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生活防衛資金はいらないという意見がありますが、専門家としての意見を聞かせてください。

生活防衛資金はいらないという意見がありますが、専門家としての意見を聞かせてください。

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2025/10/15 09:13

相談基礎知識
相談基礎知識

男性

30代

question

生活防衛資金は「貯めなくてもいい」といった意見も見かけますが、実際のところ本当に必要ないのか疑問に感じています。貯蓄より投資を優先したほうがいいという考えもありますが、万一のときに生活費が足りなくなるのも不安です。金利が低い中で現金を多く持つことが非効率という声もありますが、リスク管理の観点からはどう考えるべきでしょうか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

結論として、「生活防衛資金はいらない」という意見は多くの人に当てはまりません。投資効率よりもまず、支払い不能になるリスクを防ぐことが重要です。生活防衛資金は、資産形成を支える基盤であり、長期投資を続けるための安心材料でもあります。

生活防衛資金が必要な理由は、予期せぬ事態で資金を取り崩さざるを得ない状況を避けるためです。市場が下落している時期に資産を売却すれば、安値での損失が確定し、長期的なリターンを損なうリスクがあります。

現金があることで心理的な余裕が生まれ、積立投資を継続しやすくなります。非常時に借入やクレジットに頼るよりも確実で、安心感の面でも優れています。

目安として、生活費の3〜6か月分を用意するのが一般的です。自営業やフリーランス、扶養家族が多い家庭では6〜12か月分、公務員など安定した職業の方は1〜3か月分でもよいでしょう。

まずは家賃や光熱費などの必須支出の月額を算出し、自分に合った期間(3か月、6か月、12か月)を掛け合わせて目標額を設定します。そのうち1〜2か月分は普通預金、残りは出し入れが容易な安全資産に置くのが現実的です。自動振替などで少しずつ積み立て、目標額に到達したら投資に回していくとよいでしょう。

「現金は非効率」と言われますが、生活防衛資金の目的は利回りではなくリスク対策です。リターンを犠牲にしてでも、確実性を買うという発想が大切です。現金を段階的に管理すれば、機会損失を抑えることもできます。

たとえば、すぐに使う分は普通預金、残りは出し入れが容易な高金利預金や個人向け国債などを活用する方法です。貯蓄と投資を並行し、一定額に達したら投資の比率を増やす仕組みにすると効率的です。

日本の公的制度を踏まえると、高額療養費制度や傷病手当金があるため、医療費による急な出費はある程度抑えられます。ただし、支給までの立替期間や収入減少には備える必要があります。また、住宅購入や教育費などの大型支出が近い場合は、生活防衛資金とは別に短期資金を準備することが望ましいでしょう。

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生活防衛資金

生活防衛資金とは、万が一の病気や失業、災害などで収入が途絶えた場合でも、一定期間は生活を維持できるように、あらかじめ確保しておく現金のことです。投資を始める前にまず準備しておくべきお金で、一般的には生活費の3か月から6か月分を目安にするとされています。 この資金は、株や投資信託のように価格が変動する商品ではなく、すぐに引き出せる預金などで保管するのが望ましいとされています。生活防衛資金がしっかりと確保されていれば、投資のリスクを過度に恐れずに冷静な判断がしやすくなり、精神的な安心感にもつながります。

積立投資

積立投資とは、一定のサイクル(例:毎月や毎週など)で、あらかじめ決めた金額ずつ同じ銘柄や投資信託などを購入していく投資手法です。 この方法は、一度にまとまった資金を投じる「一括投資」とは異なり、少額から始められるのが特徴です。また、購入時期を複数回に分散できるため、相場が高いタイミングで一度に大量購入してしまうリスク(いわゆる高値づかみ)を抑えられると期待されています。 具体的には、「相場が下がったときはより多くの口数や株数を買える」「相場が高いときは割高な投資を抑えられる」という形で、平均取得単価が平準化される効果があります。この仕組みは英語で「ドルコスト平均法(Dollar Cost Averaging)」とも呼ばれ、特に長期運用を考えている初心者からベテランまで、多くの投資家が活用している戦略です。 ただし、積立投資を行ったからといって必ずリスクが軽減されるわけではなく、投資対象自体の価格が大きく下落した場合には損失が出る可能性もあります。したがって、積立する商品や期間、目標リスクなどをしっかり考えたうえで、自分の資産配分に合った方法を選ぶことが大切です。

