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新興国株式がおすすめしないと言われる6つの理由とは?インデックスや投資信託でリスクを抑える方法と共に徹底解説

新興国株式がおすすめしないと言われる6つの理由とは?インデックスや投資信託でリスクを抑える方法と共に徹底解説

執筆者:

公開:

2025.08.12

更新:

2025.08.12

新興国株式外国株式株式

新興国株式は、中国やインドなど経済成長が著しい国々の株式で、投資家にとって高い成長性が魅力です。ただ、直近30年(1995年8月〜2025年7月)の年率リターンは5.6%にとどまり、同期間の米国株(S&P500)の10.3%を大きく下回りました。背景には、新興国通貨の下落やインフレによるドル建てリターンの目減り、政治・規制リスク、信託報酬の高さなどが挙げられます。本記事では、こうした実績とリスク要因を整理し、新NISA制度を活用した最適な投資配分の考え方を解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むと、新興国株式の過去30年間の実績リターンが米国株より約5%低かった背景を理解できます。また、中国やインドをはじめとする主要国の構成比率や、為替・政治リスク、手数料など具体的な懸念点も明確になり、漠然とした不安が整理されます。そのうえで、新NISAの「成長投資枠」やiDeCoを活用して、新興国株式を資産の一部に取り入れる適正な配分や戦略が分かり、自信を持って投資判断を行えるようになります。

目次

新興国株式とは?高い成長期待と、先進国に劣るリターンの実態

「新興国」の定義とは?高成長への期待と潜在的なリスク

代表指数「MSCIエマージング・マーケット」で見る市場の全体像

新興国株式への投資はおすすめしないと言われる6つの理由

理由1:米国株に比べ、過去のリターンが大きく見劣りする

理由2:市場が未成熟で、価格変動リスクが高い

理由3:突然の規制や紛争も起こりうる「カントリーリスク」

理由4:通貨安による「為替リスク」で利益が目減りする

理由5:先進国インデックスより手数料(信託報酬)が割高

理由6:情報収集が難しく、適切な投資判断が困難

リスクを理解した上で投資するなら知っておきたい3つの魅力

魅力1:将来の大きな成長による値上がり益への期待

魅力2:ポートフォリオ全体のリスクを抑える分散効果

魅力3:割安な株価と、相対的に高い配当利回り

新NISA・iDeCoで新興国株式に投資する具体的な方法と配分例

新NISAでの活用法:「成長投資枠」でサテライト的に買い増すのが基本戦略

iDeCoでの活用法:選べる商品は限定的、全世界株式での代替も視野に

新興国株式とは?高い成長期待と、先進国に劣るリターンの実態

新興国株式投資は、高い経済成長への期待から魅力的に見えます。しかし、その実態はどうでしょうか。この章ではまず「新興国」の定義や市場全体を示す代表的な指数を解説します。あわせて、過去のリターンが期待ほどではなかった事実も確認し、投資を判断するための基礎知識を整理します。

「新興国」の定義とは?高成長への期待と潜在的なリスク

「新興国株式」とは、その名の通り、新興国(エマージング諸国)に籍を置く企業の株式を指します。明確な国際基準があるわけではありませんが、一般的に「先進国に比べて経済水準はまだ低いものの、高い成長可能性を秘めた国々」と理解されています。

現在、一般的に新興国と呼ばれるのは、中国、インド、東南アジア諸国、中南米諸国などです。東欧や中東、アフリカ南部といった、日本や米欧などの先進国以外の広範な国々も含まれます。世界的な株価指数の開発元であるMSCI社の定義では、ブラジル、韓国、台湾、南アフリカ、サウジアラビアといった国々も「エマージング市場」にあたります。(なお、ロシアはかつて代表的な新興国でしたが、地政学リスクの高まりを受け、現在では主要な指数から除外されています)。

新興国の多くは経済発展の途上にあり、若年層の人口が多いことから、将来の高い経済成長が期待されています。その一方で、政治や社会の体制が不安定であったり、インフラや法制度が未整備であったりするケースも少なくありません。この点が、後ほど解説する投資上のリスクにもつながります。

代表指数「MSCIエマージング・マーケット」で見る市場の全体像

新興国株式市場全体の動向を把握するために広く使われるのが、代表的な株価指数である「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」です。この指数は米MSCI社が算出しており、現在24カ国の大型株・中型株、約1,200銘柄以上で構成されています。

