投資のガイド
Guide

新興国株式はおすすめしない?理由とメリット、代表的なインデックスを紹介
難易度:
執筆者:
公開:
2025.08.12
更新:
2026.10.15
新NISAで全世界株式や米国株式に投資するなかで、「新興国株式も加えるべきか」と迷っていませんか。新興国は成長が期待される一方、「おすすめしない」との意見もあり、過去の成績や値動き、コストに不安を感じる人もいるでしょう。
全世界株式にも新興国が含まれているため、追加購入で想定以上に特定の国や業種へ集中する可能性があります。この記事では、新興国の対象国や指数の構成、先進国株式との比較、投資信託の選び方、NISAでの注意点から資産配分の判断基準まで解説します。
新興国とは?新興国株式の対象国と先進国との違い・分類
「新興国」には、国際的に統一された定義がありません。投資の世界では、MSCIやFTSE Russellといった指数会社が、市場の規模や外国人投資家にとっての売買のしやすさなどを基準に、各国の株式市場を先進国・新興国などに分けています。新興国株式とは、こうした分類で新興国とされた国・地域の企業の株式を指すのが一般的です。
MSCIの分類:新興国は24か国・地域
多くの新興国株式インデックスファンドが採用するMSCIの分類では、2026年9月末時点で24か国・地域が新興国です。先進国は、米国・日本・英国など23か国・地域に分類されています。
MSCIが新興国に分類する24か国・地域(2026年9月末)
- アジア:中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ
- 中南米:ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー
- 欧州:チェコ、ギリシャ、ハンガリー、ポーランド、トルコ
- 中東・アフリカ:エジプト、クウェート、カタール、サウジアラビア、南アフリカ、アラブ首長国連邦
出典:MSCI「MSCI Emerging Markets Index(USD)Index Factsheet」
ロシアはかつて代表的な新興国の1つでしたが、MSCIは国際的な機関投資家の意見を受け、2022年3月9日の終値時点でロシアを新興国から独立市場(スタンドアロン)に移しました。新興国株式インデックスの構成国は、市場の状況によって入れ替わることがあるわけです。
出典:MSCI「MSCI to Reclassify the MSCI Russia Indexes from Emerging Markets to Standalone Markets Status」
FTSE Russell・IMFとの違い:韓国は「先進国」の扱いもある
同じ国でも、どの分類を使うかで新興国かどうかが変わります。主な国・地域の扱いを比べました。
| 国・地域 | MSCI | FTSE Russell | IMF(世界経済見通し) |
|---|---|---|---|
| 韓国 | 新興国 | 先進国 | 先進国・地域 |
| 台湾 | 新興国 | 新興国(Advanced Emerging) | 先進国・地域 |
| ポーランド | 新興国 | 先進国 | 新興市場国・発展途上国 |
| ギリシャ | 新興国(2027年5月に先進国へ移行予定) | 先進国(2026年9月に移行) | 先進国・地域 |
| 中国・インド | 新興国 | 新興国(Secondary Emerging) | 新興市場国・発展途上国 |
| ペルー | 新興国 | フロンティア | 新興市場国・発展途上国 |
出典:FTSE Russell「FTSE Equity Country Classification September 2026 Annual Announcement」
出典:IMF「World Economic Outlook, April 2026: Statistical Appendix」
※FTSE Russellは新興国をAdvanced Emerging(上位)とSecondary Emerging(下位)に分けています。MSCIの分類はMSCIのファクトシートと2026年市場分類レビュー、IMFは2026年4月の世界経済見通しによります。
FTSE Russellは韓国とポーランドを先進国に、ペルーをフロンティア市場に分類しています。IMFは世界を先進国・地域(43)と新興市場国・発展途上国(154)に分けつつ、厳密な基準によるものではないとしています。
- 「新興国とはどこの国か」の答えは前提とする分類で変わるため、投資信託ではベンチマークの対象国を目論見書で確かめることが出発点です。
2026年の分類見直し:ギリシャは先進国へ、インドネシア・トルコは注視
MSCIは毎年6月に市場分類の見直し結果を公表しています。2026年6月23日の発表では、ギリシャを2027年5月の定期見直しで新興国から先進国へ移すことが改めて示されました。韓国の分類は変わっていません。
一方、インドネシアとトルコについては、株主構成の透明性や協調的な売買への懸念が示されました。2026年11月の定期見直しまでに十分な改善が見られなければ、インドネシアを新興国からフロンティア市場へ移すことの協議も選択肢になるとしています。
出典:MSCI「MSCI Announces the Results of the MSCI 2026 Market Classification Review」
