
住宅ローン控除とは?仕組み・注意点・条件や確定申告・年末調整でいくら戻るか徹底解説
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公開:
2025.09.08
更新:
2025.09.08
住宅ローン控除は、年末のローン残高に応じて最大13年間、所得税や住民税から控除を受けられる大きな節税制度です。特に2024年以降の新築では、省エネ基準を満たす住宅でなければ適用されないなど、最新の要件を理解することが欠かせません。
控除額の計算や所得制限、住民税控除の上限などは見落としやすく、誤解すると本来の恩恵を受けられない可能性もあります。
本記事では、制度の仕組みから適用条件、手続きの流れまでを整理し、安心して活用できる知識を得られます。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むと、住宅ローン控除の仕組みを具体的に理解でき、あなたのケースで「いくら戻るか」を年末残高×0.7%で計算する方法がわかります。
新築は最大13年、中古やリフォームは10年といった期間の違い、2025年末入居が期限であること、省エネ基準が適用条件になる点など最新ルールも整理されています。
さらに、所得2,000万円以下や住民税控除上限97,500円などの要件、初年度の確定申告と2年目以降の年末調整の流れまでを把握でき、制度を安心して活用できるようになります。
目次
年末ローン残高の0.7%が所得税から直接戻る「税額控除」がキホン
「税額控除」と「所得控除」の違いは?節税効果が大きいのはどっち?
2025年9月時点:住宅ローン控除はいつまで?なくなる?改正ルールと4つの変更点
年収・所得の要件:年収は約2,600万円(所得2,000万円)まで
計算方法はシンプル!「年末ローン残高×0.7%」が年間控除額
所得税から引ききれない分は住民税からも控除される(上限9.75万円)
住宅ローン控除手続き|初年度は確定申告、2年目以降は年末調整でOK
2年目以降の年末調整のやり方|会社に2つの書類を提出するだけ
ふるさと納税との併用は可能だが、控除上限額が減るケースに注意
よくある失敗例と対処法|申請忘れ・還付金が少ないときの解決策
住宅ローン控除(減税)とは?税金が戻る仕組みの基本
住宅ローン控除は、マイホームの購入やリフォームでローンを組んだ方の税負担を軽くする国の制度です。仕組みを正しく理解すれば、大きな節税効果が期待できます。この章では、控除額の決まり方や、よく似た「所得控除」との違いなど、制度の最も基本的な部分を解説します。
住宅ローンの仕組みについては以下記事で詳しく解説しています。
年末ローン残高の0.7%が所得税から直接戻る「税額控除」がキホン
住宅ローン控除とは、マイホームの購入や新築、リフォームのために組んだ住宅ローンにかかる税金の優遇制度です。
毎年年末時点のローン残高に0.7%を掛けた金額が、その年に納めるべき所得税から直接差し引かれます。控除期間は原則として最大13年間です。例えば、年末のローン残高が3,000万円の場合、その年の控除額は21万円(3,000万円×0.7%)となります。
もし控除額が所得税額を上回り、引ききれなかった分がある場合でも、翌年度に支払う住民税から一部を差し引くことができます。このように、税金の負担そのものを大きく軽減してくれる仕組みです。
「税額控除」と「所得控除」の違いは?節税効果が大きいのはどっち?
結論から言うと、一般的に節税効果が大きいのは住宅ローン控除で採用されている「税額控除」です。
税額控除は、計算された税金の額から直接金額を差し引く方式です。つまり「納める税金が21万円減る」というように、効果が非常に直接的です。
一方、所得控除は、税金を計算する前の「所得」から金額を差し引く方式です。課税対象となる所得が減るため結果的に税金は安くなりますが、節税額は「減った所得×税率」で決まるため、税額控除ほどのインパクトはありません。
控除期間・控除率・住宅性能の区分とは?