各国の株式市場の時価総額の約85%をカバーしており、新興国市場全体の動向を測るベンチマーク(基準)として世界中の投資家に利用されています。

例えば、2025年時点の指数構成国を見ると、中国の比率が約30%と最も大きく、次いで台湾(約15%)、インド(約12%)、韓国(約12%)と続きます。これは、指数全体がこれらの国々の経済状況に大きく影響されることを意味します。産業分野(セクター)も金融、IT、素材、エネルギーなど10種類以上に分散されています。

この指数に連動する投資信託などを利用すれば、個人でも手軽に新興国全体へ幅広く分散投資できるという利点があります。

ちなみに、世界全体の株式市場において新興国株式が占める割合は、時価総額ベースでおおよそ10〜12%程度です。この比率は、自身の資産配分を考える上での一つの参考になります。

インデックスについては以下記事で詳しく解説しています。

新興国株式への投資はおすすめしないと言われる6つの理由

昨今インド株式市場の好調さなどが話題になる一方で、「新興国株式への投資は初心者にはおすすめしない」という声も根強く聞かれます。なぜ成長期待のある新興国株式が敬遠されるのか、その背景には複数のリスク要因や過去の実績の低迷があります。

理由1:米国株に比べ、過去のリターンが大きく見劣りする

第一の理由は、過去の運用実績(リターン)が先進国株式、とりわけ米国株式に劣後している点です。この背景には、過去のデータと新興国特有の構造的な問題があります。

データで見る、米国株に劣る過去のパフォーマンス

長期リターンでは依然として米国株(S&P500)が優勢ですが、リーマンショック前のピーク(2007年末)から2024年末までのEEM価格ベース累積リターンは+4%程度と、ようやくプラス圏へ浮上しました(配当除く)。2024年は+4%(年率)と小幅ながら2年連続で上昇しており、過去15年続いた「横ばい〜マイナス局面」からの回復がうかがえます。それでも同期間のS&P500累積が+180%超である点を踏まえると、相対的な見劣りは依然として大きく、リスク・リターン特性を理解した上での投資判断が不可欠です。

S&Pなど代表的な海外株式インデックスについての解説は以下記事をご参照ください。

なぜ経済成長が株価上昇に直結しないのか

新興国株のリターンが伸び悩む背景として、経済成長が必ずしも株価上昇に結びつかない構造も指摘されています。多くの新興国では、政府による産業規制や国有企業の存在、配当を抑制する政策などにより、企業の利益が株主に十分還元されにくい傾向があるためです。言い換えれば、国家主導の経済運営のもとでは企業活動が株主利益を最優先しない場合も多く、高いGDP成長率がそのまま株価の上昇につながるとは限りません。この「成長と株価の不一致」は、新興国投資の難しさの一つです。

理由2:市場が未成熟で、価格変動リスクが高い

第二の理由は、市場の未成熟さから生じるリスクです。具体的には「ボラティリティ」と「流動性」の二つの側面から解説します。

大きな価格変動に耐える必要がある「ボラティリティの高さ」

ボラティリティとは「価格変動の振れ幅」のことで、これが高い市場では価格が乱高下しやすくなります。新興国は経済や政治が不安定な局面も多く、短期間で数十%単位の上下動も珍しくありません。大きな利益の可能性がある一方、急落による多額の損失リスクも常に伴います。初心者にとっては、この値動きの激しさに精神的に耐えるのが難しい場合があります。

売りたい時に売れない「流動性リスク」

流動性とは「市場での売買のしやすさ(現金化のしやすさ)」を指します。新興国市場は参加者が限定的で、先進国市場に比べて流動性が低い傾向にあります。これにより、売りたい時に買い手が見つからず、希望するタイミングや価格で売却できない恐れがあります。特に金融危機などの混乱期には、売るに売れない事態も起こり得ます。

理由3:突然の規制や紛争も起こりうる「カントリーリスク」

第三の理由は、カントリーリスクの高さです。これは、投資先の国や地域の政治・経済・社会情勢の変化によって資産価値が損なわれるリスクを指します。新興国では、このリスクが先進国以上に顕在化しやすくなります。

政治・経済・社会情勢の急変

新興国では、政権交代による突然の政策変更、外資規制の強化、ハイパーインフレや通貨暴落といった経済危機、さらには紛争やテロといった社会不安が起こる可能性があります。1997年のアジア通貨危機のように、一度リスクが表面化すると経済に甚大な被害が及ぶことがあります。