新興国株式インデックスの中身:MSCIエマージング・マーケット・インデックス
新興国株式のインデックスファンドの多くは、MSCIエマージング・マーケット・インデックスをベンチマークにしています。24か国・地域の大型株・中型株1,165銘柄で、各国の浮動株調整後の時価総額の約85%をカバーする株価指数です。
| 国・地域 | 構成比率 | 全世界株式(MSCI ACWI)に占める割合(編集部算出) |
|---|---|---|
| 台湾 | 28.94% | 約3.5% |
| 韓国 | 21.40% | 約2.6% |
| 中国 | 19.80% | 約2.4% |
| インド | 10.65% | 約1.3% |
| ブラジル | 4.09% | 約0.5% |
| その他(19か国・地域) | 15.12% | 約1.8% |
| 合計 | 100% | 約12.0% |
出典:MSCI「MSCI Emerging Markets Index(USD)Index Factsheet」
出典:MSCI「MSCI ACWI Index(USD)Index Factsheet」
※全世界株式に占める割合は編集部算出(2026年10月)。新興国の指数時価総額(約12.28兆米ドル)をMSCI ACWIの指数時価総額(約102.70兆米ドル)で割った約11.96%に、各国・地域の構成比率を掛けています。
- 上位3か国・地域で約70%、インドを加えると約81%を占めます。中国は2026年9月末時点で台湾・韓国に次ぐ3番目です。構成比率は株価や指数の見直しによって日々変わり、ファクトシートは毎月更新されるため、最新のファクトシートや月次レポートで確かめましょう。
なお、運用会社の月次レポートは国・地域を法人登録地で分類する場合があります。eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの月次レポート(2026年9月末)では、テンセントなどがケイマン諸島に分類され、中国は8.8%と表示されています。
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 月次レポート(2026年9月30日現在)」
業種と上位銘柄:情報技術が4割超、TSMC1社で約16%
セクター(業種)別では情報技術が43.78%と最も大きく、金融19.35%、一般消費財・サービス7.39%の順です。組入上位10銘柄の合計は39.03%で、最大の台湾積体電路製造(TSMC)だけで15.63%を占めます。上位にはサムスン電子やSKハイニックスなど、半導体関連の企業が目立ちます。
「新興国全体に分散する」という言葉から想像されるより、特定の業種や銘柄への集中度は高いのが実情です。半導体の市況が指数全体の値動きを左右しやすい点は、投資前に知っておきたいポイントでしょう。
全世界株式(オール・カントリー)に占める新興国株式は約12%
全世界株式のファンドの多くが連動を目指すMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)は、先進国と新興国の2,414銘柄で構成されます。2026年9月末の指数時価総額に占める新興国の割合は約12.0%で(編集部算出)、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の月次レポートでも新興国株式は12.0%でした。
- 全世界株式のファンドを持っている人は、すでにこの比率で新興国株式に投資していることになります。「加えるかどうか」は、今の約12%を増やすかどうかという問いとして考えるのが実態に近いでしょう。
全世界株式とS&P500、NASDAQ100などの主要インデックスの違いは、こちらの記事で比較しています。
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート(2026年9月30日現在)」
データで見る新興国株式のリターンとリスク:先進国株式との比較
MSCIの公式ファクトシートから、新興国株式・先進国株式・全世界株式の実績を比べます。いずれも米ドル建てで、配当(源泉税控除後)を再投資したネットリターンです。年率リターンは、その期間に1年あたり平均で何%増えたかを示します。
| 指標 | 新興国株式(MSCI EM) | 先進国株式(MSCI World) | 全世界株式(MSCI ACWI) |
|---|---|---|---|
| 騰落率(1年) | 29.22% | 15.24% | 16.75% |
| 年率リターン(3年) | 24.09% | 21.40% | 21.73% |
| 年率リターン(5年) | 8.94% | 11.89% | 11.57% |
| 年率リターン(10年) | 9.09% | 12.81% | 12.38% |
| 年率リターン(2000年12月29日以降) | 9.11% | 7.46% | 7.41% |
| 標準偏差(10年・年率) | 17.46% | 14.88% | 14.73% |
| シャープレシオ(10年) | 0.45 | 0.72 | 0.70 |
| 最大下落率(MSCIファクトシート記載値) | 65.25%(2007年10月〜2008年10月) | 57.82%(2007年10月〜2009年3月) | 58.38%(2007年10月〜2009年3月) |
出典:MSCI「MSCI Emerging Markets Index(USD)Index Factsheet」