住宅ローン控除を理解する上で、まず押さえておきたい3つの基本用語があります。
- 控除期間:控除を受けられる期間のことで、新築住宅などは原則として最大13年間です。
- 控除率:控除額を計算するための割合で、現在は年末ローン残高の0.7%です。
- 住宅性能の区分:長期優良住宅や省エネ住宅といった環境性能の高い住宅ほど、控除の上限額が優遇される仕組みがあります。
この制度は、住宅購入を後押しする目的で導入され、時代の変化に合わせて内容が更新されてきました。正式名称は「住宅借入金等特別控除」ですが、「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」という呼び名で広く知られています。
2025年9月時点:住宅ローン控除はいつまで?なくなる?改正ルールと4つの変更点
住宅ローン控除の制度は、近年の税制改正で内容が大きく見直されました。現行の制度は2025年末まで延長されましたが、控除率や各種要件が変更されています。ここでは、いつまでに入居すれば対象になるのか、そして主な変更点は何かを分かりやすく解説します。
2025年12月31日までの入居が対象
現在の住宅ローン控除は、2025年12月31日までに入居した方が対象です。
2022年の改正で、控除率は年末ローン残高の0.7%に引き下げられました。その一方で、控除期間は新築住宅で最大13年間、中古住宅で10年間と設定され、長期的な支援が受けられるようになっています。
なお、2026年以降の制度については、今後の税制改正で改めて議論される予定です。
住宅性能で控除の上限額は変わる(長期優良・ZEH等)
2022年以降の改正では、省エネ性能など住宅の質が重視されるようになりました。それに伴い、住宅ローン控除の適用条件も細かく見直されています。ここでは、住宅性能に関する変更点を中心に、所得や面積などの主な改正内容を4つのポイントに分けて紹介します。
住宅性能別の借入限度額設定
住宅の省エネ性能などに応じて、控除の対象となる借入限度額が変わる仕組みになりました。長期優良住宅のような環境性能の高い住宅ほど、より多くの控除を受けられるよう設定されており、質の高い住宅の取得を後押しする狙いがあります。
所得要件の厳格化
控除を受けられる方の所得要件が、合計所得金額で2,000万円以下に引き下げられました。以前は3,000万円以下だったため、より厳しくなっています。これは、年収に換算すると、おおむね2,600万円前後が上限の目安です。
床面積要件の緩和
控除対象となる住宅の床面積は、原則50平方メートル以上です。ただし、合計所得1,000万円以下の方に限り、40平方メートル以上に要件が緩和されました。これにより、都市部のコンパクトなマンションなどでも制度を利用しやすくなっています。
既存住宅の築年数要件緩和
中古住宅については、これまでの築年数による制限が撤廃されました。1982年以降に建築された「新耐震基準」に適合する住宅であれば、築年数を問わず控除の対象となります。これにより、古い物件でも耐震性が確認できれば制度を活用できます。
子育て・若者夫婦世帯なら控除額が優遇される特例とは
2024年と2025年に入居する場合、子育て世帯や若者夫婦世帯は控除額が手厚くなる優遇措置が設けられました。これは、子育て世代の住宅取得を支援するための特例です。
19歳未満の子どもがいる世帯や、夫婦のどちらかが40歳未満の世帯が対象です。これらの世帯が新築住宅に入居する場合、控除の対象となる借入限度額が一般世帯よりも引き上げられます。この優遇措置は2025年の税制改正でも継続されることが決まっています。
2024年以降の新築は「省エネ基準適合」が必須条件に
住宅の省エネ化を推進するため、2024年1月1日以降に建築確認を受ける新築住宅は、原則として「省エネ基準」に適合していることが控除の必須条件となりました。
もし省エネ基準を満たさない新築住宅の場合、住宅ローン控除は受けられません。ただし、2023年末までに建築確認を受けているなどの経過措置に該当すれば、借入限度額などが縮小された上で、例外的に控除の対象となります。新築を検討する際は特に注意が必要です。
あなたは住宅ローン控除を使える?4つの適用要件を判定
住宅ローン控除を利用するには、いくつかの条件をすべて満たす必要があります。条件は大きく分けて「購入する住宅」「利用するローン」「住む人自身」「入居する時期」の4つの視点から定められています。ここでは、ご自身が対象になるかどうかを一つずつ確認できるよう、具体的な要件を解説します。
住宅の要件:床面積50㎡以上・新耐震基準適合が基本
控除の対象となる住宅には、広さや安全性に関する基準が設けられています。特にマンションや中古住宅を購入する際は、これらの基準を満たしているか事前に確認することが大切です。
床面積:合計所得1,000万円以下なら40㎡以上に緩和
登記簿に記載された床面積が50平方メートル以上であることが原則です。ただし、合計所得1,000万円以下の方については、2025年末までに建築確認を受けた新築住宅であれば、40平方メートル以上に要件が緩和されます。
築年数:1982年以降の建築ならOK!旧耐震は証明書が必要
中古住宅の場合、1982年1月1日以降に建てられた「新耐震基準」の建物であることが条件です。それ以前の建物でも、「耐震基準適合証明書」などで安全性が証明できれば対象となります。
対象物件:新築・中古だけでなくリフォーム(増改築)も対象
新築や中古物件の購入に加え、一定の要件を満たすリフォームや増改築も控除の対象です。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 自分が住むための家が対象で、別荘や投資用物件は対象外です。