法制度や企業統治(ガバナンス)の未熟さ

法制度や企業統治(コーポレートガバナンス)のレベルが十分でない場合が多いのもリスクです。企業の財務情報や統計データの信頼性が低かったり、会計不正や情報隠しが起こったりする可能性も先進国より高まります。こうした環境では、投資家が安心して長期投資を行うことは困難です。

理由4:通貨安による「為替リスク」で利益が目減りする

第四の理由は、為替変動のリスクです。日本から新興国株式に投資する場合、円と現地通貨の為替レートの変動が最終的なリターンに大きく影響します。特に新興国通貨は、自国の高インフレなどの影響で、長期的に円に対して価値が下落しやすい傾向があります。 仮に現地通貨建ての株価が上昇しても、それ以上に円高・現地通貨安が進んでしまえば、円に換算したリターンは相殺され、目減りしてしまいます。例えば、過去20年でインドルピーは対円で大幅に下落しました。「現地では儲かっているのに、円に戻したら増えていない」という事態は、新興国投資では頻繁に起こり得るのです。

理由5:先進国インデックスより手数料(信託報酬)が割高

第五の理由は、コスト面の不利です。一般に、新興国株式に投資する投資信託やETFは、先進国株式に投資する商品に比べて運用コスト(信託報酬)が割高な傾向にあります。 このコスト差は、長期の複利運用ではリターンに大きく影響します。近年は「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」のように信託報酬が年0.1%台の低コストな商品も登場し、コスト面の不利は縮小しつつあります。しかし、無頓着に商品を選ぶと、依然として高コストな商品を選んでしまい、コスト負けする可能性がある点には注意が必要です。

理由6:情報収集が難しく、適切な投資判断が困難

第六の理由は、情報面でのハンディです。投資判断には適切な情報収集が不可欠ですが、新興国についてはこのハードルが高くなります。

そもそも情報が少ない、言語の壁がある

新興国企業に関する詳細な情報は、日本語はもちろん英語ですら乏しい場合があります。現地のニュースや企業が開示する資料が現地語のみというケースも多く、個人投資家が内容を正確に把握するのは容易ではありません。

開示される情報自体の信頼性が低い

前述のように、企業統治や会計基準が未熟な国では、開示される情報自体の信頼性に疑問符が付くこともあります。データが意図的に操作されていたり、不都合な情報が隠されたりする可能性も否定できず、これも投資判断を難しくする要因です。

リスクを理解した上で投資するなら知っておきたい3つの魅力

ここまで新興国株式のデメリットを中心に解説しましたが、「では新興国株式には全く良いところがないのか?」というと、決してそうではありません。新興国株式への投資には、新興国ならではの魅力やメリットも存在します。リスクを理解した上であえて投資する意義がどこにあるのか、主なポイントを解説します。

魅力1:将来の大きな成長による値上がり益への期待

第一に挙げられる魅力は、やはり長期的な経済成長に伴う企業価値の向上、つまり株価の値上がり益を享受できる可能性です。新興国は人口増加や産業発展の「伸びしろ」が大きく、長い目で見れば先進国より高い経済成長率が期待できる国が多いとされています。

事実、かつて新興国と呼ばれた日本は1950〜70年代に高度経済成長を遂げ、先進国の仲間入りを果たしました。その過程でトヨタやソニーといった世界的企業が生まれ、日本株式市場も大きく拡大しました。同様に、現在の中国やインド、東南アジア諸国なども、将来飛躍的な経済成長を遂げる潜在力を秘めていると言われます。新興国株式への投資は、こうした「未来の成長」を先取りできる点が大きな魅力です。

ただし、経済成長の恩恵が企業利益や株価に反映されるまでには時間がかかります。一時的な景気後退や政策の停滞も起こり得るため、新興国投資で成果を得るには、短期的な値動きに一喜一憂しない長期的な視点が不可欠です。

魅力2:ポートフォリオ全体のリスクを抑える分散効果

次に、分散投資の観点からのメリットが挙げられます。新興国株式は、先進国株式とは異なる経済圏や通貨圏に属する資産です。そのため、自身の資産(ポートフォリオ)に組み入れることで、リスクの分散効果を高めることができます。

特に、資産が日本や米国といった特定の市場に偏っている場合、新興国株式を一部加えることで投資先の地域が広がり、ポートフォリオ全体のバランスが改善します。例えば、米国株と新興国株は必ずしも同じように値動きするわけではないため、ある市場が不調な時に、他の市場の好調さで補うといった効果が期待できるのです。