※標準偏差とシャープレシオは月次のネットリターンをもとにMSCIが算出した値です。過去のリターンは将来の運用成果を保証するものではありません。
5年・10年で見ると、新興国株式の年率リターンは先進国株式を約3〜4ポイント下回り、1年・3年では逆に上回っています。2000年12月末以降の25年余りでは、新興国株式の年率リターンのほうが高い結果です。比べる期間によって評価が逆転します。そのため、「新興国株式はリターンが低い」「高い」のどちらも、期間を示さなければ正確とはいえません。
- 一方、値動きの大きさを示す標準偏差は10年で約2.6ポイント大きく、リスク1単位あたりのリターンを示すシャープレシオは0.45と先進国株式の0.72を下回りました。リーマン・ショックを含む局面では、最大65.25%の下落を経験しています。
なお、シャープレシオの活用方法については、こちらの記事も参考にしてみてください。
年ごとの騰落率:上回る年と下回る年がある
同じファクトシートから、直近10年の年間騰落率を並べました。
| 年 | 新興国株式(MSCI EM) | 先進国株式(MSCI World) | 上回ったのは |
|---|---|---|---|
| 2016年 | 11.19% | 7.51% | 新興国 |
| 2017年 | 37.28% | 22.40% | 新興国 |
| 2018年 | ▲14.57% | ▲8.71% | 先進国 |
| 2019年 | 18.42% | 27.67% | 先進国 |
| 2020年 | 18.31% | 15.90% | 新興国 |
| 2021年 | ▲2.54% | 21.82% | 先進国 |
| 2022年 | ▲20.09% | ▲18.14% | 先進国 |
| 2023年 | 9.83% | 23.79% | 先進国 |
| 2024年 | 7.50% | 18.67% | 先進国 |
| 2025年 | 33.57% | 21.09% | 新興国 |
出典:MSCI「MSCI Emerging Markets Index(USD)Index Factsheet」
10年のうち新興国株式が上回ったのは4年で、2021〜2024年は4年続けて先進国株式を下回りました。ファクトシートに載っている2012〜2025年の14年分の年間騰落率を掛け合わせると、新興国株式は約2.15倍、先進国株式は約4.81倍です(編集部算出)。
ただし、2025年は新興国株式が33.57%上昇し、先進国株式を12ポイント以上上回っています。上回る年や下回る年がまとまって続いた時期もあるため、直近数年の成績だけで将来を判断するのは避けたほうが無難です。
相関係数で見る分散効果:同じ方向に動く年も多い
2012〜2025年の年間騰落率から相関係数を求めると、新興国株式と先進国株式は約0.70でした(編集部算出)。相関係数は1に近いほど同じ方向に動きやすいことを示し、0.70は「おおむね同じ方向に動くが、そろわない年もある」程度の水準です。
- 2018年や2022年のように世界的に株価が下がった年は、新興国株式もそろって下落し、最大下落の時期もリーマン・ショック前後で重なっていました。国・地域の分散投資にはなりますが、株式市場全体が下がる局面の値下がりを和らげる効果は限られると考えておくのが無難です。
※相関係数は編集部算出(2026年10月)。MSCIファクトシートの2012〜2025年の年間騰落率(米ドル建て・ネットリターン、14データ)から計算した参考値で、月次データで計算すると値は異なります。
円で投資する場合は為替の影響も加わる
日本で買える新興国株式インデックスファンドの多くは為替ヘッジを行わないため、基準価額は為替レートの影響も受けます。同じMSCIエマージング・マーケット・インデックスでも、2026年9月末までの1年間の騰落率は米ドル建てで29.22%でした。
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの月次レポートに載るベンチマーク(円換算ベース)の値では37.0%です。この期間は為替が円建てのリターンを押し上げた形ですが、円高が進めば逆に押し下げます。
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 月次レポート(2026年9月30日現在)」
ここまでのデータを読むときは、次の点に注意してください。
- MSCIの数値は米ドル建てのネットリターンで、円で投資した場合の成果とは為替の分だけ異なる
- 1年・3年・5年・10年・2000年末以降のどこで区切るかで、新興国株式と先進国株式の優劣は入れ替わる
- 相関係数は年間騰落率14年分から求めた編集部算出の参考値で、月次や日次のデータでは値が変わる
- 過去のリターンや標準偏差は、将来の運用成果や値動きの大きさを保証するものではない
新興国株式のデータは、どの期間で区切るか、どの通貨で見るかによって印象が大きく変わります。円で投資する場合は株価と為替の両方の変動を受けるため、米ドル建ての指数の数字がそのまま自分の成果になるわけではありません。数字を見るときは「いつからいつまでの、何建ての値か」を確かめ、一つの期間の成績だけで判断しないことが大切です。
為替ヘッジの仕組みとコスト、ヘッジあり・なしを選ぶときの判断基準は、こちらの記事で解説しています。
新興国株式は「おすすめしない」「やめとけ」と言われる6つの理由