- 親や祖父母など、生計を共にする親族から購入した住宅は対象外です。
借入の要件:返済期間10年以上が必須!借り換えローンも対象
住宅ローン控除は、利用するローンの契約内容にも条件があります。主に返済期間や資金の使い道が問われます。また、現在利用しているローンを借り換えた場合でも、引き続き控除を受けられる場合があります。
- 返済期間:当初の契約で、返済期間が10年以上あるローンが対象です。
- 借入目的:住宅の購入やリフォームのための借り入れであることが必要です。マイカーローンなど他の目的の借り入れは含められません。
- 借入先:銀行、信用金庫、住宅金融支援機構(フラット35)などの金融機関からの借り入れが対象です。親族や知人からの個人的な借り入れは認められません。
- 借り換え:新しいローンの返済期間が10年以上あるなど、一定の条件を満たせば、借り換え後も残りの期間で控除を継続できます。
長期固定金利で検討されやすいフラット35については以下記事で詳しく解説しています。
年収・所得の要件:年収は約2,600万円(所得2,000万円)まで
控除を受ける人自身の所得にも上限が設けられています。また、誰が住み、誰の名義でローンを組むかによって、控除の受け方が変わるため注意が必要です。
所得制限:合計所得金額2,000万円を超えると対象外
控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。給与所得者の場合、年収でおおむね2,600万円が上限の目安です。共働き夫婦がそれぞれローンを組む場合は、各自の所得がこの基準を下回っている必要があります。
居住要件:住民票があり、実際に住んでいることが大前提
ローンを契約した本人が、その住宅に住んでいることが絶対条件です。例えば、親が子のために購入した家に親自身が住まない場合、親は控除を受けられません。
持分割合:ローン負担額と登記上の持分は合わせるのが原則
控除は、住宅の所有者であり、かつローンの名義人である人が受けられます。夫婦で共有名義にする場合は、それぞれの住宅の持分割合とローンの負担割合を一致させるのが基本です。割合が大きく異なると、控除額が減ってしまう可能性があります。
時期の要件:取得から6ヶ月以内に入居し、年末まで住み続ける
住宅ローン控除には、いつまでに入居する必要があるかという期限が定められています。住宅の完成や引き渡しが遅れると対象外になる可能性もあるため、スケジュール管理が重要です。
- 入居期限:現在の制度では、2025年12月31日までに入居することが条件です。
- 入居のタイミング:住宅を取得してから6ヶ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいる必要があります。
- リフォームの場合:工事完了から6ヶ月以内に居住を開始し、年末まで住んでいることが条件です。
控除額はいくら戻る?計算方法と上限額の考え方
住宅ローン控除で実際にいくら税金が戻ってくるのかは、簡単な計算で知ることができます。ここでは、ご自身のケースで控除額を試算できるよう、基本的な計算式から、住宅の性能や家族構成によって変わる上限額、そして知っておくべき住民税のルールまでを整理して解説します。
計算方法はシンプル!「年末ローン残高×0.7%」が年間控除額
年間の控除額は、その年の年末時点における住宅ローン残高に0.7%を掛けて算出します。この計算式が基本となります。
例えば、年末のローン残高が2,000万円なら年間14万円、3,000万円なら21万円が控除額の目安です。この計算を控除期間が終わるまで毎年行い、税金の還付を受けます。
ただし、後述する住宅の種類ごとに定められた「借入限度額」を超える部分のローン残高は、計算に含めることができません。
控除を受けられる期間は、新築住宅の場合は原則13年間、中古住宅やリフォームの場合は10年間です。例えば、毎年35万円の控除を13年間受け続けた場合、総額で最大455万円もの大きな減税効果が期待できます。
性能区分ごとの借入限度額
現在の住宅ローン控除では、控除額の計算に使えるローン残高に上限(借入限度額)が設けられています。この限度額は、住宅の省エネ性能や、子育て世帯かどうかによって変わるのが大きな特徴です。
<2024年・2025年入居の場合の借入限度額>
住宅の種類・性能 | 一般世帯 | 子育て・若者世帯 |
---|---|---|
認定住宅(長期優良住宅など) | 4,500万円 | 5,000万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 4,000万円 |
中古住宅(既存住宅) | 2,000万円 | (一律) |
<補足と注意点>
- 子育て・若者世帯とは、19歳未満の子どもがいる世帯、または夫婦のどちらかが40歳未満の世帯を指します。
- 中古住宅の限度額は一律2,000万円ですが、購入した物件が長期優良住宅などの高い性能を持つ場合は、限度額が3,000万円に引き上げられます。
- 2024年以降に建築確認を受ける新築住宅は、省エネ基準を満たしていないと原則として控除の対象外となるため注意が必要です。
所得税から引ききれない分は住民税からも控除される(上限9.75万円)
計算した控除額が、その年に納める所得税の金額を上回ることがあります。その場合、所得税から引ききれなかった分は、翌年度に支払う住民税から差し引かれます。これにより、控除の恩恵を無駄なく受けやすくなっています。
ただし、住民税から差し引ける金額には上限があり、最大で年間97,500円までと決まっています。
例えば、所得税から引ききれなかった控除額が11万円あったとしても、住民税から差し引かれるのは97,500円までです。残りの12,500円は控除しきれないことになります。