また、資源価格が上昇する局面では、資源国が多い新興国の株式市場が相対的に堅調になるなど、先進国とは異なるサイクルで動くこともあります。

もちろん、近年はグローバル化の進展で世界中の市場の連動性が高まっており、分散効果は以前より限定的との指摘もあります。それでも、特定の国に資産を集中させるリスクを避け、予測不能な事態に備えるという点で、新興国株式への投資は依然として有効な選択肢の一つです。

ポートフォリオ管理の重要性については以下の記事で詳しく解説しています。

魅力3:割安な株価と、相対的に高い配当利回り

三つ目の魅力は、株価の割安さです。新興国株式は、先進国株式に比べて株価評価が抑えられ、割安な水準で取引されているケースが多く見られます。

例えば、株価の割安度を測る代表的な指標であるP/E(株価収益率)を比較すると、MSCIエマージング市場は約14.7倍に対し、MSCIワールドは23.7倍と先進国株式の方が依然割高です(いずれも2025年7月24日時点、URTH/EEMベース)。配当利回りは新興国が概ね2.5〜2.7%で、先進国の1.5%前後より高い水準が続いています。

もちろん「割安だから必ず上がる」わけではありませんが、低い株価評価は将来の値上がり余地が大きいと捉えることもできます。また、高い配当利回りは、株価が上がらない時期でも安定した収益(インカムゲイン)をもたらしてくれます。

このように、新興国株式には「まだ評価されていない割安な株を仕込む」という投資や、「配当収入を目的とする」投資の対象としての魅力があります。ただし、企業の財務健全性や配当政策は国によって大きく異なるため、投資先の吟味は欠かせません。

新NISA・iDeCoで新興国株式に投資する具体的な方法と配分例

最後に、日本の税制優遇制度であるNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)において、新興国株式をどのように活用できるか、その位置付けと具体的な配分例を解説します。税制メリットを活かしつつ、リスクの高い新興国株式と上手に付き合うポイントを見ていきましょう。

新NISAでの活用法:「成長投資枠」でサテライト的に買い増すのが基本戦略

2024年から拡充された新NISAは、年間投資枠が大幅に増え、非課税保有期間も無期限化されたことで、長期の資産形成に非常に適した制度となりました。運用で得られた利益が非課税になるため、将来大きなリターンが期待できる新興国株式との相性は良いと言えます。

一方で、NISA口座の損失は他の課税口座の利益と相殺(損益通算)ができないという側面もあります。そのため、新興国株のような価格変動の大きい資産で損失が出た場合、税制上の恩恵を受けられないデメリットも考慮しなくてはなりません。

この点を踏まえた具体的な活用法としては、2つのアプローチが考えられます。

一つは、全世界株式ファンド(オールカントリー)をNISAで積み立てる方法です。これならポートフォリオの中に自動的に約1割の新興国株式が含まれるため、手間なく国際分散投資と非課税メリットを両立できます。初心者の方には、まずこの方法が手堅いでしょう。

もう一つは、より新興国比率を高めたい場合の戦略です。NISAの「成長投資枠」を使い、新興国株インデックスファンドを補助的(サテライト)に買い増し、先進国株ファンドと組み合わせて自分好みの比率に調整します。例えば「先進国株80%:新興国株20%」といったポートフォリオを組むことも可能です。

NISAについては以下記事で詳しく解説しています。

iDeCoでの活用法:選べる商品は限定的、全世界株式での代替も視野に

iDeCo(イデコ)は、掛金が全額所得控除になるなど強力な節税メリットがある老後資金作りのための制度です。原則60歳まで引き出せないため、長期運用が前提となる新興国株式とも相性の良い制度です。iDeCoで選べる金融商品の中に、新興国株式インデックスファンドが用意されていることも多く、希望すればポートフォリオに組み入れられます。

iDeCoで活用する際のポイントは、年齢やリスク許容度に応じた適切な配分です。30代など運用期間を長く取れる場合は、ポートフォリオの5〜10%程度を目安に新興国株式を加え、将来のリターンを狙う選択肢があります。一方、50代に近づき運用期間が短くなってきたら、新興国株の比率を減らして安定資産の割合を増やすなど、ゴールを見据えたリスク調整が重要になります。

iDeCoは金融機関によって選べる商品が異なるため、口座を開設する前にラインアップを確認しましょう。もし新興国株式ファンドがなければ、全世界株式ファンドや、商品によっては新興国株を含むバランス型ファンドで代替することも可能です。配分に迷う場合は、こうしたバランス型ファンドに任せるのも賢明な方法です。

