米国債はどこで買えますか?買い方を教えて下さい
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2025/08/09 08:19
男性
30代
NISAや投資信託は始めたばかりですが、最近「米国債は利回りが高い」という話を聞き、興味を持ちました。米国債はどこで買えるのでしょうか?また、手続きについても教えてください
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
米国債は、個人でも日本の証券会社を通じて購入することができます。具体的には、SBI証券や楽天証券、マネックス証券といったネット証券、または野村證券、大和証券などの店頭型証券会社でも取り扱いがあります。ネット証券は手数料が比較的安く、操作も簡単なため、初心者には特におすすめです。
購入にはまず、証券口座が必要です。既に口座を持っている場合でも、外貨建て債券を購入するには「外貨建債券取引」の申込みを別途行う必要があります。申し込み後、1~3営業日程度で米ドル建て取引が可能になります。あわせて、外貨預り金口座(米ドル口座)も開設されます。
米国債は米ドル建ての商品ですので、購入するには円をドルに両替する必要があります。為替取引は証券会社内で行うことができ、両替タイミングによって為替スプレッド(実質的なコスト)が変わります。最近では、SBI証券が「リアルタイム為替スプレッド0円」などのキャンペーンを実施することもあり、為替コストを抑えることができます。
銘柄の選び方は、証券会社の外国債券取引ページで「米国国債」を選び、一覧から残存期間・利回り・クーポン(表面利率)などの条件を比較して決めます。多くの銘柄は1,000ドル単位ですが、楽天証券などでは100ドル単位から購入できる商品もあります。希望銘柄を選び、購入金額(額面)を入力して発注すると、米国市場の開いている時間に注文が約定し、2営業日ほどで受け渡しが完了します。
購入後は、保有する米国債から半年ごとに利息(クーポン)が支払われ、償還日に元本が戻ってきます。クーポン利息は本来アメリカで10%の源泉課税がかかりますが、日米間の租税条約によって非課税で受け取れます。日本国内ではこの利息は雑所得として扱われ、総合課税または申告分離課税が選択できます。償還時には円転による為替差益が出る場合もあり、これは譲渡所得扱いになります。
満期まで保有せず、途中で売却することも可能です。ただし、売却時の価格は市場金利の影響を受けるため、購入時より高く売れることもあれば、損失が出ることもあります。また、売却時には証券会社が提示する価格での取引になるため、価格変動やスプレッドによって売却益・損が発生する点には注意が必要です。
取引にかかる主なコストは、為替スプレッド(通常は往復で数十銭)、債券の売買に伴うスプレッド、そして為替変動によるリスクです。ネット証券では多くの場合、売買手数料は無料ですが、スプレッドが実質的なコストになります。保有中の管理手数料は特にかかりません。
米国債を購入する際に気をつけたいリスクとしては、まず金利変動による価格変動があります。特に、長期の債券は金利の影響を大きく受けやすいため注意が必要です。また、ドル建てのため、為替変動による円換算時の価値の変動も見逃せません。さらに、償還までに売却する場合、売却価格が思ったよりも低くなる流動性リスクも考慮するべきです。
もし個別の米国債を選んで買うことにハードルを感じる場合は、米国債に投資するETF(上場投資信託)を購入する方法もあります。たとえば「iShares TLT」や「SHY」などは、残存期間の異なる国債に分散投資するETFで、証券口座から簡単に1株単位で売買できます。NISA口座でも取り扱えるため、税制優遇を活かすこともできます。
このように、米国債は日本にいながら比較的簡単に購入することができ、利回りの確保や分散投資の一環として有効な選択肢になります。ただし、為替や金利のリスクを正しく理解し、自分の資産運用の目的に合った商品を選ぶことが大切です。初めての購入では、ネット証券のサポートページやカスタマーサポートを活用するのもよいでしょう。
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外貨建て債券
外貨建て債券とは、日本円ではなく、米ドルやユーロなどの外国通貨で元本や利息の支払いが行われる債券のことです。たとえば、米ドル建ての債券であれば、利息も償還金も米ドルで支払われます。円と異なる通貨であるため、為替レートの変動によって、実際に受け取る円換算の金額が増減するリスクがあります。一方で、国内の金利よりも高い利回りが期待できる場合もあり、利回りの魅力から投資家に人気があります。為替リスクを理解し、外貨と円のバランスを考えながら投資することが大切です。
為替スプレッド
為替スプレッドとは、外貨を売るときと買うときに適用される為替レートの差額のことをいいます。たとえば、ある通貨を買うときのレート(TTS)と売るときのレート(TTB)には差があり、この差がスプレッドです。銀行や証券会社などの金融機関は、このスプレッドの中に利益やコストを含めています。 投資家にとっては、スプレッドが広いほど取引コストが高くなるため、外貨預金や外国為替取引(FX)などを行う際には注意が必要です。特に頻繁に取引をする場合や、短期での為替差益を狙う取引では、このスプレッドが実質的な負担となることがあります。為替スプレッドは見えにくいコストのひとつですが、運用の成果に影響するため、取引前にレートの内訳を確認することが大切です。
表面利率
表面利率とは、債券にあらかじめ設定されている年あたりの利息の割合を指し、通常は額面金額に対して何パーセントの利息が支払われるかを示します。たとえば、額面が100万円で年に5万円の利息が支払われる債券なら、表面利率は「5%」となります。この利率は債券を発行する時点で決められ、満期まで変更されることはありません。投資家はこの利率を基に、定期的に利息を受け取ることができます。ただし、債券の市場価格が変動するため、購入価格に対する実際の利回り(YTM)とは異なる場合があります。資産運用においては、債券の収益性を考えるうえで、この表面利率を基本として他の指標とあわせて判断することが大切です。
償還
償還とは、債券の満期到来時に発行体が投資家に対して元本を返済することを指します。例えば、10年満期の債券であれば、10年後に元本が返金されます。債券の発行元が満期までの間に利息を支払い、償還時に元本を返済することで投資家は利息収益と元本の返金を得ます。ただし、償還には発行体の信用力が影響し、デフォルトリスクが存在する場合があります。
雑所得
雑所得(ざつしょとく)とは、所得税法において定められた10種類の所得のうち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得を指します。具体的には、公的年金や副業による収入、仮想通貨の売却益、FXの利益、非営業用貸金の利子などが該当します。 経費を差し引いた金額が課税対象となり、総合課税の対象となります。また、雑所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。
米国債
米国債とは、アメリカ合衆国政府が発行する債券で、政府が資金を調達するために投資家からお金を借りる手段として利用されます。一般に「トレジャリー」や「米国財務省証券」とも呼ばれ、発行元がアメリカ政府であることから、世界的に見ても非常に高い信用力を持つ安全資産とされています。 米国債には、短期のT-Bill(1年未満)、中期のT-Note(2〜10年)、長期のT-Bond(20〜30年)などの種類があり、いずれも固定利付で定期的に利息が支払われ、満期時に元本が償還されます。米国の金利動向に基づいて利回りが決まるため、低金利が続いている日本と比べて、米国債の利回りが高いケースが多くなっています。 ただし、日本の投資家が米国債に投資する際には、米ドル建てであるため為替リスク(円高による損失)がある点には注意が必要です。また、金利が上昇すると既発債券の価格が下がるといった価格変動リスクも存在します。 米国債は日本国内の証券会社を通じて購入可能であり、市場規模が大きく流動性も高いため、初心者にも比較的取引しやすい資産といえます。