S&P500に投資する場合、ETFと投資信託のどっちを選ぶべきでしょうか?
S&P500に投資する場合、ETFと投資信託のどっちを選ぶべきでしょうか?
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2025/10/22 09:04
男性
30代
S&P500に連動する商品がたくさんありますが、ETFと投資信託の違いがよくわかりません。どちらを選ぶと効率的に資産を増やせるのか、手数料や運用のしやすさ、税金面なども含めて教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
毎月コツコツ積み立てて「ほったらかしで増やしたい」人は投資信託、まとまった資金で一括投入したい人やリアルタイム売買・最安級コストを重視する人はETFが向きます。
投資信託の強みは、使い勝手と複利の効率性です。100円程度からの自動積立ができ、約定は1日1回の基準価額なので板やスプレッドを気にせず続けられます。無分配や自動再投資が主流で課税を繰り延べながら複利を効かせやすく、為替処理もファンド内で完結します。
ただし、指値や逆指値で機動的に動けないことと、同一指数の最安ETFと比べると信託報酬がわずかに高くなりやすい点には注意が必要です。
ETFの強みは、保有コストと機動性の高さです。米国籍のS&P500連動ETFは経費率が非常に低く、取引所でリアルタイム売買できるため急落時の指値拾いや一括投資、短期のリバランスに向きます。国内上場・円建てのS&P500連動ETFなら円貨で売買でき、特定口座やNISAとも組み合わせやすい利便性があります。
一方で、売買のたびにスプレッドや為替コスト(米国ETF)がかかり、分配金に課税が都度発生するため課税口座では複利効率が落ちやすい点が弱点です。
税制の観点では、課税口座で無分配型の投資信託を保有すると課税の繰り延べで、複利効率が上がります。ETFは分配金課税が発生しやすく、同水準の表面リターンでも手取りがわずかに劣る局面があります。
判断のポイントは「積立しやすさ」「総コスト」「手間」「売買自由度」「制度適合」の五つに集約できます。自動積立で手間を最小化し複利を最大化したいなら、低コスト・無分配型のS&P500投資信託をコアに据えるのが王道です。経費率最重視で一括投資や機動的売買を織り込みたいなら、ETFをコアに据える選択が合理的です。
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