お金を増やす方法として、保険を活用するのは良い方法なのでしょうか?
お金を増やす方法として、保険を活用するのは良い方法なのでしょうか?
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2025/10/22 09:04
男性
50代
資産運用でお金を増やしたいと考えていますが、株式や投資信託は値動きが激しくて不安です。保険にも貯蓄や運用の機能があると聞いたのですが、実際にお金を増やす手段として利用できるのでしょうか。どのような仕組みや商品があるのか、また注意すべき点があれば教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
保険はお金を増やす手段としては効率的とは言えません。保険の本来の目的は「万一に備えること」であり、運用機能はあくまで補助的なものです。ただし、保障を確保しながら長期的に資産を積み立てたい場合や、税制・相続の優遇を活用したい場合には、保険を上手に使うことで一定の効果を得られます。そのため、まずは「守る目的」と「増やす目的」を分けて考えることが大切です。
運用機能を持つ主な保険には、終身保険や養老保険などの貯蓄型、個人年金保険、外貨建て保険、そして市場で運用される変額保険があります。貯蓄型は予定利率に基づいて返戻金が増えていく仕組みで、長く続けるほど返戻率が上がります。外貨建ては為替の影響を受け、円高になると返戻金が減るリスクがあります。変額保険は株式や債券で運用するため、値動きの幅が大きく、市場次第で損益が変わります。
保険の運用効果を期待する場合、利回りはおおむね年1%前後と低く、長期の投資信託などに比べると効率は下がります。外貨建てや変額保険は一時的に高い利回りを示すことがありますが、為替や市場変動の影響を強く受けるため、安定的な資産形成には向きません。
注意すべき点は、コストと流動性です。保険には死亡保障や事務手数料、販売費用などが組み込まれており、特に契約初期は解約控除が大きく元本割れしやすい構造です。短期間で解約すると損失を被る可能性があるため、長期で持ち続けられる計画が必要です。また、変額保険では運用費用も上乗せされるため、同じ市場投資でも投資信託よりコスト負担が重くなります。
一方で、保険には税制面のメリットがあります。生命保険料控除により、年末調整や確定申告で所得控除を受けられます。さらに、解約返戻金は一時所得として扱われ、特別控除50万円や課税軽減措置が適用される場合があります。相続時には保険金が受取人固有の財産とみなされ、分割や非課税枠の活用など、相続対策としても有効です。
外貨建て保険では、為替スプレッドや為替課税に注意が必要です。販売時に提示されるシミュレーションは為替前提に大きく依存しているため、円高時の返戻金や実質利回りを確認することが重要です。変額保険も市場リスクを負うため、同じ投資目的であれば低コストのインデックス投信をNISAなどで運用する方が合理的な場合が多いでしょう。
保険を活用する価値があるのは、保障を確保しながら長期的な積立をしたい人、相続や贈与の設計を重視する人、途中解約をしない前提で運用できる人です。逆に、柔軟に投資比率を変えたい人や短期間で資産を動かしたい人には不向きです。
結論として、保険は「増やすための商品」ではなく「守るための商品」に運用機能が付加されたものと捉えるのが正確です。資産運用の主軸は低コストな投資信託や預金などに置き、保険は目的を明確にしたうえで、補完的に活用するのが最も合理的な方法です。
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貯蓄型保険(積立型)
貯蓄型保険(積立型)とは、万が一の保障に加えて、将来的にお金が戻ってくる仕組みを備えた保険商品のことです。保険料の一部が積み立てられ、契約満了時や途中解約時に「解約返戻金」や「満期保険金」として受け取れるようになっています。 代表的な商品には、終身保険、養老保険、学資保険などがあり、保険としての安心を持ちながら、同時に資産形成も行えるのが特徴です。特に、教育資金や老後資金の準備、相続対策など、目的を持った長期の計画に活用されます。 「掛け捨て型保険」と異なり、支払った保険料が将来的に戻ってくるため、保険と貯金の“ハイブリッド”として位置づけられる商品です。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるほか、運用利回りが低めに抑えられていることが多いため、目的と期間をしっかり考えて加入することが大切です。 保障と貯蓄を1つの仕組みで両立させたい人にとって、計画的な資産形成の手段として有効な選択肢のひとつです。
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外貨建て保険とは、保険料の支払いや保険金の受け取りなどが、日本円ではなく米ドルや豪ドルなどの外貨で行われる保険商品のことをいいます。主に終身保険や年金保険の形で提供されており、日本国内の低金利環境に対する対策として注目されることがあります。 外貨建て保険の魅力は、円建ての保険よりも高い利回りが期待できる点ですが、その反面、為替レートの変動によって実際に受け取る金額が目減りするリスクもあります。また、為替手数料や解約時のコストがかかることもあるため、加入する際には仕組みをしっかり理解し、自分の資産運用方針やリスク許容度に合っているかを見極めることが大切です。特に長期で保有する場合には、為替動向や国際情勢にも一定の関心を持つ必要があります。
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変額保険とは、死亡保障を持ちながら、保険料の一部を投資に回すことで、将来受け取る保険金や解約返戻金の金額が運用成績によって変動する保険商品です。 保険会社が提供する複数の投資先から自分で選んで運用することができるため、運用がうまくいけば受け取る金額が増える可能性があります。 ただし、運用がうまくいかなかった場合は、受け取る金額が減ることもあります。保障と資産運用の両方を兼ね備えた商品ですが、元本保証がない点には注意が必要です。投資初心者の方には、仕組みを十分に理解したうえで加入することが大切です。
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解約控除とは、保険や一部の投資商品を契約期間の途中で解約した場合に、契約者が受け取る解約返戻金などから差し引かれる手数料のことをいいます。特に契約から数年以内など、早い段階で解約した際に高めに設定されていることが多く、実際に受け取れる金額が大きく減ってしまうことがあります。 この制度は、販売時にかかった初期費用や運用の準備にかかるコストを回収するために設けられていますが、契約者にとっては思ったよりも少ない金額しか戻ってこないというリスクにつながります。そのため、商品選びの際には解約控除の有無やその金額、期間などをよく確認し、「途中で解約したらどうなるか」をあらかじめ理解しておくことがとても大切です。長期での運用を前提とした商品には特に注意が必要です。
生命保険料控除
生命保険料控除とは、個人が支払った生命保険料に応じて、所得税や住民税の課税所得額を一定金額まで減らすことができる税制上の優遇制度です。この控除によって、納める税金が軽減されるため、実質的に保険料の一部が戻ってくる効果があります。 対象となる保険は、「一般生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」の3つの区分に分かれており、それぞれに控除限度額が設けられています。控除を受けるには、保険会社から発行される控除証明書を年末調整や確定申告の際に提出する必要があります。保険による万一への備えと、節税効果の両方を得られる制度として、多くの人に活用されています。初心者にとっても、生命保険を契約する際にはこの控除制度の存在を知っておくことで、より効果的な保険選びや家計管理につなげることができます。
一時所得
一時所得とは、継続的な収入ではなく、偶発的または一時的に得た所得のことを指す。例えば、懸賞の賞金、生命保険の満期返戻金、競馬の払戻金などが該当する。50万円の特別控除が適用され、課税対象額は控除後の金額の1/2となる。







