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株を相続した場合に相続税がかからない方法はありますか?

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2025/08/18 07:40

株式
株式

男性

60代

question

今後、親から株を相続する可能性があります。なるべく相続税がかからないようにしたいと考えていますが、どんな方法が考えられますか?


回答

佐々木 辰

株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長

株式を相続しても、完全に相続税がゼロになる状態を恒久的に作るのは原則難しいですが、合法的に負担を大きく抑える方法はいくつかあります。大きく分けると、非課税枠を使う、課税を繰り延べる、評価額を下げる、課税対象外に振り替えるという4つの方向性があります。

まず「非課税枠を使う」方法として、遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以内であれば相続税はかかりません。また、配偶者の税額軽減を活用すれば、配偶者が相続する分は1億6,000万円または法定相続分のどちらか多い金額まで実質非課税となります。さらに、相続や遺贈で取得した財産を申告期限までに国や地方公共団体、一定の公益法人などに寄附すると、その分は非課税になります。

次に「課税を繰り延べる」方法としては、現金一括納付が困難な場合に、条件を満たせば延納(分割払い)や物納(上場株式も対象)が可能です。利子税や審査はありますが、資金繰りを確保できる点で有効です。

「評価額を下げる」方法では、上場株は死亡日の終値、または当月・前月・前々月の各月平均のうち最も低い価格を選べます。評価方法の選択によって税額が変わるため、遺産分割や申告時期の調整が重要です。さらに、生前贈与も選択肢ですが、2024年以降は贈与の持ち戻し期間が最長7年となり、従来の「毎年110万円以内なら安全」という考え方は通用しにくくなっています。相続時精算課税制度を使えば、贈与時の価額で将来の相続に合算でき、値上がり益を遺産から切り離せます。住宅取得や教育資金などの非課税贈与特例で現金資産を減らすのも有効です。非上場株の場合は事業承継税制により、条件を満たせば相続税の100%納税猶予が受けられます。

ケース別に考えると、上場株中心の相続では、配偶者軽減と基礎控除を先に押さえ、価格変動期は評価方法を工夫します。非上場株なら事業承継税制や株価評価方法の見直しを優先し、社会貢献意向が強ければ期限内寄附で非課税化を狙えます。

最後に、実務の進め方としては、資産と負債、家族構成を洗い出し、一次・二次相続の税額試算を行い、適用できる特例を確認します。必要に応じて非課税贈与や寄附、延納・物納も組み合わせ、一次・二次を通じた総合的な税負担の最小化を図ることが大切です。

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関連する専門用語

相続税

相続税とは、人が亡くなった際に、その人の財産を配偶者や子どもなどの相続人が受け継いだときに課される税金です。対象となる財産には、預貯金や不動産、株式、貴金属、事業用資産などが含まれ、相続財産の合計額が一定の基準額を超えると課税対象となります。 相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算される基礎控除があり、この範囲内であれば原則として税金はかかりません。しかし、資産規模が大きい場合や相続人の数が少ない場合には、課税対象となり、10%〜55%の累進税率が適用されます。 さらに、相続税にはさまざまな非課税枠や控除制度が設けられており、これらを適切に活用することで税負担を抑えることが可能です。代表的な制度には以下のようなものがあります。 - 生命保険金の非課税枠:法定相続人1人あたり500万円まで非課税 - 死亡退職金の非課税枠:生命保険と同様に1人あたり500万円まで非課税 - 債務控除:被相続人に借入金などの債務があった場合、その金額を控除可能 - 葬式費用の控除:通夜・葬儀などにかかった費用は、相続財産から差し引くことができる また、配偶者には配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)が認められており、適切に遺産分割を行えば、税額を大幅に減らすことができます。 相続税は、財産の種類や分割の仕方、受け取る人の立場によって税額が大きく変動するため、生前からの対策が非常に重要です。生命保険や不動産の活用、資産の組み替えなどを通じて、相続税評価額をコントロールすることが、家族への負担を減らし、スムーズな資産承継を実現するための鍵となります。

非課税枠

非課税枠とは、税金が課されない金額の上限を指し、様々な税制に適用される制度。 例えば相続税では基礎控除額として「3,000万円+600万円×法定相続人数」が非課税枠となる。贈与税では年間110万円までの贈与が非課税。また、NISA(少額投資非課税制度)では年間の投資上限額に対する運用益が非課税となる。 このような非課税枠は、税負担の軽減や特定の政策目的(資産形成促進など)のために設定されており、納税者にとって税金対策の重要な要素となっている。

