
生命保険の種類を徹底解説|終身・定期・医療・年金・養老まで。保険選びで後悔しないための方法も紹介
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公開:
2025.09.03
更新:
2025.09.03
生命保険にはさまざまな種類があり、どれを選べばよいか迷う方もいるでしょう。生命保険は定期・終身・養老が基本で、医療やがん、個人年金などの派生商品があります。
人生におけるリスクに備えるうえで、民間の保険は効果的な対策の一つです。目的やライフステージなどに応じて、適切な保険商品を選択しましょう。
この記事では、生命保険の全体像から具体的な商品の特徴まで、わかりやすく解説します。自分に最適な保険選びの参考にしてください。
サクッとわかる!簡単要約
生命保険にはさまざまな種類があり、定期保険は一定期間の大きな死亡保障、終身保険は一生涯と貯蓄性、養老保険は死亡と満期金の両取りという違いがあります。死亡保障以外にも、医療・がん・三大疾病・介護・就業不能・年金・学資保険があります。それぞれの保険は特徴や保障内容が異なるため、あなたの目的や年代と家族構成に応じて適した保険を選択しましょう。
目次
生命保険の基本分類
生命保険は大きく「保障期間」と「目的」の2つの軸で分類できます。まず基本的な仕組みを理解しておくと、複雑に見える保険商品も整理しやすくなります。
生命保険とは何か
生命保険とは、多くの人が保険料を出し合い、万一のときに保険金を受け取る相互扶助の仕組みです。民間の保険会社が運営する任意加入の保険で、公的保険ではカバーしきれないリスクに備えられます。
保険業界では、生命保険を「第1分野」、損害保険を「第2分野」と呼びます。医療保険や介護保険などは「第3分野」として、生命保険会社と損害保険会社の両方が取り扱っている構造です。
保険分類の2つの軸
生命保険の分類は「保障期間」と「目的」の2つの軸で整理できます。保障期間では、一定期間のみ保障される「定期型」と、一生涯続く「終身型」に分かれます。
目的による分類では、死亡時の経済的損失に備える「死亡保障」、病気やケガの医療費に備える「医療保障」、将来の資金準備のための「生存保障」の3つが主な種類です。これらの組み合わせで、さまざまな保険商品が作られています。
死亡保障に分類される保険
死亡保障は、被保険者が亡くなったときに保険金が支払われる保険です。残された家族の生活費や教育費、住宅ローンの返済などに充てられます。主な種類は終身保険・定期保険・養老保険の3つです。
終身保険
終身保険は一生涯にわたって死亡保障が続く保険です。保険料は加入時から変わらず、途中で解約すると解約返戻金を受け取れます。必ずいずれかの時点で保険金が支払われるため、「純保険」とも呼ばれます。
解約返戻金の仕組みには、通常の「定額終身保険」と、払込期間中の解約返戻金を抑えた「低解約返戻金型終身保険」があります。低解約返戻金型は保険料が安い代わりに、早期解約時の返戻金が少なくなる点が特徴です。
終身保険の特徴に関しては、以下の記事もあわせてご覧ください。
定期保険・収入保障保険
定期保険は保険期間が決まっている掛け捨ての保険です。同じ保障額なら終身保険より保険料が安く、必要な期間だけ高額な死亡保障を確保できます。
ベーシックな「定額定期保険」は、保険期間中の保険金額が一定です。子どもの成長に合わせて必要保障額が減っていく場合に適した「逓減定期保険」では、保険金額が年々減少します。逓減定期保険の一種である収入保障保険は、年金形式で保険金を受け取れます。
契約期間には「年満了」(10年・20年など)と「歳満了」(60歳まで・65歳までなど)があります。年満了は契約更新ができますが、歳満了は満了とともに保障が終了するのが一般的です。
定期保険と終身保険の違いに関して知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
養老保険
養老保険は死亡保障と満期保険金の両方を備えた保険です。保険期間中に亡くなった場合は死亡保険金を、満期まで生存した場合は満期保険金を受け取れます。死亡保険金と満期保険金は同額に設定されるのが特徴です。
「貯蓄性のある死亡保険」または「死亡保障付きの積立預金」として活用されます。保険料は3つの基本型の中で最も高くなりますが、確実に満期保険金を受け取れるため、教育資金や老後資金の準備に適しています。
変額保険
変額保険は、保険料の一部を株式や債券などで運用し、その運用成果によって保険金額や解約返戻金が変動する保険です。運用リスクは契約者が負担しますが、インフレに対応できる可能性があるため、長期的な資産形成に活用されています。
変額保険には「変額終身保険」「変額有期保険」「変額個人年金保険」があります。運用成果が好調な場合は保険金額や解約返戻金が増加しますが、運用が不調な場合は元本割れするリスクがあります。
最低保証として死亡保険金は基本保険金額が保証されますが、解約返戻金には最低保証がないのが一般的です。長期的な視点で、インフレリスクに対応したい場合に検討される商品です。
変額保険に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
医療・疾病保障の保険
医療・疾病保障は、病気やケガによる入院・手術・治療費に備える保険です。公的医療保険でカバーされない部分を補完し、治療に専念できる環境を整えます。
医療保険
医療保険の基本保障は「入院給付金」と「手術給付金」です。入院給付金は入院1日あたり5,000円・10,000円などの日額で設定し、手術給付金は手術の種類に応じて入院給付金の10倍・20倍などが支払われます。
保障期間は「定期型」と「終身型」から選択できます。定期型は若いうちの保険料が安く、更新ごとに保障内容を見直せる利点があります。終身型は保険料が変わらず、一生涯の保障が得られる安心感があります。
医療保険について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
がん保険
がん保険は、がんの診断・治療に特化した保険です。診断確定時に受け取れる「がん診断一時金」が主力保障で、50万円・100万円などまとまった金額を一括で受け取れます。
抗がん剤治療や放射線治療などの「治療給付金」、がんによる入院・手術への給付金も基本保障に含まれます。通院でのがん治療が主流になっているため、通院給付金の重要性が高まっています。
厚生労働省の「令和5年人口動態統計」によると、がんによる死亡者数は年間約38万5千人で、死因の第1位を占めています。2人に1人ががんにかかるとされる時代において、がん保険の需要は高まり続けています。
がん保険に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
三大疾病保険
三大疾病保険は、日本人の死因上位を占める「がん」「心疾患」「脳血管疾患」に備える保険です。これらの病気で所定の状態になったとき、一時金を受け取れます。