「新興国株式はおすすめしない」と言われる主な理由を、データや公式資料で確認できる範囲でまとめました。どれも「必ず不利」という意味ではなく、どの前提の人にとって問題になりやすいかを見ることがポイントです。
理由1:5年・10年のリターンが先進国株式を下回っている
2026年9月末までの10年間の年率リターンは、新興国株式が9.09%、先進国株式が12.81%でした。2021〜2024年に4年続けて下回ったこともあり、長期で積み立てる人ほど「全世界株式や先進国株式だけで十分では」と感じやすい状況です。
- ただし、2000年12月末以降や直近3年では新興国株式のほうが高く、「過去10年は低かった」という事実と「今後も低い」という予想は区別して考える必要があります。
理由2:値動きが大きく、下落の幅も深い
新興国株式の10年の標準偏差は17.46%で、先進国株式の14.88%より大きくなっています。2022年には年間で20.09%下落し、2007〜2008年には高値から65.25%下落しました。
- 値動きが大きい資産は、下落局面で積立をやめたり売却したりしやすくなります。資金を使う時期が近い人や、元本割れの期間が続くと不安を感じやすい人には向きにくい資産です。
相場が大きく下がったときにNISAで避けたい行動と、売る・続けるを決める判断軸は、こちらの記事で確認できます。
理由3:特定の国・業種・銘柄に集中している
MSCIエマージング・マーケット・インデックスは、台湾・韓国・中国の上位3か国・地域で約70%、情報技術セクターで43.78%、TSMC1社で15.63%を占めます(2026年9月末)。新興国全体に広く分散しているイメージとは異なり、半導体関連の株価や東アジアの情勢の影響を受けやすい構成です。
国別の比率も固定されていません。ニッセイ新興国株式インデックスファンドの運用報告書では、マザーファンドに占める中国の比率は2020年11月に39.3%、2025年11月に26.3%でした。いずれもマザーファンドの純資産総額に対する比率で、国の分け方はニッセイアセットマネジメント独自の分類です。
- 2025年は株価指数先物9.3%が国別で「アメリカ」として別に計上されているなど、年によって表示方法が異なります。インデックスに連動する以上、どの国に何割投資するかは自分では決められません。
出典:ニッセイアセットマネジメント「ニッセイ新興国株式インデックスファンド 交付運用報告書(第3期)」
出典:ニッセイアセットマネジメント「ニッセイ新興国株式インデックスファンド 交付運用報告書(第8期)」
理由4:為替・カントリーリスク・市場制度の不確実性
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの月次レポートは、投資リスクの1つに「カントリー・リスク」を挙げています。クーデターや重大な政治体制の変更、資産凍結を含む規制、政府のデフォルトなどの影響で、価格変動・為替変動・信用・流動性の各リスクが先進国より大きくなる可能性があるという説明です。
実際にMSCIは、ロシアを2022年に新興国の指数から外し、2026年にはインドネシアやトルコの市場の透明性に懸念を示しました。韓国についても、ウォンを国外で受け渡しできない点などを課題に挙げています。新興国では、市場制度や政治の変化をきっかけに、指数の構成国が入れ替わることがあります。
出典:MSCI「MSCI Announces the Results of the MSCI 2026 Market Classification Review」
出典:MSCI「MSCI to Reclassify the MSCI Russia Indexes from Emerging Markets to Standalone Markets Status」
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 月次レポート(2026年9月30日現在)」
理由5:コストが先進国株式ファンドよりやや高めになりやすい
新興国株式のインデックスファンドの信託報酬は、主なファンドで年0.13〜0.35%程度です(SBIは投資先ETFを含む実質的な負担)。同じeMAXIS Slimシリーズでも、全世界株式(オール・カントリー)の年0.05775%以内に対し、新興国株式インデックスは年0.1518%以内と約2.6倍です。
信託報酬以外の費用もかかります。eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの直近の運用報告書によると、信託報酬(0.152%)のほかにも費用がかかっていました。内訳は売買委託手数料0.015%、有価証券取引税0.021%、保管費用などのその他費用0.091%です。
- 売買委託手数料と有価証券取引税を除いた総経費率は年0.24%です。「年0.5〜1%高い」という説明も見かけますが、主な低コストのファンドの差はそこまで大きくありません。それでも、長期で持つほど差は複利で積み上がります。
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 交付運用報告書」
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート(2026年9月30日現在)」
理由6:全世界株式に含まれる分と重複する
