Loading...

MENU

投資の知恵袋>

暦年贈与では相続開始前7年の持ち戻し期間が導入されますが、いつからどのように適用されますか?

回答受付中

0

2025/06/26 15:04

贈与税相続タックスプランニング
贈与税相続タックスプランニング

男性

60代

question

生前贈与を活用して相続税対策を検討しています。2024年の税制改正で、暦年贈与における持ち戻し加算期間が3年から7年に延長されると聞きました。改正はいつから適用され、どの年の贈与が相続財産に含まれるのか、具体的なスケジュールや経過措置の有無、注意すべき点を教えてください。


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

暦年贈与の持ち戻し期間は、2024年(令和6年)1月1日以降の贈与から段階的に延長され、最終的には「相続開始前7年以内」の贈与が相続財産に加算される仕組みになります。改正後もすぐに7年が適用されるわけではなく、死亡時期によって対象範囲が異なります。

具体的には、2026年12月31日までに亡くなった場合は従来どおり3年以内の贈与が対象で、2027年1月1日から2030年12月31日までに亡くなった場合は、2024年1月1日以降から死亡日までの贈与が加算されます。そして2031年1月1日以降の相続から、相続開始前7年以内の贈与すべてが対象となります。

たとえば、2024年に行った贈与は相続開始前4年以内に死亡した場合に加算され、2025年の贈与は5年以内、2026年の贈与は6年以内に死亡した場合に持ち戻し対象になります。2027年以降の贈与は、2031年1月1日以降の相続から7年分すべてが加算されるようになります。このように、贈与年によって相続開始時点での加算対象期間が異なる点を理解しておくことが重要です。

対象となるのは、配偶者や子など相続人となる可能性のある人への贈与です。孫や子の配偶者など、被相続人の相続人に該当しない人への贈与は原則として加算の対象になりません。したがって、将来の相続を見据えて孫への教育資金贈与や住宅取得資金贈与などを行う場合には、誰に贈与するかによって課税結果が大きく変わることになります。

また、加算対象が4年延びることによる負担増を緩和するため、相続開始前3年を超える部分(つまり延長された4年間分)については、合計100万円までは相続財産に加算しない特例が設けられています。この緩和措置は令和9年(2027年)1月2日以後に相続が開始した場合に適用されます。加算は贈与時点の価額で行われ、該当する贈与にかかる贈与税は相続税の計算で控除されます。

なお、年間110万円以内の贈与であっても、持ち戻し期間内であれば加算対象となります。2023年以前の贈与は新制度の対象外で、従来どおり相続開始前3年以内のみが加算されます。教育資金や結婚子育て資金などの非課税贈与は原則として加算されませんが、死亡時に使い残しがある場合は相続財産に含まれる点に注意が必要です。

実務では、まず相続開始時期を基準に加算対象期間を確認し、その範囲内の贈与履歴をすべて把握することが大切です。3年以内の贈与は全額加算し、3年を超える部分は100万円を控除して加算します。併せて、相続時精算課税制度も2024年から見直され、年110万円の基礎控除が新設されるなど使い勝手が改善されています。暦年課税と精算課税のどちらを選ぶか、贈与時期や贈与相手をどう設計するかが、今後の相続税対策の成否を左右するポイントです。

佐々木 辰さんに相談する
資産を自動で見える化CTAバナー

関連記事

贈与税はいくらから?課税ルール・非課税制度・申告実務まで徹底解説(2025年版)

贈与税はいくらから?課税ルール・非課税制度・申告実務まで徹底解説(2025年版)

2025.09.24

難易度:

贈与税相続タックスプランニング

関連する専門用語

相続税

相続税とは、人が亡くなった際に、その人の財産を配偶者や子どもなどの相続人が受け継いだときに課される税金です。対象となる財産には、預貯金や不動産、株式、貴金属、事業用資産などが含まれ、相続財産の合計額が一定の基準額を超えると課税対象となります。 相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があり、この範囲内であれば原則として税金はかかりません。しかし、資産規模が大きい場合や相続人の数が少ない場合には、課税対象となり、10%〜55%の累進税率が適用されます。 さらに、相続税にはさまざまな非課税枠や控除制度が設けられており、これらを適切に活用することで税負担を抑えることが可能です。代表的な制度には以下のようなものがあります。 - 生命保険金の非課税枠:法定相続人1人あたり500万円まで非課税 - 死亡退職金の非課税枠:生命保険と同様に1人あたり500万円まで非課税 - 債務控除:被相続人に借入金などの債務があった場合、その金額を控除可能 - 葬式費用の控除:通夜・葬儀などにかかった費用は、相続財産から差し引くことができる また、配偶者には配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)が認められており、適切に遺産分割を行えば、税額を大幅に減らすことができます。 相続税は、財産の種類や分割の仕方、受け取る人の立場によって税額が大きく変動するため、生前からの対策が非常に重要です。生命保険や不動産の活用、資産の組み替えなどを通じて、相続税評価額をコントロールすることが、家族への負担を減らし、スムーズな資産承継を実現するための鍵となります。

