お金の増やし方完全ガイド|収入増・支出減・投資の方法や「資産」を買う重要性を解説

お金の増やし方完全ガイド|収入増・支出減・投資の方法や「資産」を買う重要性を解説
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公開:
2025.11.06
更新:
2025.11.07
お金を増やす方法は、収入を増やす、支出を減らす、資産運用するという3つのアプローチがあります。それぞれの方法には特徴があり、自分の状況や目標に合わせて組み合わせることで効率的に資産を増やせます。資産運用をする際には、2024年から始まった新NISAやiDeCoなどの税制優遇制度も活用しましょう。
サクッとわかる!簡単要約
本記事では、お金を増やすための「収入増・支出減・資産運用」という3つの方法を体系的に解説します。まず現在の資産状況を把握し、目標金額と期限を設定、リスク許容度を確認する準備の3ステップを示します。20代から60代以上まで年代別の最適戦略、投資詐欺やリスク管理の注意点まで網羅しています。読後には、自分に合った資産形成の優先順位と行動計画を整理できるでしょう。
目次
お金の増やし方【3つのアプローチ】
お金を増やすためには、まず基本となる3つのアプローチを理解することが重要です。
この3つは「収入を増やす」「節約して支出を減らす」「資産運用で増やす」であり、それぞれ異なる特徴とメリットがあります。
自分の現在の状況や目標に合わせて、どの方法を優先すべきか見極めることが、効率的な資産形成の第一歩です。
収入を増やす
収入を増やす方法は、資産形成の土台を作るうえで直接的なアプローチです。
給与所得を増やすには、昇進や資格取得による手当の獲得、転職による年収アップなどがあります。また、副業で新たな収入源を作ることも効果的でしょう。国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、2024年の平均給与は約478万円となっており、業種や職種によって大きな差があります。
収入が増えれば、その分だけ貯蓄や投資に回せる金額も増えるため、資産形成のスピードが加速します。
支出を減らす
支出を減らす節約は、収入に関係なく誰でもすぐに始められる方法です。
固定費の見直しは特に効果が高く、通信費や保険料、サブスクリプションサービスなど、毎月自動的に引き落とされる費用を削減できれば、継続的な効果が得られます。総務省の「家計調査」によると、2024年における2人以上世帯の平均消費支出は月額約30万円となっており、見直しの余地がある項目は多いでしょう。
節約で浮いたお金を貯蓄や投資に回すことで、実質的に使えるお金を増やせます。無理のない範囲で継続できる節約方法を見つけることが、長期的な資産形成には欠かせません。
資産運用で増やす
資産運用は、お金に働いてもらうことで効率的に資産を増やす方法です。
銀行預金の金利が低い現在、投資信託や株式投資、新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度を活用した運用が注目されています。金融庁の調査によれば、年率3%で30年間積立投資を行った場合、複利効果により元本の約2.4倍に資産が増える計算になります。
ただし、資産運用にはリスクも伴うため、自分のリスク許容度を理解したうえで始めることが大切です。長期・積立・分散投資の原則を守れば、リスクを抑えながら着実に資産を増やせるでしょう。
まず始めるべき準備3ステップ
お金を増やす具体的な行動を始める前に、しっかりとした準備を整えることが成功への近道です。
準備なしに闇雲に節約や投資を始めても、目標が不明確なため挫折しやすく、効果も限定的になってしまいます。現状把握、目標設定、リスク確認という3つのステップを踏むことで、自分に最適な方法を選択でき、計画的に資産を増やせるでしょう。
現在の資産状況を把握
資産状況の把握は、資産形成の出発点となる重要なステップです。
まず、銀行口座の残高や証券口座の評価額、保険の解約返戻金、不動産などすべての資産をリストアップしましょう。同時に、住宅ローンやカードローンなどの負債も洗い出す必要があります。総資産から総負債を引いた純資産額が、現在のあなたの本当の資産状況です。
以下のような表を作成すれば、現在の資産状況を把握できます。
| 項目 | 具体例 | 金額 |
|---|---|---|
| 資産 | ||
| 銀行預金 | 普通預金、定期預金 | |
| 証券口座 | 株式、投資信託、債券の評価額 | |
| 現金 | 手元現金、タンス預金 | |
| 生命保険 | 解約返戻金 | |
| 養老保険・個人年金保険 | 解約返戻金 | |
| 不動産 | 自宅(土地・建物)、投資用不動産 | |
| 自動車 | 時価評価額 | |
| 貴金属・宝飾品 | 金、プラチナ、宝石など | |
| 退職金見込額 | 現時点での退職金試算額 | |
| 総資産(A) | ||
| 負債 | ||
| 住宅ローン | 残高 | |
| 自動車ローン | 残高 | |
| 教育ローン | 残高 | |
| カードローン | 残高 | |
| クレジットカード未払金 | リボ払い残高含む | |
| 消費者金融 | 残高 | |
| その他借入金 | 親族からの借入など | |
| 総負債(B) | ||
| 純資産(A-B) |
次に、毎月の収入と支出を詳細に記録してください。家計簿アプリを活用すれば、銀行口座やクレジットカードと連携して自動的に記録できるため便利です。現状を正確に把握することで、無駄な支出が見えてきて、改善すべきポイントが明確になるでしょう。
目標金額と期限を設定
具体的な目標設定は、モチベーションを維持し、適切な方法を選ぶために不可欠です。
「老後資金として2,000万円を30年後までに準備する」「5年後のマイホーム頭金500万円を貯める」など、金額と期限を明確にしましょう。目標が明確であれば、逆算して毎月いくら貯蓄や投資に回せばよいか計算できます。
たとえば、30年後に2,000万円を目指す場合、年利3%で運用すると仮定すれば、毎月約3.4万円の積立が必要です。一方、年利5%で運用できれば、毎月約2.4万円の積立で達成可能になります。
目標は1つだけでなく、短期(1〜3年)、中期(3〜10年)、長期(10年以上)に分けて設定すると、段階的に達成感を得られてモチベーションが持続しやすくなります。目標達成のための具体的な行動計画も合わせて立てることで、実現可能性が高まるでしょう。
リスク許容度を確認
リスク許容度の確認は、自分に合った資産運用方法を選ぶための重要な指標です。
リスク許容度とは、投資で損失が出た場合にどこまで耐えられるかという心理的・経済的な余裕のことを指します。年齢、収入の安定性、保有資産額、家族構成などによって、一人ひとり異なる水準になります。