この記事のまとめ

新興国株式への投資は、成長性が期待される一方、為替変動や政治リスク、手数料コストといった注意点があります。特に過去30年間の運用成績が米国株に大きく劣後している点は、冷静に捉える必要があるでしょう。そのため、新NISAやiDeCoを活用し、資産全体の10~20%程度を上限に先進国株式と組み合わせることで、リスクを抑えつつ安定的な成長を狙うのがおすすめです。不安な場合は、専門家と相談しながら進めましょう。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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MSCIエマージング・マーケット指数とは、アメリカの指数提供会社MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表している、新興国市場全体の株式の動向を示す株価指数です。英語では「MSCI Emerging Markets Index」と呼ばれ、世界の新興国に投資する際の代表的なベンチマークとして使われています。 この指数には、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、台湾など20数カ国の上場企業が含まれており、それぞれの国の時価総額に応じて構成比率が決められています。投資家はこの指数に連動するETFや投資信託を通じて、分散された新興国株式への投資が可能です。新興国は成長性が期待される一方で、政治・経済の不安定さや通貨リスクなどもあるため、この指数は投資対象としての魅力とリスクの両面を把握するための指標となっています。

S&P500指数

S&P500指数とは、アメリカの代表的な株価指数の一つで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出しています。米国を代表する主要企業500社の株価をもとに構成されており、テクノロジー、金融、ヘルスケアなど幅広い業種が含まれるのが特徴です。 この指数は、米国株式市場全体の動向を示す指標として世界中の投資家に注目されており、投資信託やETF(上場投資信託)のベンチマークとしても広く活用されています。「アメリカ経済の健康状態を測る体温計」とも言われる、非常に重要な指標です。

シャープレシオ

金融商品の運用成績を測るための指標のひとつで、単純なリターンではなく、そのリターンを得るためにどのくらいのリスクを取っているかを計測したもの。 月次リターンのバラつきを示す標準偏差をリスク尺度として、負担したリスク1単位あたりの収益効率性をみるための指標。 数値の大きい方が効率よく運用されていることを示す。 ポートフォリオのリターン、標準偏差、無リスク資産の収益率で計算、具体的に以下の計算式で求められる。 (ファンドの平均リターン-安全資産利子率)÷標準偏差

ボラティリティ

ボラティリティは、投資商品の価格変動の幅を示す重要な指標であり、投資におけるリスクの大きさを測る目安として使われています。一般的に、値動きが大きい商品ほどそのリスクも高くなります。 具体的には、ボラティリティが大きい商品は価格変動が激しく、逆にボラティリティが小さい商品は価格変動が穏やかであることを示します。現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差という統計的手法で数値化し、それを商品のリスク度合いとして評価するのが一般的です。このため、投資判断においては、ボラティリティの大きい商品は高リスク、小さい商品は低リスクと判断されます。

流動性リスク

流動性リスクとは、資産を売却したいときに市場で買い手が見つからず、希望する価格で売却できないリスクのことを指します。特に市場が混乱した場合や、取引量の少ない資産では、このリスクが顕著になります。例えば、不動産や未上場株式、流動性の低い債券などは、売却に時間がかかることが多く、想定よりも低い価格での取引を余儀なくされる場合があります。金融機関や企業にとっては、必要な資金を調達できずに支払いが滞る可能性があることを意味し、経済危機や市場の急激な変動時には特に注意が必要です。投資ポートフォリオを構築する際には、資産の換金しやすさを考慮し、現金や流動性の高い資産とのバランスを取ることが重要とされます。

カントリーリスク

カントリーリスクとは、ある国に関連した投資やビジネスを行う際に、その国特有の事情によって損失が生じるおそれのあるリスクのことをいいます。たとえば、政権交代や政治不安、戦争、法制度の変更、為替の急変、債務不履行(デフォルト)など、その国の経済的・政治的な状況によって投資の価値が大きく変動する可能性があります。 特に新興国では、このリスクが高いとされ、投資する際には慎重な情報収集と判断が必要です。カントリーリスクは個別企業の経営状況とは関係なく、その国全体の事情によって発生するため、海外投資や国際分散投資において注意すべき重要な要素です。

