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年末調整の書き方を書類別にわかりやすく解説!共働き・パート・専業主婦別の注意点も網羅

年末調整の書き方を書類別にわかりやすく解説!共働き・パート・専業主婦別の注意点も網羅

年末調整の書き方を書類別にわかりやすく解説!共働き・パート・専業主婦別の注意点も網羅

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執筆者:

公開:

2025.11.13

更新:

2025.11.13

ライフイベントタックスプランニング

年末調整は、会社員やパート・アルバイトで働くすべての方に関係する重要な手続きです。2025年(令和7年)には基礎控除や扶養控除の見直しなど大幅な税制改正が行われ、記入内容も変更されています。この記事では、年末調整の基本的な仕組みから書類別の書き方、最新改正にも対応し、ミスなく書類を完成させるための実践知識を解説します。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、複雑に見える年末調整の書類を迷わず正確に記入できるようになり、控除の申告漏れによる払いすぎや、期限遅れによる確定申告の手間を防ぐことができます。また、2025年の改正で変わった所得要件や新設された控除を理解することで、世帯全体の税負担を適切に抑えながら、年末調整を確実に完了させるための実践的な知識と自信を得ることができます。

目次

年末調整とは?いつ行われる

年末調整は仕組みは「所得税を精算する」こと

年末調整が行われる時期は10月~11月頃が一般的

年末調整の対象者

対象外になる人

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方

基本情報の記入

源泉控除対象配偶者

控除対象扶養親族

特定扶養親族と老人扶養親族

障害者控除

寡婦・ひとり親

勤労学生控除

他の所得者の扶養

住民税に関する事項

給与所得者の保険料控除申告書の書き方

生命保険料控除

地震保険料控除

社会保険料控除

小規模企業共済等掛金控除

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書の書き方

給与所得者の基礎控除申告書

給与所得者の配偶者控除等申告書

給与所得者の特定親族特別控除申告書

所得金額調整控除申告書

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除申告書)の書き方

2年目以降の手続き

年末残高証明書

記入すべき項目

年末調整の必要書類一覧

2025年における税制の変更点

基礎控除の引き上げ

給与所得控除の引き上げ

扶養控除の見直し

特定親族控除の新設

勤労学生控除の引き上げ

世帯別・ケース別の年末調整書類の書き方と注意点

共働き夫婦は子供の扶養に注意

パート主婦(主夫)は配偶者控除の適用を慎重に判断

学生アルバイトは勤労学生控除を受けられる可能性が

産休・育休中の妻は税法上の扶養に入ることも

転職者は前の職場の源泉徴収票が必要

ダブルワークの人は年末調整後に確定申告が必要

年末調整でできない控除

医療費控除・セルフメディケーション税制

寄附金控除(ふるさと納税)

雑損控除

年末調整の還付金はいつもらえる?

還付のタイミングは12月の給与または賞与が一般的

追加徴収される場合もある

年末調整書類の提出が間に合わなかったら?しないとどうなる?

年末調整と確定申告の違い

年の途中で配偶者が扶養から外れる場合

年末調整とは?いつ行われる

年末調整とは、給与から毎月天引きされている所得税の金額を、年末に正しい税額へ調整する手続きのことです。会社が従業員に代わって行う「簡易的な確定申告」と考えるとわかりやすいでしょう。

年末調整は仕組みは「所得税を精算する」こと

年末調整の仕組みは、「概算での源泉徴収」と「年末の精算」という2つのステップで成り立っています。

まず毎月の給与支払い時に、会社は国税庁が定める源泉徴収税額表に基づいて所得税を計算し、給与から天引きします。この段階では扶養家族の人数などの基本的な情報のみで計算されるため、あくまで概算の金額です。

その後、年末になると各従業員から提出された申告書をもとに、生命保険料控除や配偶者控除など、個別の控除を反映した正確な年税額を計算します。1年間に天引きした税額の合計と、正確な年税額を比較し、差額を12月または1月の給与で調整するのが年末調整の仕組みです。

年末調整が行われる時期は10月~11月頃が一般的

年末調整は一般的にその年の10月頃から翌年1月にかけて行われます。通常、会社は10月中旬頃に従業員に申告書を配布し、11月までに各種申告書や証明書を回収します。

実際の年末調整の精算は12月の給与に反映されることが多いですが、会社によっては翌年1月に行う場合もあります。

年末調整の対象者

年末調整の対象となるのは、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している給与所得者です。具体的には以下の方が対象となります。

  • 1年を通じて勤務している方:正社員・契約社員・パート・アルバイトなど雇用形態に関わらず対象
  • 年の途中で退職した方のうち、一定の条件を満たす人:死亡により退職した方、心身の障害により退職し再就職の見込みがない方、12月中に支給される給与を受け取った後に退職した方など

対象外になる人

以下の条件に該当する方は、年末調整の対象外となり、自分で確定申告を行う必要があります。

  • 年間の給与収入が2,000万円を超える人
  • 災害減免法の規定により、所得税の徴収猶予や還付を受けた人
  • 2か所以上の勤務先から給与を受けており、既に他社へ「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人
  • 年の途中で退職し、年末調整の対象となる条件に該当しない人
  • 非居住者(日本に住所や居所がない人)
  • 日雇い労働者など、継続的に雇用されていない人

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、年末調整で必ず提出する書類です。扶養家族がいない方も、配偶者控除を受けない方も、この書類の提出が必須となります。

基本情報の記入

扶養控除等(異動)申告書の最上部には、すべての方が記入する基本情報の欄があります。扶養家族の有無に関わらず、この部分は必ず記入してください。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

出典:国税庁「≪記載例≫令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

記入が必要な項目は、以下のとおりです。

  • 氏名(フリガナ含む)
  • 生年月日
  • 住所または居所
  • 個人番号(マイナンバー)
  • 世帯主の氏名
  • 世帯主との続柄
  • 配偶者の有無

住所は、令和7年1月1日時点の住所ではなく、翌年1月1日時点の住所を記入します。年の途中で引っ越しをした場合は、新しい住所を記入してください。

「所轄税務署長等」「給与の支払者の名称(氏名)」「給与の支払者の法人(個人)番号」「給与の支払者の所在地(住所)」の欄は、会社が記入する部分のため空欄のままで構いません。

世帯主の氏名欄には、住民票に記載されている世帯主の氏名を記入します。本人が世帯主の場合は、自分の氏名を記入してください。

続柄の欄には、世帯主から見た本人の続柄を記入します。本人が世帯主の場合は「本人」、配偶者が世帯主の場合は「夫」または「妻」、親が世帯主の場合は「子」と記入します。

住民票を移さず単身赴任中の方がいる場合でも、税法上は家族と「生計を一にしている」場合があります。詳細は以下のQ&Aを参考にしてみてください。

源泉控除対象配偶者

源泉控除対象配偶者の欄は、一定の要件を満たす配偶者がいる場合に記入します。源泉控除対象配偶者に該当するのは、以下のすべての要件を満たす配偶者です。

  1. 納税者本人の合計所得金額が900万円以下(給与収入のみの場合は1,095万円以下)
  2. 納税者本人と生計を一にしている配偶者
  3. 配偶者の合計所得金額が95万円以下(給与収入のみの場合は160万円以下)
  4. 配偶者が青色事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色事業専従者でない