一般的に、若い世代は運用期間が長く取れるためリスク許容度が高く、定年が近い世代は運用期間が短いためリスク許容度が低い傾向があります。また、生活防衛資金(生活費の3〜6か月分)を確保できているかどうかも、リスク許容度に大きく影響するでしょう。
一般社団法人全国銀行協会のウェブサイトでは、リスク許容度を診断できるツールが提供されています。自分のリスク許容度を客観的に把握したうえで、ローリスク・ローリターンの商品から始めるか、ある程度のリスクを取ってリターンを狙うかを判断してください。
収入を増やす5つの方法
収入を増やすことは、資産形成を加速させる効果的な手段の一つです。
収入が増えれば、生活水準を維持したまま貯蓄や投資に回せる金額が増え、目標達成までの期間を大幅に短縮できます。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、スキルアップや転職によって年収が100万円以上アップするケースも珍しくありません。
昇進・昇格を目指す
昇進・昇格は、現在の職場で収入を増やす最も確実な方法です。
管理職になれば、基本給の上昇に加えて役職手当が支給されるため、年収が数十万円から100万円以上アップするケースも多くあります。昇進を目指すには、日々の業務で成果を出すことはもちろん、リーダーシップやマネジメントスキルを磨くことが重要です。
人事評価制度を理解し、評価基準に沿った行動を心がけることで、昇進・昇格の可能性を高められるでしょう。ただし、企業によっては昇進機会が限られている場合もあるため、自社の状況を見極めることも大切です。
資格取得で手当を得る
資格取得は、専門性を証明し収入アップにつなげる有効な手段です。
企業によっては、業務に関連する資格を取得すると資格手当が支給されたり、一時金が受け取れたりする制度があります。たとえば、不動産業界では宅地建物取引士、金融業界ではファイナンシャルプランナー(FP)や証券アナリストなどの資格が手当の対象になることが多いでしょう。
資格手当の金額は企業や資格の難易度によって異なりますが、月額5,000円から3万円程度が一般的です。年間で考えると6万円から36万円の収入増になるため、長期的には大きな差が生まれます。
まずは、自社の資格手当制度を人事部に確認し、対象となる資格をリストアップしてください。取得にかかる費用や時間、難易度を考慮したうえで、費用対効果の高い資格から挑戦することをおすすめします。
転職で年収を高める
転職は、短期間で大幅な年収アップを実現できる可能性がある方法です。
厚生労働省の「雇用動向調査」によれば、転職によって賃金が増加した人の割合は約40%となっており、特に20代から30代では年収アップを実現している人が多い傾向があります。同じスキルや経験でも、業界や企業規模によって給与水準が大きく異なるため、自分の市場価値を正確に把握することが重要です。
転職活動では、転職エージェントを活用して自分の市場価値を客観的に評価してもらい、年収交渉のサポートを受けるとよいでしょう。また、現職での実績を具体的な数字で説明できるように整理しておくことが、年収アップの交渉を有利に進めるポイントになります。
副業で収入源を増やす
副業は、本業の収入を維持しながら新たな収入源を作れる柔軟な方法です。
副業の種類は多岐にわたり、Webライティング、プログラミング、デザイン、オンライン講師など、自分のスキルを活かせる仕事を選べるのが魅力です。
まずは、勤務先の就業規則で副業が認められているか確認してください。副業が可能であれば、クラウドソーシングサービスや副業マッチングプラットフォームに登録し、小さな案件から始めることをおすすめします。
月に数万円の副業収入でも、年間で考えると数十万円になり、そのお金を投資に回せば複利効果でさらに資産が増えます。ただし、本業に支障をきたさないよう、時間管理と体調管理には十分注意が必要です。
独立・起業する
独立・起業は、収入の上限を大きく引き上げられる可能性がある選択肢です。会社員として働く場合、収入は勤務先の給与体系に制限されますが、独立すれば自分の努力次第で収入を大きく伸ばせます。
ただし、独立・起業にはリスクも伴います。安定した収入がなくなる不安や、初期投資の必要性、事業が失敗する可能性なども考慮しなければなりません。まずは副業として小さく始め、事業が軌道に乗ってから独立を検討するという段階的なアプローチが現実的でしょう。
独立を目指すなら、十分な準備期間を設けて事業計画を練り、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
支出を減らす具体的な方法
節約は、収入に関係なく誰でも今日から実践できる確実な資産形成の方法です。
支出を減らすことは、実質的に可処分所得(自由に使えるお金)を増やすことと同じ効果があります。固定費の見直しだけで月2〜3万円、年間で24〜36万円の節約が可能なケースも少なくありません。
固定費の見直し
固定費の見直しは、一度実行すれば継続的に効果が得られる最も効率的な節約方法です。
固定費とは、家賃や住宅ローン、通信費など毎月決まって支払う費用のことを指します。これらは一度契約すると見直す機会が少なく、無駄な支出が続いているケースが少なくありません。まずは、すべての固定費をリストアップし、それぞれの必要性とコストパフォーマンスを検証してください。
家賃や住宅ローンが収入の30%を超えている場合は、引っ越しや住宅ローンの借り換えを検討する価値があります。住宅ローンの借り換えでは、金利が0.5%下がるだけで総返済額が数百万円削減できることもあります。
固定費を月2万円削減できれば、年間24万円の節約になり、その金額を年利5%で20年間運用すれば約820万円にまで増やせます。固定費の見直しは、節約の第一歩として最優先で取り組むべき項目です。
保険料の最適化
保険料の最適化は、大きな節約効果が期待できる固定費です。
生命保険文化センターの調査によれば、生命保険の世帯年間払込保険料は平均35.3万円となっており、必要以上の保障に加入しているケースが少なくありません。保険は万が一に備えるものですが、過剰な保障は家計を圧迫する原因になります。
まず、現在加入している保険をすべてリストアップし、保障内容と保険料を確認しましょう。独身者の場合は高額な死亡保障は不要ですし、子どもが独立した世帯も死亡保障額を減らせます。医療保険については、公的医療保険の高額療養費制度があるため、過度な保障は必要ないでしょう。
保険の見直しでは、掛け捨て型の定期保険や収入保障保険への切り替えを検討することで、保障内容を維持しながら保険料を大幅に削減できる場合があります。ただし、解約返戻金や保険料の払込期間なども考慮して、慎重に判断してください。
サブスクの整理・解約
サブスクリプションサービスの整理は、気づかないうちに増えている支出を削減する効果的な方法です。
