相続時精算課税制度について、教えてください。
回答受付中
0
2025/06/26 15:04
男性
60代
生前贈与の選択肢として相続時精算課税を検討していますが、暦年課税との違いや2024年改正で追加された年間110万円の非課税枠が具体的にどのように機能するのか把握できていません。制度概要と改正点、利用時の注意点を教えていただけますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
相続時精算課税制度は、60歳以上の親・祖父母が18歳以上の子・孫へ贈与する場合に選択できる特例です。選択すると贈与累計2,500万円まで贈与税が非課税となり、超過分は一律20%の贈与税を払います。
最大の特徴は、贈与者が亡くなった際にそれまでの贈与額を相続財産に合算し、相続税で精算する点です。2024年改正により、制度選択後でも暦年課税と同様の年間110万円基礎控除が利用可能になりました。
この110万円分は2,500万円の特別控除枠にカウントされず、将来の相続財産への持ち戻しも不要です。110万円以下の贈与は申告義務も免除されるため、少額贈与と大口贈与を組み合わせる柔軟な資産移転が可能となりました。
留意点は、一度制度を選択すると暦年課税へ戻れないこと、申告漏れがあると加算税のリスクが高まること、贈与財産の評価記録を正確に残す必要があることです。
関連記事
関連質問
関連する専門用語
特別控除
特別控除とは、一定の条件を満たした場合に特別に認められる所得控除のことを指す。例えば、不動産譲渡所得に対する3,000万円特別控除や、住宅ローン控除などが含まれる。通常の控除とは異なり、特定の政策目的のために設けられており、適用を受けるには条件を満たす必要がある。
基礎控除
基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫へ財産を贈与する場合に利用できる、特別な贈与税の制度です。この制度を使うと、贈与を受けた年に2,500万円までの金額については贈与税がかからず、それを超えた部分にも一律20%の税率が適用されます。そして、その後贈与者が亡くなったときに、過去の贈与分をすべてまとめて「相続財産」として扱い、最終的に相続税として精算します。 つまり、この制度は「贈与税を一時的に軽くし、あとで相続税の段階でまとめて精算する」という仕組みになっています。将来の相続を見据えて早めに資産を移転したい場合や、大きな金額を一括で贈与したい場合に活用されることが多いです。 ただし、一度この制度を選ぶと、同じ贈与者からの贈与については暦年課税(通常の贈与税制度)には戻せないという制限があるため、利用には慎重な判断が必要です。資産運用や相続対策を計画するうえで、制度の特徴とリスクをよく理解しておくことが大切です。
贈与税
贈与税とは、個人が他の個人から金銭・不動産・株式などの財産を無償で受け取った際に、その受け取った側(受贈者)に課される税金です。通常、年間110万円の基礎控除を超える贈与に対して課税され、超過分に応じた累進税率が適用されます。 この制度は、資産の無税移転を防ぎ、相続税との整合性を保つことを目的として設けられています。特に、親から子へ計画的に資産を移転する際には活用されることが多く、教育資金や住宅取得資金などに関しては、一定の条件を満たすことで非課税となる特例もあります。 なお、現在は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2制度が併存していますが、政府は近年、相続税と贈与税の一体化を含めた制度改正を検討しており、将来的に制度の選択肢や非課税枠、課税タイミングが見直される可能性があります。 こうした背景からも、贈与税は単なる一時的な贈与の問題にとどまらず、長期的な資産承継や相続対策の設計に深く関わる重要な制度です。税制の動向を踏まえた上で、専門家と連携しながら最適な活用方法を検討することが求められます。
生前贈与加算
生前贈与加算とは、被相続人が亡くなる前に行った贈与を相続財産に「持ち戻し」て相続税を計算し直す仕組みです。従来は「死亡前3年以内」の贈与が対象でしたが、令和6年(2024年)以降の贈与から段階的に対象期間が延長され、2031年1月1日以降に発生する相続では「死亡前7年以内」の贈与まで加算されます。また延長された4年間(3年超~7年以内)の贈与については、総額100万円までが加算対象から除外される優遇措置が設けられています。この制度は、死亡直前の駆け込み贈与による節税を防ぎ税負担の公平性を確保することを目的としており、暦年贈与を利用した資産移転の効果が小さくなるため、相続時精算課税制度や早期贈与の活用など計画的な相続対策がより重要になります。 従来は「死亡前3年以内」の贈与が対象でしたが、令和6年(2024年)以降の贈与から段階的に対象期間が延長され、2031年1月1日以降に発生する相続では「死亡前7年以内」の贈与まで加算されます。 また延長された4年間(3年超~7年以内)の贈与については、総額100万円までが加算対象から除外される優遇措置が設けられています。 この制度は、死亡直前の駆け込み贈与による節税を防ぎ税負担の公平性を確保することを目的としており、暦年贈与を利用した資産移転の効果が小さくなるため、相続時精算課税制度や早期贈与の活用など計画的な相続対策がより重要になります。