がん保険より保障範囲が広い一方、がんのみの保障と比べて保険料は高くなります。心疾患や脳血管疾患は治療費が高額になりやすく、長期療養による収入減少のリスクも高いため、まとまった一時金による備えが有効です。
三大疾病の死亡者数は全体の約48.7%を占めており、決して他人事ではありません。医療保険の入院・手術給付金とは別に、一時金で経済的負担に備える考え方が重要です。
三大疾病保険の特徴を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
介護保険・就業不能保険
介護保険は、要介護状態になったときの費用に備える保険です。公的介護保険制度では、40歳以上が保険料を負担し、要介護認定を受けるとサービスを利用できます。民間の介護保険は、公的制度でカバーされない費用を補完します。
就業不能保険は、病気やケガで働けなくなったときの収入減少に備える保険です。毎月一定額の給付金を受け取ることで、療養中の生活費を確保できます。会社員の場合、傷病手当金で給与の約3分の2は補償されますが、それ以上の保障が必要な場合に有効です。
就業不能保険に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
生存保障に分類される保険
生存保障は、将来の資金準備を目的とした保険です。老後の生活費や子どもの教育費など、計画的な資金作りに活用されます。代表的なものに個人年金保険と学資保険があります。
個人年金保険
個人年金保険は、老後の生活費を準備するための保険です。払込期間中は保険料を積み立て、年金受取開始後は定期的に年金を受け取ります。公的年金だけでは不足する老後資金の準備に活用されています。
受取期間による分類では、10年・15年など一定期間受け取る「確定年金」と、生きている限り受け取り続ける「終身年金」があります。運用方法では、あらかじめ年金額が決まっている「定額年金」と、運用成果により変動する「変額年金」があります。
最近では、外貨建ての個人年金保険も人気です。米ドルや豪ドルなど外貨で運用するため、円建てより高い利回りが期待できる一方、為替リスクがあります。
個人年金保険に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
学資保険
学資保険は、子どもの教育費を計画的に準備するための保険です。親が契約者となり、大学進学時期などに満期保険金を受け取ります。契約者が万一のときは保険料払込免除となりますが、満期保険金は予定どおり受け取れます。
返戻率(支払った保険料に対する受取総額の割合)は重要な選択基準です。低金利環境では100%を上回る商品が少なくなっていますが、長期間の計画的積立により、着実に教育費を準備できます。
文部科学省の資料によると、幼稚園から高校まで全て公立でも約540万円、全て私立では約1,830万円の教育費がかかります。大学費用も含めると、さらに高額になるため、早期からの準備が重要です。
学資保険に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
認知症保険
認知症保険は、認知症と診断されたときや要介護状態になったときに一時金や年金を受け取れる保険です。高齢化社会の進展とともに注目が高まっている新しいタイプの保険で、認知症による経済的負担に備えられます。
厚生労働省の「令和5年版高齢社会白書」によると、2025年には認知症高齢者数が約700万人に達すると推計されており、65歳以上の約5人に1人が認知症になる計算です。認知症になると介護費用だけでなく、資産管理ができなくなるリスクもあります。
認知症保険の給付には、認知症と診断されたときの「診断一時金」と、要介護状態が続く限り受け取れる「介護年金」があります。家族の負担軽減と本人の尊厳ある生活維持のために、早期からの準備が重要です。
特約による保障の充実
特約は、主契約に付加するオプション保障です。保険料を抑えながら必要な保障を追加でき、個人のニーズに合わせた保険設計が可能になります。
先進医療特約の必要性
先進医療特約は、厚生労働大臣が認めた高度な医療技術を受けたときの技術料を保障します。先進医療は公的医療保険の適用外のため、技術料は全額自己負担となります。月額100円程度の保険料で通算2,000万円まで保障される場合が多く、コストパフォーマンスが高い特約です。
代表的な先進医療には、がん治療で用いられる「陽子線治療」「重粒子線治療」があります。厚生労働省の先進医療実績報告によると、陽子線治療の平均技術料は約269万円、重粒子線治療は約316万円です。
先進医療を受ける確率は決して高くありませんが、受ける場合の経済的負担は非常に大きくなります。「治療の選択肢を経済的理由で諦めない」ための保障として、多くの方に選ばれています。
三大疾病特約の活用
三大疾病に関する特約には、主に「診断一時金特約」と「保険料払込免除特約」があります。診断一時金特約は、三大疾病で所定の状態になったとき、一時金を受け取れます。
保険料払込免除特約は、三大疾病になったとき以後の保険料支払いが不要になる特約です。治療に専念したい時期に保険料負担がなくなるため、経済的な安心感が得られます。主契約の保障は継続されるため、万一の際の家族への保障も維持されます。
三大疾病入院日数無制限特約は、三大疾病による入院の場合、入院給付金の支払日数を無制限にする特約です。通常の病気では60日・120日などの限度日数がありますが、長期療養になりがちな三大疾病では心強い保障となります。
その他の主要特約
通院特約は、退院後の通院治療に対して給付金を支払う特約です。医療の進歩により入院期間が短縮される傾向にあるため、通院での治療継続に備える重要性が高まっています。
女性疾病特約は、女性特有の病気や女性に多い病気で入院したとき、通常の入院給付金に上乗せして給付金を受け取れます。乳がん・子宮がん・卵巣がんなどの女性特有のがんや、妊娠・出産に関する疾病も対象になります。
入院一時金特約は、入院したときに一時金を受け取れる特約です。入院時には差額ベッド代・食事代・交通費など、公的医療保険の対象外費用がかかります。生命保険文化センターの調査によると、入院時の自己負担額は平均約20万円となっています。
生命保険の種類一覧表
主要な生命保険の種類を一覧表でまとめます。どのような保険の種類があるのか、参考資料としてご活用ください。
保険種類 | 主な目的 | 保障期間 | 保険料 | 貯蓄性 | おすすめ年代 |
---|---|---|---|---|---|
終身保険 | 死亡保障・相続対策 | 終身 | 高 | あり | 30代~ |
定期保険 | 死亡保障(一定期間) | 一定期間 | 低 | なし | 30~50代 |
収入保障保険 | 家族の生活費確保 | 一定期間 | 低 | なし | 30~50代 |
養老保険 | 死亡保障+資金準備 | 一定期間 | 高 | あり | 20~40代 |