動画配信サービス、音楽配信サービス、オンラインストレージ、アプリの月額課金など、複数のサブスクに加入している人は多いでしょう。1つあたりの金額は数百円から数千円と小さいため見落としがちですが、合計すると月に1万円を超えているケースもあります。
まず、クレジットカードの明細やスマホの支払い履歴を確認し、すべてのサブスクをリストアップしてください。その中で、過去3か月間で一度も使っていないサービスや、代替手段があるサービスは解約を検討しましょう。
たとえば、複数の動画配信サービスに加入している場合は、最もよく使うもの1つに絞ることで月額2,000円〜3,000円の節約になります。年間で考えると2万4,000円〜3万6,000円の節約効果があり、この金額を投資に回せば将来的に大きな資産になるでしょう。
電気・ガス料金の見直し
電気・ガス料金の見直しは、2016年の電力自由化以降、選択肢が広がった分野です。
資源エネルギー庁のデータによれば、電力会社を切り替えることで年間1万円〜2万円程度の節約が可能なケースがあります。特に、電気とガスをセットで契約するとさらに割引が適用される場合も多いでしょう。
電力会社の比較サイトを利用すれば、現在の使用量に基づいて最適なプランを簡単に見つけられます。切り替えの手続きもオンラインで完結し、工事や立ち会いも不要なケースがほとんどです。
ポイントを有効活用する
日常生活で自然に貯まるポイントを有効活用することで、実質的な節約効果を得られます。
クレジットカードの利用や電子マネー決済、各種会員カードなど、普段の買い物で知らず知らずのうちにポイントが貯まっているケースは多いでしょう。これらのポイントには有効期限があるものも多く、気づかないうちに失効してしまうと、せっかくの節約機会を逃すことになります。
まず、自分が保有しているポイントの残高と有効期限を定期的に確認する習慣をつけましょう。スマートフォンアプリで管理できるものが多いため、月に一度はチェックすることをおすすめします。貯まったポイントは、日用品の購入や公共料金の支払いに充てることで、現金支出を減らせます。
ただし、ポイント欲しさに不要な買い物をしてしまっては本末転倒です。あくまで必要な買い物をする際に、貯まったポイントを賢く使うという視点で活用することが大切です。
ふるさと納税を有効活用する
ふるさと納税は、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れる節税効果の高い制度です。
ふるさと納税は、自治体に寄付をすることで住民税や所得税の控除が受けられ、さらに地域の特産品などの返礼品がもらえる仕組みです。総務省のデータによれば、ふるさと納税の受入額は1兆円を超え、多くの人が活用しています。
控除上限額は年収や家族構成によって異なりますが、年収500万円の独身者であれば約6万円、年収700万円の夫婦(配偶者控除あり)であれば約8万円が目安です。返礼品の還元率を30%と仮定すると、それぞれ1万8,000円、2万4,000円相当の商品を実質2,000円で入手できる計算になります。
ふるさと納税に関しては、こちらの記事でも解説しています。あわせて参考にしてみてください。
各種控除制度の利用
税金の控除制度を適切に利用することで、手取り額を増やせます。医療費控除、住宅ローン控除、生命保険料控除、地震保険料控除など、さまざまな控除制度があり、条件を満たせば所得税や住民税が減額されるためです。
医療費控除は、年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合に適用され、確定申告をすることで還付が受けられます。通院費や薬代のレシートは必ず保管しておきましょう。
また、会社員の場合でも、年末調整で申告できない控除項目があるため、該当する場合は確定申告をすることをおすすめします。セルフメディケーション税制や特定支出控除なども、条件に当てはまれば大きな節税効果が得られるでしょう。
医療費控除に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
資産運用でお金を増やすために利用すべき制度
資産運用は、お金に働いてもらうことで効率的に資産を増やす手段です。貯金だけではインフレにより実質的な価値が目減りするため、運用で増やすというアプローチも重要です。
銀行の普通預金金利が0.2%程度の現在、預金だけでは資産はほとんど増えません。一方、適切な資産運用を行えば、年率3〜7%程度のリターンを目指すことも可能です。
ここでは、初心者から中級者まで活用できる8つの資産運用方法を紹介します。
新NISA(つみたて投資枠)
新NISA(つみたて投資枠)は、長期・積立・分散投資に最適な非課税制度です。
2024年から始まった新NISA制度では、つみたて投資枠として年間120万円まで投資でき、運用益が無期限で非課税になります。金融庁が選定した長期投資に適した投資信託のみが対象となっており、初心者でも安心して始められる制度です。
つみたて投資枠では、毎月定額を自動的に積み立てるため、相場の上下に一喜一憂せず続けられます。ドルコスト平均法(定額購入法)により、価格が高いときは少なく、安いときは多く購入できるため、平均購入単価を抑えられます。
たとえば、毎月3万円を年率5%で30年間運用した場合、元本1,080万円が約2,500万円に増える計算になります。金融庁のウェブサイトでは、対象商品の一覧や各商品の運用実績を確認できるため、まずは情報収集から始めてください。
新NISA(成長投資枠)
新NISA(成長投資枠)は、より幅広い投資商品に投資できる柔軟性の高い制度です。
成長投資枠では年間240万円まで投資でき、つみたて投資枠と併用すれば年間最大360万円の非課税投資が可能になります。対象商品は、国内外の株式や投資信託、ETF(上場投資信託)など幅広く、個別株にも投資できるのが特徴です。
成長投資枠は、まとまった資金がある場合や、特定の企業の株式に投資したい場合に適しています。また、つみたて投資枠と組み合わせることで、コア部分は安定的な投資信託で運用し、サテライト部分で個別株に挑戦するといった戦略も取れます。
ただし、個別株投資は投資信託よりもリスクが高いため、企業分析や業界研究をしっかり行うことが重要です。初心者の場合は、まず投資信託から始めて経験を積んでから、徐々に個別株にも挑戦するという段階的なアプローチをおすすめします。
NISAに関しては、こちらの記事で解説しています。あわせて参考にしてみてください。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金の準備に特化した税制優遇制度です。
