離婚時の財産分与で住宅ローンはどう取り扱われますか?
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2025/09/05 09:02
男性
50代
離婚時に住宅ローンが残っている場合、財産分与ではどのように取り扱われるのかを知りたいです。例えば、名義が夫婦共同の場合やどちらか一方の場合で違いがあるのか、ローン残債と不動産評価額の差額はどのように分けられるのかが気になります。また、売却や住み続ける選択をした場合に発生するリスクや注意点についても教えていただきたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
離婚時の財産分与では、住宅ローンを含む不動産の扱いが大きなポイントになります。婚姻中に取得した住宅やローンは「共有財産」と見なされることが多く、名義が夫婦どちらであっても分与の対象となります。ただし、結婚前から所有していた不動産や、結婚資金を使わずに購入した場合は「特有財産」として財産分与の対象外になるケースもあります。
不動産の扱い方は、不動産の評価額と住宅ローン残債の差額を基準に判断されます。たとえば、不動産評価額が2,000万円で残債が1,500万円なら、差額の500万円が共有財産とされ、原則として夫婦で折半します。逆に、不動産評価額がローン残債を下回るオーバーローンの場合、資産価値はゼロと見なされ、分与の対象外になるのが一般的です。
次に、夫婦が選択するのは「売却するか」「住み続けるか」です。売却でローンを完済できるなら比較的シンプルですが、売却額がローン残債を下回る場合は、不足分の負担方法が大きな問題になります。住み続ける場合は、住宅ローン契約者が返済を続ける必要があり、実際には収入の安定している側が引き継ぐことが多いです。ただし、名義変更には銀行の承認が必要で、手続きが難航することもあります。
さらに、住宅ローンには団体信用生命保険(団信)が付帯しているケースが多く、離婚後も返済を続ける場合には、この保障がどう扱われるかを確認しておくことが大切です。団信の契約者が誰かをしっかり把握しておくことで、将来のリスクを減らせます。
最終的には、家庭裁判所での調停や銀行との交渉が必要になるケースも少なくありません。感情的に判断すると不利な条件を受け入れてしまう恐れがあるため、弁護士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら進めるのが安心です。
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共有財産
共有財産とは、複数の人が共同で所有している財産のことを指し、主に夫婦や相続人、共同出資者などが関わるケースで使われる法律上の概念です。婚姻関係においては、結婚後に夫婦が協力して築いた財産は、特別な契約がない限り「夫婦の共有財産」として扱われます。 たとえば、共働きで購入した住宅、結婚後に貯めた預貯金、夫婦の一方の名義で購入したが共同生活の中で築いた資産などは、共有財産とみなされることがあります。これに対して、結婚前から保有していた個人の資産や、相続・贈与によって取得した財産は「特有財産」として区別されます。 離婚や相続の場面では、この共有財産の分割が重要な争点になることがあり、法的・金銭的な取り扱いについて明確に整理しておくことが求められます。資産運用の観点でも、将来的な財産の分割リスクや所有構造を意識して管理することが大切です。
財産分与
財産分与とは、離婚に際して夫婦が結婚生活中に築いた共有財産を公平に分け合う手続きのことです。たとえば、現金、預貯金、不動産、自動車、退職金、年金分割などが対象となり、名義が夫婦どちらか一方になっている財産であっても、原則として共同で形成されたものであれば分与の対象となります。 財産分与には、単なる「清算的分与」だけでなく、離婚後の生活保障を目的とした「扶養的分与」、不貞行為などに対する「慰謝的分与」も含まれる場合があります。分与の方法は、当事者の話し合い(協議)によって決められますが、合意できない場合は家庭裁判所に調停や審判を申し立てることも可能です。財産分与は、離婚後の経済的安定や公正な清算のために重要な役割を果たす制度です。
特有財産
特有財産とは、夫婦の一方が個人的に所有している財産のことで、婚姻関係にあっても共有財産とは区別されるものを指します。具体的には、結婚前から所有していた資産や、婚姻中であっても相続や贈与によって得た財産などが特有財産にあたります。 たとえば、独身時代に購入した不動産や、親から相続した預金、贈与された車などは、結婚後もその人だけの財産として扱われ、原則として配偶者との共有にはなりません。離婚や相続の場面では、財産分与の対象にはならず、本人に帰属する財産として取り扱われます。 ただし、特有財産であっても、婚姻後にその資産をもとに新たな投資や改築などを行った場合には、共有財産との境界が不明確になることもあるため、資産の管理と記録が重要です。ライフプランや相続対策を考える上でも、特有財産を明確にしておくことが、将来的なトラブルを避けるポイントになります。
オーバーローン
オーバーローンは、特に不動産や自動車の購入時によく見られる現象で、購入する物件や商品の価値を超える金額を借入れることを指します。この状況は、買い手が元手として持ち合わせている現金が少ない場合や、物件の価格交渉がうまくいかず、購入価格が市場価格を上回った際に発生することがあります。 オーバーローンにはリスクが伴います。たとえば、資産価値が借入額よりも下落した場合、いわゆる「水面下の負債」が生じ、売却時にローン残高が資産価値を上回ることになり、売却によって借金が完済されない可能性があります。また、オーバーローンは返済負担も大きくなりがちで、借り手の財政状態を圧迫することにもつながります。 このため、オーバーローンは慎重に検討すべき選択肢であり、借り手は自身の返済能力や将来の資産価値の見込みを十分に評価することが求められます。また、オーバーローンに対する法的な規制や条件は地域や金融機関によって異なるため、契約前には詳細をよく確認することが重要です。
評価額
評価額とは、資産や企業の価値を金銭的に算定した金額のことである。市場価格が存在する場合はその価格を用いるが、不動産や非上場株式などの場合は、鑑定評価や財務分析を基に算出される。税務や会計、投資判断の場面で重要な指標となり、資産売却や企業のM&Aの際にも適正な価格を判断するために用いられる。評価額は算出方法によって異なることがあり、状況に応じた適切な評価が求められる。
団体信用生命保険(団信)
団体信用生命保険とは、住宅ローンを組んだ人が亡くなったり高度障害になったりした場合に、その時点のローン残高が保険金で返済される保険です。多くの場合、住宅ローンを借りる際に金融機関が加入を条件とすることがあり、略して「団信(だんしん)」とも呼ばれます。 この保険に加入しておけば、万が一のことがあった際に遺族がローンを引き継ぐ必要がなくなり、家に住み続けることができるため、大きな安心材料になります。保障の範囲は、死亡や高度障害に限らず、がんや三大疾病、就業不能までカバーするタイプもあり、ライフスタイルに応じて選ぶことができます。