夫婦で収入合算して住宅ローンを組む場合のデメリットはどのようなものがありますか?
回答受付中
0
2025/09/19 09:02
女性
30代
夫婦で収入を合算して住宅ローンを組むことを検討しています。収入合算することで、返済能力が高くなることから、どちらか単体よりも大きな金額を借りることができるためです。一方でデメリットがないか気になっています。具体的にどのようなデメリットが考えられるのか教えていただきたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
夫婦で収入合算して住宅ローンを組むと、借入可能額が増える一方で、将来のリスクに弱いというデメリットがあります。特に、片方の収入減少や病気、出産・育休、離婚などのライフイベントが発生すると返済が厳しくなる可能性が高まります。
まず大きな注意点は、返済負担が過大になりやすいことです。合算によって審査上は余裕があるように見えても、片方が働けなくなった途端に家計が苦しくなります。変動金利の場合は金利上昇の影響も強く受けます。
次に、団体信用生命保険(団信)の保障範囲です。収入合算型は主債務者のみが団信対象であり、保証人が亡くなっても残債は消えません。連帯債務やペアローンならそれぞれ団信に入れますが、片方のローンは残り続けるためリスクは解消されません。
また、税務や登記にも落とし穴があります。共有名義の持分割合と実際の返済割合がずれると、贈与とみなされ税務リスクが生じます。親からの援助を受ける場合も、誰がどの分を負担するかを明確に記録する必要があります。
住宅ローン控除も注意が必要です。夫婦で枠を広げられる反面、育休や転職で所得が減れば控除を使い切れないことがあります。結果として思ったほど節税できないケースが出てきます。
さらに、離婚や相続、売却時の処理は複雑になります。共有名義や連帯債務が絡むと、持分の調整や債務者変更に金融機関の承認が必要で、手間も費用も増えます。ペアローンの場合は手数料や登記費用が二重にかかり、コスト面でも負担が大きいです。
まとめると、収入合算は「借入可能額を増やす」メリットがある一方で、「返済リスクの増大」「保障や税務の複雑さ」「将来の自由度低下」というデメリットがあります。対策としては、片方の収入だけでも無理なく返済できる額に抑えること、持分や返済割合を明確にすること、団信や保険で不足を補うことが重要です。
関連記事
関連する専門用語
収入合算
収入合算とは、住宅ローンを申し込む際に、主たる借入者の収入に加えて、配偶者や親などの収入も合算して審査してもらう方法です。これにより、単独では借入限度額に届かない場合でも、合算することでより多くの融資を受けられる可能性が高まります。 収入合算は、家計を共同で支える家族がいる場合に特に有効で、住宅の選択肢を広げる助けになります。ただし、収入を合算する相手が「連帯保証人」や「連帯債務者」となる必要があり、返済義務やリスクを共有することになるため、事前に十分な理解と話し合いが求められます。
団体信用生命保険(団信)
団体信用生命保険とは、住宅ローンを組んだ人が亡くなったり高度障害になったりした場合に、その時点のローン残高が保険金で返済される保険です。多くの場合、住宅ローンを借りる際に金融機関が加入を条件とすることがあり、略して「団信(だんしん)」とも呼ばれます。 この保険に加入しておけば、万が一のことがあった際に遺族がローンを引き継ぐ必要がなくなり、家に住み続けることができるため、大きな安心材料になります。保障の範囲は、死亡や高度障害に限らず、がんや三大疾病、就業不能までカバーするタイプもあり、ライフスタイルに応じて選ぶことができます。
連帯債務
連帯債務とは、複数の人が一つの借金や義務に対して、それぞれが全額の支払い責任を負うという契約の形です。たとえば、夫婦で住宅ローンを組む場合などに使われることが多く、どちらか一方が支払えなくなったとしても、もう一方に全額の返済義務が発生します。 このように、債権者にとっては誰か一人に請求すればよいため安心ですが、債務者側にとってはお互いの経済状況や信頼関係が重要になります。連帯債務は、単に借金を分け合う「分割債務」とは違い、それぞれが全体の責任を持つという点に注意が必要です。特に住宅ローンや不動産投資の資金調達で関係してくることが多いため、仕組みをよく理解しておくことが大切です。
ペアローン
ペアローンとは、夫婦やカップルなどが、それぞれ個別に住宅ローンを組んで、同じ物件を共同で購入するために利用するローンの仕組みです。2人がそれぞれローン契約を結ぶため、借入可能額が大きくなり、希望する物件を購入しやすくなるというメリットがあります。 また、それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性があるため、節税面でも有利になることがあります。ただし、ローンの契約は個別に行われるため、どちらか一方が返済できなくなった場合には、もう一方に大きな負担がかかることがあります。ペアローンを利用する際は、将来のライフプランやリスクも含めて十分な話し合いが必要です。
共有名義
共有名義とは、一つの不動産や金融資産を複数人で所有し、それぞれの持ち分を法的に記録している状態をいいます。たとえば夫婦で住宅を購入する際や、親子で投資物件を取得する場合などに使われます。共有名義にすることで資金を出し合いやすくなる一方で、将来売却や相続を行うときには全員の合意が必要となるため、手続きが複雑になることがあります。
住宅ローン控除(住宅ローン減税/住宅借入金等特別控除)
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローンを利用して自宅を購入・新築・増改築した際に、一定の条件を満たせば年末時点のローン残高に応じた金額が所得税から控除される制度です。住宅取得を支援する目的で設けられており、最大で13年間にわたり税負担を軽減できます。 控除額は原則として「年末のローン残高×0.7%」を基準に算出され、各住宅区分ごとに定められた借入限度額までが対象となります。控除しきれなかった分は翌年度の住民税からも一定額控除されます。 適用を受けるにはいくつかの条件があります。主な要件は、①自ら居住すること、②取得から6か月以内に入居し年末まで継続居住すること、③床面積が50㎡以上(一定要件を満たせば40㎡以上も可)、④返済期間が10年以上のローンであること、⑤合計所得が2,000万円以下であること、などです。親族間の売買や勤務先からの無利子・超低利ローンは対象外となります。 また、新築住宅は省エネ基準の適合が必須条件とされており、長期優良住宅やZEH水準の住宅は借入限度額が優遇されます。中古住宅では新耐震基準に適合していることが必要で、古い住宅では耐震証明書の提出が求められるケースもあります。増改築やリフォームも一定の工事要件を満たせば対象になります。 手続きは初年度に確定申告が必要で、会社員の場合は2年目以降は年末調整で対応できます。必要書類として、住宅ローンの年末残高証明書、売買契約書や登記事項証明書、省エネ性能に関する証明書などが挙げられます。 住宅ローン控除は、住宅購入時の資金計画や税負担に大きく影響する重要な制度です。適用条件や期限を正しく理解し、事前に必要書類や証明の取得を進めておくことが安心につながります。