医療保険 | 医療費の負担軽減 | 終身/定期 | 中 | 一部あり | 全年代 |
がん保険 | がん治療費の保障 | 終身/定期 | 中 | なし | 30代~ |
三大疾病保険 | 重大疾病への備え | 終身/定期 | 中 | 一部あり | 40代~ |
介護保険 | 介護費用への備え | 終身/定期 | 中 | 一部あり | 50代~ |
就業不能保険 | 働けないリスク | 一定期間 | 中 | なし | 20~50代 |
個人年金保険 | 老後資金の準備 | 確定/終身 | 中 | あり | 20~50代 |
学資保険 | 教育費の準備 | 一定期間 | 中 | あり | 20~40代 |
定期保険は保険料が低く魅力的に見えますが、更新のたびに保険料が上昇し、高齢期には支払いが困難になる可能性があります。
また、貯蓄性のある保険(終身保険・養老保険・個人年金保険)は保険料が高く感じられますが、長期的には「保障+貯蓄」の両機能を持つため、単純な保険料比較は適切ではありません。
保険選びでは、まず「なぜその保障が必要なのか」を明確にし、次に「いつまで必要なのか」を検討することが重要です。この表の「おすすめ年代」は一般的な目安であり、個人の状況によって最適解は大きく変わります。複数の保険を組み合わせることで、効率的な保障設計が可能になることも覚えておきましょう。
保険の設計による違い
同じ種類の保険でも、設計方法により特徴が大きく変わります。掛け捨て型・貯蓄型、定額型・変額型、円建て・外貨建てなど、様々な選択肢があります。
掛け捨て型と貯蓄型
掛け捨て型は、保険期間中に保険事故が起きなければ支払った保険料は戻ってこない設計です。その分保険料が安く、同じ予算でより大きな保障を確保できます。定期保険や医療保険の多くが該当します。
貯蓄型は、解約時に解約返戻金を受け取れる設計です。保険料は高くなりますが、保障と貯蓄の両方の機能を持ちます。終身保険や養老保険が代表例で、「保険料が無駄にならない」安心感があります。
どちらを選ぶかは、保険に求める目的によります。純粋に保障だけが必要なら掛け捨て型、保障と貯蓄を両立したい場合は貯蓄型が適しています。
定額型と変額型
定額型は、保険金額や解約返戻金があらかじめ決まっている保険です。契約時に将来受け取れる金額がわかるため、確実な保障や貯蓄計画を立てられます。金利リスクは保険会社が負担します。
変額型は、積立金を株式や債券で運用し、その成果により保険金額や解約返戻金が変動する保険です。運用がうまくいけば大きなリターンが期待できますが、元本割れのリスクもあります。
インフレが進行した場合、定額型では実質的な価値が目減りする可能性があります。変額型は株式等への投資によりインフレに対応できる可能性があるため、長期的な資産形成として活用することも可能です。
円建てと外貨建て
円建て保険は、保険料の払込から保険金の受取まで、すべて円で行われる保険です。為替リスクがなく、将来受け取れる金額を円ベースで把握できます。日本の保険商品の大部分が円建てです。
外貨建て保険は、米ドルやユーロなどの外国通貨で運用される保険です。日本より金利の高い国の通貨で運用するため、円建てより高いリターンが期待できます。ただし、為替変動により元本割れするリスクがあります。
為替手数料も重要な検討要素です。保険料払込時と保険金受取時に為替手数料がかかるため、短期間で解約すると手数料負担が大きくなる場合があります。
外貨建て保険の注意点に関しては、以下のQ&Aも参考にしてみてください。
有配当と無配当
有配当保険は、保険会社の運用成績が良好な場合に配当金を受け取れる保険です。配当金は保険料の軽減・積立・現金受取などに活用できます。将来の配当金は約束されていませんが、インフレや金利上昇時には有利になる可能性があります。
無配当保険は、配当金の支払いがない代わりに保険料が安く設定されています。将来受け取れる保険金額が確定しており、シンプルでわかりやすい仕組みです。現在の低金利環境では、多くの保険商品が無配当となっています。
生命保険の種類比較表
各保険の特徴を比較表で整理すると、自分に適した保険を選びやすくなります。保障内容・保険料負担・利用シーンの3つの観点から比較してみましょう。
保障内容での比較
保険種類 | 死亡保障 | 医療保障 | 貯蓄性 | 保障期間 |
---|---|---|---|---|
終身保険 | ◎ | - | ○ | 終身 |
定期保険 | ◎ | - | - | 一定期間 |
養老保険 | ○ | - | ◎ | 一定期間 |
医療保険 | - | ◎ | △ | 定期/終身 |
がん保険 | - | ○ | - | 定期/終身 |
三大疾病保険 | - | ○ | △ | 定期/終身 |
個人年金保険 | - | - | ◎ | 確定/終身 |
死亡保障の充実度では、終身保険と定期保険が優れています。医療保障は医療保険が最も充実しており、がん保険・三大疾病保険は特定の疾病に特化した保障です。
保険料負担での比較
同じ30歳男性で死亡保障1,000万円を確保する場合の月額保険料例を見てみましょう。定期保険(10年満了)なら月額約2,000円~3,000円、終身保険なら月額約20,000円~25,000円程度となります。
医療保険(入院日額5,000円・終身保障)の場合、30歳男性で月額約1,500円~2,500円が相場です。がん保険は診断一時金100万円で月額約1,000円~2,000円程度となります。
保険料は年齢・性別・健康状態・保険会社により大きく異なります。あなたに適した保険を選ぶためにも、複数社での見積比較と、定期的な見直しが重要です。
利用シーン別の比較
子育て世帯では、教育費や生活費確保のため高額な死亡保障が必要です。収入保障保険で必要保障額を確保し、医療保険で病気・ケガに備える組み合わせが効果的です。学資保険で、教育費を計画的に準備する方法もあります。
単身者の場合、高額な死亡保障は必要ありませんが、医療保障は重要です。働けなくなったときの収入減少に備える就業不能保険の検討も有効です。
シニア世代では、死亡保障よりも医療・介護保障のニーズが高まります。終身医療保険で一生涯の医療費に備え、介護保険で要介護状態のリスクに対処する組み合わせが適しています。
後悔しないための生命保険の選び方
最適な保険を選ぶには、まず目的を明確にする必要があります。ライフステージや家族構成に応じて、必要な保障は大きく変わります。
必要保障額の明確化
必要保障額は「必要資金-公的保険で受け取れる給付-準備済みの資金」で計算します。
必要資金は、遺族の生活費・教育費・住居費・葬儀費用などが含まれます。公的保険は公的年金・健康保険・労働保険など、準備済み資金は貯蓄・退職金・公的保障などです。
会社員の場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金により、妻子世帯で月額約10万円~15万円程度の公的保障が受けられます。住宅ローンには団体信用生命保険が付いている場合が多く、死亡時にローンが完済されます。
