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貸借対照表と損益計算書の違いについて、わかりやすく教えてください。

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2025/10/17 09:12


男性

40代

question

会社の決算書でよく見る「貸借対照表」と「損益計算書」ですが、正直どう違うのかがよくわかりません。ニュースや企業分析でもよく登場しますが、それぞれが何を表しているのか、どんな関係があるのかを初心者でも理解できるように教えてください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

貸借対照表と損益計算書の違いを一言でいえば、前者は「会社の今の体力」、後者は「一定期間の稼ぐ力」を表すものです。貸借対照表(B/S)はある時点の資産・負債・純資産のバランスを示し、損益計算書(P/L)は一定期間にどれだけ利益を上げたかを示します。B/Sは“ストック(たまり)”、P/Lは“フロー(流れ)”を表す点が大きな違いです。

貸借対照表は、会社がどんな資産を持ち、どんな負債を抱え、結果としてどれだけの純資産があるかを示す一覧表です。現金や在庫、設備などの資産、借入金や買掛金といった負債、そして株主資本や利益剰余金などの純資産から構成されます。ここからは、企業の支払い能力や財務の健全性、借入依存度などが読み取れます。

一方で損益計算書は、一定期間の「売上-費用=利益」の流れを表します。売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益などの段階的な利益が並び、企業の稼ぐ力やコスト構造、収益の安定性を確認することができます。

この二つは独立して存在するものではなく、密接に結びついています。例えば、損益計算書で生まれた当期純利益は、貸借対照表の「利益剰余金」として純資産に加算されます。つまり、P/Lで稼いだ成果がB/Sに反映され、会社の体力として蓄積されていくのです。

投資家が企業を見る際には、まず貸借対照表で安全性や財務余力を確認し、次に損益計算書で収益力を確認します。そして最後に、実際に現金が増えているかをキャッシュ・フロー計算書で確かめるのが基本です。これにより、黒字倒産などのリスクも見抜くことができます。

注意すべき点として、一時的な利益や減価償却などの非現金費用に惑わされないこと、在庫や売掛金の増減による資金繰りへの影響を見落とさないことが挙げられます。また、会計方針の違いによって同じ数字でも意味が変わることがあるため、継続性や注記の確認も重要です。

まとめると、貸借対照表は会社の「体力」、損益計算書は「稼ぐ力」を見るものです。企業分析では、B/Sで安全性、P/Lで収益性、そしてキャッシュ・フローで現金の実態を確認し、この三つを組み合わせて総合的に判断することが、健全な投資判断につながります。

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バランスシートとは、ある時点における企業や個人、政府の財政状態を一覧で示す貸借対照表のことで、左側に資産、右側に負債と純資産(資本)を記載し、資産=負債+純資産の恒等式で均衡を保つ構造になっています。 企業の場合は現金、売掛金、設備などの資産に対し、借入金や買掛金といった負債、そして株主資本が並び、これを分析することで財務の健全性や資金繰り、過剰なレバレッジの有無を判断できます。中央銀行や政府のバランスシートも、金融政策や財政運営の影響を見極めるうえで重要です。 こうした視点は個人にも当てはまり、預貯金、投資信託、株式、不動産、確定拠出年金などを資産とし、住宅ローンや教育ローン、クレジット残高などを負債として整理すれば、その差額が純資産(ネットワース)となります。個人が自らのバランスシートを可視化することで、流動資産と固定資産の比率、負債返済能力、自社株や不動産への資産集中度、負債依存度などを定量的に把握でき、ライフプランや投資戦略の前提となるリスク許容度や目標資産配分を具体的に設定しやすくなります。企業同様、個人にとってもバランスシートは長期的な資産形成とリスク管理の出発点になるのです。

損益計算書(PL)

損益計算書(PL)とは、企業が一定期間にどれだけの収益を上げ、どれだけの費用を使って、最終的にいくらの利益や損失を出したのかをまとめた財務諸表のひとつです。たとえば、売上高から始まり、売上原価、販売費、一般管理費などの費用を差し引いて、営業利益、経常利益、最終的な当期純利益までが順を追って記載されています。 これにより、その会社が本業でどれだけ稼いでいるか、金融収支や特別な要因がどう影響しているかが一目でわかります。初心者の方には、「会社の成績表」や「1年間のお金のかかり方ともうけの一覧表」と考えるとイメージしやすいでしょう。企業の収益力や経営効率を分析するための基本資料として、投資判断にも大きく役立つ重要な書類です。