iDeCoの最大の特徴は、掛金が全額所得控除になることで、所得税や住民税が軽減される点にあります。たとえば、年収500万円の人が毎月2万円をiDeCoに拠出すると、年間で約4万8,000円の税金が戻ってくる計算です。さらに、運用益も非課税となり、受取時にも控除が適用されるため、三段階で税制優遇を受けられます。
厚生労働省のデータによれば、iDeCoの加入者数は300万人を超えており、老後資金の準備手段として定着しています。
iDeCoについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください、
投資初心者が知るべき基本知識
投資を始める前に、基本的な知識を身につけることで失敗のリスクを大きく減らせます。
多くの初心者が損失を出してしまう原因は、知識不足のまま感覚的に投資を始めてしまうことにあります。金融庁の調査によれば、投資経験が浅い人ほど短期的な値動きに一喜一憂し、高値で買って安値で売るという失敗パターンに陥りやすい傾向があるのです。
ここでは、投資で成功するために必ず理解しておくべき4つの基本原則をご紹介します。
複利効果の威力
複利効果は、長期投資において資産を飛躍的に増やす重要な概念です。
複利とは、運用で得た利益を再投資することで、元本だけでなく利益にも利益がつく仕組みのことを指します。一方、単利は元本にのみ利息がつく計算方法です。
具体的な例で見てみます。100万円を年率5%で運用した場合、単利では30年後に250万円になりますが、複利では約432万円と、180万円以上の差が生まれるのです。この差は運用期間が長くなるほど大きくなります。
金融庁のシミュレーションツールによれば、毎月3万円を年率5%で30年間積立投資すると、元本1,080万円が約2,500万円に増える計算です。複利効果を最大限に活かすには、できるだけ早く投資を始め、長期間継続することが重要でしょう。
単利と複利の違いに関しては、こちらのQ&Aもご覧ください。
長期・積立・分散投資が基本
長期・積立・分散投資は、リスクを抑えながら安定的なリターンを目指す投資の基本原則です。
「長期投資」とは、短期的な値動きに惑わされず、10年以上の期間で保有し続けることを指します。金融庁のデータによれば、保有期間が5年以下では運用成績のばらつきが大きいものの、20年以上保有すると年率2〜8%程度の安定したリターンに収束する傾向があります。
「積立投資」は、一度に大きな金額を投資するのではなく、毎月一定額を継続的に投資する方法です。価格が高いときも安いときも定額で購入し続けることで、平均購入単価を抑えられるドルコスト平均法の効果が得られるでしょう。
「分散投資」は、複数の資産や地域、銘柄に投資することでリスクを分散させる手法です。「すべての卵を一つのカゴに盛るな」という投資格言があるように、一つの投資先に集中すると、その投資先が値下がりした際に大きな損失を被ります。
なお、具体的な投資商品はこちらの記事で詳しく解説しています。あなたに合った商品選びの参考にしてみてください。
リスクとリターンは比例する
リスクとリターンの関係を理解することは、自分に合った投資商品を選ぶために不可欠です。
投資の世界では、「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」という原則があります。高いリターンを期待できる投資商品は、その分価格変動が大きく損失の可能性も高くなります。逆に、リスクが低い商品はリターンも限定的です。
ここでいうリスクとは、「危険性」ではなく「不確実性」や「価格のばらつき」を意味します。たとえば、個人向け国債はリスクが極めて低いですが、リターンも年0.05〜1%程度と限定的です。一方、個別株投資はリスクが高く、大きく値上がりする可能性もあれば、大幅に値下がりする可能性もあります。
重要なのは、「ローリスク・ハイリターン」の投資商品は存在しないということです。もし誰かがそのような商品を勧めてきたら、詐欺の可能性を疑うべきでしょう。自分のリスク許容度に合わせて、適切なリスク・リターンのバランスを取ることが賢明な投資判断につながります。
リスクとリターンのバランスを理解すれば、詐欺にあうリスクを軽減できます。代表的な詐欺である「ポンジ・スキーム」に関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
手数料はできるだけ抑える
手数料は、長期的な運用成績に大きな影響を与える見落としがちな要素です。
投資信託には、購入時手数料、信託報酬(運用管理費用)、信託財産留保額などの手数料がかかります。特に信託報酬は保有している間ずっと発生し続けるため、わずかな差でも長期的には大きな違いを生むのです。
具体例で考えてみましょう。100万円を年率5%で20年間運用した場合、信託報酬が年0.1%と年1.0%では、最終的な資産額に約40万円の差が生まれます。金融庁も、同じような運用成果を目指す商品であれば、手数料が低い商品を選ぶことを推奨しています。
現在では、信託報酬が年0.1%程度の優良なインデックスファンドも多く存在します。購入時手数料が無料(ノーロード)の商品を選び、信託報酬ができるだけ低い商品を選ぶことで、手数料による目減りを最小限に抑えられるでしょう。
お金を増やすために重要なのは「資産」を買うこと
お金を増やすための根本的な考え方として、「資産」を買うことの重要性を理解することが不可欠です。
資産とは、将来的に値上がりが期待できるものや、定期的に収入(インカム)をもたらしてくれるもののことを指します。具体的には、株式、不動産、債券などが代表的な資産です。これらは保有しているだけで配当金や家賃収入、利息といったキャッシュフローを生み出したり、経済成長とともに価値が上昇したりする可能性があります。
経済学者トマ・ピケティが提唱した「r>g」という法則は、資産収益率(r)が経済成長率(g)を上回る傾向があることを示しています。つまり、労働による収入だけに頼るよりも、資産を保有することで富が増えやすいということです。
一方、車や高級品などの消費財は、購入した瞬間から価値が下がり、維持費もかかるため「負債」的な性質を持ちます。お金を増やすには、給料が入ったら真っ先に資産を購入し、残ったお金で生活するという発想の転換が必要です。
少額からでも投資信託などの資産を積み立てることで、時間とともに資産があなたのために働き、新たな収入源となってくれるでしょう。
家計管理や将来のライフプランシミュレーション、資産運用の計画を考えるとき、悩みや疑問が生じるかもしれません。投資のコンシェルジュでは無料で相談が可能なので、ぜひご活用ください。
年代別お金の増やし方戦略
年代によって収入状況やライフステージが異なるため、最適な資産形成の戦略も変わってきます。自分の年代に合った戦略を立てることで、効率的に資産を増やせるでしょう。
20代の資産形成
20代は、時間という最大の武器を活かして積極的に資産形成を始める時期です。
