低解約返戻金型終身保険とはどんな保険ですか?デメリットがあれば教えて下さい
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2025/09/12 09:02
男性
30代
低解約返戻金型終身保険という商品について耳にしましたが、通常の終身保険とどう違うのでしょうか?仕組みを知りたいです。また、もしデメリットや注意すべき点があれば、加入を検討する前に理解しておきたいので教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
低解約返戻金型終身保険は、一生涯の死亡保障が続く「終身保険」の一種です。通常の終身保険と異なり、加入してから一定期間は「解約返戻金」を低く抑える代わりに、同じ保障額でも保険料が安く設定されています。この低く設定されている期間を過ぎると、解約返戻率は徐々に上昇し、払込満了後には通常の終身保険に近い水準、あるいはそれ以上になることもあります。長く続ける前提なら、コストを抑えて保障を確保できる点が特徴です。
ただし、大きな注意点があります。まず、低解約返戻期間中に解約すると、戻ってくる金額が非常に少なく、払った保険料より大幅に少なくなる可能性が高いという点です。また、資金を自由に引き出せる仕組みではないため、「貯金代わり」と考えると不便に感じやすいです。資産運用の観点でも、予定利率や配当が保証されているわけではないため、投資商品のように効率的に資産を増やすことは期待できません。さらに、インフレが進むと固定された保険金の価値が相対的に下がるリスクもあります。
そのほか、長期的に保険料を支払い続ける負担や、支払いが難しくなった場合に契約が失効するリスク、契約者貸付を利用する際の利息負担、特約を付けすぎることでコストが増える点なども注意が必要です。また、契約者や受取人の設定によっては相続税や贈与税の扱いが変わるため、税務面での確認も欠かせません。
この保険が向いているのは、終身の保障を重視する方や、途中で解約する可能性が低い方です。生活資金や緊急資金を別に確保しており、長期的に契約を続けることを前提とできる方にはメリットが大きい商品といえます。加入を検討する際は、解約返戻率の推移や低解約返戻期間の長さ、払込満了時点での返戻率、特約の必要性、万が一保険料を払えなくなったときの対応などをしっかり確認することが大切です。
このように、低解約返戻金型終身保険は「長く続けると割安だが、途中解約に弱い」という特徴を理解した上で加入を判断することが重要です。
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低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険とは、保険期間が一生涯続く終身保険の一種で、一定期間内に解約した場合の返戻金(契約を途中でやめた際に受け取れるお金)が通常の終身保険よりも低く設定されている保険です。主に保険料を安く抑えるための仕組みで、長期間継続することを前提に作られています。 保険会社にとっては途中解約による支出が少ないため、その分保険料を割安にすることができるというメリットがあります。短期間で解約すると大きく元本割れしてしまうため、長期的な保障や資産形成を目的とした人向けの商品です。終身保障がありながら、支払い負担を抑えたいという人に選ばれることがあります。
終身保険
終身保険とは、被保険者が亡くなるまで一生涯にわたって保障が続く生命保険のことです。契約が有効である限り、いつ亡くなっても保険金が支払われる点が大きな特徴です。また、長く契約を続けることで、解約した際に戻ってくるお金である「解約返戻金」も一定程度蓄積されるため、保障と同時に資産形成の手段としても利用されます。 保険料は一定期間で払い終えるものや、生涯支払い続けるものなど、契約によってさまざまです。遺族への経済的保障を目的に契約されることが多く、老後の資金準備や相続対策としても活用されます。途中で解約すると、払い込んだ金額よりも少ない返戻金しか戻らないこともあるため、長期の視点で加入することが前提となる保険です。
解約返戻金
解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。
返戻率
返戻率とは、生命保険や学資保険などの貯蓄型保険において、支払った保険料の総額に対して、満期や解約時に受け取れる金額(解約返戻金や満期保険金)がどのくらいの割合で戻ってくるかを示す指標です。たとえば、200万円の保険料を支払って、満期時に220万円を受け取れる場合、返戻率は110%となります。 この数値が100%を上回れば「支払った保険料より多く戻る」、下回れば「元本割れ」ということになります。返戻率は商品選びの際の比較指標としてよく使われ、特に学資保険や個人年金保険など、将来の資金準備を目的とした保険において注目されます。 ただし、返戻率が高い商品は契約条件が厳しかったり、途中解約に弱かったりする場合もあるため、利率だけでなくライフプラン全体を見据えて判断することが大切です。保険を「貯蓄」としても考える初心者にとって、返戻率は理解しておくべき基本的な指標です。
予定利率
予定利率は、生命保険会社が保険契約者に対してあらかじめ約束する運用利回りのことです。これは保険会社が保険料を計算する際に用いる重要な指標の一つで、契約者から払い込まれた保険料を運用して得られると予想される運用利回りを表します。 予定利率は保険料の設定に大きな影響を与えます。予定利率が高い場合は保険料が安くなり、低い場合は高くなります。これは、高い予定利率では将来の運用によるリターンを多く見込めるため、保険料を低く抑えることができるからです。 予定利率の決定方法は、まず金融庁が国債の利回りなどを参考に「標準利率」を設定し、その後各保険会社が標準利率を基準に自社の状況を反映して決定します。 予定利率には特徴があり、契約時点の率が適用され、基本的には支払い終了時や更新時まで同率で変わりません。バブル経済期には高い予定利率の保険が多く販売され、これらは「お宝保険」と呼ばれています。近年は低金利環境により、予定利率は低下傾向にあります。 保険料の計算には予定利率以外にも、予定死亡率(性別、年齢別に想定される死亡率)や予定事業費率(保険会社の運営に必要な経費の割合)も影響します。これら3つの要因を合わせて「予定基礎率」と呼びます。
契約者貸付制度
契約者貸付制度とは、生命保険などの契約者が、契約中の保険に積み立てられた解約返戻金の一部を担保として、お金を借りることができる仕組みです。 つまり、自分が支払った保険料の一部を、必要なときに一時的に借りることができる制度です。返済期間に厳しい制限はないものの、借りた金額には所定の利息がかかります。 返済をせずに保険を解約した場合は、返戻金から借入額と利息が差し引かれる仕組みになっています。急な出費が発生したときに、保険を解約せずに資金を用意できるため、いざというときの備えとして役立つ制度です。