確定申告で医療費控除を使って還付を受けられるのは、医療費がいくらからですか?
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2025/09/08 09:09
男性
60代
確定申告で医療費控除を受けられる金額の基準について詳しく知りたいです。医療費が10万円を超えると医療費控除の対象となると聞いたことがありますが、収入や年齢によって条件が変わるとも聞きました。具体的な計算方法や注意点を教えていただけますか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
確定申告で医療費控除を受けられるかどうかは、「その年にかかった医療費の合計」から考えます。まず、健康保険や生命保険からの給付金など、医療費を補てんするお金があれば差し引きます。
そのうえで残った金額が「基準額」を超えていれば控除の対象です。この基準額は「10万円」と「所得の5%」を比べて小さい方になります。
たとえば、年収300万円の人なら所得の5%は15万円。基準は10万円と15万円を比べて小さい方=10万円です。つまり、この人の場合は「1年間の医療費が10万円を超えた部分」が控除の対象です。
実際にどれくらい戻るのかをイメージしてみましょう。
仮に医療費が20万円かかったとします。この場合、基準額の10万円を引いた「10万円分」が控除の対象になります。もしその人の所得税率が10%であれば、所得税として1万円が還付されます。さらに住民税も翌年度に減るため、合計で約2万円前後が手元に戻る計算になります。
一方、年収180万円の人なら所得の5%は9万円。基準額は9万円です。医療費が15万円かかったとすると、6万円分が控除の対象になります。所得税率が5%であれば3,000円の還付、住民税も合わせると約9,000円前後が戻るイメージです。
よく「医療費が10万円を超えないと控除を受けられない」と思われがちですが、実際には所得が少ない方ほど基準額が下がり、還付の対象になる可能性があります。
医療費控除を使うことで戻る金額は人によって異なりますが、「所得に応じて基準額が変わる仕組み」と「控除額×税率で還付が決まる」という2点を押さえておくと理解しやすいでしょう。
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関連する専門用語
医療費控除
医療費控除とは、納税者が1年間に支払った医療費の一部を所得から控除できる税制上の制度を指す。自己や家族のために支払った医療費が一定額を超える場合に適用され、所得税や住民税の負担を軽減できる。対象となる費用には、病院での診療費や処方薬の費用のほか、一定の条件を満たす介護費用なども含まれる。確定申告が必要であり、領収書の保管が重要となる。
総所得金額
総所得金額とは、その年1年間に得た給与や事業収入、年金、利子・配当など、所得税の対象となるすべての所得を合計した金額のことです。 まだ控除や経費を差し引く前の“入り口”の数字であり、この金額を基に各種控除を差し引いていくことで課税所得が計算されます。資産運用を行ううえで、自分の投資利益がどれだけ全体の所得に影響するかを把握する第一歩となる概念です。
控除限度額(控除上限額)
控除限度額とは、税金を計算するときに所得から差し引くことができる金額の上限のことをいいます。たとえば、確定拠出年金や医療費控除などで使われる制度には、「この金額までなら控除できます」という決まりがあり、その上限が控除限度額です。 この仕組みにより、一定の範囲内で税金の負担を軽くすることができますが、限度額を超えた部分については控除の対象にならないので、利用する際には注意が必要です。投資や資産運用においても、節税を考えるうえでとても重要なポイントになります。
扶養家族
扶養家族とは、生活費を自分で負担することが難しく、家計を支える人(扶養者)が経済的に援助する家族のことを指す。一般的には、配偶者、子ども、高齢の親などが含まれる。 扶養家族がいる場合、家計の支出が増えるため、収入の安定性や将来の生活設計が重要となる。特に、教育費や医療費などの長期的な支出を考慮し、資産運用のリスクを適切に管理する必要がある。 税制上の扶養控除の対象になる場合もあり、世帯の収入や税負担に影響を与える要素の一つとなる。
医療費控除の明細書
医療費控除の明細書とは、年間に支払った医療費の内容と金額を一覧にまとめ、確定申告の際に提出する書類です。 平成29年分(2017年分)から領収書の提出が不要となった代わりに、この明細書の添付が義務化され、支払先や支払日、金額などを正確に記載することで医療費控除を受けられます。領収書は自宅で5年間保存する必要があり、税務署から求められたときに提示できるようにしておくことが大切です。