安全資産

安全資産とは、価格変動が少なく、元本の減少リスクが低い資産のことを指す。代表的なものとして、銀行預金、国債、定期預金、MMF(マネーマーケットファンド)などがある。 これらの資産はリスクが低いため、資産の一部を安全資産に振り分けることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑える役割を果たす。特に、短期間で使用する予定の資金や、生活費の予備資金として適している。 インフレの影響を受けるため、長期的に資産を増やす目的ではリスク資産と併用することが一般的である。

普通預金

普通預金とは、銀行や信用金庫などの金融機関に預け入れる預金の中で、いつでも自由に出し入れができる最も基本的な預金口座のことです。預けたお金には利息が付きますが、金利は非常に低めに設定されているのが一般的です。その代わり、利便性と安全性が高く、給与の受け取り、公共料金の引き落とし、ATMでの入出金など、日常生活に欠かせない金融機能を担っています。 また、元本1,000万円とその利息までは預金保険制度によって保護されているため、安全性も高いといえます。資産運用というよりは、生活資金や短期的な支出に備えるための管理手段として使われる預金形態です。投資を始める前の資金待機場所や、緊急時に備える資金の置き場としても活用されます。

個人向け国債

個人向け国債とは、日本政府が個人投資家向けに発行する債券で、安全性が高く元本保証が特徴です。最低1万円から購入可能で、3年・5年の固定金利型と10年の変動金利型があります。変動金利型は半年ごとに金利が見直され、市場金利の上昇に伴い受取利息が増加するメリットがあります。 一方、株式投資ほどの高いリターンは期待できず、インフレ時には実質的な資産価値が目減りする可能性があります。また、購入後1年間は中途換金ができず、その後の換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれる点に注意が必要です。銀行預金より高い金利を求めるが、リスクを避けたい投資初心者や安全資産を確保したい方に適した商品です。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、1か月に医療機関で支払った自己負担額が一定の上限を超えた場合、その超過分が払い戻される公的な医療費助成制度です。日本では公的医療保険により治療費の自己負担割合は原則3割(高齢者などは1〜2割)に抑えられていますが、手術や長期入院などで医療費が高額になると家計への影響は大きくなります。こうした経済的負担を軽減するために設けられているのが、この高額療養費制度です。 上限額は、70歳未満と70歳以上で異なり、さらに所得区分(年収の目安)によって細かく設定されています。たとえば、年収約370万〜770万円の方(一般的な所得層)では、1か月あたりの自己負担限度額は「約8万円+(総医療費−26.7万円)×1%」となります。これを超えた分は、後から申請によって保険者から払い戻しを受けることができます。 また、事前に健康保険の窓口で「限度額適用認定証」を取得し、医療機関に提示しておけば、病院の窓口で支払う金額そのものを最初から自己負担限度額までに抑えることも可能です。これにより、退院後の払い戻しを待たずに現金の一時的な負担を軽減できます。 同じ月に複数の医療機関を受診した場合や、同一世帯で同じ医療保険に加入している家族がいる場合には、世帯単位で医療費を合算して上限額を適用することもできます。さらに、直近12か月以内に3回以上この制度を利用して上限を超えた場合、4回目以降は「多数回該当」となり、上限額がさらに引き下げられる仕組みもあります。なお、払い戻し申請から実際の支給までには1〜2か月程度かかるのが一般的です。 資産運用の観点から見ると、この制度によって突発的な医療費リスクの一部を公的にカバーできるため、民間の医療保険や緊急時資金を過剰に積み上げる必要がない場合もあります。医療費リスクへの備えは、公的制度・民間保険・現金準備のバランスで考えることが大切です。特に高所得者や自営業者の場合は、上限額が比較的高めに設定されている点や支給までのタイムラグを踏まえ、制度と現金の両面から備えておくと安心です。

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