この住民税からの控除は、初年度の確定申告さえ行えば自動的に適用されるため、特別な手続きは不要です。
控除を満額受けられないケースに注意
以下のような場合は、納める税金が少なくなるため、せっかくの控除額を全額使いきれない可能性があります。
- 育児休業などでその年の収入が大きく減った場合
- 医療費控除やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、他の控除を併用している場合
住宅ローン控除手続き|初年度は確定申告、2年目以降は年末調整でOK
住宅ローン控除を受けるための手続きは、初年度と2年目以降で大きく異なります。会社員の方でも、最初の年だけはご自身で確定申告が必要です。一度手続きをすれば、翌年からは会社の年末調整で簡単に済ませることができます。ここでは、具体的な手順を時系列に沿って解説します。
初年度の確定申告のやり方|e-Taxならスマホでも申請可能
住宅に入居した最初の年は、会社員や公務員の方も含め、全員が確定申告を行う必要があります。期間は原則として入居した翌年の2月16日から3月15日までです。最近では、国税庁のサイト「e-Tax」を利用して、スマートフォンやパソコンからオンラインで申告を完結させることもできます。
確定申告に必要な書類一覧
確定申告では、主に以下の書類が必要となります。早めに準備を始めましょう。
- 確定申告書と計算明細書
- 源泉徴収票(会社員の方)
- 住宅ローンの年末残高等証明書
- 本人確認書類(マイナンバーカード、またはマイナンバー通知カードと運転免許証など)
- 建物の登記事項証明書(登記簿謄本)
- 不動産の売買契約書や工事請負契約書のコピー
- その他、該当する場合に必要な書類:長期優良住宅などの性能を証明する書類、中古住宅の耐震基準適合証明書、リフォーム(増改築)の工事証明書
仮にその年の申告を忘れた場合でも、5年以内であれば遡って申請し、還付を受けることが可能です。初めてで不安な方は、税務署の窓口や確定申告会場で相談しながら手続きを進めることもできます。
2年目以降の年末調整のやり方|会社に2つの書類を提出するだけ
初年度の確定申告を終えた会社員の方は、2年目以降の手続きがぐっと楽になります。毎年秋ごろ、勤務先の年末調整の際に以下の2つの書類を提出するだけで、控除の手続きは完了です。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書:初年度の確定申告後、税務署から残りの控除期間分がまとめて郵送されます。毎年1枚ずつ使用します。
- 住宅ローンの年末残高等証明書:金融機関から毎年秋ごろに郵送されてきます。
もし年末調整で申告を忘れてしまった場合でも、翌年にご自身で確定申告をすれば控除を取り戻せるのでご安心ください。
自営業者・年金受給者の場合
自営業者やフリーランス、年金収入が主の方など、年末調整の対象でない方は、控除を受ける期間中、毎年確定申告が必要です。初年度と同じく、期間は翌年の2月16日から3月15日までです。2年目以降は提出書類が一部簡略化されます。
還付金はいつ振り込まれる?確定申告後、約1ヶ月が目安
手続き後に戻ってくる還付金のタイミングは、申告方法によって異なります。
- 確定申告の場合:e-Tax(電子申告)で提出すると、通常2週間から3週間程度で指定の口座に振り込まれます。書面で提出した場合は、おおむね1ヶ月から1ヶ月半ほどかかります。
- 年末調整の場合:通常、その年の12月または翌年1月の給与に上乗せされる形で還付されます。
こんなときどうする?住宅ローン控除のケース別ガイド
住宅ローン控除は、家の種類やライフプランの変化によって、手続きや注意点が異なります。ここでは、新築や中古、リフォームといった物件のケースから、借り換えや転勤といった個別の状況まで、よくあるパターン別に押さえておくべきポイントを分かりやすく解説します。
新築住宅を購入・建築した場合のポイント
新築住宅は、住宅ローン控除の恩恵を最も大きく受けられる可能性があります。特に省エネ性能の高い住宅を選ぶことで、控除額の上限が引き上げられます。計画段階から制度を意識することが大切です。
- 控除期間は原則として最大13年間です。
- 長期優良住宅などの認定を受けると、控除の対象となる借入限度額が上がります。
- 2024年以降に建築確認を受ける新築住宅は、省エネ基準を満たしていることが必須条件です。
- 住宅の引き渡しから6ヶ月以内に入居するという要件も忘れないようにしましょう。
中古住宅・中古マンションを購入した場合の注意点
中古住宅は、物件の築年数や耐震性が控除適用の重要な鍵となります。購入前に不動産会社に相談し、必要な条件を満たしているか、証明書は取得できるかなどを確認しておくと安心です。
- 控除期間は原則10年間です。
- 1982年以降に建てられた「新耐震基準」の建物であることが条件です。それ以前の物件は、耐震性を証明する書類が必要になります。
- 購入した中古住宅が高い省エネ性能を持つ場合、借入限度額が最大3,000万円に引き上げられる優遇措置があります。
リフォーム・増改築でローンを組んだ場合の要件
今住んでいる家のリフォームや増改築でローンを組んだ場合も、住宅ローン控除の対象となります。ただし、工事の内容や費用に条件があるため、事前に確認が必要です。
- 控除期間は10年間、借入限度額は原則2,000万円です。
- 対象となるのは、工事費用が100万円を超える大規模なリフォームなどです。
- 工事完了から6ヶ月以内に入居(または引き続き居住)することが必要です。
- 工事内容を証明する「増改築等工事証明書」などの書類が必要になります。
住宅ローンを借り換えても控除は継続できる?