2025年の改正により、配偶者の所得要件が引き上げられました。従来は給与収入150万円以下でしたが、改正後は160万円以下となっています。

控除対象扶養親族

控除対象扶養親族の欄には、16歳以上の扶養親族がいる場合に記入します。

控除対象扶養親族

出典:国税庁「≪記載例≫令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

2025年の改正により、扶養親族の所得要件が「合計所得金額58万円以下(給与収入のみの場合は123万円以下)」に引き上げられました。

扶養親族に該当するのは、以下のすべての要件を満たす親族です。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または児童福祉法の規定により委託された児童
  2. 納税者と生計を一にしている
  3. 年間の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は123万円以下)
  4. 青色事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色事業専従者でない

記入する項目は、以下のとおりです。

  • 氏名(フリガナ含む)
  • 個人番号(マイナンバー)
  • 生年月日
  • 続柄
  • 令和7年中の所得の見積額
  • 非居住者である親族の該当欄
  • 住所または居所
  • 異動月日及び事由

16歳以上の扶養親族には、大学生や専門学校生の子供、同居している親や祖父母などが含まれます。年齢は令和7年12月31日時点で判定します。

なお、子が就職して扶養から外れる場合の手続きについては、以下のQ&Aで解説しています。

特定扶養親族と老人扶養親族

特定扶養親族とは、19歳以上23歳未満の扶養親族のことです。年齢は令和7年12月31日時点で判定するため、令和7年の場合、平成15年(2003年)1月2日から平成19年(2007年)1月1日までに生まれた方が該当します。

特定扶養親族に該当する場合は、控除対象扶養親族の欄の「特定扶養親族」にチェックを入れてください。特定扶養親族の控除額は63万円で、一般の扶養親族(38万円)より控除額が大きくなります。

老人扶養親族とは、70歳以上の扶養親族のことです。令和7年の場合、昭和31年(1956年)1月1日以前に生まれた方が該当します。老人扶養親族のうち、同居している親や祖父母は「同居老親等」にチェックを入れます。控除額は同居老親等が58万円、それ以外の老人扶養親族が48万円です。

障害者控除

本人や配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合は、障害者控除の欄に記入します。該当する欄にチェックを入れ、「障害者又は勤労学生の内容」の欄に、障害者手帳の種類、交付年月日、障害の等級などを記入してください。

障害者控除

出典:国税庁「≪記載例≫令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

障害者控除の控除額は、一般の障害者が27万円、特別障害者が40万円、同居特別障害者が75万円です。

障害者に該当するのは、以下の方です。

  1. 身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方
  2. 知的障害者と判定された方
  3. 戦傷病者手帳の交付を受けている方
  4. 原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている方
  5. 6か月以上寝たきりで、複雑な介護を必要とする方

特別障害者は、身体障害者手帳1級・2級、精神障害者保健福祉手帳1級などの方が該当します。

寡婦・ひとり親

寡婦控除とひとり親控除は、配偶者と離婚または死別した方などが受けられる控除です。2020年の改正により、未婚のひとり親も控除の対象となりました。

条件控除額
ひとり親控除婚姻をしていない方または配偶者の生死が明らかでない方で、以下の要件をすべて満たす
・生計を一にする子(総所得金額等が58万円以下)がいる
・合計所得金額が500万円以下
・事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる方がいない
35万円
寡婦控除ひとり親に該当しない方で、以下のいずれかに該当する
・夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がおり、合計所得金額が500万円以下
・夫と死別した後婚姻をしていない方、または夫の生死が明らかでない方で、合計所得金額が500万円以下
27万円
寡婦控除・ひとり親控除

該当する場合は、「寡婦」または「ひとり親」の欄にチェックを入れてください。両方に該当する場合は、控除額が大きいひとり親控除を選択します。

勤労学生控除

勤労学生控除は、大学生や専門学校生などが勤労による所得を得ている場合に受けられる控除です。2025年の改正により、所得要件が「合計所得金額85万円以下(給与収入のみの場合は150万円以下)」に引き上げられました。

勤労学生控除の控除額は27万円です。該当する場合は「勤労学生」の欄にチェックを入れ、「障害者又は勤労学生の内容」の欄に、学校名と入学年月日を記入してください。

ただし、勤労学生控除を受けると、親の扶養から外れる可能性があります。親の所得税率が高い場合は、親の扶養控除を選択した方が世帯全体の税負担が軽減されることが多いため、どちらが有利か検討してください。

他の所得者の扶養

共働き夫婦で、配偶者が子供を扶養親族としている場合など、他の所得者が扶養控除を受ける親族がいる場合は、この欄に記入します。

他の所得者の扶養

出典:国税庁「≪記載例≫令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

この欄に記入することで、住民税の計算において、他の所得者が控除を受けている扶養親族を重複して申告することを防ぐことができます。

正確な所得税計算を行うために必要な項目であるため、間違えの内容に記載しましょう。こちらのQ&Aでも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

住民税に関する事項

扶養控除等(異動)申告書の最下部には、住民税に関する事項を記入する欄があります。この欄は住民税の計算に使用されるもので、所得税には影響しません。

住民税に関する事項

出典:国税庁「≪記載例≫令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

16歳未満の扶養親族(平成22年1月2日以降に生まれた方)は、所得税の扶養控除の対象にはなりませんが、住民税の非課税判定や各種手当の判定に影響するため、この欄に記入する必要があります。

配偶者や扶養親族が退職金を受け取る予定がある場合は、「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」の欄に記入します。この欄は令和5年分から新設されたもので、住民税の控除適用漏れを防ぐ目的があります。

給与所得者の保険料控除申告書の書き方

給与所得者の保険料控除申告書は、生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金の控除を受けるために提出する書類です。これらの控除を受けない方は、この書類の提出は不要です。

保険料控除証明書などの添付書類は、申告書と一緒に提出する必要があります。保険会社から送付される証明書は10月から11月頃に届くため、届いたら大切に保管してください。

生命保険料控除

生命保険料控除は、生命保険や医療保険、個人年金保険などの保険料を支払っている場合に受けられる控除です。控除の対象となるのは、契約者ではなく実際に保険料を支払っている人です。

生命保険料控除欄には、保険会社名、保険種類、保険期間、契約者名、受取人、保険料の支払額など、証明書の内容を正確に転記しましょう。

生命保険料控除

出典:国税庁「《記載例》令和7年分保険料控除申告書」

生命保険料控除は「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類に分かれており、それぞれ最大4万円、合計で最大12万円の控除を受けることができます。

控除区分所得税の控除限度額住民税 控除限度額
一般生命保険料控除40,000円28,000円
介護医療保険料控除40,000円28,000円
個人年金保険料控除40,000円28,000円
合計120,000円70,000円
生命保険料控除

保険契約の締結時期により、新契約(平成24年1月1日以後の契約)と旧契約(平成23年12月31日以前の契約)に区分され、控除額の計算方法が異なります。保険会社から送付される生命保険料控除証明書に、新旧の区分が記載されているので確認してください。