真の相続人

真の相続人とは、被相続人(亡くなった人)の財産を法律上正当に相続する権利を持つ人のことを指します。たとえば、戸籍上の情報や遺言の有無などに基づいて、民法で定められた順位や範囲に従って特定されるのが真の相続人です。相続の場面では、誤って相続人でない人が財産を取得してしまったり、遺言が曖昧だったりすることで、後から「真の相続人」が現れて問題が生じることがあります。 そのような場合、真の相続人は財産の返還や分配の見直しを求める権利を有します。特に不動産の名義変更や預貯金の解約・払い戻しなどの手続きでは、「誰が真の相続人か」が法的にも実務的にも非常に重要であり、確定しない限り手続きが進まないケースも少なくありません。真の相続人の確定は、円滑な相続手続きと紛争回避の基礎となる極めて重要な概念です。

基礎控除

基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。

生前贈与

生前贈与とは、本人が亡くなる前に、自分の財産を家族や親族などに贈り与えることを指します。たとえば、子どもや孫に現金や不動産などを自分の意思で生きているうちに渡す行為がこれにあたります。生前贈与を活用することで、相続時に財産が一度に多額に移転するのを防ぎ、相続税の負担を軽減する効果が期待できます。ただし、贈与にも贈与税がかかるため、贈与額やタイミング、誰に贈るかによって課税額が大きく変わることがあります。また、一定の条件を満たせば非課税になる特例制度もあるため、計画的に行うことが重要です。資産運用や相続対策として、生前贈与は家族に財産を無理なく引き継がせるための有効な手段のひとつです。

生前贈与加算

生前贈与加算とは、被相続人が亡くなる前に行った贈与を相続財産に「持ち戻し」て相続税を計算し直す仕組みです。従来は「死亡前3年以内」の贈与が対象でしたが、令和6年(2024年)以降の贈与から段階的に対象期間が延長され、2031年1月1日以降に発生する相続では「死亡前7年以内」の贈与まで加算されます。また延長された4年間(3年超~7年以内)の贈与については、総額100万円までが加算対象から除外される優遇措置が設けられています。この制度は、死亡直前の駆け込み贈与による節税を防ぎ税負担の公平性を確保することを目的としており、暦年贈与を利用した資産移転の効果が小さくなるため、相続時精算課税制度や早期贈与の活用など計画的な相続対策がより重要になります。 従来は「死亡前3年以内」の贈与が対象でしたが、令和6年(2024年)以降の贈与から段階的に対象期間が延長され、2031年1月1日以降に発生する相続では「死亡前7年以内」の贈与まで加算されます。 また延長された4年間(3年超~7年以内)の贈与については、総額100万円までが加算対象から除外される優遇措置が設けられています。 この制度は、死亡直前の駆け込み贈与による節税を防ぎ税負担の公平性を確保することを目的としており、暦年贈与を利用した資産移転の効果が小さくなるため、相続時精算課税制度や早期贈与の活用など計画的な相続対策がより重要になります。

無料で相談してみる

専門家に相談してみませんか?

無料で相談してみる

投資の知恵袋では、あなたの投資や資産に関する疑問や悩みを専門のアドバイザーに気軽に相談することが可能です。
ぜひご利用ください。

専門家に質問してみる

関連記事

贈与税はいくらから?課税ルール・非課税制度・申告実務まで徹底解説(2025年版)

贈与税はいくらから?課税ルール・非課税制度・申告実務まで徹底解説(2025年版)

2025.09.24

難易度:

贈与税相続タックスプランニング
相続税対策に効く生命保険活用術〜設計から契約実務までの要点〜

相続税対策に効く生命保険活用術〜設計から契約実務までの要点〜

2025.10.10

難易度:

定期保険相続生命保険変額保険
相続税の控除と非課税枠とは?基礎控除や配偶者控除などの計算方法も徹底解説

相続税の控除と非課税枠とは?基礎控除や配偶者控除などの計算方法も徹底解説

2025.06.27

難易度:

資産運用に役立つ情報をいち早くGET!

無料LINE登録

資産運用について気軽にご相談したい方

プロへ相談する

当メディアで提供するコンテンツは、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。 本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。 また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

投資のコンシェルジュ

運営会社: 株式会社MONO Investment

Email:

運営会社利用規約各種お問い合わせプライバシーポリシーコンテンツの二次利用について

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.

「投資のコンシェルジュ」はMONO Investmentの登録商標です(登録商標第6527070号)。

Copyright © 2022 株式会社MONO Investment All rights reserved.