金利の低いローンへの借り換えは、総返済額を減らす有効な手段です。条件を満たせば、住宅ローン控除も引き続き受けることができますのでご安心ください。
- 新しいローンの主な目的が、元の住宅ローンの返済であること。
- 借り換え後の新しいローンの返済期間も10年以上あること。
- これらの条件を満たせば、当初の控除期間の残りの年数について、控除を継続できます。
繰り上げ返済で返済期間が10年未満になったらどうなる?
繰り上げ返済をしても、住宅ローン控除の適用がすぐに打ち切られるわけではありません。当初の契約で返済期間が10年以上あれば、控除を受ける資格は維持されます。
ただし、繰り上げ返済によって元金が減るため、年末のローン残高も少なくなります。その結果、翌年以降の控除額は減少します。また、返済期間が10年未満になった時点で完済すると、その後の控除は受けられなくなります。
繰り上げ返済のデメリットについては以下Q&Aでも説明しています。
転勤・単身赴任・海外赴任で住まなくなった場合の特例
転勤などのやむを得ない理由でマイホームに住めなくなった場合でも、特例措置によって控除を継続できたり、再開できたりする場合があります。
- 単身赴任の場合:家族が引き続きその家に住んでいれば、控除は継続して受けられます。
- 家族全員で転居する場合:住んでいない期間は控除が一時停止します。しかし、帰任して再び住み始めた際に、残りの控除期間分について適用を再開できます。
- 注意点:転居中に家を他人に貸してしまうと、控除の再開はできなくなるため注意が必要です。
共働きで持分共有する場合
夫婦共働きの場合、それぞれがローンを組んで住宅ローン控除を受けることで、世帯全体での節税効果を最大化できる可能性があります。ただし、損をしないためには事前の計画が重要です。
- メリット:夫婦それぞれが自身のローン残高に応じて控除を受けられるため、一人でローンを組むより多くの控除額を確保できる場合があります。
- 注意点1:住宅の所有権(持分)の割合と、ローンの負担割合を一致させるのが基本です。このバランスが崩れると、控除額が減ってしまうことがあります。
- 注意点2:夫婦の一方の所得が少ない場合、計算上の控除額が所得税額を上回り、控除を全額使いきれない可能性も考慮しましょう。
住み替え(売却→購入)で控除はどうなる?
控除期間中にマイホームを売却して新しい家に住み替えた場合、控除の扱いは以下のようになります。
- 売却した旧居の控除:家を売却した時点で、その後の住宅ローン控除は受けられなくなります。
- 購入した新居の控除:新しい家で適用要件を満たし、新たに住宅ローンを組めば、そちらで改めて住宅ローン控除の適用を受けることが可能です。
ふるさと納税・iDeCoは併用できる?損しないための注意点
住宅ローン控除は、ふるさと納税やiDeCo(イデコ)といった他の節税制度と併用することができます。ただし、組み合わせ方によっては住宅ローン控除のメリットを最大限に活かせない場合があるため注意が必要です。ここでは、それぞれの制度と上手に併用するためのポイントを解説します。
ふるさと納税との併用は可能だが、控除上限額が減るケースに注意
結論として、ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できます。ただし、控除の仕組み上、ふるさと納税の寄付額が多すぎると、住宅ローン控除で戻ってくる税金が減ってしまう可能性があります。
ふるさと納税の控除の仕組みについては以下記事で詳しく解説しています。
なぜ控除額が減ることがあるのか?
少し簡単に言うと、税金の控除には順番があります。住宅ローン控除よりも、ふるさと納税による控除が先に計算される仕組みになっています。
そのため、ふるさと納税をすると、本来住宅ローン控除で差し引かれるはずだった税金(特に所得税)が先に減ってしまいます。その結果、住宅ローン控除の枠が余ってしまい、住民税からの控除上限(年間97,500円)を超えた分は、切り捨てられてしまうことがあるのです。
損をしないための対策
併用する際は、ご自身のふるさと納税の上限額を確認し、寄付額を慎重に決めることが大切です。特に、住宅ローン控除で所得税がゼロに近くなる方は、ふるさと納税の上限額も通常より少なくなる可能性が高いので注意しましょう。
また、住宅ローン控除を申請する初年度は必ず確定申告が必要なため、ふるさと納税のワンストップ特例制度は利用できない点も覚えておきましょう。
iDeCoとの併用も可能だが、控除を使い切れない可能性も
老後資金の準備に有効なiDeCoも、住宅ローン控除と併用できます。ただし、iDeCoは所得そのものを減らす効果があるため、結果的に住宅ローン控除で戻る税金が少なくなることがあります。
iDeCoが所得を減らす仕組みについては以下記事で詳しく解説しています。
なぜ控除額が減ることがあるのか?