全世界株式(MSCI ACWI)のファンドには、すでに約12%の新興国株式が含まれています。そこに新興国株式ファンドを追加すると、新興国の比率は時価総額の比率より高くなり、台湾・韓国の半導体関連株への集中も重なる計算です。
「全世界株式を持っているなら別に買う必要はない」という意見は、この重複を指していると考えられます。
新興国株式に期待される点と投資するメリット
おすすめしないと言われる理由がある一方で、新興国株式には先進国株式にない特徴もあるのは確かです。ここでも、データで確認できる事実と、そこから期待されている点を分けて見ていきます。
経済規模・人口に比べて、株式市場の比率は小さい
IMFの世界経済見通し(2026年4月)によると、IMFが「新興市場国・発展途上国」とする154の国・地域は、2025年の世界のGDP(購買力平価ベース)の60.1%、人口の86.1%を占めます。一方、全世界株式(MSCI ACWI)の時価総額に占める新興国の割合は約12%です(編集部算出)。
IMFとMSCIでは対象国が異なるため単純には比べられませんが、経済規模と株式市場の大きさには差があります。この差を「伸びしろ」とみる意見がある一方、経済の成長が株主のリターンにつながるとは限りません。
出典:IMF「World Economic Outlook, April 2026: Statistical Appendix」
株価収益率(PER)が低く、配当利回りは高め
2026年9月末のMSCIのデータでは、新興国株式の株価収益率(PER)は14.90倍で、先進国株式の22.69倍を下回ります。株価純資産倍率(PBR)は2.39倍と4.10倍、配当利回りは2.02%と1.52%でした。
- 利益や純資産に比べて株価が低いことは、割安さとして評価される場合があります。ただし低いPERには成長性やリスクに対する市場の評価も反映されており、割安だから上がるとは限りません。分配を抑える方針のファンドでは、配当はファンド内で再投資され、基準価額に反映されます。
守りの資産と攻めの資産を分けて配分を決める考え方は、こちらの記事で比率の目安とともに紹介しています。
先進国株式と異なる動きをする年がある
年間騰落率の相関係数は約0.70で、先進国株式と完全には連動していません(編集部算出)。2016年・2017年・2020年・2025年のように新興国株式が上回った年もあり、2026年9月末までの1年間でも29.22%と先進国株式の15.24%を上回りました。
全世界株式(MSCI ACWI)では米国が64.21%を占めます(2026年9月末)。米国以外にも資産を広げたい人にとって、新興国株式は選択肢の1つになり得ます。ただし、世界的な株安の局面ではそろって下落しやすい点は割り引いて考える必要があります。
「おすすめしない理由」と「期待される点」を並べて比べる
ここまでの論点を、同じ比較軸で並べました。
| 比較軸 | おすすめしないと言われる理由 | 期待される点 | 影響を受けやすい人 |
|---|---|---|---|
| リターン | 5年・10年の年率は先進国株式を約3〜4ポイント下回る | 2000年末以降や直近1年・3年では先進国株式を上回る | 過去10年の成績を重視する人 |
| 値動き | 標準偏差が大きく、最大下落率は65.25% | 2017年(37.28%)や2025年(33.57%)のように、上昇局面で先進国株式を大きく上回った年もある | 使う時期が近い人、下落で売りたくなる人 |
| 構成 | 台湾・韓国・中国で約70%、情報技術が4割超 | 先進国株式とは異なる国・企業に投資できる | 半導体関連にすでに多く投資している人 |
| 為替・制度 | 新興国通貨の変動、政治・規制の変化、指数からの除外 | 米ドル以外の通貨・地域への分散 | 為替の変動を避けたい人 |
| 株価水準 | 低いPERにはリスクの評価も含まれる | PER14.90倍、配当利回り2.02%で、先進国株式(22.69倍・1.52%)よりPERは低く配当利回りは高い水準 | 割安さだけで判断しがちな人 |
| 保有中の商品との関係 | 全世界株式に約12%含まれ、追加すると重複する | 先進国株式・S&P500だけの人には新しい地域が加わる | 全世界株式をすでに持っている人 |
出典:MSCI「MSCI Emerging Markets Index(USD)Index Factsheet」
※編集部作成。数値は2026年9月末のMSCIのデータで、全世界株式に占める割合は編集部算出です。
同じ事実でも、持っている商品や投資期間によって意味合いは変わります。たとえば全世界株式をすでに持つ人にとって、重複は追加しない理由になりやすい一方、S&P500だけを持つ人にとっては地域を広げる手段として検討する余地があります。
新興国株式インデックスファンド・投資信託の比べ方
新興国株式への投資では、指数に連動するインデックスファンド(投資信託)を使うのが一般的です。特定の商品を勧めるのではなく、比べるときに確かめたい項目を、国内の運用会社が公表する主なファンドの情報で並べました。
| ファンド名(運用会社) | 連動を目指す指数(ベンチマーク) | 信託報酬(税込・年率) | 純資産総額 | NISAの対象 |
|---|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim 新興国株式インデックス(三菱UFJアセットマネジメント) | MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース) | 0.1518%以内 | 約4,313億円 | つみたて投資枠・成長投資枠 |
