会社の取締役と代表取締役にはどんな違いがありますか?
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2025/10/27 09:46
男性
40代
会社の取締役と代表取締役の違いがよく分かりません。どちらも経営に関わる立場だと思いますが、権限や責任の範囲、会社法上の位置づけにはどんな違いがあるのでしょうか。選任の方法や、取締役会との関係についても詳しく知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
取締役と代表取締役の違いは、会社の経営における役割と権限の範囲にあります。取締役は会社の経営方針や重要事項を決定・監督する立場であり、代表取締役はその中から選ばれ、会社を対外的に代表して業務を執行する立場です。
取締役は株主総会で選任され、会社の意思決定機関の一員として取締役会に参加します。取締役会設置会社では、業務執行の基本方針や代表取締役の選定、業務の監督を行い、経営全体をチェックする役割を担います。取締役には善管注意義務や忠実義務があり、会社の利益を最優先に判断・行動する責任があります。
一方、代表取締役は取締役の中から選ばれ、会社の「顔」として契約や取引などを外部と行う権限を持ちます。取締役会設置会社では取締役会が選定し、非設置会社では定款や取締役の互選によって決まります。
代表取締役は会社の業務執行を統括し、登記によって公にその地位が明示されます。登記上の代表権は強力であり、たとえ社内で制限が設けられていても、第三者に対してはその制限を主張できません。
両者の違いを簡潔にいえば、取締役は「会社内部の意思決定者」、代表取締役は「会社を外部に代表する実行者」です。取締役は複数置くことができますが、代表取締役は必ず1名以上を定める必要があり、複数人で「共同代表」とすることも可能です。
また、取締役としての地位は株主総会で解任できますが、代表取締役としての地位は取締役会決議や定款の定めで解職されます。代表取締役の任期は取締役の任期に連動します。
責任の重さにも差があります。代表取締役は会社全体の業務執行責任を負い、コンプライアンスや内部統制の整備にも責任を持ちます。不祥事や損害が発生した場合には、他の取締役よりも重い法的責任を問われる傾向があります。
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取締役
取締役とは、株式会社の経営において意思決定を行う役割を担う人のことを指します。会社法に基づき選任され、株主総会で承認されて就任します。取締役は取締役会に参加し、会社の方針や重要な業務を決める立場にあります。 また、日常の業務執行を担当する場合もあり、会社全体の運営に大きな責任を持っています。投資家にとって取締役は、その会社の経営方針やガバナンスを理解するうえで重要な存在です。初心者にとっては「会社の経営を決める人」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
代表取締役
代表取締役とは、株式会社において会社を代表し、業務を執行する権限を持つ取締役のことを指します。取締役会を設置している会社では、取締役会の決議によって選任され、会社の顔として契約の締結や資金の調達などを行います。法律上は会社の代理人として位置づけられているため、代表取締役が行った取引は原則として会社に効力が及びます。 資産運用や投資の視点からは、代表取締役は企業の経営方針や戦略を実際に指揮する立場にあり、その人物の手腕や経営姿勢は企業の成長性や株価に大きな影響を与える重要な要素となります。
取締役会
取締役会とは、企業の経営方針を決定し、業務執行を監督するための機関であり、取締役で構成されます。株式投資においては、企業の経営体制や意思決定プロセスを理解することが、将来の業績や株主リターンを見極めるうえで重要です。取締役会では、重要な経営戦略の決定、役員の選任・解任、業務執行の監視などが行われ、企業のガバナンスを強化し、株主の利益を守る役割を果たします。日本の会社法では、一定規模以上の株式会社には取締役会の設置が義務付けられています。投資家にとっては、取締役会の構成やその透明性が、企業価値の評価に影響を与える要素となります。
株主総会
株主総会は株式会社における最高意思決定機関である。 会社が定めた要件を満たす株主によって議決権が行使され、定款の変更や役員の選解任、配当金額の決定、計算書類の承認など、会社の基本方針や重要な事項を決定する。 株主総会には、決算期毎に開かれる定時株主総会と必要な際に開かれる臨時株主総会がある。一般的には、定時株主総会では、役員の選任や計算書類の承認などが行われることが多く、臨時株主総会では、株式・新株予約権の発行や組織再編に関する意思決定など、緊急性の高い案件が議題となることが多い。
善管注意義務
善管注意義務とは、会社の役員が「善良な管理者」として、専門知識と経験を生かし、適切に経営判断を行う義務のことを指す。経営判断の結果、会社に損害が生じた場合でも、合理的な判断プロセスを経ていれば責任を問われないこともある。企業経営の透明性と適正性を確保するための重要な義務である。
忠実義務
忠実義務とは、会社の役員が自己の利益ではなく、会社の利益を最優先に考えて業務を遂行する義務のことを指す。役員は株主や従業員、顧客などの利害関係者に対し、公正かつ誠実に行動することが求められる。会社法に基づき、忠実義務に違反した場合は法的責任を問われることがある。



