相続人がいない場合財産はどうなりますか?
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2025/07/31 08:17
女性
40代
両親も兄弟もおらず、独身のまま亡くなった知人のケースを聞いて、自分に相続人がいない場合の財産の行方が気になりました。相続人がいない場合、自分の財産は最終的にどうなるのでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
相続人がいない場合でも、財産がすぐに国に没収されるわけではありません。民法では「相続人不存在」の場合の手続きを定めており、被相続人の債権者や生前に親しかった人を保護する制度があります。
まず必要なのは、戸籍をたどって本当に法定相続人がいないかを確認することです。配偶者や子どもがいないだけでなく、兄弟姉妹や甥姪も含めてすべて調査されます。
相続人が見つからなければ、利害関係者や債権者、市区町村長などが家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を申し立てます。選任された管理人は、被相続人の財産を調査・管理しながら、相続人を探すために官報に公告を出します。この公告は通常6か月間行われ、必要に応じてもう6か月延長されることもあります。最大で1年ほどかけて相続人が見つからないかを確認します。
それでも相続人が現れない場合、「特別縁故者」への財産分与が検討されます。特別縁故者とは、たとえば生前に介護をしていた知人や内縁のパートナー、同居人、被相続人に深く関わっていた公益団体などが該当する可能性があります。家庭裁判所に申し立てを行い、認められれば財産の一部、または全部を受け取ることができます。ただし、公告期間終了後3か月以内という期限があるため注意が必要です。
特別縁故者にも分与されなかった財産は、最終的に国庫に帰属します。つまり、相続人がいない財産は国のものとなり、公共の目的に使われることになります。
こうした事態を避け、自分の財産を希望する人や団体に確実に遺したい場合は、生前に「公正証書遺言」を作成しておくことが非常に有効です。遺言があれば、相続人がいなくてもその内容に従って財産を分けることができます。また、社会貢献を考えるなら、公益法人や自治体への「遺贈寄付」も選択肢になります。さらに柔軟に財産の分配をしたい場合は「家族信託」の活用も検討できます。
注意点として、遺言は定期的に見直すことが大切です。資産内容や人間関係が変わることで、遺言の内容が現状に合わなくなることがあるためです。また、最近では暗号資産やネット証券口座など、デジタル資産も増えているため、それらの管理方法も含めて準備しておく必要があります。
このように、相続人がいない場合でも、財産の行き先にはさまざまな選択肢があります。自分の意思を確実に反映させるためには、遺言や信託などを活用し、専門家と相談しながら早めに準備しておくことが重要です。
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相続財産管理人
相続財産管理人とは、相続人がまったくいない、または全員が相続放棄をした場合に、家庭裁判所が選任する第三者の専門職です。弁護士などが就くことが多く、被相続人の遺産を調査して財産目録を作成し、債権者への弁済や遺産の換価処分、残余財産の国庫帰属といった手続きを公正に進めます。 相続人不在で放置されれば権利関係が不透明になりかねない土地や預貯金などを適切に処理し、利害関係人の保護と社会的な秩序を維持する役割を担う点が大きな特徴です。
特別縁故者
特別縁故者とは、亡くなった人に法定相続人がいない場合に、その人と特に深いつながりがあったとして、家庭裁判所の判断によって遺産を受け取ることができる人を指します。たとえば、長年一緒に生活していた内縁の配偶者や、介護や看病をしていた知人などが該当することがあります。遺産は通常、相続人がいない場合には国庫に帰属しますが、この制度を利用すれば、亡くなった人に貢献してきた人がその恩恵を受けることが可能になります。ただし、特別縁故者として認められるには、裁判所への申し立てや証明が必要であり、認められるかどうかは状況によって異なります。