控除額の計算方法

生命保険料控除額の計算は、新契約と旧契約で計算式が異なります。

契約区分年間払込保険料控除額の計算式
新契約(平成24年1月1日以降の契約)2万円以下払込保険料の全額
2万円超~4万円以下払込保険料 × 1/2 + 1万円
4万円超~8万円以下払込保険料 × 1/4 + 2万円
8万円超一律4万円
旧契約(平成23年12月31日以前の契約)2.5万円以下払込保険料の全額
2.5万円超~5万円以下払込保険料 × 1/2 + 1.25万円
5万円超~10万円以下払込保険料 × 1/4 + 2.5万円
10万円超一律5万円
新契約と旧契約の違い

新契約と旧契約の両方がある場合は、それぞれ計算した後に合計します。ただし、合計額が4万円を超える場合は4万円が上限です。また、旧契約のみの場合で控除額が5万円を超える場合は5万円が上限となります。

地震保険料控除

地震保険料控除は、地震保険や一定の長期損害保険の保険料を支払っている場合に受けられる控除です。地震保険料控除の控除額は最大5万円です。

地震保険料控除欄も、生命保険料控除と同様に該当する保険料を記入します。

地震保険料控除

出典:国税庁「《記載例》令和7年分保険料控除申告書」

対象となるのは、自己または自己と生計を一にする配偶者・親族が所有する居住用家屋や生活用動産を保険の対象としている地震保険契約です。事業用の建物にかけた地震保険は対象外となります。

記入する項目は、保険会社等の名称、保険等の種類、保険期間、保険等の契約者の氏名、地震保険料または旧長期損害保険料の区分、あなたが本年中に支払った保険料等の金額です。

地震保険料控除額の計算式は以下のとおりです。

区分年間払込保険料控除額の計算式
地震保険料5万円以下払込保険料の全額
5万円超一律5万円
旧長期損害保険料1万円以下払込保険料の全額
1万円超~2万円以下払込保険料 × 1/2 + 5,000円
2万円超一律1.5万円
両方ある場合各計算式で算出した金額を合計。ただし合計額の上限は5万円
地震保険料控除の計算式

地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合は、それぞれ計算した金額を合計します。ただし、合計額の上限は5万円です。

社会保険料控除

社会保険料控除は、国民年金や国民健康保険などの社会保険料を支払った場合に受けられる控除です。支払った社会保険料の全額が控除対象となり、上限はありません。

社会保険料控除

出典:国税庁「《記載例》令和7年分保険料控除申告書」

会社の給与から天引きされている健康保険料や厚生年金保険料は、会社が把握しているため申告不要です。この欄に記入するのは、給与天引き以外で自分が支払った社会保険料のみです。

また、生計を一にする配偶者や親族の社会保険料を支払った場合も、自分の社会保険料控除として申告できます。

例えば、大学生の子供が20歳になり国民年金に加入したが、保険料を親が支払っている場合、親の社会保険料控除として申告します。この場合、「保険料を負担することになっている人」の欄には子供の氏名を記入し、続柄には「子」と記入してください。

過去の国民年金保険料を後から納付した場合も、控除の対象となります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済の掛金やiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を支払った場合に受けられる控除です。支払った掛金の全額が控除対象となり、上限はありません。

小規模企業共済等掛金控除

出典:国税庁「《記載例》令和7年分保険料控除申告書」

給与から天引きされている企業型確定拠出年金の掛金(マッチング拠出分を除く)は、会社が把握しているため申告不要です。この欄に記入するのは、給与天引き以外で自分が支払った掛金のみです。

該当する欄は「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」です。この欄に、1月から12月までに支払った掛金の合計額を記入してください。

iDeCoの掛金額は、国民年金基金連合会から送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載されています。証明書は10月から11月頃に送付されるため、届いたら大切に保管してください。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書の書き方

この書類は、4つの申告書が1枚にまとまった用紙です。名称が非常に長いため、会社では「マル基配所」「基礎・配偶者・所得調整」などと呼ばれることがあります。

2025年の改正により、新たに「給与所得者の特定親族特別控除申告書」が追加されました。すべての欄を記入する必要はなく、自分に該当する部分のみを記入してください。

給与所得者の基礎控除申告書

基礎控除申告書は、用紙の左上にある欄です。年間の合計所得金額が2,500万円以下の方は、必ずこの欄を記入してください。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書

出典:国税庁「《記載例》令和7年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」

この申告書では、令和7年中の収入と所得を見積もって記入します。12月の給与やボーナスが確定していない段階で記入するため、あくまで見積額で構いません。実際の金額と多少の誤差があっても問題ありませんが、大きく異なる場合は会社に相談してください。

基礎控除申告書の「控除額の計算」欄で、自分の合計所得金額に該当する区分にチェックを入れます。チェックした区分に対応する基礎控除額を「基礎控除の額」の欄に記入してください。

給与所得者の配偶者控除等申告書

配偶者控除等申告書は、用紙の右上にある欄です。配偶者控除または配偶者特別控除を受ける場合に記入します。

給与所得者の配偶者控除等申告書

出典:国税庁「《記載例》令和7年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」

配偶者控除は配偶者の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は123万円以下)の場合に、配偶者特別控除は配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下(給与収入のみの場合は123万円超201.5万円以下)の場合に適用されます。

ただし、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除も配偶者特別控除も受けることができません。

配偶者控除とは

配偶者控除は、一定の要件を満たす配偶者がいる場合に受けられる所得控除です。控除額は納税者本人の所得金額と配偶者の年齢によって異なり、最大で38万円です。

配偶者控除の要件は以下のとおりです。

配偶者控除の要件

  1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係は対象外)
  2. 納税者本人と生計を一にしていること
  3. 配偶者の年間の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は123万円以下)であること
  4. 配偶者が青色事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色事業専従者でないこと
  5. 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること

配偶者特別控除

配偶者特別控除は、配偶者の所得が配偶者控除の要件を超える場合でも、一定の範囲内であれば段階的に控除を受けられる制度です。

配偶者特別控除の要件は以下のとおりです。

配偶者特別控除の要件

  1. 民法の規定による配偶者であること
  2. 納税者本人と生計を一にしていること
  3. 配偶者の年間の合計所得金額が58万円超133万円以下(給与収入のみの場合は123万円超201.5万円以下)であること
  4. 配偶者が青色事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色事業専従者でないこと
  5. 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること
  6. 配偶者が他の人の扶養親族や配偶者控除の対象になっていないこと

配偶者特別控除の控除額は、納税者本人の所得金額と配偶者の所得金額の組み合わせによって決まります。配偶者の所得が増えるにつれて、段階的に控除額が減少します。

パートで働く配偶者の場合、扶養内で働くための年収について詳しくは以下の記事をご覧ください。

なお、傷病手当金は非課税所得のため所得に含めません。傷病手当金を受給している配偶者がいる場合は、以下のQ&Aを参考にしてみてください。

給与所得者の特定親族特別控除申告書

特定親族特別控除申告書は、2025年の税制改正で新設された申告書です。用紙の中央部にあります。

給与所得者の特定親族特別控除申告書

出典:国税庁「《記載例》令和7年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」

特定親族とは、19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入のみの場合は123万円超188万円以下)の方を指します。大学生がアルバイトで扶養の範囲を少し超えて働いた場合などが該当します。

