インフレに強い国債はありますか?
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2025/05/14 09:53
男性
60代
インフレが続くと預金や通常の債券の実質価値が目減りすると聞き不安です。個人向け国債や外国債券の中で、物価上昇に合わせて元本や利子が増える商品はありますか。為替リスクや購入方法も含めて教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
インフレ対策向け国債は①日本の物価連動国債(JGBi)②米国TIPS③英国などのインデックスリンク債の三種が定番です。いずれも消費者物価指数(CPI)に合わせて元本が調整され、利子の実質価値も維持されるため、名目債より購買力を守りやすいのが強みです。
個人投資家は東証上場のJGBi ETFや、国内証券で購入できる為替ヘッジ付きTIPS・英リンク債の投信/ETFを利用すれば少額から組み入れられます。
留意点は二つ。第一に外貨建て商品のリターンは円換算で為替変動の影響を受けるため、ヘッジ活用または通貨分散で調整が必要です。第二に物価が下落すると元本調整がマイナスに働くため、残存期間の異なるファンドを積立で分散すると値動きを平滑化できます。株式やREITと組み合わせ、総資産の5〜15%を物価連動債に充てれば、年5〜6%の目標リターンを狙いつつインフレによる実質資産の減価を抑えやすくなります。
関連する専門用語
物価連動国債
物価の変動に応じて元本や利払い額が変動する国債。日本では全国消費者物価指数(コアCPI)に連動しており、インフレ時には元本が増加し、デフレ時には減少するが最低保証額(フロア)が設定されている。
JGBi
JGBiとは、「日本国インフレ連動国債(Japanese Government Bond indexed to inflation)」の略称で、日本政府が発行する、物価(消費者物価指数:CPI)の変動に応じて元本や利子の支払い額が調整される国債のことです。一般の固定利付国債と異なり、将来のインフレによる購買力の目減りに備えるための手段として設計されています。 JGBiでは、元本が物価指数に連動して増減するため、インフレが進めば実質的な償還額が増え、デフレが起きれば減る仕組みです(ただし、日本では元本保証の仕組みがあり、元本が下がっても額面金額は保証されるケースが一般的です)。そのため、JGBiはインフレヘッジ(インフレ対策)として機関投資家や長期資産を保有する個人投資家に注目されています。 資産運用の観点では、JGBiは将来の物価上昇リスクを織り込んだ投資戦略を構築するうえで有効な商品であり、実質金利や市場のインフレ期待を読み取る手がかりとしても利用されます。インフレをテーマとした経済分析やポートフォリオ構築において、知っておくべき重要な金融商品です。
TIPS
TIPSとは、「Treasury Inflation-Protected Securities」の略で、アメリカ財務省が発行するインフレ連動国債のことです。日本のJGBiと同様に、物価上昇に応じて元本や利子の額が調整されるしくみになっており、投資家がインフレから資産の実質価値を守るために利用します。 TIPSの最大の特徴は、米国の消費者物価指数(CPI)に連動して元本が増減する点です。利率(クーポン)は固定ですが、元本が物価に応じて変動するため、利息の金額も自動的に調整されます。物価が上がれば元本と利息の両方が増え、逆に物価が下がれば元本が減ることもありますが、TIPSには元本保証があるため、満期時には最低でも額面金額が返済されます。 資産運用の分野では、TIPSはインフレ対策として広く利用されており、米国の物価や実質金利、インフレ期待を読み解くための手がかりとしても活用されます。特にインフレが意識される局面では、債券ポートフォリオの中でリスクを抑えつつ実質リターンを確保する手段として注目されます。
インデックス
インデックス(Index)は、市場の動きを把握するための重要な指標です。複数の銘柄を一定の基準で組み合わせることで、市場全体や特定分野の値動きを分かりやすく数値化しています。 代表的なものには、日本の株式市場を代表する日経平均株価やTOPIX、米国市場の代表格であるS&P500などがあります。これらのインデックスは、投資信託などの運用成果を評価する際の基準として広く活用されており、特にパッシブ運用(インデックス運用)では、この指標と同じような値動きを実現することを目標としています。
消費者物価指数(CPI)
消費者物価指数とは、CPI(Consumer Price Index)とも呼ばれ、小売価格(末端価格)の変動を示す指数。 各国で算出方法などに多少の違いはあるものの、毎月発表され、中央銀行の政策判断・利上げ判断などの参考にもされている。 小売価格には時期により大きく変動する分野も存在するため、それらの影響を取り除いた指数も発表されている。例えば日本では生鮮食品を除いた指数を「コアCPI」、酒類を除く食品およびエネルギーを除いた「コアコアCPI」が発表されている。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。