医療保障は、高額療養費制度により月額約8万円~10万円が自己負担の上限となります。ただし、差額ベッド代・食事代・交通費は対象外のため、これらの費用に備える必要があります。
たとえば、公的保険と保有している資産でリスクに対処できる場合、民間保険に加入する必要性はほとんどありません。民間の保険は、「もし起こってしまったら自分や家族の先生が台無しになる」ようなリスクに備えるのが原則です。
なお、生命保険を活用した相続税対策を検討している方は、こちらのQ&Aをご覧ください。
ライフステージ別の選択
20代・30代の独身期は、医療保障を中心とした保険加入が基本です。就業不能保険で働けないリスクに備え、将来のための貯蓄性保険の検討も有効です。保険料が安いうちに終身保障を確保する考え方もあります。
40代・50代の子育て期は、家族の生活を守るため高額な死亡保障が必要です。教育費負担が重い時期のため、定期保険で保険料を抑えながら必要保障額を確保します。がん保険・三大疾病保険で病気のリスクにも備えます。
60代以降のシニア期は、医療・介護保障が重要になります。死亡保障は相続対策や葬儀費用程度に縮小し、医療費・介護費用に重点を置いた保障設計に見直します。
家族構成別の考え方
独身者は自分自身のリスクにのみ備えればよいため、医療保険と就業不能保険が基本です。親への経済的援助をしている場合は、一定の死亡保障も検討します。
夫婦二人世帯では、配偶者の生活保障を考えた死亡保障と、夫婦それぞれの医療保障が必要です。共働きの場合は、それぞれの収入に応じた保障設計を行います。
子どものいる世帯では、教育費・生活費確保のため高額な死亡保障が必要です。子どもの成長に合わせて必要保障額が変化するため、定期的な見直しが重要になります。
保険契約時には「契約者・被保険者・受取人」の違いを理解する必要があります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
保険料予算の設定
家計に占める保険料の適正割合は、一般的に手取り収入の5%~10%とされています。月収30万円の場合、15,000円~3万円程度が目安となります。ただし、家族構成やライフステージにより適正割合は変わります。
保険料予算が限られる場合は、優先順位を決めた加入が重要です。「公的保障でカバーされない医療費→家族の生活費→老後資金」の順で検討するのが一般的です。
保障内容と保険料のバランスを考え、必要な保障を効率的に確保します。掛け捨て型で基本保障を確保し、余裕があるときに貯蓄性保険を上乗せする方法も有効です。
保険料と保険金は混同しがちですが、きちんと整理しましょう。詳細は、以下の記事で解説しています。
保険選びの注意点
保険選びでは、契約前の確認事項や保険会社選び、よくある失敗例を理解しておくことが重要です。長期間の契約となるため、慎重な検討が必要になります。
契約前の確認事項
告知義務は保険契約の重要な要素です。過去の傷病歴・現在の健康状態・職業などを正確に告知しなかった場合、告知義務違反により保険金が支払われない可能性があります。
保険約款と設計書は、契約前に必ず確認しましょう。給付条件・免責事項・更新条件など、重要な内容が記載されています。不明点は保険会社や代理店に質問し、納得してから契約します。
保険金と税金の関係に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
保険会社選びのポイント
保険会社の財務健全性は、ソルベンシー・マージン比率で確認できます。200%以上が健全性の目安とされており、金融庁のウェブサイトで各社の数値を確認できます。格付機関による評価も参考になります。
サービス体制では、コールセンターの対応時間・全国の営業拠点・インターネットサービスの充実度などを確認します。給付金請求時の対応スピードや支払査定の厳格さも重要な要素です。
商品ラインナップの充実度により、将来の保険見直し時の選択肢が変わります。医療保険・がん保険・三大疾病保険など、幅広い商品を取り扱う会社であれば、ライフステージの変化に応じた保険の組み替えがしやすくなります。
保険選びでよくある失敗例
保険選びでは、多くの方が同じような失敗パターンに陥りがちです。事前に失敗例を知っておくことで、適切な保険選択ができるようになります。
保障の重複による無駄
保障の重複は保険料の無駄遣いにつながる代表例です。たとえば、会社の団体保険・共済・個人保険で同様の保障が重なっている場合があります。加入済みの保障内容を整理し、必要な保障だけを残すことが重要です。
特に医療保険や死亡保険では、複数の保険で同じ保障をカバーしているケースが多く見られます。保険証券を一度整理して、重複している部分がないか確認しましょう。
保障不足による後悔
保障不足による後悔も多く見られます。保険料を安くしたいがために、必要最小限の保障しか加入せず、いざというときに保障が足りないケースです。特に医療技術の進歩により治療期間が長期化する場合、想定以上の費用がかかることがあります。
がん治療や長期入院では、公的医療保険の対象外費用も多く発生します。差額ベッド代や先進医療費など、予想以上の自己負担が必要になる場合も考慮した保障設計が大切です。
更新時の保険料上昇
更新型保険の保険料アップを軽視する失敗例もあります。加入時は安い保険料でも、更新のたびに保険料が上がり、高齢期に支払いが困難になる場合があります。更新後の保険料推移を事前に確認しておきましょう。
年代が上がるにつれて保険料は大幅に上昇します。40歳で月額2,000円だった定期保険が、50歳更新時には4,000円、60歳更新時には8,000円になることも珍しくありません。長期的な家計への影響を考慮した保険選びが必要です。
この記事のまとめ
生命保険の種類は多岐にわたりますが、基本となる3つの型(定期・終身・養老)を理解すれば、複雑に見える商品も整理しやすくなります。
保険選びでは優先順位を明確にすることが重要です。医療費への備え、家族の生活保障、老後資金準備の順で検討し、予算の範囲内で効率的な保障設計を行いましょう。
保険の専門知識を持つファイナンシャルプランナーに相談すれば、複数の保険会社の商品を比較でき、客観的なアドバイスを受けられます。
保険は「入って終わり」ではなく、人生の変化に合わせて最適化していくものです。無駄な保険料を削減し、必要な保障を充実させ、安心して人生を歩みましょう。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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貯蓄型保険(積立型)