特定親族に該当するのは、以下のすべての要件を満たす親族です。

特定親族特別控除の要件

  1. 納税者と生計を一にしている
  2. 19歳以上23歳未満(令和7年の場合、平成15年1月2日から平成19年1月1日までに生まれた方)
  3. 合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入のみの場合は123万円超188万円以下)
  4. 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)
  5. 青色事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色事業専従者でない

大学生や専門学校生の子供がアルバイトで年収150万円程度稼いでいる場合が、典型的な例です。

従来は、所得が48万円を超えると扶養控除が一切受けられなくなりましたが、特定親族特別控除により、段階的に控除額が減少する仕組みになりました。

所得金額調整控除申告書

所得金額調整控除申告書は、用紙の左下にある欄です。給与収入が850万円を超える方で、一定の要件に該当する場合に記入します。

所得金額調整控除申告書

出典:国税庁「《記載例》令和7年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」

所得金額調整控除には「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」と「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」の2種類がありますが、年末調整で申告できるのは前者のみです。

給与収入が850万円以下の方は、この欄への記入は不要です。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除申告書)の書き方

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書は、住宅ローン控除を受けるために提出する書類です。一般的には「住宅ローン控除申告書」と呼ばれています。

この書類は、住宅ローンを利用してマイホームを取得・新築・増改築した方が、2年目以降の年末調整で住宅ローン控除を受ける際に使用します。

2年目以降の手続き

住宅ローン控除を受ける1年目は、必ず確定申告を行う必要があります。確定申告をすると、税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が、残りの控除期間分まとめて送付されます。

例えば、控除期間が13年の場合、2年目から13年目までの12枚の申告書が一度に送られてきます。毎年1枚ずつ使用するため、紛失しないように大切に保管してください。

2年目以降は、この申告書と金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を年末調整時に会社へ提出することで、住宅ローン控除を受けることができます。

申告書を紛失した場合は、税務署で再発行の手続きが可能です。ただし、再発行には時間がかかるため、早めに手続きを行いましょう。

年末残高証明書

年末残高等証明書は、金融機関から毎年10月頃に送付される書類です。12月31日時点のローン残高見込額が記載されています。

年末残高証明書

出典:国税庁「《記載例》給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書の記載例」

この証明書には、借入先の金融機関名、借入金の年末残高、住宅取得対価の額などが記載されています。住宅ローン控除の計算に必要な情報が含まれているため、必ず確認してください。

複数の金融機関から借り入れている場合は、それぞれの金融機関から証明書が送付されます。すべての証明書を申告書とともに提出する必要があります。

借り換えをした場合、新しい金融機関から証明書が送付されます。ただし、借り換えの条件によっては住宅ローン控除が継続できない場合があるため、事前に確認が必要です。

記入すべき項目

住宅ローン控除申告書は、書類の上部と下部に分かれています。下部の「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」は、税務署が記入済みの状態で送られてくるため、記入不要です。

住宅ローン控除申告書

出典:国税庁「《記載例》給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書の記載例」

年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書

出典:国税庁「《記載例》給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書の記載例」

出典:国税庁「《記載例》給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書の記載例」

記入が必要なのは、以下の欄です。

項目番号項目名書き方/記入内容
所轄税務署名勤務先の会社が所轄する税務署名を記入
給与支払者(会社)の名称・所在地会社名・住所を記入
控除を受ける本人の氏名・住所申請者(従業員)の姓名および住所を記入
年末時点の住宅借入金等の年末残高等(「住宅のみ」「土地のみ」「住宅+土地等」)金融機関からの「年末残高等証明書」の金額を記入。複数借入先なら合算
居住用割合住宅の一部を事業用等で使用している場合には、居住用として使っている割合を記入(例:居住用100%なら「100」)
住宅借入金等の年末残高等(④と⑤を反映した金額)④の金額に⑤の居住用割合を乗じた金額を記入。住宅・土地等それぞれ該当欄を合算。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除対象借入残高等特定増改築等(省エネ改修等)対象の場合に記入する欄。一般住宅購入のみなら空欄で可
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額⑤の金額(または該当欄の金額)に「0.7%」または制度該当率を乗じた金額を記入(100円未満切捨て)
年間所得の見積額その年の見込み所得金額を記入。所得が2,000万円を超える場合など控除対象外となるケースあり
重複適用(の特例)を受ける場合の欄例えば災害被災住宅+新住宅取得など、重複適用特例を受ける場合には該当欄に記入。一般的な購入者は空欄で可
本申告書提出の年月日・署名欄書類提出の日付、申請者の署名(または記名押印)を記入。
住宅ローン控除申告書の記入方法

なお、住宅ローン控除は、年間所得が2,000万円以下の方が対象です。所得が2,000万円を超える場合は、住宅ローン控除を受けることができません。

多くの会社員や公務員にとって、住宅ローン控除は効果的な節税手段です。住宅ローン控除の制度や具体的な条件などは、こちらの記事でも詳しく解説しています。

年末調整の必要書類一覧

年末調整で提出する書類は、全員が提出する必須書類と、該当者のみが提出する書類に分かれます。年末調整の必要書類を、一覧でまとめました。

区分書類名提出対象者
全員が提出給与所得者の扶養控除等(異動)申告書全員(扶養家族の有無を問わず)
給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書全員(所得2,500万円以下のほぼ全員が対象)
該当者のみ提出給与所得者の保険料控除申告書保険料控除(生命・地震・国民年金・iDeCo等)を受ける方
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書住宅ローン控除2年目以降の方
前職の源泉徴収票転職者
添付書類生命保険料控除証明書保険料控除を受ける方
地震保険料控除証明書地震保険に加入している方
社会保険料控除証明書国民年金を納付した方
小規模企業共済等掛金払込証明書iDeCo・小規模企業共済加入者
住宅借入金等特別控除申告書・年末残高等証明書住宅ローン控除を受ける方
共通注意事項提出期限会社により異なる(一般的には11月中旬〜12月上旬)
年末調整の必要書類一覧

2025年(令和7年)の年末調整では、基礎控除や扶養控除の改正に伴い、記入内容が変更されている部分があるため注意が必要です。

書類の提出期限は会社によって異なりますが、一般的には11月中旬から12月上旬に設定されています。期限に遅れると年末調整が受けられず、自分で確定申告を行う必要が生じるため、早めの準備を心がけてください。

書類に記入ミスがあった場合や、提出後に内容の変更が必要になった場合は、すぐに勤務先の担当者に相談しましょう。

2025年における税制の変更点

2025年(令和7年)の年末調整では、令和7年度税制改正により大幅な変更が実施されました。特に注目すべきは、基礎控除と給与所得控除の引き上げ、そして「103万円の壁」の実質的な廃止です。

基礎控除の引き上げ

基礎控除は、すべての納税者に適用される基本的な所得控除です。2025年の改正により、基礎控除額が引き上げられました。

合計所得金額が132万円以下(給与収入のみの場合は約200.3万円以下)の方は、基礎控除額が従来の48万円から95万円に引き上げられます。

なお、基礎控除は合計所得金額に応じて58万円・63万円・68万円・88万円・95万円と段階的に調整されます。

給与所得控除の引き上げ

給与所得控除とは、給与収入から差し引くことができる控除で、会社員やパート・アルバイトなど給与所得者に適用されます。2025年の改正により、控除額の最低保障額が引き上げられました。