純資産

純資産とは、総資産から総負債を差し引いた残余価値を指し、企業や個人が保有する「正味の持ち分」を示します。たとえば総資産が1億円、総負債が4,000万円なら純資産は6,000万円となり、この値がプラスであれば財政基盤は概ね健全、マイナスであれば将来の資金繰りに注意が必要だと判断できます。 企業では貸借対照表の「純資産の部」に計上され、株主資本(資本金・資本剰余金・利益剰余金など)とその他包括利益累計額が主要項目です。純資産は自己資本比率やROEの分母となり、財務健全性や資本効率を測定する起点になる指標です。利益の内部留保や株式発行が増加要因となる一方、赤字計上や配当、自己株式取得は減少要因となります。また時価評価差額や為替換算差額も変動要因となるため、採用している会計基準によって数値の見え方が異なる点に留意が必要です。 個人の場合、純資産は現預金、株式・投資信託、年金積立、不動産、車などの資産総額から、住宅ローン、教育ローン、クレジットカード残高などの負債を差し引いて算定します。この数値はFIREや教育・住宅資金計画の進捗を測る物差しとなり、住宅ローン審査など各種与信判断でも重視されるため、家計の健康診断に欠かせません。 純資産を活用する際は、まず株式や不動産など含み損益の大きい資産を時価で再評価し、値動きによる変動幅を把握することが大切です。企業なら自己資本比率、個人なら負債比率(負債÷総資産)など関連指標と併用すれば、リスク耐性や資本効率を立体的に分析できます。四半期ごとに財務諸表や家計簿を更新し、純資産が目標ペースで増えているかを確認しながら、「資産価格」「収支」「レバレッジ」という三つの要因に分解して要改善点を探ると、実践的な資産運用や財務戦略の見直しがしやすくなります。 純資産は単なる期末の残りではなく、将来の投資余力やリスク許容度を測る羅針盤です。数値を継続的に点検し、関連指標と照らし合わせながら経営判断やライフプランをアップデートしていくことが、長期的な資産形成と財務健全性の鍵となります。

当期純利益

当期純利益とは、企業が一定期間(通常は1年間)の経営活動の結果として得た最終的な利益のことです。売上高からすべての費用、たとえば原材料費や人件費、税金、利息などを差し引いた後に残る金額を指します。簡単に言えば、「その期間に会社がどれだけ儲かったか」を表す指標です。この数値は、企業の収益力や経営の健全性を判断するうえで非常に重要であり、株主にとっては配当金や株価に影響する大切な要素でもあります。また、当期純利益が安定して高い企業は、将来的な成長や持続的な資産形成にも期待が持てます。投資家が企業分析を行う際には、売上高や営業利益とあわせてこの数値を確認することで、企業の本当の収益状況をより正確に把握できます。

利益剰余金

利益剰余金とは、企業がこれまでに得た利益のうち、配当として株主に還元せず、企業内部に蓄えてきたお金のことをいいます。これは企業の財務諸表のひとつである貸借対照表(バランスシート)の純資産の部に記載されており、会社の内部留保としての性格を持ちます。 企業は利益を上げた後、その使い道として配当を出すか、再投資や将来のために留保するかを判断します。利益剰余金が多い企業は、自己資本が厚く、将来の設備投資や不測の事態への備えができていると評価されることがあります。一方で、利益を株主に還元せずため込みすぎていると見なされると、株主から批判を受けることもあります。 投資家にとっては、その企業がどのように利益を使っているかを知る手がかりとなる指標であり、企業の成長性や財務の健全性を判断する材料のひとつになります。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書とは、企業の一定期間における現金の流れを「どこからどれだけ入ってきて、何に使ったか」を3つの活動別にまとめた財務諸表です。この3つとは「営業活動」「投資活動」「財務活動」のことで、それぞれ本業の収入や支出、設備投資や資産売却、借入や株主への配当などに関する現金の動きを表しています。 企業の利益だけでは見えにくい、実際の資金繰りや経営の健全性を確認するうえで重要な資料であり、特にフリーキャッシュフローの算出にも使われます。投資家にとっては、企業が将来に向けて持続的な成長を続けられるかどうかを見極めるための手がかりとなります。

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