貯蓄型保険(積立型)とは、万が一の保障に加えて、将来的にお金が戻ってくる仕組みを備えた保険商品のことです。保険料の一部が積み立てられ、契約満了時や途中解約時に「解約返戻金」や「満期保険金」として受け取れるようになっています。 代表的な商品には、終身保険、養老保険、学資保険などがあり、保険としての安心を持ちながら、同時に資産形成も行えるのが特徴です。特に、教育資金や老後資金の準備、相続対策など、目的を持った長期の計画に活用されます。 「掛け捨て型保険」と異なり、支払った保険料が将来的に戻ってくるため、保険と貯金の“ハイブリッド”として位置づけられる商品です。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるほか、運用利回りが低めに抑えられていることが多いため、目的と期間をしっかり考えて加入することが大切です。 保障と貯蓄を1つの仕組みで両立させたい人にとって、計画的な資産形成の手段として有効な選択肢のひとつです。
死亡保障
死亡保障とは、契約者が亡くなった場合に、遺された家族などの受取人に対して保険金が支払われる仕組みのことをいいます。主に生命保険に含まれる保障内容であり、家計の支え手が亡くなった際の遺族の生活費や教育資金、住宅ローンの返済などを補うために活用されます。 死亡保障の金額や期間は契約内容によって異なり、定期保険のように一定期間のみ保障されるものや、終身保険のように一生涯保障が続くものがあります。自分に万が一のことがあったときに、大切な人たちが経済的に困らないように備える目的で利用されるため、ライフプランに応じた保障額の設定が重要です。また、保障を手厚くすると保険料も高くなるため、必要な金額と負担のバランスを考えることが大切です。
医療保障
医療保障とは、病気やけがで入院・手術などの医療を受けた際に、かかる費用の一部または全部を補償する保険の仕組みを指します。これは主に生命保険会社などが提供する医療保険商品によって提供され、入院日数に応じた給付金や、手術・通院ごとの一時金が支払われるのが一般的です。医療保障は、公的医療保険(健康保険)だけではカバーしきれない自己負担分や差額ベッド代、先進医療費用などのリスクに備えるために活用されます。 医療保障の内容は契約によって異なり、給付内容や給付条件、保険料、保障期間などを比較検討することが大切です。また、貯蓄型か掛け捨て型かによって保険料の性質も変わります。高齢化社会の進展により、医療費負担への不安が高まる中、医療保障は家計のリスク管理の一部として注目されています。
終身保険
終身保険とは、被保険者が亡くなるまで一生涯にわたって保障が続く生命保険のことです。契約が有効である限り、いつ亡くなっても保険金が支払われる点が大きな特徴です。また、長く契約を続けることで、解約した際に戻ってくるお金である「解約返戻金」も一定程度蓄積されるため、保障と同時に資産形成の手段としても利用されます。 保険料は一定期間で払い終えるものや、生涯支払い続けるものなど、契約によってさまざまです。遺族への経済的保障を目的に契約されることが多く、老後の資金準備や相続対策としても活用されます。途中で解約すると、払い込んだ金額よりも少ない返戻金しか戻らないこともあるため、長期の視点で加入することが前提となる保険です。
保険期間
保険期間とは、保険契約が有効であり、保障が適用される期間のことを指します。この期間中に事故や病気などの保険事故が発生した場合に限り、保険会社から保険金や給付金が支払われます。保険期間には「定期型」と「終身型」があり、定期型は一定の期間で保障が終了するのに対し、終身型は一生涯にわたって保障が続きます。 また、医療保険や生命保険、就業不能保険など、それぞれの保険商品によって保険期間の長さや更新の有無が異なるため、自分のライフプランや必要な保障に応じて選ぶことが大切です。保険期間を正しく理解することで、保障が必要なときに備えが切れているといった事態を防ぐことができます。
解約返戻金
解約返戻金とは、生命保険などの保険契約を途中で解約したときに、契約者が受け取ることができる払い戻し金のことをいいます。これは、これまでに支払ってきた保険料の一部が積み立てられていたものから、保険会社の手数料や運用実績などを差し引いた金額です。 契約からの経過年数が短いうちに解約すると、解約返戻金が少なかったり、まったく戻らなかったりすることもあるため、注意が必要です。一方で、長期間契約を続けた場合には、返戻金が支払った保険料を上回ることもあり、貯蓄性のある保険商品として活用されることもあります。資産運用やライフプランを考えるうえで、保険の解約によって現金化できる金額がいくらになるかを把握しておくことはとても大切です。
低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険とは、保険期間が一生涯続く終身保険の一種で、一定期間内に解約した場合の返戻金(契約を途中でやめた際に受け取れるお金)が通常の終身保険よりも低く設定されている保険です。主に保険料を安く抑えるための仕組みで、長期間継続することを前提に作られています。 保険会社にとっては途中解約による支出が少ないため、その分保険料を割安にすることができるというメリットがあります。短期間で解約すると大きく元本割れしてしまうため、長期的な保障や資産形成を目的とした人向けの商品です。終身保障がありながら、支払い負担を抑えたいという人に選ばれることがあります。
定期保険
定期保険とは、あらかじめ決められた一定の期間だけ保障が受けられる生命保険のことです。たとえば10年や20年といった契約期間のあいだに万が一のことがあれば、保険金が支払われますが、その期間を過ぎると保障はなくなります。保障期間が限定されているため、保険料は比較的安く設定されています。特に子育て世代や住宅ローンを抱えている方など、特定の期間だけ万が一の保障を重視したい場合に適しています。貯蓄性はなく、純粋に「保障のための保険」である点が特徴です。
生命保険
生命保険とは、契約者が一定の保険料を支払うことで、被保険者が死亡または高度障害になった際に保険金が支払われる仕組みのことです。主に遺族の生活保障を目的とし、定期保険や終身保険などの種類があります。また、貯蓄性を備えた商品もあり、満期時に保険金を受け取れるものもあります。加入時の年齢や健康状態によって保険料が異なり、長期的な資産運用やリスク管理の一環として活用されます。
養老保険
養老保険とは、「保障」と「貯蓄」の両方の機能を備えた生命保険です。契約期間中に万が一亡くなった場合には「死亡保険金」が支払われ、無事に満期を迎えた場合には「満期保険金」として同じ金額が受け取れるのが大きな特徴です。 そのため、老後資金の準備やお子さまの教育資金づくりなど、将来に備えながら万が一にも備えられる保険として活用されています。貯金感覚で利用できる点から、計画的に資金を準備したい方に適しています。 ただし、保障と貯蓄の両方を兼ね備えているため、保険料は定期保険よりも高めに設定されている点には注意が必要です。しっかりと目的と費用のバランスを考えて加入することが大切です。
変額保険
