新興国株式とは何ですか?
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2025/08/12 10:49
男性
30代
投資信託について調べていたところ、「新興国株式」に投資している銘柄を見つけました。しかし、具体的に新興国とはどの国を指すのかよくわかりません。そもそも新興国とはどういう国のことを指すのでしょうか?また、普通の株式と何が違うのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
新興国株式とは、中国やインド、東南アジア諸国、中南米諸国など、今後の経済成長が期待される国々の企業が発行する株式のことです。一般的に、これらの国々は人口増加や都市化の進展により高い経済成長が見込まれていますが、一方で政治や経済の不安定さ、法整備の未熟さ、通貨価値の変動リスクなど、投資する際の不確実性も大きいという特徴があります。
実務的には、多くの投資家が「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」などをベンチマークとするETFやインデックスファンドを利用して、新興国市場全体に分散投資しています。特定の国や業種に集中するのを避け、幅広く分散することでリスクを抑えつつ、成長の恩恵を長期的に取り込むことが狙いです。
資産配分の観点では、新興国株式はポートフォリオ全体の5〜15%程度が一般的です。新興国株式は先進国株式との価格変動の相関性が低いため、一定の比率で組み入れることで、分散投資によるリスク低減効果が期待できます。ただし、新興国の通貨が下落すると、円換算でのリターンが低下するリスクもあるため、円建ての為替ヘッジ型ファンドを一部取り入れるなど、為替リスクにも配慮する必要があります。
また、新興国企業は情報開示や企業統治(ガバナンス)が十分でないことが多く、個別企業を分析する難易度が高いため、初心者は市場全体への投資が推奨されます。アクティブファンドを選ぶ場合には、運用実績や手数料、運用会社の現地リサーチ能力を慎重に比較検討しましょう。
最後に、新興国は政治情勢や規制変更が価格変動に影響しやすいため、定期的に経済指標や市場環境を確認し、年に1回程度のリバランス(資産比率調整)を行うことが実務的には重要です。
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MSCIエマージング・マーケット指数
MSCIエマージング・マーケット指数とは、アメリカの指数提供会社MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表している、新興国市場全体の株式の動向を示す株価指数です。英語では「MSCI Emerging Markets Index」と呼ばれ、世界の新興国に投資する際の代表的なベンチマークとして使われています。 この指数には、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、台湾など20数カ国の上場企業が含まれており、それぞれの国の時価総額に応じて構成比率が決められています。投資家はこの指数に連動するETFや投資信託を通じて、分散された新興国株式への投資が可能です。新興国は成長性が期待される一方で、政治・経済の不安定さや通貨リスクなどもあるため、この指数は投資対象としての魅力とリスクの両面を把握するための指標となっています。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
リバランス
リバランスとは、ポートフォリオを構築した後、市場の変動によって変化した資産配分比率を当初設定した目標比率に戻す投資手法です。 具体的には、値上がりした資産や銘柄を売却し、値下がりした資産や銘柄を買い増すことで、ポートフォリオ全体の資産構成比率を維持します。これは過剰なリスクを回避し、ポートフォリオの安定性を保つためのリスク管理手法として、定期的に実施されます。 例えば、株式が上昇して目標比率を超えた場合、その一部を売却して債券や現金に再配分するといった調整を行います。なお、近年では自動リバランス機能を提供する投資サービスも登場しています。