扶養内でダブルワークする場合いくらまで稼いでよいのでしょうか?
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2025/09/01 08:31
男性
40代
副業を考えており、現在は扶養内で働いていますが、ダブルワークをすると収入が増えてしまうため、扶養から外れるのではないかと不安です。実際にはいくらまでなら、稼いでも扶養内に収まるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
扶養内でダブルワークを行う場合には、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」で基準が異なる点に注意が必要です。
まず、税法上の扶養については、年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)が目安となります。この範囲内であれば、親や配偶者の扶養控除や配偶者控除の対象にとどまることが可能です。もし給与収入が103万円を超えると、扶養控除が外れてしまい、親や配偶者の税負担が増える点に留意が必要です。
一方、社会保険上の扶養は収入基準がもう少し厳しく、原則として年収130万円未満(月額108,334円未満)が条件となります。ダブルワークを行う場合、複数の勤務先からの収入を合算して判定するため、基準を超える可能性が高くなります。もし基準を超えると、自分自身で社会保険(健康保険や厚生年金)に加入する必要が生じ、保険料負担が発生します。
さらに、給与収入と事業所得の扱いにも注意が必要です。アルバイトとフリーランスを掛け持ちする場合は、給与収入に加えて事業所得も合算して基準を判定するため、思った以上に早く扶養基準を超えてしまうケースがあります。
結論として、ダブルワークをする際の目安は「税法上は103万円」「社会保険上は130万円」となります。ただし、勤務先によっては週の労働時間や勤務日数の条件により、年収106万円や122万円でも社会保険加入義務が生じる場合があるため、事前に勤務先や社会保険事務所に確認しておくことが安心です。
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健康保険とは、病気やけが、出産などにかかった医療費の自己負担を軽減するための公的な保険制度です。日本では「国民皆保険制度」が採用されており、すべての人が何らかの健康保険に加入する仕組みになっています。 会社員や公務員などは、勤務先を通じて「被用者保険」に加入し、自営業者や無職の人は市区町村が運営する「国民健康保険」に加入します。保険料は収入などに応じて決まり、原則として医療費の自己負担は3割で済みます。また、扶養されている家族(被扶養者)も一定の条件を満たせば保険の対象となり、個別に保険料を支払わなくても医療サービスを受けられる仕組みになっています。健康保険は日常生活の安心を支える基本的な社会保障制度のひとつです。
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厚生年金とは、会社員や公務員などの給与所得者が加入する公的年金制度で、国民年金(基礎年金)に上乗せして支給される「2階建て構造」の年金制度の一部です。厚生年金に加入している人は、基礎年金に加えて、収入に応じた保険料を支払い、将来はその分に応じた年金額を受け取ることができます。 保険料は労使折半で、勤務先と本人がそれぞれ負担します。原則として70歳未満の従業員が対象で、加入・脱退や保険料の納付、記録管理は日本年金機構が行っています。老後の年金だけでなく、障害年金や遺族年金なども含む包括的な保障があり、給与収入がある人にとっては、生活保障の中心となる制度です。
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事業所得とは、個人が営む事業から得られる所得のことで、主に農業、漁業、製造業、販売業、サービス業、フリーランスなどの継続的な事業活動によって生じる利益を指します。売上から必要経費を差し引いた残りが事業所得となり、確定申告を通じて所得税の計算に反映されます。事業所得は、給与所得や不動産所得と並ぶ所得区分のひとつで、青色申告や白色申告といった制度を活用することで、税金の計算上有利になる場合があります。 特に青色申告では、複式簿記による記帳や帳簿の保存を条件に、青色申告特別控除や赤字の繰越控除などの優遇が受けられるため、税務上のメリットが大きいといえます。