| たわらノーロード 新興国株式(アセットマネジメントOne) | MSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジなし) | 0.1859%(換金時に信託財産留保額0.3%) | 約660億円 | つみたて投資枠・成長投資枠 |
| ニッセイ新興国株式インデックスファンド<購入・換金手数料なし>(ニッセイアセットマネジメント) | MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース) | 0.1859% | 約85億円 | つみたて投資枠・成長投資枠 |
| SBI・新興国株式インデックス・ファンド(SBIアセットマネジメント) | FTSEエマージング・インデックス(配当込み、円換算ベース) | 0.066%(投資先ETFを含む実質的な負担は0.126%程度) | 約569億円 | つみたて投資枠・成長投資枠 |
| iFree 新興国株式インデックス(大和アセットマネジメント) | RAFIファンダメンタル・セレクト・エマージング・マーケッツ350インデックス(配当込み、円換算) | 0.352% | 約476億円 | つみたて投資枠・成長投資枠 |
出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」
出典:アセットマネジメントOne「たわらノーロード 新興国株式」
出典:ニッセイアセットマネジメント「ニッセイ新興国株式インデックスファンド<購入・換金手数料なし>」
出典:SBIアセットマネジメント「SBI・新興国株式インデックス・ファンド」
出典:大和アセットマネジメント「iFree 新興国株式インデックス」
※純資産総額は2026年10月9日時点の各社公表値で、億円未満を四捨五入しています。信託報酬は各社の交付目論見書・月次レポートによります。つみたて投資枠の対象は金融庁の対象商品届出一覧(2026年10月8日更新)で確認しました。表は比較のための事実の整理で、特定のファンドを推奨するものではありません。
同じ「新興国株式インデックス」でも、連動を目指す指数は3種類に分かれ、信託報酬や純資産総額にも差があります。金融庁のつみたて投資枠の一覧では、MSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動する指定インデックス投資信託だけで14本です。
インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式やはじめてのNISA・新興国株式インデックスなど、表にないファンドも同じ観点で比べられます。
連動指数:MSCIかFTSEか、独自の指数か
MSCIの指数に連動するファンドは韓国を含みますが、FTSEエマージング・インデックスに連動するファンドは、FTSE Russellが韓国を先進国に分類しているため韓国を含みません。国別の比率や値動きが変わる要因です。
iFree 新興国株式インデックスは、2026年10月1日にベンチマークをFTSE RAFIエマージング インデックスから現在の指数に変更しました。株主資本・キャッシュフロー・売上・配当の4つの財務指標で銘柄と比率を決める指数で、時価総額で比率を決めるMSCIやFTSEの指数とは考え方が異なります。金融庁のつみたて投資枠の一覧でも、指定インデックス投資信託以外の区分に載っています。
コスト:信託報酬だけでなく実質コストも確かめる
信託報酬(運用管理費用)は保有中ずっとかかり、毎日の基準価額から差し引かれる費用です。ほかにも売買委託手数料や有価証券取引税、海外での保管費用がかかり、実際の負担は運用報告書の「1万口当たりの費用明細」や「総経費率」で確かめられます。たわらノーロードのように、換金時に信託財産留保額がかかるファンドもあります。
直近の運用報告書の総経費率(年率)
- SBI:0.16%
- eMAXISSlim:0.24%
- ニッセイ:0.31%
- たわらノーロード:0.34%
- iFree:0.58%
対象期間がファンドごとに異なるため厳密には比べられませんが、信託報酬の差より、実際の負担の差のほうが大きくなる場合がある点は押さえておきたいところです。なお、総経費率は売買委託手数料と有価証券取引税を含みません。
※総経費率は各ファンドの直近の運用報告書(交付目論見書の参考情報にも記載)によります。対象期間は、SBIが2024年11月13日〜2025年11月12日、eMAXIS Slimが2025年4月26日〜2026年4月27日、ニッセイが2024年11月21日〜2025年11月20日、たわらノーロードが2024年10月16日〜2025年10月14日、iFreeが2025年7月8日〜2026年7月6日の各1年間です。各報告書は比較表の出典に挙げた各社のファンドページから閲覧できます。
eMAXIS Slimシリーズ全体のラインナップと、コストや運用成果の確かめ方は、こちらの記事をご覧ください。
純資産総額・分配金・為替ヘッジ
純資産総額が大きいファンドは、繰上償還の可能性が相対的に低いと考えられます。規模が小さくてもすぐに償還されるわけではないため、純資産の推移とあわせて見るのが現実的です。表の5本はいずれも年1回の決算で、設定以来の分配金(税引前)は0円でした。