給与収入が162.5万円以下の方は、給与所得控除額が従来の55万円から65万円に引き上げられます。この改正により、基礎控除の引き上げと合わせて、給与収入が約200万円以下の方は減税効果を受けることになります。

扶養控除の見直し

扶養控除の対象となる親族の所得要件が見直されました。これは「103万円の壁」を実質的に引き上げる重要な改正です。

従来、扶養親族の所得要件は「合計所得金額48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)」でしたが、2025年からは「合計所得金額58万円以下(給与収入のみの場合は123万円以下)」に引き上げられました。

扶養内で働くパートの方でも、基本的には通常の年末調整が必要です。詳しくは、以下のQ&Aも参考にしてください。

特定親族控除の新設

2025年の税制改正で新設されたのが「特定親族特別控除」です。これは、19歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合に適用される新しい控除制度です。

特定親族とは、納税者と生計を一にする19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入のみの場合は123万円超188万円以下)の方を指します。

所得金額給与収入の目安控除額
58万円以下123万円以下最大控除(※具体額は制度により異なる)
58万円超~85万円以下123万円超~150万円以下最大63万円
85万円超~123万円以下150万円超~188万円以下所得が増えるにつれて段階的に減少
123万円超188万円超控除なし(対象外)
特定親族控除

この制度により、大学生などが扶養の範囲を少し超えてアルバイトをした場合でも、親の税負担が急激に増えることを防ぐ配慮がされています。従来は103万円を超えると扶養控除が一切受けられなくなりましたが、特定親族特別控除により、緩やかに控除額が減少する仕組みになりました。

勤労学生控除の引き上げ

勤労学生控除の所得要件も見直されました。勤労学生控除とは、大学生や専門学校生などが勤労による所得を得ている場合に受けられる控除です。

従来の所得要件は「合計所得金額75万円以下(給与収入のみの場合は130万円以下)」でしたが、2025年からは「合計所得金額85万円以下(給与収入のみの場合は150万円以下)」に引き上げられました。

世帯別・ケース別の年末調整書類の書き方と注意点

年末調整の書き方は、働き方や家族構成によって異なります。共働き夫婦、パート主婦、アルバイト、産休・育休中、転職者、ダブルワークなど、それぞれのケースで記入すべき内容や注意点が変わってきます。。

共働き夫婦は子供の扶養に注意

共働き夫婦の年末調整では、夫婦それぞれが自分の勤務先に申告書を提出します。互いに配偶者控除や配偶者特別控除の対象にならない場合は、基本的に独身の方と同じように記入すれば問題ありません。

ただし、子供がいる場合や、一方の収入が少なく配偶者控除・配偶者特別控除の対象となる場合は、記入内容が変わってきます。

共働き夫婦で子供がいる場合、子供を夫婦どちらの扶養に入れるかは自由に選択できます。税制上は、所得税率が高い方の扶養に入れた方が、税負担の軽減効果が大きくなります。

パート主婦(主夫)は配偶者控除の適用を慎重に判断

パートで働く主婦の方も、年末調整の対象となります。年収が少額でも、扶養控除等(異動)申告書と基礎控除申告書は提出が必要です。

パート主婦の場合、配偶者の扶養に入っているかどうかで記入内容が異なります。2025年の改正により、年収123万円以下であれば配偶者控除の対象となるため、多くのパート主婦が該当します。

配偶者の扶養内で働く場合、年収を123万円以下に抑えることで、配偶者控除の対象となります。年収123万円以下の場合、給与所得控除65万円と基礎控除95万円(所得132万円以下の場合)により、所得税は課税されません。

2025年には制度改正に伴って、年収の壁に変化があります。年収の壁に関しては、こちらの記事を参考にしてみてください。

学生アルバイトは勤労学生控除を受けられる可能性が

アルバイトで働く方も、年末調整の対象となります。勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出していれば、年末調整を受けることができます。

学生がアルバイトをする場合、勤労学生控除を受けることができる可能性があります。勤労学生控除の控除額は27万円で、所得85万円以下(給与収入150万円以下)の学生が対象です。

産休・育休中の妻は税法上の扶養に入ることも

産休や育休を取得している妻がいる場合、年末調整での取り扱いに注意が必要です。産休・育休中は給与収入が減少するため、配偶者控除や配偶者特別控除の対象となる可能性があります。

産休・育休中に受け取る出産手当金や育児休業給付金は非課税所得のため、収入に含めません。給与収入のみで判定するため、産休・育休前に高収入だった方でも、その年の給与収入が少なければ配偶者控除の対象となります。

育休中の配偶者がいる場合、税法上の扶養に入る可能性があります。詳細な条件や手続きは、こちらのQ&Aをご覧ください。

転職者は前の職場の源泉徴収票が必要

年の途中で転職した場合、新しい勤務先で年末調整を受けるために、前職の源泉徴収票が必要です。年末調整では、その年の1月から12月までのすべての給与収入を合算して税金を計算するためです。

転職先では、通常どおり扶養控除等(異動)申告書、基礎控除申告書、保険料控除申告書などを記入します。前職での収入については、源泉徴収票の内容をもとに転職先が計算を行います。

年末調整の期限までに前職の源泉徴収票が間に合わない場合は、年末調整を受けられない可能性があります。この場合は、翌年2月16日から3月15日までの期間に、自分で確定申告を行う必要があります。

ダブルワークの人は年末調整後に確定申告が必要

ダブルワークで2か所以上から給与を受けている方は、年末調整だけでは税金の精算が完了しません。主たる給与の支払者で年末調整を受けた後、自分で確定申告を行う必要があります。

扶養控除等(異動)申告書は、主たる給与の支払者(通常は収入が多い勤務先)にのみ提出できます。従たる給与の支払者には提出できないため、従たる給与からは高い税率で源泉徴収されます。

主たる給与の支払者での年末調整では、通常どおり各種申告書を記入します。ただし、確定申告が必要になることを念頭に置いて、源泉徴収票や給与明細は大切に保管してください。

年末調整でできない控除

年末調整で手続きできない控除があることを理解しておきましょう。以下の控除を受ける際には、別途自分で確定申告をする必要があります。

医療費控除・セルフメディケーション税制

医療費控除は年末調整で処理できず、自分で確定申告を行う必要があります。その理由は、医療費控除では「その年1月1日から12月31日までの間に支払った医療費の合計が、一定額を超えた場合に所得控除される」制度であり、会社が一律に正確な支払い状況を把握しづらいためです。

なお、セルフメディケーション税制も同様です。これらの控除を受けるためには、翌年に確定申告が必要です。

医療費控除に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

寄附金控除(ふるさと納税)

寄附金控除も年末調整では原則対象外で、確定申告が必要です。寄附金控除の代表例が「ふるさと納税」で、ワンストップ特例を受けない場合、確定申告をしなければ控除が適用されません。

なお、ふるさと納税に関してはこちらの記事で解説しています。

雑損控除

雑損控除も年末調整では対象外で、確定申告が必要です。雑損控除は「災害・盗難・横領などで資産に損害を受けた場合に適用される」控除であり、勤務先の給与計算だけでその損害状況を判断できないためです。

年末調整の還付金はいつもらえる?