20代の強みは、40年以上という長い運用期間があることです。複利効果を最大限に活かせるため、少額からでも早く始めることが重要です。たとえば、25歳から毎月2万円を年率5%で運用すると、65歳時点で約3,000万円の資産を築ける計算になります。
まず、新NISAのつみたて投資枠で全世界株式や米国株式のインデックスファンドへの積立投資を始めましょう。月1万円からでも十分です。また、生活防衛資金として生活費の3か月分程度を普通預金に確保することも忘れないでください。
20代は収入がまだ低い時期ですが、スキルアップへの自己投資も重要です。資格取得や語学学習に投資することで、将来の収入増加につながります。副業にチャレンジして収入源を増やすことも、この時期ならではの選択肢でしょう。固定費の見直しや節約習慣を身につけることで、投資に回せる金額を増やせます。
30代の資産運用
30代は、収入が増加する時期であり、本格的に資産形成を加速させるべきタイミングです。
30代になると、キャリアが安定し収入も20代より増えるため、投資額を増やせる余裕が生まれます。結婚や出産、住宅購入などライフイベントも多い時期ですが、それと並行して老後資金の準備も始める必要があります。
新NISAの年間投資枠360万円を活用し、つみたて投資枠と成長投資枠を併用することで、非課税メリットを最大限に享受できます。また、iDeCoも活用することで、所得控除による節税効果を得ながら老後資金を準備できるのです。年収500万円の人が毎月2万円をiDeCoに拠出すれば、年間約4万8,000円の税金が戻ってきます。
40代の資産運用
40代は、老後が具体的に見えてくる時期であり、資産形成の最終段階に入る重要な時期です。
40代は収入がピークに達する一方で、子どもの教育費が最も重くのしかかる時期でもあります。文部科学省のデータによれば、大学卒業までにかかる教育費は、すべて国公立でも約1,000万円、私立の場合は2,000万円を超えることもあるのです。
教育費の準備と並行して、老後資金の積立も継続することが重要です。定年まで約20年という時間があるため、まだ複利効果を活かせる期間は十分にあります。新NISAとiDeCoをフル活用し、年間投資額を増やすことを検討しましょう。
また、40代は保険の見直しにも適した時期です。子どもが独立に近づくにつれて必要な死亡保障額は減少するため、保障を見直して保険料を削減できます。浮いた保険料を投資に回すことで、より効率的に資産を増やせるでしょう。
必要な教育費に関して知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
50代の資産運用
50代は、老後生活を具体的にイメージし、資産の安定化を図る時期です。
定年まで10年程度となる50代は、老後資金が十分に準備できているか確認し、不足分があれば集中的に貯蓄・投資を行う最後のチャンスです。総務省の「家計調査」によれば、夫婦2人の老後生活には月額約26万円が必要とされており、公的年金だけでは不足するケースが多いでしょう。
まず、ねんきん定期便で将来受け取れる年金額を確認し、老後に必要な資金とのギャップを把握してください。不足分を補うために、50代は収入も高い時期なので、投資額を最大化することが可能です。新NISAの非課税枠を最大限活用しましょう。
ただし、50代後半になったら、リスク資産の比率を徐々に下げていくことも検討すべきです。全資産を株式投資に集中させるのではなく、債券や現金など安定資産の比率を増やすことで、定年前後の株価暴落リスクに備えられます。。
また、退職金の運用計画も重要です。退職金を一度に投資に回すのではなく、時間分散を意識して段階的に投資することで、リスクを抑えられるでしょう。
60代以降の資産活用
60代は、これまで築いてきた資産を取り崩しながら、安定した老後生活を送るための移行期です。
多くの人が定年退職を迎える60代は、給与収入から年金収入への切り替わりや退職金の受け取りなど、大きな変化が訪れます。この時期は、資産を守りながら計画的に活用することが重要になります。
まず、年金の受給開始時期を慎重に検討しましょう。年金は65歳から受け取るのが基本ですが、60歳から繰上げ受給することも、75歳まで繰下げ受給することも可能です。繰下げ受給では1か月遅らせるごとに受給額が0.7%増加し、75歳まで繰り下げると84%増額されます。
資産運用については、リスク資産の比率を段階的に下げ、安全資産の比率を高めることが基本です。株式100%のポートフォリオから、株式50%・債券30%・現金20%といったバランス型に移行することで、市場の急変動に備えられます。
年代ごとに、想定されるライフイベントや備えるべきリスクは異なります。詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
お金を増やすときの注意点
お金を増やす過程では、さまざまなリスクや落とし穴に注意する必要があります。
資産形成に取り組む人が増える一方で、投資詐欺の被害や無理な投資による損失も後を絶ちません。警察庁の統計によれば、投資関連の詐欺被害は年間数百億円規模に上っており、被害者の多くは投資初心者や高齢者です。
正しい知識を持ち、適切なリスク管理を行うことで、安全に資産を増やせるでしょう。
投資詐欺に注意する
投資詐欺は巧妙化しており、誰もが被害に遭う可能性があるため、見分け方を知ることが重要です。
典型的な投資詐欺の特徴として、「必ず儲かる」「元本保証で高利回り」「限定○名様」といった甘い言葉で勧誘してきます。しかし、金融商品取引法では、「必ず儲かる」といった断定的判断の提供は禁止されており、そのような勧誘は違法です。また、「ローリスク・ハイリターン」の投資商品は存在しないことを理解しておきましょう。
金融庁は、無登録で金融商品取引業を行っているとして、金融庁(財務局)が警告書の発出を行った事業者を掲載しています。不審な勧誘を受けた場合は、金融庁のウェブサイトで業者の登録状況を確認してください。
投資詐欺で典型的なのが、ポンジ・スキームです。詳細は、こちらのQ&Aをご覧ください。
リスク管理を行う
適切なリスク管理は、長期的に資産を増やし続けるための必須条件です。
投資においてリスク管理とは、想定外の損失を防ぎ、自分が許容できる範囲内でリスクを取ることを意味します。まず重要なのは、生活防衛資金(生活費の3〜6か月分)を確保したうえで、余剰資金のみを投資に回すことです。生活に必要なお金まで投資してしまうと、急な出費があった際に損失が出ているタイミングで売却せざるを得なくなります。
分散投資もリスク管理の基本です。一つの銘柄や資産に集中投資すると、その投資先に問題が生じた場合に大きな損失を被ります。全世界株式のインデックスファンドであれば、自動的に数千社に分散投資できるため、個別企業のリスクを抑えられるでしょう。
