大学生の子供や老齢の親への仕送りには贈与税がかかるのでしょうか?
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2025/09/18 10:24
女性
30代
大学生の子供や老齢の親に仕送りをする場合、生活費や学費としての支援であれば贈与税の対象外とされるケースが多いと聞きます。しかし実際には、どの範囲までが生活費や学費に該当するのか、また仕送り額が大きい場合や定期的に振り込む場合に税務上どのように判断されるのかが気になります。仕送りをする際に贈与税の課税対象となるケースや注意すべき点を具体的に教えていただけますか。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
大学生の子どもや老齢の親への仕送りは、その都度必要な生活費や教育費として使われる限り、贈与税はかかりません。ただし、通常必要とされる範囲を超えたり、貯蓄や投資に回る部分がある場合は、課税の対象となる可能性があります。
大学生への仕送りについては、入学金や授業料、教材費、家賃、生活費など学業に必要な支出であれば非課税です。仕送り額が大きすぎたり、数年分を一括で渡したりすると課税対象になる場合があります。支払いは学校や大家へ直接行い、資金の流れを明確にすることが望ましいです。
老齢の親への仕送りも同様で、生活費や医療費、介護費用、施設費などに充てられる分は非課税です。ただし、多額の前払い金や余剰資金が貯蓄に回ると贈与と判断される可能性があります。領収書や振込記録を残し、必要に応じて直接支払うことが安心につながります。
仕送りで重要なのは、用途と必要性を証明できることです。振込時のメモや通帳の記録を残し、資金が短期間で使われていることを示すことが大切です。年末にまとめて送金して残高が残る場合や、仕送りから投資口座に資金が移される場合は課税リスクが高まります。
また、仕送りが生活費や教育費として認められる場合は、年間110万円の基礎控除の対象外となります。一方で、用途を逸脱した分については課税対象となり、基礎控除を超えれば贈与税申告が必要です。
最後に注意すべき点として、名義預金の問題があります。子ども名義の口座に入金しても、親が通帳や印鑑を管理して自由に出し入れしていれば、贈与とは認められません。仕送りが確実に生活維持のために使われていることを示す管理が必要です。
まとめると、「都度」「通常必要」「実際に消費」の3点を守れば贈与税はかかりません。金額が大きい場合や判断に迷うケースでは、証拠書類をそろえた上で税理士に相談することをおすすめします。
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贈与税
贈与税とは、個人が他の個人から金銭・不動産・株式などの財産を無償で受け取った際に、その受け取った側(受贈者)に課される税金です。通常、年間110万円の基礎控除を超える贈与に対して課税され、超過分に応じた累進税率が適用されます。 この制度は、資産の無税移転を防ぎ、相続税との整合性を保つことを目的として設けられています。特に、親から子へ計画的に資産を移転する際には活用されることが多く、教育資金や住宅取得資金などに関しては、一定の条件を満たすことで非課税となる特例もあります。 なお、現在は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2制度が併存していますが、政府は近年、相続税と贈与税の一体化を含めた制度改正を検討しており、将来的に制度の選択肢や非課税枠、課税タイミングが見直される可能性があります。 こうした背景からも、贈与税は単なる一時的な贈与の問題にとどまらず、長期的な資産承継や相続対策の設計に深く関わる重要な制度です。税制の動向を踏まえた上で、専門家と連携しながら最適な活用方法を検討することが求められます。
非課税枠
非課税枠とは、税金が課されない金額の上限を指し、様々な税制に適用される制度。 例えば相続税では基礎控除額として「3,000万円+600万円×法定相続人数」が非課税枠となる。贈与税では年間110万円までの贈与が非課税。また、NISA(少額投資非課税制度)では年間の投資上限額に対する運用益が非課税となる。 このような非課税枠は、税負担の軽減や特定の政策目的(資産形成促進など)のために設定されており、納税者にとって税金対策の重要な要素となっている。
名義預金
名義預金とは、預金口座の名義人と、実際にそのお金を出した人(出資者)が異なる預金のことを指します。 たとえば、親が自分のお金を子どもの名義で開設した口座に預けているようなケースが代表的です。名義上は子どもの預金でも、実際にお金を出したのが親で、子どもが自由に使えない状態であれば、そのお金は「親の財産」とみなされます。 このような名義預金は、相続の際に「相続財産」として課税対象になる可能性があり、税務署から指摘を受けることもあります。 つまり、「相続対策のつもりで家族名義の口座にお金を移していたつもりが、かえって相続税の対象になってしまう」といったリスクがあるのです。 名義だけでなく、実際にお金を管理・使用しているのは誰なのか?という“実質的な所有者”を明確にしておくことが重要です。 相続や贈与を意識した資産管理を行う際には、形式だけでなく実態をともなった対策が求められます。
基礎控除
基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。
贈与税申告
贈与税申告とは、1年間に贈与を受けた財産の合計額が一定の非課税枠を超えた場合に、その内容を税務署に報告する手続きのことです。たとえば、親から現金や不動産を受け取った場合、その合計が年間110万円を超えると、贈与税の対象になる可能性があり、税務署に申告する義務が生じます。 申告の期限は毎年2月1日から3月15日までと定められており、この期間内に書類を提出し、必要があれば税金を納めます。贈与税は贈与を受けた側、つまり財産をもらった人が支払う税金であり、申告しないと後から追加の税金やペナルティが課せられることもあります。特例制度を使えば税負担が軽減される場合もあるため、正確な申告と制度の理解が大切です。