iDeCoの掛金は「所得控除」に分類され、税金を計算する前の所得(年収から経費などを引いたもの)を直接減らします。所得が減ることで、そもそも納めるべき所得税や住民税の額が少なくなります。
納める税金が少なくなると、そこから差し引く住宅ローン控除の枠を使いきれなくなる可能性があります。これが、iDeCoとの併用で控除額が減る仕組みです。
損をしないための対策
iDeCoは将来のための有効な資産形成ですが、住宅ローン控除の期間中は、ご自身の納税額と控除額のバランスを見ることが重要です。もし住宅ローン控除だけで所得税がほぼゼロになっているような場合は、iDeCoの掛金を調整することも選択肢の一つです。
その他の制度との併用について
親からの資金援助(住宅取得資金贈与)や、国・自治体からの補助金なども、住宅ローン控除と併用できます。ただし、贈与や補助金を受けた金額分は、控除額を計算する際の住宅の取得価格から差し引く必要があるため、結果的に控除額は少し少なくなります。
よくある失敗例と対処法|申請忘れ・還付金が少ないときの解決策
住宅ローン控除はメリットの大きい制度ですが、手続きや要件の勘違いで、思ったような恩恵を受けられないケースもあります。
ここでは、よくある失敗例とその具体的な対処法をまとめました。万が一のときも落ち着いて対応できるよう、事前に確認しておきましょう。
還付金が思ったより少ない・返ってこない主な原因3つ
「還付金が思ったより少なかった」という相談はよくあります。その多くは計算ミスではなく、制度の仕組みによるものです。主な原因として、以下の3つのケースが考えられます。
1.そもそも納めている税金額が少ない
住宅ローン控除は、ご自身が納めた所得税と住民税の一部が上限です。そのため、産休や育休、転職などで年収が下がり、納税額が少なくなった年は、還付額もそれに合わせて少なくなります。
2.住民税からの控除上限に達している
所得税から引ききれなかった分は住民税から控除されますが、これには年間97,500円という上限があります。この上限を超えた分は還付されません。
3.ふるさと納税やiDeCoを併用している
これらの制度を併用すると、納める税金そのものが減るため、結果的に住宅ローン控除で還付される金額が少なくなることがあります。
申請を忘れたらどうする?5年以内なら遡って申告(更正の請求)可能
もし手続きを忘れてしまっても、すぐに諦める必要はありません。過去5年分までであれば、遡って控除を申請し、税金の還付を受けることができます。
- 初年度の確定申告を忘れた場合:気づいた時点で、確定申告(還付申告)を行いましょう。5年以内ならいつでも受け付けてもらえます。
- 2年目以降の年末調整で申請し忘れた場合:こちらも、ご自身で確定申告をすれば、その年分の控除を取り戻すことが可能です。
還付申告の確定申告との違いについては以下Q&Aで説明しています。
書類が届かない・紛失した場合の再発行手続き
手続きに必要な書類が届かなかったり、失くしてしまったりした場合の対処法です。ほとんどの書類は再発行が可能なので、落ち着いて各機関に問い合わせましょう。
- ローン残高証明書:ローンを組んでいる金融機関に連絡すれば再発行してもらえます。
- 控除申告書(2年目以降):お住まいの地域を管轄する税務署に連絡し、再発行を依頼します。
- 登記事項証明書など:法務局などで手数料を払えば、いつでも取得できます。
注意!控除対象外になる「面積・持分・居住要件」の勘違い
適用要件の細かい部分を勘違いしたことで、控除が受けられなくなるケースは少なくありません。特に以下の点には注意が必要です。
1.夫婦の持分割合とローンのズレ
共働き夫婦がペアローンを組む場合、住宅の所有権(持分)の割合と、それぞれのローン負担額の割合を一致させるのが基本です。このバランスが大きく異なると、控除が否認されることがあります。
2.入居や居住に関する勘違い
「取得後6ヶ月以内に入居する」「その年の年末まで住み続ける」といった要件は厳密に守る必要があります。また、転勤で一時的に住めなくなる場合は、税務署への届け出を忘れないようにしましょう。
3.控除期間中の売却や賃貸
控除を受けている途中でマイホームを売却したり、他人に貸したりすると、その年以降の控除は受けられなくなります。
この記事のまとめ
住宅ローン控除を最大限活用するためには、年末残高×0.7%という基本の仕組みを正しく理解し、13年または10年の控除期間や2025年末の入居期限、省エネ基準の要件を押さえておくことが重要です。
さらに、所得制限や床面積、住民税控除の上限97,500円など細かな条件、初年度の確定申告と以後の年末調整といった手続きの流れも確認しておく必要があります。迷った場合は金融機関や税務署に早めに相談し、必要書類を準備しておくことで安心して控除を受けられます。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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住宅ローン控除(住宅ローン減税/住宅借入金等特別控除)