また、損切りルールを設定することも重要です。「○%下落したら売却する」といった基準を事前に決めておけば、感情的な判断を避けられます。ただし、長期投資を前提とする場合は、短期的な値動きで慌てて売却せず、定期的にポートフォリオを見直す程度にとどめることが賢明です。
基本的に借金はしない
借金をしないことは、健全な家計管理と資産形成の大原則です。
「借金をして投資すれば早く資産が増える」という考え方や、「クレジットカードのリボ払いは便利」という安易な発想は、将来的に家計を圧迫する原因です。消費者金融やカードローンの金利は年15〜18%と非常に高く、この金利を上回るリターンを安定的に得ることは極めて困難でしょう。
家計における借金の危険性は、利息の支払いによって資産形成の機会を失うことにあります。たとえば、100万円を年利15%で借りた場合、年間15万円の利息が発生します。この15万円を投資に回せば、年率5%の運用で将来的に大きな資産になるはずなのに、利息の支払いで消えてしまうのです。
安易に信用取引やレバレッジ投資はしない
投資における借金も、基本的には避けるべきです。「レバレッジを効かせる」「借金してでも早く投資すべき」といった情報をSNSなどで見かけることがありますが、これは危険な考え方です。
投資には必ず価格変動のリスクがあり、元本割れする可能性があります。借金で投資して損失が出た場合、返済に苦しむだけでなく、生活そのものが破綻する恐れがあるのです。
金融庁も、借金での投資のリスクについて注意喚起しており、余剰資金での投資を推奨しています。お金を増やすために投資をするはずが、借金によって生活が苦しくなるという本末転倒な事態を避けるため、基本的に借金はせず、必ず自己資金の範囲内で家計管理と投資を行ってください。
手間をかけずに投資をしたい場合は、「ほったらかし投資」がおすすめです。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
この記事のまとめ
お金を増やすためには、「収入を増やす」「節約する」「資産運用する」の3つの方法を、自分の状況に合わせて組み合わせることが重要です。
年代によって最適な戦略は異なりますが、共通して言えるのは、現状把握から始めて具体的な目標を設定し、計画的に行動することが大切です。税制優遇制度も活用しながら、あなたに合った方法で着実に資産形成を進めていきましょう。
専門家と家計管理や資産運用について相談しながら、無理なく継続できる仕組みを作りましょう。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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新NISA
新NISAとは、2024年からスタートした日本の新しい少額投資非課税制度のことで、従来のNISA制度を見直して、より長期的で柔軟な資産形成を支援する目的で導入されました。この制度では、投資で得られた利益(配当や売却益)が一定の条件のもとで非課税になるため、税負担を気にせずに投資ができます。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が用意されており、年間の投資可能額や総額の上限も大幅に引き上げられました。 また、非課税期間が無期限となったことで、より長期的な運用が可能となっています。投資初心者にも利用しやすい仕組みとなっており、老後資金や将来の資産形成の手段として注目されています。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
複利効果
複利効果とは、投資で得られた利益を元本に組み入れて再び運用することにより、利益が利益を生むという仕組みのことを指します。たとえば、最初に100万円を年利5%で運用した場合、1年後には105万円になりますが、その翌年は105万円に対して5%の利息がつくため、さらに増えた金額に利息が上乗せされていきます。このように、運用期間が長くなるほど利益が加速度的に増えていくのが複利効果の特徴です。特に配当再投資や自動積立投資との組み合わせによって、この効果はより強く現れます。短期間では実感しにくいかもしれませんが、10年、20年といった長期で見ると、元本だけで運用する単利に比べて、はるかに大きな資産形成が可能になります。複利効果は「時間を味方につける」資産運用の基本的な考え方として、投資初心者にとっても非常に重要です。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資する方法です。価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く買えるため、購入価格が平均化され、リスクを分散できます。市場のタイミングを読む必要がないため、初心者に最適な方法とされています。長期投資で効果を発揮し、特に投資信託やETFで利用されることが多い手法です。
リスク許容度
リスク許容度とは、自分の資産運用において、どれくらいの損失までなら精神的にも経済的にも受け入れられるかという度合いを表す考え方です。 投資には必ずリスクが伴い、時には資産が目減りすることもあります。そのときに、どのくらいの下落まで冷静に対応できるか、また生活に支障が出ないかという観点で、自分のリスク許容度を見極めることが大切です。 年齢、収入、資産の状況、投資経験、投資の目的などによって人それぞれ異なり、リスク許容度が高い人は価格変動の大きい商品にも挑戦できますが、低い人は安定性の高い商品を選ぶほうが安心です。自分のリスク許容度を正しく理解することで、無理のない投資計画を立てることができます。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
ノーロード
ノーロードとは、投資信託などの金融商品を購入する際に「購入手数料がかからない」という特徴を表す言葉です。通常、投資信託を買うときには購入金額の一定割合が手数料として差し引かれることがありますが、ノーロード型の投資信託ではその手数料がゼロになっています。そのため、投資した金額のすべてを運用に回すことができ、コスト面で有利になります。特に長期投資を考える初心者にとっては、手数料の負担が少ないことは大きなメリットといえます。ただし、ノーロードでも信託報酬などの運用中にかかる費用はあるため、商品の内容をしっかり確認することが大切です。
生活防衛資金
生活防衛資金とは、万が一の病気や失業、災害などで収入が途絶えた場合でも、一定期間は生活を維持できるように、あらかじめ確保しておく現金のことです。投資を始める前にまず準備しておくべきお金で、一般的には生活費の3か月から6か月分を目安にするとされています。 この資金は、株や投資信託のように価格が変動する商品ではなく、すぐに引き出せる預金などで保管するのが望ましいとされています。生活防衛資金がしっかりと確保されていれば、投資のリスクを過度に恐れずに冷静な判断がしやすくなり、精神的な安心感にもつながります。
