医療費控除は年末調整で適用されますか?申請方法や必要書類についても教えて下さい。
医療費控除は年末調整で適用されますか?申請方法や必要書類についても教えて下さい。
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2025/11/21 09:20
女性
40代
医療費が多くかかった年に控除を受けたいのですが、年末調整で自動的に申告されるのか、それとも自分で確定申告をする必要があるのかが分かりません。医療費控除を受けるための具体的な申請方法や必要書類についても知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
医療費控除は年末調整では受けられません。会社員やパートなど給与所得者であっても、医療費控除を希望する場合は自分で確定申告を行う必要があります。年末調整は会社が一律に処理できる控除のみを対象としており、家庭ごとに金額や内容が異なる医療費控除は対象外とされているためです。
医療費控除を受けるには、まず1年間(1月1日〜12月31日)の医療費を家族分も含めて集計します。健康保険から支給される高額療養費や出産育児一時金などは差し引く必要があります。そのうえで「医療費控除の明細書」を作成し、健康保険組合から届く「医療費通知(医療費のお知らせ)」を添付すれば、その記載範囲は明細入力を省略できます。確定申告はe-Taxまたは紙の申告書提出で行い、領収書の提出は不要ですが5年間の保存義務があります。
控除対象となるのは、病院や歯科の診療費、処方薬、入院中の食事代、通院の交通費、出産費用や不妊治療費などです。治療目的であれば、はり・きゅう・整体の費用も対象に含まれます。一方、美容整形、予防接種、健康診断(治療に移行しなかった場合)などは対象外です。
控除額は「(年間の医療費 − 給付金などの補てん額) −〔10万円 or 所得の5%の少ない方〕」で計算し、上限は200万円です。所得が200万円以下の場合は、10万円ではなく所得の5%を超える部分が控除対象となります。
確定申告期間は翌年2月中旬〜3月中旬ですが、還付申告は翌年1月から可能で、5年以内ならさかのぼりもできます。市販薬が対象となる「セルフメディケーション税制」もありますが、医療費控除との併用は不可のため有利な方を選びます。
高額療養費や保険金の差し引き漏れ、家族の医療費をまとめ忘れることなどに注意し、正しく申告すれば税負担の軽減につながります。
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関連する専門用語
医療費控除
医療費控除とは、納税者が1年間に支払った医療費の一部を所得から控除できる税制上の制度を指す。自己や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合に適用され、所得税や住民税の負担を軽減できる。対象となる費用には、病院での診療費や処方薬の費用のほか、一定の条件を満たす介護費用なども含まれる。確定申告が必要であり、領収書の保管が重要となる。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、1か月に医療機関で支払った自己負担額が一定の上限を超えた場合、その超過分が払い戻される公的な医療費助成制度です。日本では公的医療保険により治療費の自己負担割合は原則3割(高齢者などは1〜2割)に抑えられていますが、手術や長期入院などで医療費が高額になると家計への影響は大きくなります。こうした経済的負担を軽減するために設けられているのが、この高額療養費制度です。 上限額は、70歳未満と70歳以上で異なり、さらに所得区分(年収の目安)によって細かく設定されています。たとえば、年収約370万〜770万円の方(一般的な所得層)では、1か月あたりの自己負担限度額は「約8万円+(総医療費−26.7万円)×1%」となります。これを超えた分は、後から申請によって保険者から払い戻しを受けることができます。 また、事前に健康保険の窓口で「限度額適用認定証」を取得し、医療機関に提示しておけば、病院の窓口で支払う金額そのものを最初から自己負担限度額までに抑えることも可能です。これにより、退院後の払い戻しを待たずに現金の一時的な負担を軽減できます。 同じ月に複数の医療機関を受診した場合や、同一世帯で同じ医療保険に加入している家族がいる場合には、世帯単位で医療費を合算して上限額を適用することもできます。さらに、直近12か月以内に3回以上この制度を利用して上限を超えた場合、4回目以降は「多数回該当」となり、上限額がさらに引き下げられる仕組みもあります。なお、払い戻し申請から実際の支給までには1〜2か月程度かかるのが一般的です。 資産運用の観点から見ると、この制度によって突発的な医療費リスクの一部を公的にカバーできるため、民間の医療保険や緊急時資金を過剰に積み上げる必要がない場合もあります。医療費リスクへの備えは、公的制度・民間保険・現金準備のバランスで考えることが大切です。特に高所得者や自営業者の場合は、上限額が比較的高めに設定されている点や支給までのタイムラグを踏まえ、制度と現金の両面から備えておくと安心です。
医療費通知
医療費通知とは、健康保険組合や共済組合などの保険者が加入者に対して定期的に交付する書類で、病院や薬局で実際にかかった医療費の総額や自己負担額、診療年月日、医療機関名などがまとめて記載されています。 確定申告で医療費控除を受ける際には、医療費控除の明細書の代替資料として添付できるため、個別の領収書を一つひとつ記入する手間を省くことができます。なお、通知には給付対象外の自由診療分や市販薬の購入費は含まれないため、セルフメディケーション税制を併用する場合は別途レシート管理が必要です。
セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制とは、健康維持や病気の予防を自ら行う人を後押しするための所得控除制度で、指定されたOTC医薬品(スイッチOTC等)を年間1万2千円を超えて購入した場合、その超過額(上限8万8千円)を総所得金額から差し引ける仕組みです。 通常の医療費控除とは別枠で選択適用となり、医療費が少なくても薬局での買い物が多い家庭でも節税効果を得やすいのが特徴です。ただし、確定申告の際にはレシートや購入明細の保管に加え、当年中に定期健康診断や予防接種などの予防医療を受けたことを証明する書類も必要になるため、日頃から書類管理を意識することが大切です。