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築・増改築した際に、一定の条件を満たせば、ローン残高に応じた金額が所得税から控除される制度です。控除は年末時点の住宅ローン残高の一定割合を上限として行われ、最大で13年間にわたり税負担を軽減することができます。たとえば、毎年の住宅ローン残高が多いほど、控除される所得税の金額も大きくなる仕組みです。この制度は、住宅の取得を支援し、持ち家の普及を促す目的で設けられており、対象となる住宅の広さや取得時期、所得の上限など、細かな適用条件があります。確定申告を通じて手続きを行う必要があるため、住宅購入時には制度の内容をよく確認し、早めに準備することが大切です。
税額控除
税額控除とは、納めるべき税金の金額そのものを直接減らすことができる制度のことです。通常の「所得控除」は課税所得額を減らして税額を下げる間接的な仕組みですが、税額控除は計算された税額から一定の金額を差し引くため、同じ控除額でもより大きな節税効果があります。 たとえば、住宅ローン控除や配当控除、外国税額控除、寄附金控除などが代表的です。適用には一定の条件や手続きが必要ですが、制度を正しく活用することで、家計の負担を軽減することが可能になります。特に資産運用や不動産投資などでも活用される重要な税制上の仕組みです。
所得控除
所得控除とは、個人の所得にかかる税金を計算する際に、特定の支出や条件に基づいて課税対象となる所得額を減らす仕組みである。日本では、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、納税者の生活状況に応じて税負担を軽減する役割を果たす。これにより、所得が同じでも控除を活用することで実際の税額が変わることがある。控除額が大きいほど課税所得が減少し、納税者の手取り額が増えるため、適切な活用が重要である。
控除期間
控除期間とは、税金を軽減する制度において、一定の控除を受けられる年数や期間のことをいいます。たとえば住宅ローン控除では、住宅ローンを利用して住宅を購入した人が、年末のローン残高に応じて所得税の一部を差し引くことができ、この控除を受けられるのは最長で13年間と定められています。 控除期間が終わればその後は軽減を受けられなくなるため、資産運用やライフプランを考えるうえで、控除が続く年数を正確に把握することが重要です。控除期間を意識しておくことで、節税効果を最大限に活用し、家計や投資に回せる資金を効率的に増やすことができます。
控除率
控除率とは、税金の軽減制度において、課税額や所得額からどの程度を差し引けるのかを示す割合のことをいいます。たとえば住宅ローン控除では、年末のローン残高に一定の控除率をかけて、その金額を所得税から差し引きます。控除率が高いほど節税効果が大きくなりますが、制度ごとに上限額や期間が決められているため、単純に控除率だけで判断することはできません。資産運用を考えるうえでは、控除率を正しく理解し、効率的に税制優遇を活用することが、手取り収入を増やすために重要です。
借入限度額
借入限度額とは、金融機関が個人や法人に対して貸し出すことができる最大の金額のことをいいます。住宅ローンやカードローン、事業資金の融資などで設定され、申込者の年収、勤務状況、信用情報、すでにある借入の状況などをもとに決められます。 借入限度額が高ければ多くのお金を借りられますが、その分返済負担も大きくなるため、無理のない範囲で利用することが大切です。資産運用を考える上でも、借入限度額を理解しておくことで、住宅購入や投資の資金計画を立てやすくなります。
認定住宅
認定住宅とは、国や自治体が定める基準を満たし、一定の認定を受けた住宅のことをいいます。代表的なものに「長期優良住宅」や「低炭素住宅」があり、耐震性、省エネ性、耐久性などの基準を満たしていることが条件です。認定住宅は、一般的な住宅と比べて資産価値が維持されやすく、住宅ローン控除の控除期間が長くなるなど、税制や金融面で優遇を受けられる点が特徴です。 資産運用の観点からも、将来の売却時に評価が高まりやすく、長期的に安心できる住まいとして重要な選択肢となります。
ZEH水準省エネ住宅 (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
ZEH水準省エネ住宅とは、消費するエネルギーを極力抑えつつ、太陽光発電などでエネルギーをつくり出し、年間の一次エネルギー消費量がおおむねゼロになることを目指した住宅のことをいいます。高い断熱性能や高効率な設備機器を備えることで冷暖房や給湯に必要なエネルギーを減らし、その上で再生可能エネルギーを利用して補う仕組みです。 国の省エネ基準を超える性能を持ち、補助金や住宅ローン控除などで優遇を受けられる場合があります。
省エネ基準適合住宅
省エネ基準適合住宅とは、国が定める省エネルギー基準に適合して建てられた住宅のことをいいます。断熱性や気密性、設備の効率性などが一定水準以上であることが条件であり、冷暖房のエネルギー消費を抑えることができます。 これにより光熱費を節約できるだけでなく、環境への負担も軽減されます。省エネ基準適合住宅は、住宅ローン控除の優遇対象となることがあり、資産運用の観点でも長期的にコスト削減と資産価値の維持が期待できます。将来の住まい選びにおいて、安心かつ経済的な選択肢の一つです。
新耐震基準