変額保険とは、死亡保障を持ちながら、保険料の一部を投資に回すことで、将来受け取る保険金や解約返戻金の金額が運用成績によって変動する保険商品です。 保険会社が提供する複数の投資先から自分で選んで運用することができるため、運用がうまくいけば受け取る金額が増える可能性があります。 ただし、運用がうまくいかなかった場合は、受け取る金額が減ることもあります。保障と資産運用の両方を兼ね備えた商品ですが、元本保証がない点には注意が必要です。投資初心者の方には、仕組みを十分に理解したうえで加入することが大切です。
入院給付金
入院給付金とは、病気やけがで入院した際に、入院日数に応じて保険会社から受け取れる給付金のことです。一般的には「1日あたり○○円」といった日額で設定されており、公的医療保険の自己負担分や差額ベッド代、生活費の補填などに活用できます。多くの保険商品では、支払開始までの免責日数や1回の入院、通算での支払限度日数が定められているため、保障を選ぶ際はこれらの条件を確認することが大切です。
手術給付金
手術給付金とは、病気やけがで医師の管理下において所定の手術を受けた場合に、医療保険やがん保険などから一時金として受け取れる給付金のことです。手術の種類や入院の有無、保険商品ごとに定められた給付倍率によって支払額が決まり、入院給付金の日額に10倍・20倍を掛ける方式や、あらかじめ定額を設定する方式などがあります。 これにより、高額になりやすい手術関連費用や術後の生活費を早期に確保できるため、家計への負担軽減に役立ちます。ただし、対象となる手術の範囲や給付回数、同一部位の再手術に関する待機期間などは保険ごとに条件が異なるため、約款を確認したうえで保障内容を選ぶことが大切です。
診断一時金
診断一時金とは、がんや急性心筋梗塞などと医師に診断されたときに、保険会社からまとまった金額が一度に支払われる給付金です。治療費だけでなく、仕事を休むことによる収入減や生活環境の整備費用など、自由に使える資金として役立ちます。 入院日数や手術の有無に関係なく、診断確定時点で受け取れる場合が多いため、早期から資金面の不安を和らげられる点が特徴です。保険商品によって対象となる病気や給付条件、受け取れる金額が異なりますので、契約時には自分のライフプランや公的保障を踏まえ、必要な保障額を見極めることが大切です。
がん保険
がんと診断されたときや治療を受けたときに給付金が支払われる民間保険です。公的医療保険ではカバーしきれない差額ベッド代や先進医療の自己負担分、就業不能による収入減少など、治療以外の家計リスクも幅広く備えられる点が特徴です。通常は「診断一時金」「入院給付金」「通院給付金」など複数の給付項目がセットされており、加入時の年齢・性別・保障内容によって保険料が決まります。 更新型と終身型があり、更新型は一定年齢で保険料が上がる一方、終身型は加入時の保険料が一生続くため、長期的な負担の見通しを立てることが大切です。がん治療は医療技術の進歩で入院期間が短くなり通院や薬物療法が中心になる傾向があるため、保障内容が現在の治療実態に合っているかを確認し、必要に応じて保険の見直しを行うと安心です。
三大疾病(しっぺい)
三大疾病(しっぺい)とは、一般的に「がん」「心疾患」「脳卒中」の3つの重い病気をまとめて指す言葉です。これらの病気は、発症すると長期の治療が必要になることが多く、医療費も高額になる可能性があります。特に生命保険や医療保険の中では、この三大疾病に対応した保障が設けられている商品が多く、一時金の支給や保険料の免除などの仕組みもあります。 資産運用の観点からも、病気による収入減や支出増をカバーするために、三大疾病に備えた保険を活用することは、生活の安定と将来設計のうえで重要な手段となります。
収入保障保険
収入保障保険とは、契約者が死亡または高度障害になった場合に、遺された家族が毎月一定額の保険金を受け取れる生命保険の一種です保険金は一括ではなく、年金のように月々の定額支給という形で受け取るため、日々の生活費や教育費など、継続的な支出に備えるのに適した保険です。 この保険の特徴は、契約期間が経過するごとに受け取れる総額(=支給期間)が短くなるため、保険料が比較的割安に設定されていることです。必要な保障額を効率よく確保できることから、特に子育て中の家庭や、一家の収入を支える人に万が一があった場合のリスクに備えたい方に人気があります。
就業不能保険
就業不能保険とは、病気やけがで働けなくなり、収入が得られなくなった場合に、一定期間ごとに保険金が支払われる民間の保険商品です。この保険は、入院や自宅療養などで仕事を続けられない状況が長引いたときに、生活費やローン返済などの家計の負担を軽減するために設けられています。 公的な障害年金制度ではカバーしきれない部分を補う目的があり、自営業者やフリーランスなど、収入の保障が不安定な人に特に注目されています。保障内容や支払期間、免責期間などは契約ごとに異なるため、自分の職業やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
介護保険
介護保険とは、将来介護が必要になったときに備えるための保険で、民間の保険会社が提供している商品です。公的介護保険制度とは別に、要介護・要支援と認定された場合に、一時金や年金形式で保険金を受け取れるのが特徴です。 この保険の目的は、公的制度だけではまかないきれない介護費用を補い、自分自身や家族の経済的な負担を軽減することにあります。 特に高齢化が進む現代社会において、老後の安心を支える備えとして注目されている保険のひとつです。 なお、保険の保障内容や保険金の受け取り条件は商品ごとに大きく異なります。加入を検討する際には、補償の範囲や条件をしっかり確認することが重要です。
個人年金保険
個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。
確定年金
確定年金とは、あらかじめ決められた一定期間にわたり年金が支給される仕組みで、受取人が期間中に亡くなっても残りの年金が遺族へ支払われる点が特徴です。 生存期間にかかわらず給付が保証されるため、老後資金の計画が立てやすく、遺族の生活資金としても安心感があります。ただし、終身年金のように長生きリスクへの備えは十分ではないため、受取期間を超えて長生きした場合は年金が途切れる可能性があることを理解しておく必要があります。
学資保険
学資保険とは、子どもの教育資金を計画的に準備するための保険商品で、一定期間保険料を支払うことで、子どもの進学時期(中学・高校・大学入学など)に合わせて祝い金や満期保険金が受け取れる仕組みになっています。保険であるため、契約者(通常は親)に万が一のことがあった場合でも、以後の保険料の支払いが免除され、満期時には予定どおりの給付金が支払われる点が大きな特徴です。 貯蓄機能と保障機能が組み合わさっており、「教育費を積み立てながら万一に備えたい」と考える家庭に人気があります。ただし、途中解約すると元本割れするリスクがあるため、長期的な資金計画としての活用が前提となります。初心者の方にとっては、預貯金とは違う形で将来の教育資金を準備できる手段のひとつとして、選択肢に入れて検討する価値があります。
