個人事業主の夫の扶養に入ることはできますか?
回答受付中
0
2025/09/03 08:42
男性
夫が個人事業主として働いている場合でも、その扶養に入ることができるのか疑問に思っています。会社員の配偶者の扶養に入る場合と比べて、なにか違いがあるのか、また手続きの流れがどうなるのか教えていただけますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
個人事業主の配偶者が扶養に入れるかどうかは、大きく「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」に分けて考える必要があります。
まず税制面では、夫が青色申告や白色申告を行っている場合、妻の所得が一定額以下であれば配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができます。具体的には、妻の合計所得が48万円以下(給与収入で年収103万円以下)の場合は配偶者控除が適用されます。また、年収が103万円を超えても201万円未満であれば、段階的に配偶者特別控除を受けることが可能です。
一方で、社会保険の扶養については状況が異なります。多くの個人事業主は「国民健康保険」と「国民年金」に加入していますが、これらには会社員の社会保険のように「配偶者を扶養に入れる仕組み」がありません。そのため、妻自身が国民健康保険と国民年金に加入する必要があり、それぞれ保険料を負担することになります。
ただし、夫が法人化して会社を経営し、厚生年金や健康保険などの社会保険に加入している場合は事情が変わります。このケースでは、妻の収入が一定基準を下回っていれば、配偶者を社会保険の扶養に入れることも可能です。
まとめると、税制上は妻が一定の収入制限内であれば夫の扶養に入ることができますが、社会保険については個人事業主の加入制度に大きく左右されます。妻の年間収入見込みと夫の保険加入状況を整理したうえで、どの制度が適用されるかを確認しておくことが重要です。
関連記事
関連する専門用語
個人事業主
個人事業主とは、会社を設立せずに自分の名前で事業を営む人のことを指します。飲食店や小売業、フリーランスの仕事など、幅広い業種で見られます。法人と異なり設立手続きが簡単で、開業届を税務署に提出すれば始められるのが特徴です。一方で、事業の責任はすべて個人に帰属するため、利益も損失も自分に直接影響します。税金面では「所得税」として課税され、青色申告や白色申告などの制度を利用することで税負担を軽減することも可能です。投資や資産運用を考える際には、収入が安定しにくい特徴があるため、計画的に資産を管理することが重要になります。
税法上の扶養
税法上の扶養とは、家族などを経済的に支えている人が、税金の計算においてその家族を「扶養している」と申告することで、所得控除を受けられる仕組みのことです。実際の生活費を支援している場合でも、税法上で一定の条件を満たしていないと「扶養」として認められない場合があります。 たとえば、子どもや配偶者、親などの年間所得が一定以下であることや、生計が同じであることなどが条件です。扶養控除が適用されると、所得税や住民税が軽減され、手取り収入が増えることになります。資産運用においては、こうした税制優遇を理解し、家族全体での節税や収支バランスを考えることが、効率的な家計管理につながります。
社会保険上の扶養
社会保険上の扶養とは、健康保険や年金などの社会保険制度において、家族を扶養していると認められることで、その家族が保険料を支払わずに保険の適用を受けられる仕組みのことです。たとえば、会社員の配偶者や子どもが一定の収入以下であれば、その家族を「扶養家族」として申請することができます。 扶養に入った家族は、保険料を払わなくても健康保険証を持つことができ、医療費の助成なども受けられます。税金上の扶養とは異なり、収入の基準や生計の状況が細かく定められているため、両方の扶養条件を正しく理解しておくことが大切です。資産運用や家計設計をする際には、この制度を活用することで支出を抑え、手元資金の効率的な活用につながります。
青色申告
青色申告は、個人事業主や不動産所得者、小規模事業者などが利用できる税務申告制度の一つで、一定の要件を満たすことで税務上のさまざまな特典を受けられる仕組みです。 具体的には、正確な帳簿を作成し、確定申告書を青色申告として提出することで、最大65万円の控除(複式簿記の場合)や、赤字を最長3年間繰り越して翌年以降の所得と相殺できる制度などが利用可能です。また、家族への給与を必要経費として計上できる「青色事業専従者給与」も特徴の一つです。 青色申告を始めるには、税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。正確な記帳が求められるため、帳簿管理が重要ですが、節税効果が高く、多くの事業主に活用されています。
白色申告
白色申告とは、個人事業主やフリーランスが行う確定申告の方法の一つで、青色申告に比べて帳簿の作成や手続きが簡単な制度のことを指します。特別な届け出をしなくても利用できるため、開業して間もない人や小規模に事業を行っている人に多く使われます。ただし、青色申告のような特別控除や赤字の繰越などの税制上のメリットは受けられないため、節税効果は限定的です。初心者にとっては「簡単に申告できる代わりに節税メリットが少ない方法」と理解すると分かりやすいでしょう。
配偶者控除
配偶者控除とは、納税者に配偶者がいる場合、一定の条件を満たせば所得税や住民税の計算において課税所得を減らすことができる制度です。具体的には、配偶者の年間所得が一定額以下であれば、納税者の所得から一定金額を差し引くことができるため、結果として支払う税金が少なくなります。この制度は、家計全体の負担を軽減するためのもので、特にパートタイムや扶養内で働く配偶者がいる世帯にとって重要な意味を持ちます。なお、配偶者の収入が一定額を超えるとこの控除が使えなくなるため、「○○万円の壁」といった表現で語られることもあります。資産運用やライフプランを考える際には、税金の仕組みを理解しておくことが大切であり、配偶者控除はその中でも身近で影響の大きい制度のひとつです。