースが代表的です。投資家としては、有価証券報告書や目論見書に記載されている「対象株主」「期間」「解除条件」を確認し、ロックアップ満了日前後の売却圧力や出来高急増の可能性を織り込んでおくことが重要です。

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