政策金利とは何ですか?なぜ資産運用に影響を与えるのですか?
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2025/07/08 15:43
男性
60代
政策金利が変わると株価や投資環境が大きく動くと聞きました。ただ金利が上がったり下がったりすることが、資産の価値や将来の収益にどのように影響するのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
政策金利は中央銀行が金融政策の一環として設定する基準金利であり、市場全体の資金調達コストを左右します。政策金利が引き上げられると、まず債券の利回りが上昇し、それに伴って債券価格は下落します。すでに債券を保有している投資家は資産評価額が目減りすることになります。また、株式市場においては、将来得られる利益を現在の価値に換算する際の割引率が高まり、株価が理論的に下落します。反対に、政策金利が下がると債券や株式の価格は上昇傾向になります。
さらに、政策金利の動向は外国為替市場にも影響を及ぼします。政策金利が高い国の通貨は、投資家が魅力的な利回りを求めて購入するため価値が上昇します。その結果、外貨建て資産の円換算価値も変動し、投資成果に影響を与えます。
資産運用の現場では、政策金利の動きを予測・分析して、金利変動に強い資産(金融株や変動金利債など)を組み入れたり、債券の保有期間を短くしたりといった具体的な調整を行います。政策金利の変動を見極め、資産配分をこまめに見直すことが、安定した運用成果を得るために欠かせないポイントです。
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政策金利
政策金利とは、中央銀行が民間の金融機関に資金を貸し出す際の基準となる金利のことで、金融政策の中核をなすツールです。 中央銀行はこの金利を操作することで、経済全体の金利水準や通貨の流れを調整し、景気や物価の安定を図ります。たとえば、景気が冷え込んでいるときには政策金利を引き下げて(利下げ)お金を借りやすくし、消費や投資を促進します。逆に、インフレが進みすぎているときには政策金利を引き上げて(利上げ)需要を抑え、物価の上昇をコントロールしようとします。 政策金利の変更は、住宅ローンや企業の融資金利、預金金利など、私たちの生活に関わる金利にも波及します。また、株式市場・債券市場・為替市場にも大きな影響を与えるため、投資家にとっては極めて重要な経済指標です。 たとえば、中央銀行が予想以上に利上げを行った場合は、株式市場が下落し、通貨が上昇する可能性があります。逆に利下げが行われれば、株高・通貨安につながることが一般的です。 各国の中央銀行(例:日本銀行、FRB、ECBなど)は、定期的に会合を開き、経済情勢や物価の動向を見ながら政策金利を調整しています。
中央銀行
中央銀行とは、国や地域の金融の安定を保つために設置された特別な銀行で、民間の銀行とは異なり、通貨の発行や金利の調整など、経済全体に関わる重要な役割を担っています。 日本では「日本銀行(にっぽんぎんこう)」がその役割を果たしており、インフレ目標の達成や金融政策の実施、さらには銀行間の決済や国の資金管理などを行っています。資産運用においても、中央銀行の発表する政策金利や金融緩和・引き締めの方針は、株式市場や為替、債券の価格に大きな影響を与えるため、その動向を注視することがとても重要です。
債券
債券(サイケン、英語表記:Bond)とは、発行者が投資家に対して将来一定の金額を支払うことを約束する金融商品です。 国や地方自治体、企業などが資金を調達する目的で発行し、投資家はこれを購入することで、定期的に利息(クーポン)を受け取ります。満期が来ると、投資した本金が返済されます。 債券はリスクが比較的低く、安定した収入を求める投資家に選ばれることが多いです。 また、市場で自由に売買が可能であるため、流動性も確保されています。債券市場は世界的にも広がりを見せており、多様な投資戦略に利用されています。
利回り
利回りとは、投資で得られた収益を投下元本に対する割合で示し、異なる商品や期間を比較するときの共通尺度になります。 計算式は「(期末評価額+分配金等-期首元本)÷期首元本」で、原則として年率に換算して示します。この“年率”をどの期間で切り取るかによって、利回りは年間リターンとトータルリターンの二つに大別されます。 年間リターンは「ある1年間だけの利回り」を示す瞬間値で、直近の運用成績や市場の勢いを把握するのに適しています。トータルリターンは「保有開始から売却・償還までの累積リターン」を示し、長期投資の成果を測る指標です。保有期間が異なる商品どうしを比べるときは、トータルリターンを年平均成長率(CAGR)に換算して年率をそろすことで、複利効果を含めた公平な比較ができます。 債券なら市場価格を反映した現在利回りや償還までの総収益を年率化した最終利回り(YTM)、株式なら株価に対する年間配当の割合である配当利回り、不動産投資なら純賃料収入を物件価格で割ったネット利回りと、対象資産ごとに計算対象は変わります。 また、名目利回りだけでは購買力の変化や税・手数料の影響を見落としやすいため、インフレ調整後や税控除後のネット利回りも確認することが重要です。複利運用では得た収益を再投資することでリターンが雪だるま式に増えますから、年間リターンとトータルリターンを意識しながら、複利効果・インフレ・コストを総合的に考慮すると、より適切なリスクとリターンのバランスを見極められます。
割引率(ディスカウント率)
割引率とは、将来のキャッシュフローを現在価値に換算する際に用いる利率のことを指す。金融市場では中央銀行が金融機関に貸し出す際の基準金利(公定歩合)を指すこともある。投資においては、割引率が高いほど将来の価値が低く評価されるため、企業価値評価や債券価格の算出において重要な指標となる。
為替
為替とは、取引において、現金を用いる代わりに、手形・証書・小切手などを用いて取引を済ませる方法。為替は内国為替と外国為替に分けることができ、前者は同一国内における取引を現金ではなく為替によって行うもの、後者は海外との間での取引を為替によって行うものを指す。また、外国為替は外国為替相場での為替レートを指す言葉として使われることもある。