先進医療特約
先進医療特約とは、民間の医療保険やがん保険に追加して付けられる保障で、厚生労働大臣が承認した先進医療を受けた際にかかる技術料や治療費の自己負担分を所定の限度額まで補填する仕組みです。先進医療は公的医療保険の対象外で、粒子線治療など一回数百万円に上るケースもあるため、特約を付けることで大きな費用負担を回避できます。 一般的に保険料は月数百円程度と比較的低く抑えられており、加入時の年齢や支払方法によって決まります。給付を受けるには治療前に保険会社へ連絡し、指定医療機関で先進医療の実施が確定したことを証明する書類を提出する必要があります。医療技術は日々進化しており、承認される先進医療の数も変動するため、加入後も特約の対象範囲が最新の治療に対応しているか確認しておくと安心です。
払込免除
払込免除とは、生命保険や医療保険などの契約において、契約者や被保険者が高度障害状態になったり、所定の重い病気にかかったりした場合に、それ以降の保険料の支払いが免除される制度のことを指します。免除されたあとも、保険契約は有効に継続され、保障内容はそのまま維持されるのが特徴です。 たとえば、がんなどの重病を患い、働くことが困難になった場合でも、保障を失うことなく保険を続けられる仕組みとして、多くの保険商品に組み込まれています。払込免除はあくまで保険料の支払い義務を免除する制度であり、解約や満期金の支払いとは異なります。契約時にこの特約が付いているかどうか、また発動条件がどうなっているかを確認しておくことが大切です。経済的な負担が大きくなる場面で、保険契約の継続を支える安心の仕組みです。
女性疾病特約
女性疾病特約とは、がんや子宮筋腫、乳がん、卵巣の病気など、女性特有の病気にかかった場合に、通常の医療保険よりも手厚い保障が受けられる追加の契約(特約)のことです。 これは、主契約である医療保険やがん保険などに付け加える形で加入するもので、対象となる病気で入院や手術をした場合に給付金が上乗せされるのが一般的です。女性は年齢を重ねるにつれて特有の疾患リスクが高まるため、この特約を付けておくことで、万が一の際の経済的な備えがより充実します。ただし、保険料がやや上乗せされるため、保障内容と費用のバランスをよく確認したうえで検討することが大切です。
定期保険特約
定期保険特約とは、主契約である終身保険や養老保険などに一定期間だけ保障を上乗せするために付け加えるオプションの保険のことです。たとえば、主契約が一生涯の保障を持つ終身保険であっても、子どもが小さい期間や住宅ローン返済中など、一時的に死亡保障額を大きくしておきたい期間があります。 そうしたニーズに対応するために、特定の期間(例:10年、20年など)だけ保険金額を増やす目的で付けるのが定期保険特約です。契約期間が満了すると、更新するか終了するかを選べますが、更新時には保険料が年齢に応じて上がるのが一般的です。保障を柔軟にカスタマイズできる点がメリットですが、主契約が失効すると特約も同時に消滅する点に注意が必要です。
主契約
主契約とは、生命保険や医療保険などの保険商品において、基本となる保障内容を規定する中心的な契約部分を指します。投資型保険でも、まず主契約が土台となり、そのうえで必要に応じて追加保障やサービスを付加する「特約」を組み合わせる仕組みが一般的です。 主契約があることで保険としての骨格が成立し、保険料の算定や契約期間、解約返戻金の有無などの重要な条件が定められます。投資初心者の方にとっては、特約に目が行きがちですが、まず主契約が何を保障し、どのような運用や保障期間になっているかを理解することが、資産運用として保険を活用するうえでの第一歩となります。
特約
特約とは、保険契約や金融契約、不動産契約などにおいて、基本契約に追加される特別な条件や取り決めのことを指します。これは標準的な契約内容とは別に、契約者の希望や状況に応じて付加されるもので、主契約の補足・強化・変更などを目的とします。 たとえば、生命保険では「災害特約」や「払込免除特約」などがあり、基本の保障に加えて追加の保障や条件変更を可能にします。特約は自由度が高い反面、内容や適用条件が複雑になることもあるため、契約時にはその内容を正確に理解しておくことが重要です。資産運用や保険設計においては、特約の有無によって将来のリスク対応力やコスト負担が大きく変わる可能性があるため、戦略的に選ぶべき要素のひとつです。
通院給付金
通院給付金は、病気やけがで医師の治療を受けるために病院へ通った日数や回数に応じて、保険会社から支払われるお金のことです。一般的に入院給付金が退院後に在宅療養へ切り替わる際や、手術後の経過観察で外来通院が必要な場合が対象となり、通院1日あたりいくら、あるいは通院1回あたりいくらという形で定額が決まっています。 この給付金を受け取ることで、交通費や薬代など退院後も続く医療関連の自己負担を補うことができ、治療に専念しやすくなるというメリットがあります。
外貨建て保険
外貨建て保険とは、保険料の支払いや保険金の受け取りなどが、日本円ではなく米ドルや豪ドルなどの外貨で行われる保険商品のことをいいます。主に終身保険や年金保険の形で提供されており、日本国内の低金利環境に対する対策として注目されることがあります。 外貨建て保険の魅力は、円建ての保険よりも高い利回りが期待できる点ですが、その反面、為替レートの変動によって実際に受け取る金額が目減りするリスクもあります。また、為替手数料や解約時のコストがかかることもあるため、加入する際には仕組みをしっかり理解し、自分の資産運用方針やリスク許容度に合っているかを見極めることが大切です。特に長期で保有する場合には、為替動向や国際情勢にも一定の関心を持つ必要があります。
有配当型保険
有配当型保険とは、保険会社が運用で得た利益の一部を配当金として契約者へ還元する仕組みを備えた保険です。契約時に定めた保険金や保険料に加え、毎年あるいは数年ごとに運用成果に応じた配当金を受け取れる可能性があります。 配当金は保険料に充当して支払負担を減らしたり、現金で受け取ったり、積み立てて将来の解約返戻金や満期金を増やしたりできるため、保障を確保しながら長期的な資産形成を図りたい方に適しています。 ただし、配当金の額は運用環境や保険会社の経営状況によって変動し、必ずしも期待通りの金額になるとは限らない点を理解しておくことが大切です。
無配当型保険
無配当型保険とは、保険会社が運用益を保険契約者へ配当金として分配しないタイプの保険です。契約時に決められた保険金額や保険料が満期まで変わらないため、将来の受取額や支払額をあらかじめ把握しやすいという特徴があります。 配当がない分、保険料が有配当型より割安になるケースが多く、保障をシンプルかつ手頃なコストで確保したい方に向いています。ただし、運用成績が好調でも契約者に追加の還元はないため、高いリターンを期待したい場合には他の金融商品と併用してバランスを取ることが大切です。