為替ヘッジは、表の5本とも原則として行わない方針です。新興国株式では、為替の変動は避けにくいリスクと考えておきましょう。
インデックスファンドの仕組みと、ベンチマークやコストを踏まえた選び方の基本は、こちらの記事で分かりやすくまとめています。
新興国株式とNISA・税金の扱い
新興国株式インデックスファンドの税金の扱いは、買う口座によって異なるため注意が必要です。NISAと、特定口座などの課税口座の違いを確認しておきましょう。
NISAのつみたて投資枠・成長投資枠で買える
NISAは、つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円で、合わせて年間360万円まで投資できます。非課税で保有できる上限は簿価で生涯1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)で、期間は無期限です。比較表の5本は、いずれも両方の枠で購入できます。
注意したいのは、NISA口座で生じた損失は「ないもの」とみなされる点です。値動きの大きい新興国株式で損失が出ても、特定口座や一般口座の利益と損益通算したり、翌年以降に繰り越したりはできません。
NISAの2つの投資枠と非課税の仕組み、対象外の商品は、こちらの記事で詳しく解説しています。
課税口座の場合:売却益・分配金に20.315%
課税口座で投資信託を売却して利益が出た場合は、所得税15%・住民税5%に復興特別所得税を加えた20.315%が課税されます。分配金(普通分配金)も原則として同じ税率で源泉徴収される仕組みです。また、ほかの上場株式等との損益通算や損失の繰越控除を使える点がNISAとの違いです。
外国資産に投資する投資信託が2020年1月1日以降に支払う分配金には、外国で納めた税との二重課税の調整が自動的に適用されます。ただしNISA口座では国税分が非課税のため、この調整の対象外です。
外国株式やETFを直接持つ場合の配当にかかる外国の税金と、確定申告で二重課税を調整する外国税額控除の手順は、こちらの記事で整理しています。投資信託の場合とは扱いが異なる点にご注意ください。
出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
出典:国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
出典:日本取引所グループ「証券税制・二重課税調整(外国税額控除)について」
前提別に見た新興国株式の判断の目安
新興国株式を加えるかどうかに、誰にでも当てはまる正解はありません。今持っている商品や投資期間、値動きへの耐性といった前提条件によって、ポートフォリオ全体で合理的になり得る選択肢が変わります。
| 前提 | 合理的になり得る選択肢 | 確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| 全世界株式(MSCI ACWI連動)をすでに持っている | 追加せず、全世界株式の中の約12%に任せる | 上乗せする場合、新興国と台湾・半導体関連の比率がどこまで上がるか |
| 先進国株式やS&P500のファンドだけを持っている | 全世界株式への切り替えや、新興国株式を少額加えることを比べる | 米国への集中を下げたいのか、リターンを狙いたいのか、目的 |
| 5〜10年以内に使う予定のお金で運用している | 新興国株式の比率を抑える、または加えない(預貯金や債券など値動きの小さい資産との配分も見直す) | 最大65.25%の下落を経験した資産を、使う時期までに回復を待てるか |
| 投資期間が長く、下落時も積立を続けられる | 比率を決めて積み立て、定期的にリバランスする | 比率をいつ、どの水準で元に戻すかのルール |
| 為替の変動をなるべく避けたい | 新興国株式は為替の影響を避けにくい資産と理解したうえで、比率を抑える | 為替ヘッジありのファンドの有無とヘッジコスト |
| インドなど特定の国の成長に注目している | 新興国株式インデックスで国の分散を保つか、単一国のファンドで集中するかを比べる | 単一国のファンドは国・業種の集中度がさらに高くなること |
※編集部作成。個別の状況によって合理的な選択肢は異なり、特定の商品や配分を推奨するものではありません。
まず確かめたいのは1行目と2行目、つまり今持っている商品に新興国株式がどれだけ含まれているかです。そのうえで投資期間と下落への耐性から、比率を上げる余地があるかを考えると判断を進めやすくなります。
S&P500だけに投資するリスクと、全世界株式との違いは、こちらの記事でデータをもとに検証しています。
全世界株式に新興国株式を上乗せした場合の比率(編集部試算)
全世界株式(MSCI ACWI連動)に新興国株式インデックスを加えると、資産全体に占める新興国の比率がどう変わるかを試算しました。
| 全世界株式:新興国株式 | 資産全体に占める新興国株式の比率 | うち台湾の比率 |
|---|---|---|
| 100:0 | 約12.0% | 約3.5% |
| 90:10 | 約20.8% | 約6.0% |
| 80:20 | 約29.6% | 約8.6% |
| 70:30 | 約38.4% | 約11.1% |
※編集部試算(2026年10月)。MSCI ACWIの時価総額に占める新興国の割合(約11.96%)と、MSCIエマージング・マーケット・インデックスの台湾の構成比率(28.94%)をもとに計算しています。株価の動きによって比率は日々変わります。
