共働き夫婦の場合、どちらが医療費控除を申告すると有利ですか?
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2025/06/27 17:03
男性
40代
夫婦それぞれが医療費を支払っていますが、医療費控除を受ける際に別々に申告するか、一方がまとめて申告するかで戻る税金が変わると聞きました。同一生計の場合、どちらが申告すれば最も節税効果が高いのか、判断基準と注意点を教えてもらえますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
医療費控除は、同一生計の親族であれば支払者を問わず医療費を合算できます。共働き夫婦では夫婦どちらか一方が全額を申告する方法が選べるため、一般に所得税率が高い側がまとめて申告した方が有利です。
控除額そのものは同じでも、課税所得に対する税率が高いほど還付額が増えるためです。例えば夫が年収1,200万円、妻が600万円の場合、夫側で申告するとより多くの税が戻ります。申告者は家計簿や領収書をまとめ、「医療費控除の明細書」に夫婦分すべてを記載し、確定申告書に添付します。
補填された保険金や高額療養費は合算前に控除対象医療費から差し引く必要があります。「生計を一にする」要件は同居を必ずしも意味せず、別居の親に仕送りし医療費を負担している場合でも合算可能です。
なお扶養控除の有無は医療費控除の可否に影響しません。所得税が非課税の年は還付がなく、住民税の軽減効果も小さくなるため、所得状況を確認してから申告者を決めることが実務上のポイントです。
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医療費控除
医療費控除とは、納税者が1年間に支払った医療費の一部を所得から控除できる税制上の制度を指す。自己や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合に適用され、所得税や住民税の負担を軽減できる。対象となる費用には、病院での診療費や処方薬の費用のほか、一定の条件を満たす介護費用なども含まれる。確定申告が必要であり、領収書の保管が重要となる。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。
控除限度額
控除限度額とは、税金を計算するときに所得から差し引くことができる金額の上限のことをいいます。たとえば、確定拠出年金や医療費控除などで使われる制度には、「この金額までなら控除できます」という決まりがあり、その上限が控除限度額です。 この仕組みにより、一定の範囲内で税金の負担を軽くすることができますが、限度額を超えた部分については控除の対象にならないので、利用する際には注意が必要です。投資や資産運用においても、節税を考えるうえでとても重要なポイントになります。
同一生計
同一生計とは、家族が同じ財布で生活費をまかなっている状態を指し、たとえ住民票上の住所が離れていても実質的に生活費の負担が一体であれば「一つの生計」とみなされます。 所得税や住民税の扶養控除、配偶者控除、社会保険の扶養判定などで重要な概念となり、仕送りや家計の援助額が生活費の大部分を占めるかどうかが判断材料になります。 資産運用の場面では、家族の口座に分散して投資する際に「同一生計かどうか」で年間損益の通算可否や非課税制度(NISAなど)の利用枠に影響が出るため、家計全体の資金管理方針を立てるうえで欠かせない視点です。