インデックス投資にはどんなコストがかかりますか?
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2025/01/21 20:17
男性
40代
インデックス投資を始めようと思っていますが、どのようなコストがかかるのでしょうか?なるべくコストを抑えて運用したいので、発生する費用の種類と、コストを抑えるためのポイントを教えていただけますでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
インデックス投資にかかる費用は、主に4つのコストに分類できます。
①信託報酬、②取引コスト、③為替関連コスト、④その他コストです。
① 信託報酬は、ファンドの運用・監査・保管などにかかる継続的な経費です。
国内株式型では年0.05〜0.2%、海外株式型では0.05〜0.3%が一般的です。
たとえば信託報酬が年0.1%違うだけで、20年間で数十万円以上の差が生じることもあるため、最も重視すべきコストといえます。
② 取引コストには、ETFや投資信託を購入・売却する際に発生する費用が含まれます。
ETFの場合、証券会社への売買手数料に加えて「スプレッド(買値と売値の差)」がかかります。
たとえばETFの気配値が「買:10,030円/売:10,000円」で提示されていれば、その30円分がスプレッドに相当し、売買成立の瞬間に“見えないコスト”として差し引かれます。
スプレッドは、取引量が多く流動性の高いETFほど狭くなります。人気ETFを選ぶ、寄付き直後を避ける、指値を活用するなどで抑えられます。
一方、投資信託ではスプレッドは存在せず、代わりに「購入時手数料(最大3.3%)」が設定されている商品があります。ただし現在は、ネット証券を中心に手数料ゼロの「ノーロード型」が主流です。これを選べば、実質的な取引コストは抑えられます。
③ 為替関連コストは、円と外貨の交換時にかかるスプレッドや、為替ヘッジ費用です。
為替ヘッジをしない場合、コストは抑えられますが、為替変動リスクをそのまま受けます。投資目的や運用期間に応じて、ヘッジの有無を選ぶことが重要です。
④ その他のコストには、解約時にかかる信託財産留保額(0.1〜0.5%程度)や、先物・リバランス・指数入替時の売買費用などがあります。
これらは「隠れコスト」と呼ばれることもあり、目論見書や運用報告書に記載される「実質コスト」を確認することが重要です。
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インデックス
インデックス(Index)は、市場の動きを把握するための重要な指標です。複数の銘柄を一定の基準で組み合わせることで、市場全体や特定分野の値動きを分かりやすく数値化しています。 代表的なものには、日本の株式市場を代表する日経平均株価やTOPIX、米国市場の代表格であるS&P500などがあります。これらのインデックスは、投資信託などの運用成果を評価する際の基準として広く活用されており、特にパッシブ運用(インデックス運用)では、この指標と同じような値動きを実現することを目標としています。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。
トラッキングエラー
トラッキングエラーとは、主にインデックスファンドなどの運用成績が、目標とする指数(たとえば日経平均株価やS&P500など)とどれくらいズレているかを示す指標です。ファンドは基本的に指数に連動するように運用されますが、運用コストや売買のタイミングの違いなどにより、実際の成績が指数と完全に一致することはまれです。 この差が大きいほど、運用が指数とずれていると評価されます。トラッキングエラーが小さいほど、より正確に指数に連動しているとされ、インデックス投資においては重要な確認ポイントとなります。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託やETFの運用・管理にかかる費用として投資家が間接的に負担する手数料であり、運用会社・販売会社・受託銀行の三者に配分されます。 通常は年率〇%と表示され、その割合を基準価額にあたるNAV(Net Asset Value)に日割りで乗じる形で毎日控除されるため、投資家が口座から現金で支払う場面はありません。 したがって運用成績がマイナスでも信託報酬は必ず差し引かれ、長期にわたる複利効果を目減りさせる“見えないコスト”として意識されます。 販売時に一度だけ負担する販売手数料や、法定監査報酬などと異なり、信託報酬は保有期間中ずっと発生するランニングコストです。 実際には運用会社が3〜6割、販売会社が3〜5割、受託銀行が1〜2割前後を受け取る設計が一般的で、アクティブ型ファンドでは1%超、インデックス型では0.1%台まで低下するケースもあります。 同じファンドタイプなら総経費率 TER(Total Expense Ratio)や実質コストを比較し、長期保有ほど差が拡大する点に留意して商品選択を行うことが重要です。
パッシブ運用
パッシブ運用とは、投資信託を選ぶ際の運用手法の一つ(対義語:アクティブ運用)。比較のために用いる指標であるベンチマーク(日経平均やNASDAQなど)と同様の動きを目標とする運用手法で、組み入れ銘柄数は多くなる傾向がある。パッシブ運用はアクティブ運用に比べて販売手数料や信託報酬などのコストは安くて済むが、リスクが分散される分、リターンも小さくなるという特徴がある。
ベンチマーク
ベンチマークとは、特定の目標や標準として用いる指標のことを指し、ビジネス、金融、技術など様々な分野で利用されます。この指標を用いて、パフォーマンスの測定や戦略の効果を評価し、改善点を見つけることができます。特に投資分野においては、ベンチマークはポートフォリオのパフォーマンスを評価するための基準点として活用され、特定の市場指数や同業他社の成績などが用いられます。 たとえば、投資ファンドの管理者は、自身のファンドのパフォーマンスをS&P 500やナスダックなどの市場指数と比較して評価することが多いです。この比較によって、ファンドの戦略が市場全体と比べてどの程度効果的であるか、またはリスクが適切に管理されているかを判断します。 ベンチマークは、透明性と目標設定を促進し、継続的な改善を目指すための重要なツールです。しかし、ベンチマークを選定する際には、その適切性や関連性を慎重に評価する必要があります。適切でないベンチマークを選ぶと、誤った方向性を示すことがあり、結果的にパフォーマンスの誤解を招くことになるためです。したがって、目標とする成果と密接に関連する、かつ実現可能なベンチマークを設定することが極めて重要です。