可処分所得
可処分所得とは、毎月の給料や事業収入など「入ってくるお金」から、まず国に納める所得税・住民税と社会保険料(年金、健康保険、雇用保険など)を差し引いたあとに残る“手取り額”を指します。言い換えれば、家計が自由に配分できるお金のスタート地点です。計算式は次のとおりです。 可処分所得 = 総所得(額面)-〔所得税+住民税+社会保険料〕 たとえば月収30万円の会社員で、税金と社会保険料が合計5万円差し引かれる場合、可処分所得は25万円です。この25万円のうち家賃や光熱費、食費といった「生活費」を支払った残りが、貯蓄や投資、趣味に回せるお金になります。 投資を始めるときに最初に決めるべきは、可処分所得の中から「生活費」「緊急用の予備資金」「投資・貯蓄」にそれぞれどれだけ配分するか、という割合設定です。たとえば生活費に20万円かかるなら、毎月5万円が積立投資の上限額となります。生活費が膨らめば投資余力は縮小するため、手取りを正確に把握していないと、無理な積立や過度なリスクを抱える原因になりかねません。 似た概念に「自由裁量所得(discretionary income)」があります。これは、可処分所得から必需的な生活費(家賃や食費など)を差し引いた“完全に自由に使える余裕資金”のことで、いわば投資・娯楽・旅行などに回せる実質的なおこづかいです。資産形成を加速したい場合は、固定費の見直しで生活費を圧縮し、自由裁量所得を増やすことが近道になります。 まとめると、可処分所得は家計管理と資産運用の出発点です。額面給与だけでなく手取り額を基準に毎月の予算を組み、自由裁量所得の範囲内でコツコツと投資や貯蓄を進めることで、無理のない長期運用が実現できます。
所得控除
所得控除とは、個人の所得にかかる税金を計算する際に、特定の支出や条件に基づいて課税対象となる所得額を減らす仕組みである。日本では、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、納税者の生活状況に応じて税負担を軽減する役割を果たす。これにより、所得が同じでも控除を活用することで実際の税額が変わることがある。控除額が大きいほど課税所得が減少し、納税者の手取り額が増えるため、適切な活用が重要である。
医療費控除
医療費控除とは、納税者が1年間に支払った医療費の一部を所得から控除できる税制上の制度を指す。自己や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合に適用され、所得税や住民税の負担を軽減できる。対象となる費用には、病院での診療費や処方薬の費用のほか、一定の条件を満たす介護費用なども含まれる。確定申告が必要であり、領収書の保管が重要となる。
住宅ローン控除(住宅ローン減税/住宅借入金等特別控除)
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローンを利用して自宅を購入・新築・増改築した際に、一定の条件を満たせば年末時点のローン残高に応じた金額が所得税から控除される制度です。住宅取得を支援する目的で設けられており、最大で13年間にわたり税負担を軽減できます。 控除額は原則として「年末のローン残高×0.7%」を基準に算出され、各住宅区分ごとに定められた借入限度額までが対象となります。控除しきれなかった分は翌年度の住民税からも一定額控除されます。 適用を受けるにはいくつかの条件があります。主な要件は、①自ら居住すること、②取得から6か月以内に入居し年末まで継続居住すること、③床面積が50㎡以上(一定要件を満たせば40㎡以上も可)、④返済期間が10年以上のローンであること、⑤合計所得が2,000万円以下であること、などです。親族間の売買や勤務先からの無利子・超低利ローンは対象外となります。 また、新築住宅は省エネ基準の適合が必須条件とされており、長期優良住宅やZEH水準の住宅は借入限度額が優遇されます。中古住宅では新耐震基準に適合していることが必要で、古い住宅では耐震証明書の提出が求められるケースもあります。増改築やリフォームも一定の工事要件を満たせば対象になります。 手続きは初年度に確定申告が必要で、会社員の場合は2年目以降は年末調整で対応できます。必要書類として、住宅ローンの年末残高証明書、売買契約書や登記事項証明書、省エネ性能に関する証明書などが挙げられます。 住宅ローン控除は、住宅購入時の資金計画や税負担に大きく影響する重要な制度です。適用条件や期限を正しく理解し、事前に必要書類や証明の取得を進めておくことが安心につながります。
キャッシュフロー
お金の流れを表す言葉で、一定期間における「お金の収入」と「支出」を指します。投資や経済活動では特に重要な概念で、現金がどれだけ増えたか、または減ったかを把握するために使われます。キャッシュフローは大きく3つに分かれます。 1つ目は本業による収益や費用を示す「営業キャッシュフロー」、2つ目は資産の購入や売却に関連する「投資キャッシュフロー」、3つ目は借入金や配当などの「財務キャッシュフロー」です。 キャッシュフローがプラスであれば手元にお金が増えている状態、マイナスであれば減っている状態を示します。これを理解することで、資産の健全性や投資先の実態を見極めることができ、初心者でも資金管理や投資判断の基礎として役立てられます。
インカムゲイン(インカム)
インカムゲイン(インカム)とは、株式や債券、不動産などの資産を保有していることで定期的または継続的に得られる収益のことを指します。具体的には、株式の配当金、債券の利息、不動産の家賃収入などが代表的な例です。一方で、資産の売買差益から生まれるキャピタルゲインとは異なり、保有し続けることで一定のペースで収入を得る点が特徴です。 インカムゲインを重視する投資では、安定したキャッシュフローを得られることが大きな魅力となります。例えば、株式の配当金は企業の利益から支払われますが、企業の業績や配当方針に応じて増減があるため、定期的なチェックが必要です。債券の利息は発行体の信用力や金利情勢に大きく左右され、金利が上昇すると既存債券の価格が下落するリスクがあります。不動産投資では家賃収入がインカムゲインとなりますが、空室が続いたり修繕費がかさんだりするリスクがあるほか、売却時の価格も景気や立地に左右されるため、投資額の回収が遅れる可能性があります。 これらのリスクを考慮する一方で、インカムゲインには安定性というメリットがあります。資産を保有しているだけでも定期的に資金が手に入り、再投資や生活費に回すことで資産形成を円滑に進めやすい面があります。