年末調整で税金を払いすぎていた場合には、差額が「還付金」として戻ってきます。結論として、還付金は会社経由で支払われ、一般的に12月~翌年1月の給与支払い時に反映されます。

還付のタイミングは12月の給与または賞与が一般的

還付金の受け取りは、年末調整が完了した月の給与支払い時に行われます。11月に年末調整の申告書を提出し、12月に調整処理が完了した場合、12月の給与や賞与で還付されるケースが一般的です。

追加徴収される場合もある

一方で、控除の申告漏れや副業収入などにより、追加徴収(追納)が発生することもあります。年末調整では会社が「給与所得のみ」で税額を再計算するため、別の収入がある場合は、納める税額が不足する可能性があるからです。

この場合も、12月の給与または賞与で天引きする所得税を調整します。

年末調整書類の提出が間に合わなかったら?しないとどうなる?

期日までに年末調整書類の提出が間に合わなかったら、翌年に自身で確定申告をする必要があります。

年末調整は、勤務先がその年の12月の給与支払い時に行うものです。そのため、従業員が必要書類(扶養控除申告書・保険料控除証明書など)を提出しないまま期限を過ぎた場合、会社は正確な所得控除を計算できません。

勤務先からは、年末調整を行わずに源泉徴収票が発行されます。源泉徴収票を参考に、生命保険料控除・地震保険料控除や社会保険料控除などを反映させれば、適切な納税ができ、必要に応じて還付を受けられます。

年末調整と確定申告の違い

年末調整と確定申告はいずれも所得税を正しく計算するための制度ですが、行う人・目的・対象範囲が異なります。

年末調整は会社が従業員の給与所得に対して税額を精算する手続き、確定申告は個人が1年のすべての所得と控除をまとめて最終的に税金を確定させる手続きです。

項目年末調整確定申告
手続きする人勤務先(会社)納税者本人
対象者給与所得者(1か所勤務)自営業・副業あり・退職者など
目的源泉徴収された税金の過不足を精算すべての所得と控除を最終確定
実施時期主に12月翌年2月16日~3月15日
還付方法給与で調整税務署から口座振込
対応できない控除医療費控除・寄附金として、除などすべて申告可能

このように、年末調整は「会社任せの税金精算」、確定申告は「自分で行う最終調整」と覚えておくとわかりやすいでしょう。

年の途中で配偶者が扶養から外れる場合

年の途中で扶養から外れる場合、税法上と社会保険上では取り扱いが異なります。

項目税法上(所得税)社会保険上(健康保険・厚生年金)
判定時期12月31日時点で判定扶養から外れる時点で即座に判定
収入基準年間所得48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)年収130万円以上の見込み(60歳以上・障害者は180万円)
判定方法その年の1月1日から12月31日までの実績で判定今後1年間の見込み収入で判定(月収約108,333円が継続すると扶養を外れる)
年途中の影響年途中の収入変動は関係なく、年末時点の年間合計で判定収入が基準を超える見込みになった時点で扶養を外れる
手続き時期年末調整または確定申告時(翌年)扶養を外れた日から5日以内(実務上14日以内)
扶養を外れた後特に手続き不要(年末調整・確定申告で反映)国民健康保険に加入するか、自身の勤務先で社会保険に加入
税法上と社会保険上の扶養の違い

税法上の扶養控除については、判定のタイミングが12月31日時点です。つまり、年の途中で一時的に収入が増えて扶養から外れるような状況になったとしても、最終的にその年の12月31日時点で扶養の要件を満たしていれば、扶養控除を受けることができます。

年の途中までは収入が少なく扶養の範囲内であっても、年末時点で年間収入がこの基準を超えていれば、その年については扶養控除を受けることができません。

一方、社会保険上の扶養、つまり健康保険や厚生年金の被扶養者については、取り扱いが全く異なります。社会保険の扶養は、扶養から外れることになった時点で即座に手続きが必要です。

判定基準は年収130万円以上になる見込みがあるかどうかで、60歳以上の方や障害者の方の場合は180万円となります。

ここで重要なのは、過去の実績ではなく「今後1年間の見込み収入」で判定するという点です。そのため、月収が継続的に約108,333円を超えるような状況になれば、たとえ年の途中であっても、その時点で扶養から外れる手続きが必要になります。

年の途中で扶養から外れた場合の手続きについては、以下のQ&Aもあわせてご覧ください。

この記事のまとめ

年末調整は、1年間の給与所得にかかる税金を正確に計算し、払いすぎや不足を調整する重要な手続きです。提出書類の内容を正しく理解し、期限内に提出することで、不要な確定申告を避けられます。

2025年の税制改正により控除制度が拡充された一方で、書類内容や提出期限の確認ミスによる不備も増えています。自分が該当する書類を把握し、必要な証明書を早めに準備しましょう。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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扶養控除

扶養控除とは、所得税や住民税を計算する際に、扶養している家族がいる場合にその人数や年齢に応じて課税対象となる所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。これにより、税金の負担が軽くなります。対象となるのは、16歳以上の子どもや親などで、生計を共にしており、年間の所得が一定額以下であることが条件です。 子どもが16歳未満の場合は扶養控除の対象にはなりませんが、別途「児童手当」などの支援があります。控除額は扶養親族の年齢や学生かどうかなどによって異なり、たとえば「特定扶養親族(19歳以上23歳未満の子ども)」はより大きな控除額が認められています。税負担を軽減し、家族を支える世帯への配慮を目的とした制度です。

年末調整

年末調整とは、会社員や公務員などの給与所得者が1年間に納めるべき所得税の額を、年末に雇用主が計算し直して精算する手続きのことです。通常、毎月の給与からあらかじめ見込みで所得税が源泉徴収されていますが、年末に実際の収入や各種控除(配偶者控除、扶養控除、保険料控除など)を反映させて正確な税額を算出し、過不足を調整します。 税金を払いすぎていた場合には還付され、足りなかった場合は追加で徴収されることがあります。年末調整によって、多くの給与所得者は確定申告をしなくても納税が完結する仕組みになっており、手間の軽減と課税の公平性を両立させる重要な制度です。ただし、自営業者や副業収入がある人、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人などは、年末調整だけでは対応できず、別途確定申告が必要になります。

配偶者特別控除

配偶者特別控除とは、配偶者の年収が一定額以下である場合に、納税者の所得から一定の金額を差し引くことができる制度です。この控除を受けることで、所得税や住民税の負担が軽くなります。配偶者控除との違いは、配偶者の所得がある程度ある場合でも段階的に控除が受けられる点にあります。 たとえば、配偶者がパートなどで年間150万円程度まで収入がある場合でも、この制度を活用することで節税が可能です。資産運用においては、世帯全体の手取り額を増やす工夫のひとつとして意識される制度で、特に夫婦で家計を管理する際に重要な視点になります。