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスとは、企業が経営を適切に行い、株主をはじめとする利害関係者(ステークホルダー)に対して責任ある経営を果たすための仕組みのことを指します。直訳すると「企業統治」で、企業の経営陣が独断的な行動を取らず、透明性のある判断を行うように監視・制御する体制全般を意味します。 たとえば、社外取締役の設置、内部統制の整備、情報開示の充実、株主の意見を反映させる仕組みなどがコーポレートガバナンスの具体的な取り組みにあたります。これにより、不正や粉飾決算の予防、長期的な企業価値の向上、投資家からの信頼獲得が期待されます。 資産運用の観点からは、コーポレートガバナンスがしっかりしている企業は、経営の安定性や成長性が高く、長期的に投資対象として魅力があると判断されやすいため、重要な評価項目の一つとなっています。特にESG投資や株主アクティビズムの広がりの中で、その重要性は年々高まっています。

為替リスク

為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。

信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。

ポートフォリオ

ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。

PER(株価収益率)

PER(株価収益率)は、企業の株価がその企業の利益と比較して割安か割高かを判断するための指標です。計算方法は「株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)」で求められ、数値が低いほど利益に対して株価が割安であることを示します。ただし、業界ごとの平均PERが異なるため、他の企業や市場全体と比較して判断することが重要です。PERが高い場合は将来の成長期待が大きいと解釈されることもありますが、過大評価されている可能性もあるため注意が必要です。

配当利回り

配当利回りは、株式を1株保有したときに1年間で受け取れる配当金が株価の何%に当たるかを示す指標です。計算式は「年間配当金÷株価×100」で、株価1,000円・配当40円なら4%になります。 指標には、実際に支払われた金額で計算する実績利回りと、会社予想やアナリスト予想を用いる予想利回りの2種類があります。株価が下がれば利回りは見かけ上上昇するため、高利回りが必ずしも割安や安全を意味するわけではありません。 安定配当の見極めには、配当性向が30~50%程度であること、フリーキャッシュフローに余裕があることが重要です。また、権利付き最終日の翌営業日には理論上配当金相当分だけ株価が下がる「配当落ち」が起こります。 日本株の配当は通常20.315%課税されますが、新NISA口座内で受け取る配当は非課税です。配当利回りは預金金利や債券利回りと比較でき、インカム収益を重視する長期投資家が銘柄や高配当ETFを選ぶ際の判断材料となります。

インカムゲイン(インカム)

インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。

NISA

NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。

成長投資枠

新NISAにおける成長投資枠とは、個別株や投資信託などの成長性の高い投資商品を購入できる非課税枠のことです。2024年に始まった新NISA制度では、年間最大240万円、累計1,200万円まで投資が可能で、売却しても枠が復活しない「一生涯の上限額」が設定されています。 成長投資枠では、主に上場株式やETF、アクティブ型の投資信託などが対象となり、比較的リスクを取りながら資産を増やしたい投資家向けの仕組みになっています。一方で、レバレッジ型や一部の毎月分配型投資信託など、一部のリスクが高い商品は対象外となるため注意が必要です。 つみたて投資枠と併用でき、両方を活用すれば年間最大360万円の投資が可能です。成長投資枠を活用することで、中長期的な資産形成を非課税で行うことができ、売却益や配当金に税金がかからないため、資産を効率的に増やす手段となります。

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

損益通算

投資で発生した利益と損失を相殺することで、課税対象となる利益を減らす仕組みのことです。たとえば、株式投資で50万円の利益が出た一方、別の取引で30万円の損失が発生した場合、損益通算を行うことで、課税対象となる利益は50万円から30万円を引いた20万円になります。この仕組みにより、納める税金を減らすことが可能です。 損益通算が適用されるのは、同じ「所得区分」の中でのみです。たとえば、株式や投資信託の譲渡損益や配当金などは「株式等の譲渡所得等」に分類され、この範囲内で損益通算が可能です。ただし、不動産所得や給与所得など、異なる所得区分間では基本的に通算できません。 さらに、株式投資の損失は、損益通算後も控除しきれない場合、翌年以降最長3年間繰り越して他の利益と相殺できます。これを「繰越控除」と呼び、投資初心者にとっても節税に役立つ重要なポイントです。

全世界株式ファンド

全世界株式ファンドとは、世界中の株式市場に分散して投資を行う投資信託のことです。日本や米国といった先進国だけでなく、新興国も含めた幅広い国や地域の企業の株式に投資することで、一つの国や地域の経済状況に左右されにくくなります。個別の株を選ぶ必要がなく、一つのファンドで世界経済全体の成長を取り込めるため、長期的な資産形成を目指す方に向いています。また、為替や国ごとの景気動向によるリスクを分散できる点も特徴です。

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