また、いざ急に資金が必要になった場合には、すぐに売却しなくても配当金や利息で一定の収入を得られる可能性があるため、心理的な安心感につながることもあります。 ただし、インカムゲインを得ようとするあまり、高配当や高利回りをうたう投資商品ばかりに偏ると、発行体の信用リスクや価格変動リスクが高まるケースも考えられます。特に、株式の配当は企業の業績が悪化すれば減配や無配となる恐れがあり、債券の場合でも発行体の破綻リスクや金利上昇リスクが存在します。不動産投資では物件管理の手間や費用が大きく、地方物件などでは買い手が少なく流動性リスクも高くなるため、分散投資の観点で他の資産とバランス良く組み合わせるのが望ましいでしょう。 総じて、インカムゲインは、投資から生まれる継続的な収益を得るための有力なアプローチです。特に、キャピタルゲインだけに頼らず、配当や利息、家賃収入などの定期的な収入源を得ることでリスクを分散しながら安定した資産運用を目指すことができます。ただし、投資対象の選定やリスク管理は欠かせないポイントであり、投資する資金やライフプラン、リスク許容度に応じて最適なバランスを見極める必要があります。
キャピタルゲイン(売却益/譲渡所得)
キャピタルゲインとは、株式や不動産、投資信託などの資産を購入した価格よりも高く売却したことによって得られる利益のことです。一般的な経済用語としては「売却益」と呼ばれ、資産運用における収益のひとつとして広く使われています。日本の税法においては、このキャピタルゲインは「譲渡所得」として分類され、確定申告などで所得として扱われます。つまり、経済的な意味ではキャピタルゲインと譲渡所得は同様の概念を指しますが、前者が広義の利益、後者が課税対象としての所得という違いがあります。投資の成果を判断したり、税金を計算したりするうえで、両者の使われ方を正しく理解することが大切です。
レバレッジ
レバレッジとは、借入金や証拠金取引など外部資金を活用して自己資本以上の投資規模を実現する手法です。利益の拡大が期待できる一方、市場の下落や金利の変動で損失が膨らみやすく、追加証拠金(追証)が必要になる場合やロスカットが発生するリスクも高まります。 また、借入金利や手数料などのコストが利益を圧迫する可能性があるため、ポジション管理やヘッジ手法を含めたリスク管理が不可欠です。レバレッジによる損益変動幅が大きくなることで精神的な負担も増えやすい点にも注意が必要です。最終的には、投資目的やリスク許容度を考慮し、適切なレバレッジ水準を設定することで、資産運用の効率を高めつつリスクを抑えることが重要となります。
リボ払い
リボ払いとは、クレジットカードの利用金額にかかわらず、毎月の支払い額がほぼ一定になる支払い方法のことです。たとえば、たくさん買い物をしても、毎月の支払いは1万円などと決まっているため、家計の管理がしやすいように感じることもあります。しかし、支払いが長期間にわたることで利息が膨らみやすく、結果的に支払総額が大きくなってしまうことがあります。特に、金利が高めに設定されていることが多いため、計画的に使わないと借金の負担が重くなるおそれがあります。仕組みをしっかり理解したうえで利用することが大切です。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
リスク分散
資産運用における「リスク分散」とは、簡単に言うと「一つのカゴにすべての卵を入れない」という考え方です。たとえば、資産を特定の株式や投資信託だけに集中させてしまうと、それが値下がりしたときに大きな損失を受ける可能性があります。 リスク分散は、このリスクを減らすために、異なる種類の投資商品や地域、産業に資金を分けて投資する方法です。これにより、一つの商品が値下がりしても、他の商品が値上がりすることで全体の損失を抑える効果が期待できます。たとえば、国内株式だけでなく、海外株式や債券など複数の商品に投資することで、安定した資産運用が目指せます。 「たくさんの場所に投資して安全ネットを張る」というイメージを持つとわかりやすいでしょう。
元本割れ
元本割れとは、投資で使ったお金、つまり元本(がんぽん)よりも、最終的に戻ってきた金額が少なくなることをいいます。たとえば、100万円で投資信託を購入したのに、解約時に戻ってきたのが90万円だった場合、この差額10万円が損失であり、「元本割れした」という状態です。 特に、価格が変動する商品、たとえば株式や投資信託、債券などでは、将来の価格や分配金が保証されているわけではないため、元本割れのリスクがあります。「絶対に損をしたくない」と考える方にとっては、このリスクを正しく理解することがとても重要です。金融商品を選ぶときには、利回りだけでなく元本割れの可能性も十分に考慮しましょう。
税制優遇措置
税制優遇措置とは、政府が特定の経済活動や投資を促進するために、税負担を軽減する制度のことを指す。具体的には、法人税の減税、所得控除、減価償却の特例などが含まれる。例えば、中小企業やスタートアップに対する税制優遇、特定の産業への投資促進策などがある。これにより、企業や個人は資金負担を抑えつつ、事業成長や投資の拡大を図ることができる。政策目的に応じて適用範囲や内容が変わるため、適用条件の確認が重要である。
公的年金
公的年金には「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、高齢者や障害者、遺族が生活を支えるための制度です。この制度は、現役で働く人たちが納めた保険料をもとに、年金受給者に支給する「世代間扶養」の仕組みで成り立っています。 国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度です。保険料を一定期間(原則10年以上)納めると、65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。また、障害を負った場合や生計を支える人が亡くなった場合には、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができます。 厚生年金は、会社員や公務員が対象の制度で、国民年金に追加で加入する形になります。保険料は給与に応じて決まり、支払った分に応じて将来の年金額も増えます。そのため、厚生年金に加入している人は、国民年金だけの人よりも多くの年金を受け取ることができ、老齢厚生年金のほかに、障害厚生年金や遺族厚生年金もあります。 公的年金の目的は、老後の生活を支えるだけでなく、病気や事故で障害を負った人や、家計を支える人を亡くした遺族を支援することにもあります。財源は、加入者が納める保険料と税金の一部で成り立っており、現役世代が高齢者を支える「賦課方式」を採用しています。しかし、少子高齢化が進むことで、この仕組みを今後も維持していくことが課題となっています。公的年金は、すべての国民が支え合い、老後の安心を確保するための重要な制度です。