新耐震基準とは、1981年6月に導入された建築基準法に基づく耐震性の基準で、それ以前の旧耐震基準を改めたものです。大きな地震でも建物が倒壊せず、人命を守ることを目的としています。具体的には震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊や崩壊しないことが求められます。住宅購入や不動産投資を行う際、この基準を満たしているかどうかは資産価値に大きく影響します。 新耐震基準に適合している住宅は金融機関の住宅ローン審査や各種税制優遇を受けやすく、将来の売却時にも評価されやすいため、資産形成において重要な判断材料となります。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。
年末調整
年末調整とは、会社員や公務員などの給与所得者が1年間に納めるべき所得税の額を、年末に雇用主が計算し直して精算する手続きのことです。通常、毎月の給与からあらかじめ見込みで所得税が源泉徴収されていますが、年末に実際の収入や各種控除(配偶者控除、扶養控除、保険料控除など)を反映させて正確な税額を算出し、過不足を調整します。 税金を払いすぎていた場合には還付され、足りなかった場合は追加で徴収されることがあります。年末調整によって、多くの給与所得者は確定申告をしなくても納税が完結する仕組みになっており、手間の軽減と課税の公平性を両立させる重要な制度です。ただし、自営業者や副業収入がある人、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人などは、年末調整だけでは対応できず、別途確定申告が必要になります。
年末ローン残高等証明書
年末ローン残高等証明書とは、その年の年末時点で住宅ローンなどの残高がいくら残っているかを金融機関が証明する書類のことをいいます。主に住宅ローン控除を受ける際に必要となり、確定申告で添付することで、残高に応じた所得税の控除を受けられます。 この証明書は通常、住宅ローンを借りている金融機関から自動的に郵送されます。資産運用を考えるうえでは、ローンの残高を把握するための大切な資料であり、節税効果を得ながら効率的に資金計画を立てるために役立ちます。
住宅借入金等特別控除
住宅借入金等特別控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築・増改築した人が、一定の条件を満たすことで、年末時点のローン残高の一部を所得税や住民税から控除できる制度のことです。 一般には「住宅ローン控除」とも呼ばれ、毎年の年末ローン残高に対して所定の割合をかけた金額が、その年の所得税から差し引かれます。控除しきれない分がある場合は、翌年の住民税からも一部が控除される仕組みです。 この制度は、住宅取得を支援し、家計の負担を軽減する目的で設けられており、一定期間にわたって節税効果が続く点が魅力です。適用には住宅の床面積やローンの種類、年収などの条件があるため、事前にしっかり確認することが重要です。
e-Tax
e-Taxとは、国税庁が運営するインターネット上の税務手続きシステムで、所得税の確定申告や源泉所得税の納付などを自宅や職場からオンラインで行えるサービスです。 紙の申告書を税務署へ持参・郵送する必要がなくなり、24時間いつでも送信できるうえ、申告ミスの自動チェックや過去データの再利用といった利便性があり、手続き時間の短縮や控除額の自動計算による精度向上に役立ちます。 また、電子納税と連携すれば振替納税の手数料が不要となり、税金の支払いもスムーズになります。マイナンバーカードとICカードリーダー、あるいはスマートフォンの対応アプリを利用して本人認証を行うため、セキュリティ面でも高い安全性が確保されています。
還付申告
還付申告とは、給与や年金などから源泉徴収された所得税が実際に納めるべき税額より多かった場合に、その差額(還付金)の返還を受けるために提出する確定申告書のことです。 医療費控除や住宅ローン控除などの各種控除を適用すると税金が戻るケースが多く、通常の確定申告期間(毎年3月15日まで)を待たずに翌年1月から提出できます。また、申告期限から5年以内であればさかのぼって請求できるため、過去の年分についても還付を受けられる可能性があります。 手続きは税務署の窓口のほか、マイナンバーカードを用いたe-Taxでオンライン送信する方法もあり、振込先口座を入力しておけば還付金が直接入金されるので便利です。
ふるさと納税
ふるさと納税とは、あなたが応援したい自治体へ寄附を行い、その寄附額のうち自己負担額2,000円を除いたほぼ全額が所得税や住民税から控除される制度です。自治体によっては地元の特産品やサービスを返礼品として受け取れるため、実質的な税負担を抑えつつ地域貢献もできる仕組みとして人気があります。控除を受けるには、寄附金受領証明書を添付して確定申告を行う方法と、年間5自治体以内で利用できるワンストップ特例申請の2通りがあり、申請手続きの簡便さも魅力です。寄附限度額は所得や家族構成によって異なるため、シミュレーションで上限額を把握してから活用することが大切です。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。