バリュー株を探すために、四季報でPBRやROEを読む理由はなんですか?
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2024/09/11 21:32
男性
40代
最近、株式投資に関心を持ち始めました。あまり、短期トレードは向いていない気がするので、長期保有を前提としたバリュー投資が良いなと思っています。<br>バリュー株をみつけるためには、四季報を使ってPBRやROEといった指標を参考にする、という内容をみかけました。<br>PBRやROEはどのようにバリュー株と結びつくのでしょうか?また、なぜ四季報を使うのがいいのでしょうか?教えて下さい。よろしくお願いします。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
PBR(株価純資産倍率)は、1株当たり純資産を基準に現在の株価が何倍で取引されているかを示し、帳簿上の清算価値との乖離を測る指標です。一般に1倍未満なら、市場が企業の資産価値を過小評価している可能性があり、割安株(バリュー株)の第一候補となります。一方、ROE(自己資本利益率)は株主資本を使ってどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す尺度で、高水準ほど収益力と資本効率の高さがうかがえます。したがって「低PBR × 高ROE」の組み合わせは、帳簿価値に対して株価が低いのに、企業が優れた収益性を維持しているケースを示し、長期保有向きのバリュー投資では特に注目されます。
こうした銘柄を効率よく抽出できるのが『会社四季報』です。全上場企業を共通フォーマットで掲載し、PBRは「株価指標」欄、ROEは「財務」欄にまとまっているため、一冊で横断的に条件検索と同業比較が行えます。巻頭の「業種別業績展望」を併用すれば、業界平均を踏まえた相対評価が容易です。業種ごとに適正なPBRやROEの水準は異なるため、同業他社との比較こそが“割安”を見極める近道になります。
もっとも、数値が良好でも理由を吟味せずに飛びつくのは禁物です。PBRが低いのは慢性的な低収益体質や資産の質に課題があるからかもしれませんし、ROEの高さが一時的な特殊要因や自己資本の圧縮による見かけの改善である場合もあります。四季報の「特色」「業績記事」「材料記事」を読み込み、ビジネスモデルや競争環境、財務の健全性といった定性面を照合してください。さらに決算短信やIR資料で最新の事業計画・資本政策・株主還元方針を確認し、将来の利益持続性を検証することで、真に魅力的なバリュー株を抽出しやすくなります。
結局のところ、四季報はスクリーニングと比較分析に最適な出発点です。低PBRと高ROEで候補を絞り、定量・定性の両面から企業の本質的価値と市場評価のギャップを分析することで、長期にわたりリターンを狙える投資対象を見極める確度が高まります。
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会社四季報とは、日本の全上場企業約4,000社の株価や業績に関する情報を1冊にまとめたデータ本で、東洋経済新報社発刊です。「四季報」という言葉の通り、毎年3、6、9、12月と年に4回発売されています。国内の全上場企業の情報が1冊でコンパクトにまとまっている出版物は海外ではあまり見られず、日本特有のものとして評価されています。
バリュー投資
バリュー投資とは、本来の価値よりも株価が割安になっていると判断される企業に投資をする方法です。企業の財務状況や業績、将来性などをしっかりと分析し、その企業が持つ本来の価値に比べて株価が低いと考えられる場合に株を購入します。そして、時間の経過とともに株価が本来の価値に近づくことを期待して利益を得ようとする考え方です。市場の流れに左右されず、じっくりと資産を育てたい人に向いている投資手法です。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は、株価の元になる「企業そのものの実力」と「経済環境」を数字と質の両面から評価し、適正株価や将来性を見極める方法です。 手順は大きく三つあります。第一にマクロ分析で景気、金利、為替など外部環境を確認します。第二に業界分析で需要構造や競合の強さを把握し、最後に個別企業を定量・定性の両面から調べます。 定量面では売上成長率、営業利益率、自己資本比率、EPS、フリーキャッシュフロー(FCF)などの実績データを、割安度の目安としてはPERやPBR、収益効率を測るROEを使います。 定性面ではビジネスモデル、シェア、経営陣の実行力、ESG姿勢など数字に表れにくい要素をチェックします。同業他社と比べて指標が優れているか、将来の利益成長を支える強みがあるかを確認できれば、株価が一時的に下がっていても「本質的価値に対し割安」と判断できます。ただし決算が粉飾されていたり、外部ショックで業績が急変したりすると見通しは外れるため、四半期ごとの決算更新やニュースで仮説を検証し続けることが欠かせません。 短期的な売買ポイントはチャートや出来高で補い、ファンダメンタルズ分析は中長期の銘柄選定に活用するのが基本です。