全世界株式80%・新興国株式20%にすると、新興国の比率は時価総額の比率の約2.5倍になります。「10〜20%程度」といった目安を見かけても、上乗せする比率なのか、資産全体に占める比率なのかで意味は大きく異なります。配分を決める前に、資産全体で新興国が何%になるかを計算しておくと安心です。
自分がどの程度の値下がりまで耐えられるかは、リスク許容度を5つの視点で確かめるこちらの記事を参考にしてください。
資産全体の配分の決め方と年代別の目安は、こちらの記事でまとめています。
この記事のまとめ
新興国株式は、先進国とは異なる国や企業に投資できる一方、国・業種の偏りや大きな値動き、為替・政治リスクを伴います。過去のリターンは比較期間によって評価が変わり、成長期待だけで投資するのは適切ではありません。
また、全世界株式にはすでに新興国が含まれているため、追加投資が分散の強化につながるとは限りません。まずは保有ファンドの構成比率を確認し、投資期間やリスク許容度を踏まえて新興国株式の目標比率を考えましょう。購入する場合は、連動指数と実質コスト、NISAの対象区分を比較して選ぶことが大切です。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
関連する専門用語
MSCIエマージング・マーケット指数
MSCIエマージング・マーケット指数とは、アメリカの指数提供会社MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表している、新興国市場全体の株式の動向を示す株価指数です。英語では「MSCI Emerging Markets Index」と呼ばれ、世界の新興国に投資する際の代表的なベンチマークとして使われています。 この指数には、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、台湾など20数カ国の上場企業が含まれており、それぞれの国の時価総額に応じて構成比率が決められています。投資家はこの指数に連動するETFや投資信託を通じて、分散された新興国株式への投資が可能です。新興国は成長性が期待される一方で、政治・経済の不安定さや通貨リスクなどもあるため、この指数は投資対象としての魅力とリスクの両面を把握するための指標となっています。
S&P500指数
S&P500指数とは、アメリカの代表的な株価指数の一つで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出しています。米国を代表する主要企業500社の株価をもとに構成されており、テクノロジー、金融、ヘルスケアなど幅広い業種が含まれるのが特徴です。 この指数は、米国株式市場全体の動向を示す指標として世界中の投資家に注目されており、投資信託やETF(上場投資信託)のベンチマークとしても広く活用されています。「アメリカ経済の健康状態を測る体温計」とも言われる、非常に重要な指標です。
シャープレシオ
金融商品の運用成績を測るための指標のひとつで、単純なリターンではなく、そのリターンを得るためにどのくらいのリスクを取っているかを計測したもの。 月次リターンのバラつきを示す標準偏差をリスク尺度として、負担したリスク1単位あたりの収益効率性をみるための指標。 数値の大きい方が効率よく運用されていることを示す。 ポートフォリオのリターン、標準偏差、無リスク資産の収益率で計算、具体的に以下の計算式で求められる。 (ファンドの平均リターン-安全資産利子率)÷標準偏差
ボラティリティ
ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。
流動性リスク
流動性リスクとは、資産を売却したいときに市場で買い手が見つからず、希望する価格で売却できないリスクのことを指します。特に市場が混乱した場合や、取引量の少ない資産では、このリスクが顕著になります。例えば、不動産や未上場株式、流動性の低い債券などは、売却に時間がかかることが多く、想定よりも低い価格での取引を余儀なくされる場合があります。金融機関や企業にとっては、必要な資金を調達できずに支払いが滞る可能性があることを意味し、経済危機や市場の急激な変動時には特に注意が必要です。投資ポートフォリオを構築する際には、資産の換金しやすさを考慮し、現金や流動性の高い資産とのバランスを取ることが重要とされます。
コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスとは、企業が経営を適切に行い、株主をはじめとする利害関係者(ステークホルダー)に対して責任ある経営を果たすための仕組みのことを指します。直訳すると「企業統治」で、企業の経営陣が独断的な行動を取らず、透明性のある判断を行うように監視・制御する体制全般を意味します。 たとえば、社外取締役の設置、内部統制の整備、情報開示の充実、株主の意見を反映させる仕組みなどがコーポレートガバナンスの具体的な取り組みにあたります。これにより、不正や粉飾決算の予防、長期的な企業価値の向上、投資家からの信頼獲得が期待されます。 資産運用の観点からは、コーポレートガバナンスがしっかりしている企業は、経営の安定性や成長性が高く、長期的に投資対象として魅力があると判断されやすいため、重要な評価項目の一つとなっています。特にESG投資や株主アクティビズムの広がりの中で、その重要性は年々高まっています。