ソルベンシー・マージン比率
ソルベンシー・マージン比率とは、保険会社がどれだけ予想外のリスクに耐えられるかを示す指標のことです。たとえば、大地震や大事故のような予測できない大きな支払いが必要になった場合に、その保険会社がしっかりと対応できるかどうかを判断するために使われます。 この比率が高ければ高いほど、経営の安定性があり、万が一のときでも契約者に対する保険金の支払い能力があると見なされます。保険会社の健全性をチェックする上でとても重要な数字です。
クーリング・オフ
クーリング・オフとは、一定の契約について、契約後でも一定期間内であれば無条件で契約を取り消すことができる制度のことをいいます。主に訪問販売や電話勧誘販売など、消費者が冷静な判断をしにくい状況で契約してしまうことを防ぐために設けられています。 金融商品においても、保険や一部の投資信託などでこの制度が適用されることがあり、契約後に「やっぱりやめたい」と思ったときに一定の期間内であれば手数料なしで契約を解消できる仕組みです。この制度は、消費者の権利を保護し、不適切な勧誘から身を守るための重要な手段となっています。契約時には、クーリング・オフの対象かどうかや、適用できる期間をしっかり確認することが大切です。
ファイナンシャル・プランナー(FP)
ファイナンシャル・プランナーとは、お金に関する幅広い知識を持ち、個人や家庭のライフプランに応じた資金計画や資産運用、保険、税金、年金、相続などについてアドバイスを行う専門家のことです。略して「FP(エフピー)」と呼ばれることもあります。例えば、子どもの教育資金や老後の生活費をどのように準備するか、住宅ローンをどう組むべきか、保険は見直すべきかといった具体的な悩みに対して、相談者の状況に合ったプランを提案してくれます。国家資格や民間資格を持つファイナンシャル・プランナーが存在し、中立的な立場でアドバイスをしてくれる点が信頼されています。投資や家計管理に自信がない方にとって、人生の重要なお金の意思決定をサポートしてくれる心強い存在です。
第1分野
第1分野とは、日本における保険業法上の区分の一つで、主に生命保険に関する分野を指します。この分野には、終身保険や定期保険、養老保険といった「人の生死に関わる保険」が含まれています。 これらは、保険契約者が死亡したり、一定期間が経過したりした際に保険金が支払われる仕組みになっています。資産運用の観点から見ると、第1分野の商品は保障機能が中心で、貯蓄性はあっても運用性は第3分野や変額保険と比べて低めです。投資初心者にとっては、リスクが少なく、将来の不安に備えるための基本的な保険商品が多い分野といえます。
第3分野
第3分野とは、日本の保険制度における保険商品の分類のひとつで、主に医療保険やがん保険、介護保険、就業不能保険など、人の病気やケガ、入院、手術、介護といった「生きている間のリスク」に備える保険を取り扱う分野です。 生命保険(第1分野)や損害保険(第2分野)のいずれにも当てはまらない性質を持つため、両者の中間的な存在として定義されています。第3分野の保険は、入院日数や手術回数などに応じて給付金が支払われる仕組みが多く、医療費や生活費の補填に役立ちます。近年は医療技術の進歩や高齢化の影響で、需要が高まっている分野でもあり、将来に備えて検討する価値の高い保険といえます。
第2分野
第2分野とは、日本の保険制度における保険商品分類の一つで、主に損害保険に該当する保険を扱う分野です。この分野には、自動車保険、火災保険、地震保険、旅行保険など、事故や災害などによって「モノ」や「財産」が損害を受けたときに補償する保険が含まれます。 これらの保険は、被保険者が特定のリスクに備えるために契約するものであり、生命や健康というよりは経済的な損失をカバーすることが主な目的です。資産運用とは少し距離がありますが、万一のリスクに備えて支出を抑える手段として、安定した家計管理に欠かせない存在です。投資初心者でも理解しやすく、日常生活での利用頻度も高い保険分野です。
生存給付金
生存給付金とは、生命保険や貯蓄型保険において、契約者があらかじめ定められた給付時点まで生存していた場合に受け取れるお金のことをいいます。これは、万が一の死亡時に支払われる死亡保険金とは異なり、契約期間中や満期前の特定の時期に生きていることが条件となります。 例えば、10年満期の保険で5年経過時に生存していれば、保険会社から一定額の生存給付金が支払われるといった形です。この給付金は、保険加入者にとって途中での資金確保や将来の生活資金の準備に役立ちます。ただし、生存給付金が設定されている保険は、その分保険料が高めになる傾向があります。
逓減定期保険
逓減定期保険とは、保険期間の経過に応じて保険金額が段階的に減っていくタイプの定期保険です。つまり、契約当初は高めの保障額が設定されていても、時間の経過とともにその保障額が少しずつ減っていく仕組みになっています。 これは、家計の責任が時間とともに減っていくという考え方に基づいています。たとえば、子どもの教育費や住宅ローンの残高が年々減少していくようなケースに合わせて、必要保障額を効率的に準備することができます。 また、保障額が逓減する分、同じ定期保険でも保険料を比較的抑えることができる点も特徴です。資産運用というよりは、家計のリスク管理に役立つ保険で、必要な時期に無駄のない保障を確保したい初心者にとっても利用しやすい商品です。
終身年金
終身年金とは、一度受給が始まると、契約者が生きている限り年金が支給され続けるタイプの年金です。主に民間の年金保険や国民年金基金、企業年金などで採用される形式で、老後の長生きリスクに備えるための仕組みとして重視されています。たとえば、90歳まで生きた場合でも、支給は一生涯続くため、資金が尽きる心配が少なくなります。支給額は契約時に決められており、途中で変更されることは通常ありません。 資産運用の視点からは、定期的な安定収入を確保する手段として終身年金は非常に有効であり、特に退職後の生活費の柱として設計する際に重宝されます。ただし、早期に亡くなった場合は支払った保険料よりも受け取る年金総額が少なくなることもあるため、遺族保障とのバランスも検討が必要です。
認知症保険
認知症保険とは、契約者が将来、医師により認知症と診断された場合に給付金が支払われる保険です。認知症と診断されたときに一時金としてまとまった金額を受け取れるタイプや、その後の介護や生活支援のために定期的に給付金が支払われるタイプがあります。 高齢化社会が進む中で、認知症は誰にとっても身近なリスクになっており、それに備えるための商品として注目されています。認知症になると、自分でお金の管理や生活が難しくなるため、早めの備えが重要です。 この保険は、医療保険や介護保険とは異なり、認知症という特定の状態に焦点を当てて保障するもので、家族への経済的・精神的負担を軽減する役割もあります。資産運用というよりは、老後の安心を支える「リスク管理」の手段として、初心者にも理解しやすい保険です。