資産運用や終活の観点からは、遺言書を残しておくことで確実に希望する人に財産を渡すことができ、トラブルを未然に防ぐことができます。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人が本人の意思に基づいて作成する遺言書で、遺言の中でも最も法的な信頼性と実効性が高い形式とされています。作成にあたっては、公証役場にて遺言者が口頭で内容を伝え、それを公証人が文書にまとめ、証人2名の立会いのもとで公正証書として正式に成立します。 この方式の最大の特徴は、家庭裁判所による検認手続きが不要である点です。つまり、相続開始後すぐに法的に効力を持つため、遺族による手続きがスムーズに進むという実務上の大きな利点があります。また、公証人による作成と原本保管によって、遺言の紛失や改ざん、内容不備といったリスクも大幅に軽減されます。 一方で、公正証書遺言の作成には一定の準備が必要です。財産の内容を証明する資料(不動産登記簿謄本や預金通帳の写しなど)や、相続人・受遺者の戸籍情報などが求められます。また、証人2名の同席も必須であり、これには利害関係のない成人が必要とされます。公証役場で証人を紹介してもらえるケースもありますが、費用が別途発生することもあります。 費用面では、遺言に記載する財産の価額に応じた公証人手数料がかかりますが、将来のトラブル回避や手続きの簡素化といったメリットを考えれば、特に財産規模が大きい場合や、遺産分割に不安がある家庭では非常に有効な手段と言えるでしょう。 資産運用や相続対策において、公正証書遺言は重要な役割を果たします。特定の資産を特定の人に確実に引き継がせたい場合や、相続人間の争いを未然に防ぎたい場合には、公正証書遺言を活用することで、遺言者の意思を明確かつ安全に残すことができます。
相続人(法定相続人)
相続人(法定相続人)とは、民法で定められた相続権を持つ人のことを指します。被相続人が亡くなった際に、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹などが法律上の順位に従って財産を相続する権利を持ちます。配偶者は常に相続人となり、子がいない場合は直系尊属(親や祖父母)、それもいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。相続税の基礎控除額の計算や遺産分割の際に重要な概念であり、相続対策を検討する上で欠かせない要素となります。
遺贈
遺贈とは、遺言書によって自分の財産を相続人や第三者に無償で譲ることを指します。生前の贈与とは異なり、遺贈は本人が亡くなったときに初めて効力が生じるのが特徴です。たとえば、「私の預金を○○さんに渡す」といった内容を遺言書に書いておけば、その人が相続人であってもなくても、遺贈として財産を受け取ることができます。 遺贈は、特定の財産を指定して渡す「特定遺贈」と、財産の一定割合を指定して渡す「包括遺贈」に分けられます。また、相続人以外の人や団体(たとえば知人や慈善団体など)にも遺贈することが可能なため、本人の意思を柔軟に反映できる方法として活用されています。資産運用や相続の場面では、誰にどの財産をどのように渡すかを明確にする手段として、遺贈はとても大切な制度です。
家族信託
家族信託とは、ご自身の財産を信頼できる家族に託し、その管理や運用を契約で定めた目的に沿って行ってもらう仕組みです。委託者さまは公正証書で信託契約を締結し、現金や不動産、株式などを信託財産として受託者名義に移転します。これにより、たとえ将来認知症を発症されても資産が凍結されず、受益者さまへ生活費や医療費を継続して届けられる点が大きなメリットです。相続発生後は受益権そのものが相続対象となるため、遺産分割協議を簡素化できる効果も期待できます。 もっとも、家族信託には手続きと費用が伴います。不動産を組み入れる場合は信託登記が必要となり、登録免許税や司法書士報酬、公証人手数料が発生いたします。また、受託者さまは信託口座の開設、収支報告書の作成、信託財産とご自身の財産の分別管理など、煩雑な事務を担う義務があります。税務面では契約締結時に贈与税が課税されることは原則ございませんが、信託財産を売却した際の譲渡所得税や信託終了時の相続税は避けられません。そのため、成年後見制度や遺言信託と比較しながら、費用対効果や家族の負担を総合的に検討することが大切です。