不動産投資で目指すべき利回りの最低ラインは何%ですか?
回答受付中
0
2025/08/06 08:16
男性
30代
不動産投資で資産を増やしたいと考えていますが、どのくらいの利回りを目標にすればよいのでしょうか?表面利回りで7%以上、実質利回りで4〜5%あれば良いと聞きましたが、それは本当に妥当な水準なのでしょうか?都心の区分マンションや地方の一棟アパートなど、物件の種類や購入方法によっても最低ラインは変わると思います。初心者が利回りを基準に物件を選ぶ場合、どの数字を目安にすべきか教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
不動産投資で資産を増やすことを目指す場合、目標とすべき利回りの水準は物件の種類や立地、投資目的によって大きく異なります。一般的には、表面利回りで7%以上、実質利回りで4〜5%以上あれば「まずまずの物件」とされることが多いですが、実際にはもう少し細かく見極める必要があります。
たとえば、都心の区分マンションの場合、表面利回りは3〜5%程度が相場で、それ以上の数字はなかなか期待できません。ローンを組んで購入するケースでは、管理費や修繕積立金、固定資産税などを差し引いた実質利回りは1〜3%台に落ちることが多いため、キャッシュフローを重視する人にはやや物足りなく感じるかもしれません。
一方、地方の築古アパートや一棟物件などでは、表面利回り8〜10%以上という案件もあります。ただし空室リスクや修繕コストも高くなる傾向があるため、実質利回りで6〜7%程度を安定的に確保できれば合格ラインといえるでしょう。現金購入が前提なら、管理コストが下がる分だけ実質利回りも上がりやすくなります。
目的別に見ると、たとえば年金代わりに安定した家賃収入を得たい人は、実質利回り4〜5%以上を目安にするとよいでしょう。反対に、短期間での売却益や資産の増加を狙うなら、表面的な利回りよりもエリアの値上がり余地や市場の流動性を重視すべきです。
なお、「利回り保証」とうたう物件には注意が必要です。これはサブリース契約によって家賃を一定額保証する仕組みですが、実際には数年ごとに賃料見直しがあり、将来的に保証額が下がる可能性もあります。契約書の内容をよく確認し、家賃保証がいつまで続くのか、途中で解除された場合の条件はどうなるのかを把握しておくことが重要です。
利回りは物件選びの入り口としては有効ですが、それだけで判断するのは危険です。実際の手残りをシミュレーションし、ローン返済や空室、将来の修繕計画まで含めた全体収支で見ることが、不動産投資を成功させるための基本になります。
関連記事
関連する専門用語
表面利回り
表面利回りとは、資産運用において投資対象の収益性を簡単に把握するための指標で、年間収益を投資額で割って算出されます。不動産投資では、年間の賃料収入を物件の購入価格で割った数値が表面利回りとなり、金融商品では配当や利息収入を元本に対する割合で示します。 例えば、2,000万円の不動産を購入し、年間家賃収入が120万円の場合、表面利回りは6%(120万円 ÷ 2,000万円 × 100)となります。ただし、これは管理費や修繕費、税金などの運用コストを考慮していないため、実際の収益性とは異なります。そのため、投資判断をする際は、表面利回りだけでなく、運用コストを差し引いた実質利回りを確認することが重要です。 表面利回りは、異なる投資対象を比較する際に便利な指標ですが、単独で投資判断をするのではなく、リスクやコストを含めた総合的な分析が必要となります。
実質利回り
実質利回りとは、資産運用において、名目上の利回りから運用コストや税金、インフレの影響を差し引いた後の、実際に得られる利益率を示す指標です。金融資産や不動産など、さまざまな資産運用の分野で活用され、投資の収益性をより正確に評価するために重要な役割を持ちます。 金融資産においては、債券や定期預金などの固定利回りの金融商品では、インフレ率が名目利回りを上回ると実質利回りがマイナスになり、資産価値が目減りするリスクがあります。そのため、投資家は名目利回りだけでなく、インフレ調整後の実質利回りを確認することで、資産の購買力を維持しながら運用することができます。 不動産投資では、実質利回りは単なる表面利回りとは異なり、賃貸収入から管理費、修繕費、固定資産税、ローンの利息などのコストを差し引いた後の利益をもとに算出されます。さらに、インフレによって家賃が上昇すれば実質利回りが向上する一方で、維持費の増加によって利回りが低下する可能性もあります。そのため、不動産投資では、地域の経済成長や賃料の上昇余地を考慮しながら、実質利回りを長期的に評価することが求められます。 資産運用全体において、実質利回りを考慮することで、単なる表面上の収益ではなく、実際に資産を増やすための正確な指標を得ることができます。運用コストや税金、インフレといった要素を踏まえて投資判断を行うことが、資産の成長と保全のために不可欠です。
修繕積立金
修繕積立金とは、マンションなどの共同住宅において、将来的に必要となる建物や設備の大規模修繕に備えて住民が毎月支払う積立金のことです。エレベーターの交換や外壁の補修、屋上防水のやり直しなど、建物を長く安全・快適に使い続けるためには一定期間ごとに多額の修繕費用がかかるため、その費用をあらかじめ分担して積み立てておく仕組みです。 管理組合が資金を管理し、長期修繕計画に基づいて使用されるのが一般的です。購入時には月額の負担額や将来の増額予定、過去の使途なども確認しておくことが大切です。修繕積立金が十分に確保されていない場合、突発的な修繕に対応できず、一時金の徴収や建物の劣化による資産価値の低下につながる恐れがあります。
固定資産税
固定資産税は、土地や建物、償却資産(事業用設備など)を所有している人が、その資産の所在する市区町村に納める地方税です。この税金は、毎年1月1日時点の固定資産の所有者に課されます。課税額は、資産の「課税標準額」に基づき、標準税率1.4%を乗じて算出されますが、市区町村によっては条例で異なる場合もあります。また、土地や住宅には負担軽減措置が設けられることがあり、課税額が抑えられるケースもあります。固定資産税は、その地域のインフラや公共サービスの維持・運営を支える重要な財源となっており、納税通知書は通常、毎年4~6月頃に送付されます。不動産を所有する際には、この税金を考慮して資産計画を立てることが重要です。
キャピタルゲイン(売却益/譲渡所得)
キャピタルゲインとは、株式や不動産、投資信託などの資産を購入した価格よりも高く売却したことによって得られる利益のことです。一般的な経済用語としては「売却益」と呼ばれ、資産運用における収益のひとつとして広く使われています。日本の税法においては、このキャピタルゲインは「譲渡所得」として分類され、確定申告などで所得として扱われます。つまり、経済的な意味ではキャピタルゲインと譲渡所得は同様の概念を指しますが、前者が広義の利益、後者が課税対象としての所得という違いがあります。投資の成果を判断したり、税金を計算したりするうえで、両者の使われ方を正しく理解することが大切です。