配偶者控除

配偶者控除とは、納税者に配偶者がいる場合、一定の条件を満たせば所得税や住民税の計算において課税所得を減らすことができる制度です。具体的には、配偶者の年間所得が一定額以下であれば、納税者の所得から一定金額を差し引くことができるため、結果として支払う税金が少なくなります。この制度は、家計全体の負担を軽減するためのもので、特にパートタイムや扶養内で働く配偶者がいる世帯にとって重要な意味を持ちます。なお、配偶者の収入が一定額を超えるとこの控除が使えなくなるため、「○○万円の壁」といった表現で語られることもあります。資産運用やライフプランを考える際には、税金の仕組みを理解しておくことが大切であり、配偶者控除はその中でも身近で影響の大きい制度のひとつです。

所得税

所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される税金です。給与所得や事業所得、不動産所得、投資による利益などが対象となります。日本では累進課税制度が採用されており、所得が高いほど税率が上がります。給与所得者は源泉徴収により毎月の給与から所得税が差し引かれ、年末調整や確定申告で精算されます。控除制度もあり、基礎控除や扶養控除、医療費控除などを活用することで課税所得を減らし、税負担を軽減できます。

源泉徴収

源泉徴収とは、給与や報酬、利子、配当などの支払いを受ける人に代わって、支払者があらかじめ所得税を差し引き、税務署に納付する制度です。特に給与所得者の場合、会社が毎月の給与から所得税を控除し、年末調整で過不足を精算します。 この制度の目的は、税金の徴収を確実に行い、納税者の負担を軽減することです。例えば、会社員は確定申告を行わずに納税が完了するケースが多くなります。ただし、個人事業主や一定の副収入がある人は、源泉徴収された金額を基に確定申告が必要になることがあります。 また、配当金や利子の源泉徴収税率は原則20.315%(所得税15.315%+住民税5%)ですが、金融商品によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。

基礎控除

基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。

給与所得控除

給与所得控除とは、サラリーマンや公務員など給与を受け取って働いている人が、税金を計算する際に自動的に差し引かれる控除のことを指します。給与を得るためには通勤費や仕事に必要な支出がかかるため、それを一律に見積もって税負担を軽減する仕組みになっています。 実際の経費を一つひとつ証明する必要がなく、収入金額に応じてあらかじめ決められた金額が控除されます。そのため、給与所得者は自営業者のように細かい経費計算をせずとも、一定の負担軽減が自動的に適用されます。投資や家計管理を考えるうえでは、給与所得控除を差し引いた後の「課税所得」が税金計算の基礎になるため、自分の可処分所得を把握する上で理解しておくことが大切です。

特定扶養親族

特定扶養親族とは、納税者に扶養されている16歳以上23歳未満の子どもや親族のことを指します。主に大学生などの学生が該当します。この区分は、扶養控除の中でも控除額が高く設定されており、所得税や住民税の負担を軽くする効果があります。 たとえば、自分の子どもが大学に通っていて仕送りをしているような場合、その子どもを「特定扶養親族」として申告することで、税金が軽くなります。資産運用を考える際には、こうした税制上の優遇を理解し、手取り収入を最大化する工夫も大切な視点になります。

老人扶養親族

老人扶養親族とは、所得税や住民税における扶養控除の対象となる親族のうち、その年の12月31日時点で70歳以上である方を指します。具体的には、親や祖父母などが該当し、同居しているかどうかに関わらず、一定の所得以下であれば扶養に入れることができます。 老人扶養親族を扶養していると、通常の扶養控除よりも控除額が大きく設定されており、納める税金を軽減する効果があります。特に同居している場合は「同居老親等」としてさらに控除額が上乗せされるため、高齢の家族を支えている世帯にとっては大きな税制上のメリットとなります。

障害者控除

障害者控除とは、所得税や住民税を計算する際に、本人や扶養している家族が障害者である場合に、所得から一定額を差し引くことができる制度です。この控除によって、課税される所得額が減り、その結果として支払う税金も軽減されます。 対象となる障害の程度や認定方法には基準があり、「一般の障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」といった区分ごとに、控除額も異なります。たとえば、同居している特別障害者を扶養している場合は、最も高い控除額が適用されます。障害者手帳や医師の診断書などを提出することで、障害の状態が確認され、控除の適用が認められます。これは障害を持つ人やその家族の経済的負担を軽減するための税制上の配慮であり、年末調整や確定申告で手続きすることが必要です。

寡婦(寡夫)控除

寡婦(寡夫)控除とは、配偶者と死別または離婚し、一定の条件を満たす人が所得税や住民税の計算において適用できる控除制度です。この制度を使うと、課税所得が一定額減るため、納める税金が軽くなります。たとえば、配偶者と死別し再婚していない場合や、子どもを扶養している場合などが該当します。寡婦控除には一般寡婦と特別寡婦があり、特別寡婦は控除額が大きくなります。一方で寡夫控除は、かつては一定の男性にしか認められていませんでしたが、制度の見直しにより令和2年(2020年)からは男女ともに「ひとり親控除」として一本化され、子どもを養っている単身の親に公平に適用されるようになりました。これにより、制度の名称や適用条件に変化があるため、最新の情報をもとに確認することが重要です。

勤労学生控除

勤労学生控除とは、学生がアルバイトやパートで収入を得ている場合に、一定の条件を満たすと所得税や住民税の負担を軽減できる制度です。学業と仕事を両立する学生を支援する目的で設けられています。 通常、学生でも所得が一定額を超えると税金が発生します。目安は以下の通りです。 - 所得税:給与収入が103万円を超えると課税対象 - 住民税:おおむね100万円を超えると課税対象 勤労学生控除を適用すると、これらの課税ラインが上がり、年収120万円前後までなら所得税・住民税がかからないケースもあります。 控除額は所得税で27万円、住民税で26万円です。課税所得からこの金額を差し引いて税額を計算します。たとえば給与収入が120万円の場合でも、基礎控除と勤労学生控除を合わせることで課税所得がゼロとなり、税金がかからないことがあります。 この控除を受けるには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。 - 合計所得金額が75万円以下であること(給与収入で130万円以下相当) - 給与所得以外の所得が10万円以下であること - 学校教育法に定める学校の学生・生徒であること(大学・短大・高校・専修学校など) 控除の適用は、年末調整または確定申告で申告することで受けられます。 なお、勤労学生控除は扶養控除と同一人物に対して併用できません。勤労学生控除を受けるほどの所得(給与収入103万円超)になると、所得基準上すでに親の扶養控除の対象外となります。一方で、勤労学生控除を受けている本人が自分の子どもなどを扶養している場合には、その子に対して扶養控除を適用することは可能です。 学業と両立しながら働く学生にとって、課税のしくみを理解し、勤労学生控除で非課税枠を広げることが、手取りを最大化する第一歩といえるでしょう。

社会保険料

社会保険料とは、健康保険や厚生年金保険、雇用保険など、社会保険制度を運営するために加入者が負担するお金のことです。会社員の場合は、給与から天引きされ、事業主と従業員が半分ずつ負担する仕組みになっています。 自営業者やフリーランスの場合は、国民健康保険や国民年金の保険料を自分で納めます。社会保険料は、病気やケガ、老後の生活、失業といった生活上のリスクに備えるためのもので、将来の給付を受けるための重要な拠出です。資産運用の観点からは、社会保険料は毎月のキャッシュフローに影響する固定費であり、長期的なライフプラン設計や可処分所得の把握に欠かせない要素です。

