債券型投信・ETFの利点と欠点はなんでしょうか?
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2025/06/07 17:48
男性
40代
個別債券より手軽とされる債券型投信やETFは、満期がなく価格変動リスクが残ると聞きます。長期安定運用を目指す初心者にとって、本当に安全で使いやすい選択肢なのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
債券型投資信託・ETFは、国債や社債を数十〜数千銘柄に分散して運用するため、個別債券の信用調査や売買手続きを自分で行う手間を大幅に省けます。ネット証券なら100円前後の少額から購入でき、ETFであれば株式と同様に市場取引時間中にいつでも売買できるので現金化しやすい点も魅力です。加えて、国内主要商品の信託報酬は年0.1〜0.5%程度と比較的低水準に抑えられ、個人で同じ銘柄数を保有するより取引コストを大きく節約できます。
一方で注意点もあります。まず、債券型投信・ETFには満期がなく、金利上昇局面では保有債券の価格が下落するため、必要時に売却すると元本割れするリスクがあります。特に連動指標のデュレーションが長いほど金利感応度が高まり、価格変動幅が大きくなるので、運用期間と金利見通しに合う商品を選ぶことが肝心です。また、為替ヘッジがない外国債券型では円高になると基準価額が目減りします。さらに、信託報酬や売買手数料は利回りを直接押し下げるため、似た運用方針なら低コストの商品を優先しましょう。分配金については「毎月」「年1回」「全額再投資」など方針が分かれるため、定期収入を期待する場合は支払頻度と分配原資に注意が必要です。
このように債券型投信・ETFは、少額から広く分散しやすい手軽さと流動性が長所であり、個別債券より管理負担が小さい点で初心者に向いています。ただし、価格変動・為替・コスト・分配方針といった欠点やリスクを理解し、自分の運用目的と期間に合った商品を選択することが、長期安定運用を実現するための鍵となります。
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投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。
国債
発行体が各国中央政府の債券を国債といいます。発行目的や利払い方式などで種類が分別されます。中央政府に資金需要が発生した際に、国債を発行して資金の調達を行うことがあります。 投資家は国債を購入することで、発行体である中央政府へ資金を提供し、その見返りとして半年に1回などのペースで、中央政府から利子を受け取ります。償還期限までに中央政府の財政が悪化するなど、債務が履行されない状況に陥らなければ、満期には額面どおりの金額が投資家へ償還される仕組みです。 国債には、固定利付国債、変動利付国債、物価連動国債などがあります。
社債
社債とは、企業が事業資金を調達するために発行する「借金の証書」のようなものです。投資家は社債を購入することで企業にお金を貸し、その見返りとして、あらかじめ決められた利息(クーポン)を一定期間ごとに受け取ることができます。満期が来れば、企業は投資家に元本を返済します。 銀行からの融資とは異なり、社債は不特定多数の投資家から直接資金を集める方法であり、企業にとっては柔軟かつ効率的な資金調達手段です。 投資家にとって社債の魅力は、株式に比べて価格の変動が小さく、定期的な利息収入が得られる点にあります。一方で、発行体である企業が経営破綻した場合、元本が戻らないリスクがあるため、信用格付けや業績などを十分に確認することが重要です。 安定的な収益を目指しつつ、リスク管理も重視する投資家にとって、社債はポートフォリオの中核を担いうる資産クラスのひとつです。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
元本割れ
元本割れとは、投資で使ったお金、つまり元本(がんぽん)よりも、最終的に戻ってきた金額が少なくなることをいいます。たとえば、100万円で投資信託を購入したのに、解約時に戻ってきたのが90万円だった場合、この差額10万円が損失であり、「元本割れした」という状態です。 特に、価格が変動する商品、たとえば株式や投資信託、債券などでは、将来の価格や分配金が保証されているわけではないため、元本割れのリスクがあります。「絶対に損をしたくない」と考える方にとっては、このリスクを正しく理解することがとても重要です。金融商品を選ぶときには、利回りだけでなく元本割れの可能性も十分に考慮しましょう。