配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減とは、相続税における特例の一つで、亡くなった方の配偶者が相続する財産について、一定の金額までは相続税が課されない、または大きく軽減される制度です。 具体的には、「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか大きい金額までの相続について、配偶者には相続税がかからないという非常に大きな優遇措置です。 これは、夫婦の共同生活によって築かれた財産を配偶者が引き継ぐことを社会的に保護するための制度です。配偶者がその後亡くなった場合に、残された財産が再度相続税の対象になるため、一時的な繰延べ的性格も持ちますが、結果として相続税の負担を大きく軽くする効果があります。

延納

延納とは、相続税や贈与税の納付について、一定の条件を満たした場合に限り、税務署の許可を得て年賦で分割して納めることができる制度です。原則として相続税は相続開始から10か月以内に一括納付する必要がありますが、相続財産の大部分が不動産や非上場株式など換金しづらい資産で占められている場合などには、現金での即時納付が困難なことがあります。こうした場合に、資産の処分を避けながら納税を進める手段として延納が活用されます。 延納が認められるには、納税者が金銭納付を一度に行うことが困難であると税務署に認められる必要があります。具体的には、資産の構成や収支状況、生活費への影響などを示す書類を添付した申請を行い、税務署の審査を経て許可を受ける必要があります。申請期限は、相続税の申告期限である相続開始から10か月以内と定められています。 延納期間は最長20年とされていますが、適用される財産の種類により認められる期間や条件が異なります。たとえば不動産等については20年までの延納が可能な一方で、換金性の高い財産が含まれる場合には延納そのものが認められないこともあります。延納できるのは相続税全額ではなく、延納の対象として認められた金額に限られます。 延納が許可されると、期間中は利子税が課されます。この利子税は毎年変動し、財務省告示により定められています。たとえば2024年時点では、延納期間が5年以内であれば年1.9%、5年超〜10年以内であれば年2.4%、10年超〜15年以内であれば年2.9%、15年超〜20年以内であれば年3.4%といった具合に延納期間に応じて利率が高くなります。なお、不動産など一部の特例財産については年0.9%とする軽減措置が適用されることもあります。 また、延納税額が一定額を超える場合には、原則として担保の提供が求められます。担保には不動産や上場株式などが用いられ、税務署がその価値や換金性を審査します。担保を準備できない場合や担保価値が不足している場合、延納申請が却下されることもあるため注意が必要です。 延納とよく混同される制度に物納がありますが、物納は延納をもってしても金銭納付が困難とされる場合に限って認められるもので、延納の次に検討される制度です。物納は納税資産として国に現物を引き渡す制度であるのに対し、延納はあくまでも金銭納付を分割で行う制度です。 相続税対策においては、納税資金の準備と同時に、延納の利用可能性をあらかじめ想定しておくことが重要です。特に、不動産中心の資産構成である場合や、被相続人の死亡時に手元資金が少ないケースでは、資産の一部を売却するか、延納・物納の制度を活用するかの判断が必要になります。延納は資産を残しつつ納税を可能にする制度ですが、その分、計画性と事前の準備、専門家による支援が不可欠です。

物納

物納とは、本来はお金で納めるべき税金を、現金の代わりに土地や建物、株式などの資産で納めることを指します。主に相続税の支払い時に、どうしても現金が用意できない場合に限って認められる制度です。ただし、物納を希望すれば必ず認められるわけではなく、まずは現金での納付や延納(分割払い)が優先されます。そのうえで、どうしても現金で払えない事情があるときに限り、税務署の審査を経て物納が許可されます。 また、物納に使える資産には順位や条件があり、必ずしもすべての資産が対象となるわけではありません。資産運用の観点では、相続や資産承継の際に現金化の難しい資産が多い場合、物納の可能性を考えておくことがリスク管理のひとつになります。

生前贈与

生前贈与とは、本人が亡くなる前に、自分の財産を家族や親族などに贈り与えることを指します。たとえば、子どもや孫に現金や不動産などを自分の意思で生きているうちに渡す行為がこれにあたります。生前贈与を活用することで、相続時に財産が一度に多額に移転するのを防ぎ、相続税の負担を軽減する効果が期待できます。ただし、贈与にも贈与税がかかるため、贈与額やタイミング、誰に贈るかによって課税額が大きく変わることがあります。また、一定の条件を満たせば非課税になる特例制度もあるため、計画的に行うことが重要です。資産運用や相続対策として、生前贈与は家族に財産を無理なく引き継がせるための有効な手段のひとつです。

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