生命保険料控除

生命保険料控除とは、個人が支払った生命保険料に応じて、所得税や住民税の課税所得額を一定金額まで減らすことができる税制上の優遇制度です。この控除によって、納める税金が軽減されるため、実質的に保険料の一部が戻ってくる効果があります。 対象となる保険は、「一般生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」の3つの区分に分かれており、それぞれに控除限度額が設けられています。控除を受けるには、保険会社から発行される控除証明書を年末調整や確定申告の際に提出する必要があります。保険による万一への備えと、節税効果の両方を得られる制度として、多くの人に活用されています。初心者にとっても、生命保険を契約する際にはこの控除制度の存在を知っておくことで、より効果的な保険選びや家計管理につなげることができます。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、自営業者やフリーランス、小規模な会社の経営者などが将来の退職金や事業資金の備えとして積み立てている共済制度や確定拠出年金(iDeCoなど)の掛金について、支払った金額をそのまま所得から差し引くことができる所得控除の一つです。 これにより、課税所得が減り、結果的に所得税・住民税の負担が軽減されます。対象となる制度には「小規模企業共済」「確定拠出年金(個人型)」「中小企業退職金共済制度」などが含まれます。特に自営業者にとっては、老後の備えと節税効果を同時に得られるメリットが大きく、資産形成の重要な手段とされています。控除を受けるには、掛金の支払証明書を用いて年末調整または確定申告で申請する必要があります。

住宅ローン控除(住宅ローン減税/住宅借入金等特別控除)

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローンを利用して自宅を購入・新築・増改築した際に、一定の条件を満たせば年末時点のローン残高に応じた金額が所得税から控除される制度です。住宅取得を支援する目的で設けられており、最大で13年間にわたり税負担を軽減できます。 控除額は原則として「年末のローン残高×0.7%」を基準に算出され、各住宅区分ごとに定められた借入限度額までが対象となります。控除しきれなかった分は翌年度の住民税からも一定額控除されます。 適用を受けるにはいくつかの条件があります。主な要件は、①自ら居住すること、②取得から6か月以内に入居し年末まで継続居住すること、③床面積が50㎡以上(一定要件を満たせば40㎡以上も可)、④返済期間が10年以上のローンであること、⑤合計所得が2,000万円以下であること、などです。親族間の売買や勤務先からの無利子・超低利ローンは対象外となります。 また、新築住宅は省エネ基準の適合が必須条件とされており、長期優良住宅やZEH水準の住宅は借入限度額が優遇されます。中古住宅では新耐震基準に適合していることが必要で、古い住宅では耐震証明書の提出が求められるケースもあります。増改築やリフォームも一定の工事要件を満たせば対象になります。 手続きは初年度に確定申告が必要で、会社員の場合は2年目以降は年末調整で対応できます。必要書類として、住宅ローンの年末残高証明書、売買契約書や登記事項証明書、省エネ性能に関する証明書などが挙げられます。 住宅ローン控除は、住宅購入時の資金計画や税負担に大きく影響する重要な制度です。適用条件や期限を正しく理解し、事前に必要書類や証明の取得を進めておくことが安心につながります。

特定扶養親族特別控除

特定扶養親族特別控除とは、所得税や住民税の計算において、特定の年齢層の扶養親族を養っている場合に適用される追加の控除制度です。具体的には、16歳以上23歳未満の子どもなどが対象となり、通常の扶養控除に加えて、特別に一定額が所得から差し引かれます。この制度は、進学や就職前の子どもを持つ家庭は教育費などの負担が大きいという社会的背景を考慮して設けられています。そのため、子どもが高校や大学に通っている家庭では、この控除を活用することで税金の負担を軽減することができます。

課税対象所得

課税対象所得とは、税金を計算するためのもとになる所得のことです。たとえば、給与や事業などで得た収入から、必要経費や各種控除(医療費控除や扶養控除など)を差し引いた後に残る金額がこれにあたります。この金額に基づいて所得税や住民税が決まるため、「いくら稼いだか」ではなく、「いくらに対して税金がかかるか」という点が重要になります。 投資の場合も、配当金や売却益から必要な経費や控除を差し引いた後の金額が課税対象所得になります。税金の負担を正しく理解するために、この考え方はとても大切です。

年末ローン残高等証明書

年末ローン残高等証明書とは、その年の年末時点で住宅ローンなどの残高がいくら残っているかを金融機関が証明する書類のことをいいます。主に住宅ローン控除を受ける際に必要となり、確定申告で添付することで、残高に応じた所得税の控除を受けられます。 この証明書は通常、住宅ローンを借りている金融機関から自動的に郵送されます。資産運用を考えるうえでは、ローンの残高を把握するための大切な資料であり、節税効果を得ながら効率的に資金計画を立てるために役立ちます。

還付金

還付金とは、給与や年金などから源泉徴収された税額、または自分で納付した税額が、確定申告による再計算の結果、実際に負担すべき税額を上回っている場合に、国や自治体から納税者へ返還されるお金のことです。 医療費控除や住宅ローン控除などを適用すると税額が減り過払いが生じやすく、還付申告や更正の請求を通じて手続きを行うと、指定した金融機関口座に振り込まれます。 振込時期は申告方法や混雑状況によって異なりますが、e-Taxでマイナンバーカードと電子署名を用いて提出すると審査がスムーズになり、受取までの期間を短縮できる傾向があります。

ワンストップ特例

ワンストップ特例とは、ふるさと納税による寄附金控除を受ける際、年間の寄附先が5自治体以内であれば確定申告を行わずに住民税から控除を受けられる制度です。寄附者は寄附ごとに自治体へ特例申請書と本人確認書類を提出するだけで済み、翌年度の住民税から自己負担額2,000円を差し引いた控除額が自動的に反映されます。会社員など普段は確定申告が不要な人にとって手続きの手間を大幅に省ける仕組みですが、医療費控除や副収入などで別途確定申告が必要になった場合は、この特例は無効となり、改めて寄附金控除を申告して精算する必要がある点に注意が必要です。

医療費控除

医療費控除とは、納税者が1年間に支払った医療費の一部を所得から控除できる税制上の制度を指す。自己や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合に適用され、所得税や住民税の負担を軽減できる。対象となる費用には、病院での診療費や処方薬の費用のほか、一定の条件を満たす介護費用なども含まれる。確定申告が必要であり、領収書の保管が重要となる。

セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制とは、健康維持や病気の予防を自ら行う人を後押しするための所得控除制度で、指定されたOTC医薬品(スイッチOTC等)を年間1万2千円を超えて購入した場合、その超過額(上限8万8千円)を総所得金額から差し引ける仕組みです。 通常の医療費控除とは別枠で選択適用となり、医療費が少なくても薬局での買い物が多い家庭でも節税効果を得やすいのが特徴です。ただし、確定申告の際にはレシートや購入明細の保管に加え、当年中に定期健康診断や予防接種などの予防医療を受けたことを証明する書類も必要になるため、日頃から書類管理を意識することが大切です。

確定申告

確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。

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